宮城県「石巻医療圏」
二次医療圏
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宮城県の石巻医療圏

宮城県の二次医療圏「石巻」の現状と課題

1石巻医療圏の概要

〈宮城県南部にあり、約千年前からの地名を現在もそのまま有する北上川流域の医療圏〉
宮城県の二次医療圏である石巻(たんこう)医療圏は、宮城県南部に位置する医療圏です。西側を奥羽山脈、東側を北上山地の山々に挟まれて、南北に流れる北上川とその流域の北上盆地に存在する医療圏で、現在は旧江刺市、旧水沢市、旧胆沢町、旧前沢町、旧衣川村の5市町村が合併して発足した奥州市と、奥州市の北に隣接する金ヶ崎町の2つの自治体からなります。
10世紀には既にこの地区の北上川の西岸を胆沢郡、東岸を江刺郡と呼んでいて、その呼称が現在まで続き両者を合わせて地区名として石巻と呼ばれるようになりました。
本医療圏は、面積が約1,170平方キロメートル、平成24 年10 月1日現在の宮城県毎月人口推計は約7万8千人です。年齢三区分では、年少人口が12.7%、生産年齢人口が57.9%、老年人口が29.5%です。

2石巻医療圏の特徴

〈歴史上で何度も登場する地域で、宮城県の農業と工業の両方の中心にあたる医療圏〉
石巻医療圏は、前にも述べた平安時代の「前九年の役」の時代にもその名前が登場するように、古代から開けた場所です。現在でも本医療圏内各地に前九年の役や奥州藤原氏、源義経終焉の地などの、歴史に関する遺跡などの観光資源が数多くあります。
当地の主産業は農業と工業です。元々は北上盆地の平地を利用した農業が盛んで、宮城県内の自治体別農業生産高のナンバーワンとなっています。稲作を中心として宮城県内屈指の農業地帯が形成されているのとともに、畜産業も盛んで有名ブランド牛として知られる「前沢牛・江刺牛」は、この地区で生産された牛肉として全国にも名を馳せています。
一方で工業の面では、「南部鉄器」と称される鋳鉄品及び漆器などの伝統工芸品産業が盛んに行われてきましたが、現在ではそれに加えて大企業の基幹工場がこの地区に進出して、特にトヨタ自動車の基幹工業が本医療圏内に設立されたことで、その関連企業を含めて工業出荷高でも宮城県内でもトップの製造品出荷額を誇る医療圏です。このように本医療圏は、産業のバランスが取れている医療圏と言えます。
公共交通は、JR東日本の東北新幹線水沢江刺駅があり、県庁所在地の盛岡市や東北随一の都市仙台市、及び首都圏方面への交通は至便です。また北上川に沿ってJR東北本線が本医療圏内を走っています。鉄道沿線以外はバスの便になりますが鉄道、バスとも便数に限りがあるため、本医療圏内では自家用車を利用するのが良いでしょう。
一方で道路網は、自動車専用道として東北自動車道が本医療圏内を南北に走り、隣接医療圏との境部分にあるICを含めて3つのICを本医療圏内に持ちます。一般道では国道4号線を中心に、本医療圏の内外に向けて国道や県道が整備されているので、西部の山岳部分以外では道路網はある程度整備されています。

3石巻医療圏の具体的医療体制の現状

〈周産期医療は周囲の医療圏とともに「周産期医療圏」を形成、分娩機関の整備が課題〉
石巻医療圏では中核病院の役割を宮城県立胆沢病院が担っています。厚生労働省の平成23 年10月1日現在の医療施設調査によれば、本医療圏内には10の病院と101の一般診療所があります。
本医療圏の問題は、周産期医療体制が脆弱化している点です。宮城県では周産期医療については、現在の医療資源及び救急患者の搬送や患者の受診動向から、二次医療圏を複数集めて「周産期医療圏」を設定していて、本医療圏は北側の「岩手中部医療圏」と南側の「両磐医療圏」と合わせて、「岩手中部・石巻・両磐周産期医療圏」を設定して対応にあたっています。しかし本医療圏には地域周産期母子医療センター、及びその協力病院が存在せず、岩手中部医療圏及び両磐医療圏の地域周産期医療センターに頼っている現状があります。
また平成22年時点で本医療圏内に分娩を取り扱う病院が存在せず、5ヶ所の一般診療所での分娩を取り扱っているのみという現状があります。
宮城県としても現状では「周産期医療圏」として同一の隣接する岩手中部、両磐医療圏の地域周産期母子医療センターとの連携を十分に行う施策を立てていますが、将来的には奥州市が合併する以前の各市町に「県立/市立の公立病院が近接して存在し、それぞれが奥州市合併後も以前のままの体制で業務を行っている」という点を重要視して、各公立病院の機能の見直しとネットワーク化を進め、各病院が担うべき役割を明確化する方策を検討しています。この方策の中で本医療圏も「地域周産期母子医療センターもしくは地域周産期母子医療センター協力病院の設置や指定」等が行われ、本医療圏内で安心して分娩ができるような体制が整うことでしょう。またそのための分娩担当可能な医師の需要が今後増えるものと見込まれています。

4石巻医療圏の医師の現状

〈医師数の増と、脳卒中患者の急性期治療体制づくりが課題で、公立病院の再整備が必要〉
厚生労働省の平成22 年医師・歯科医師・薬剤師調査によれば、石巻医療圏の人口10万人あたりの医師数は154.5人で、全国での230.4人はもとより宮城県全体での193.7人との比較でも低い値となっています。とは言っても宮城県内の二次医療圏で比較すると第二位の数となっていて、本医療圏内の工業の発展に伴う人口増に医師の増が追い付いていない現状が見て取れます。県の早急な行政対応が必要です。
また本医療圏の問題として、脳卒中疾患に係る課題があります。脳卒中疾患の場合は、可能な限り迅速に急性期医療を担う医療機関に搬送して必要な診断や治療を行うことが最も重要ですが、本医療圏では脳卒中疾患においての神経内科、脳神経外科など急性期の治療を行う専門医が不足していて、確保を要する状況にあります。この点は宮城県でも十分に認識していて、将来的な目標としては県と関係大学との連携強化や即戦力医師の招聘、臨床研修医の拡大や養成などによって、今後も急性期の脳卒中の治療を行える医師の確保に取り組む方策を立てています。
ただし現状では本医療圏内の限られた医療資源の中で、脳卒中の救急医療提供体制の現状確保が必要であることから、引き続き必要な分の急性期医療資源を確保するため、近隣二次医療機関と連携を図り対応する方策を実行しています。今後現状を見据えて、3項で述べた「各公立病院の機能の見直しとネットワーク化」を行うことで、必要な医療資源の集約や施設の充実が図られることで、本課題は対応可能と考えます。
本医療圏内の工業発展により流入人口が増えている医療圏なので、今後県も重点的な方策を検討することと考えます。

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