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医師転職ドットコム医師のキャリアをとりまく環境・未来医師と医療経済 第15回 (海外の医療と医師 Part3

医師のキャリアをとりまく環境・未来

真野医師

真野 俊樹

1987年名古屋大学医学部卒業。医師、医学博士、経済学博士、日本内科学会専門医、MBA。臨床医を経て、95年9月コーネル大学医学部研究員。外資系製薬企業、国内製薬企業のマネジメントに携わる。その後、昭和大学医学部(病院管理学担当)専任講師を経て、現在、多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授。

医師と医療経済 第15回 (海外の医療と医師 Part3

今度は

前回、前々回と発展途上国であるタイやシンガポールの医師を考えてみました。一言で言えば、こういった国々では医師は尊敬の対象であり、高収入でありました。 引き続き、他国の医療を覗きながら医師の立場を考えて見ましょう。今回はドイツです。

ドイツ

ドイツ連邦共和国通称ドイツは、ヨーロッパ中部にある連邦制の共和国です。 東ドイツを含む、ドイツは国土の面積が35万7000kmと、国土の広さは日本とほ ぼ同じです。1989年11月9日のベルリンの壁崩壊、1990年のドイツ再統一によっ て、ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)を構成していた15県が6州として編入され て、現在の16州となりました。分権化が進んだ国で、歴史をひもとけば、その ことが明らかになります。

純粋なドイツという国の起源はフランク王国(カロリング朝)の王ルートヴィ ヒ1世の死後、遺子であるロタール、ルートヴィヒ、カールがフランク王国を3 分割して843年東フランク王国が成立したことにさかのぼります。東フランク王 国はドイツ王国とも呼ばれるようになりました。

その後、さまざまな争いを経て、1871年1月18日ヴィルヘルム1世がドイツ皇帝に即位し、ドイツ帝国が成立しました。ヴィルヘルム1世がビスマルクを宰相として、穏健な保守派と協力しつつ上からのドイツ統一を達成したのです。ビスマルクは君主主義の保守的な政治家で1880年代に台頭し始めた社会主義運動に対して厳しい姿勢を取った一方で、老齢年金、健康保険、労災保険などの各種の社会保障制度を整えたことでも知られます。

われわれの関心が大きい、健康(医療)保険制度はビスマルクのこの制度にさ かのぼるのです。

さて、1990年10月3日の東西統一以降も東ドイツは、言い方は悪いですが、が西 ドイツにとっては経済的な重荷になっています、といいながらも、GDPは世界第3位、2005年では2兆9,066億ドルにのぼります。アメリカ合衆国、日本に次いで世界第3位(為替レート換算値による)のGDPを誇る経済大国であり、欧州連合(EU)の中核国なのです。

医師と労働

ドイツでは医師会は全医師の加入です。ここでは、政治的(?)な議論や診療報酬の話はあまりしないようで、むしろ医師の労組が政治的な交渉に当たっているようです。

医師会は、医師の倫理を担当し、企業との癒着とかを指摘したりするようです。ドイツの医師に対しては、各州の医療職法という基本的な法律で懲戒規定が制定されています。保健医療の主体部分は連邦でなく、伝統的に州の管轄業務となっているためです。たとえばミュンヘン大学病院でさえも州の管轄です。

医師の倫理義務を規定する医師職業規則などは州医師会の規定であるため、州の官報のようなものではなく、州医師会雑誌に掲載されることによって公布されたことになります。ドイツの州医師会は医師の自治組織であるが、その組織、任務などは州医療職法で規定されていて、州から医師を監督する権限を委譲されています。州医師会はその義務を果たすために、官僚からの支配を受けずに、自分たちが理想と考える各種の規則(職業規則、卒後研修規則、救急業務規則など)を作り、これを実施するという行政行為を行っているのです。

日本では考えられませんが、医師によるストも行われることがあります。たとえばミュンヘン大学病院でも、2006年3月18日に、大学病院や自治体病院のいわゆる勤務医。医学部を出たばかりの医者中心にストが起きました。

ただし、本当の救急患者は診察したためもあろうが、市民の目は温かく、ストは成功し、一応の賃上げを確保したといいます。どこの国でも若い医師がつらい立場のようです。

ちなみに、大学病院救急医療担当の中堅医師に聞いたところ、大学でのプロモーションが目的の医師が多い、とのことでした。ドイツでは開業医の収入は日本より少なく、また空きがないと新たにその地域で開業することは難しいのです。

今、日本でもかかりつけ医の役割が議論になっています。次にそれをみてみましょう。

かかりつけ医

今までは外来への受診には無料でしたが、現在は、1疾病で1回10ユーロ(年間最大で40ユーロ)のコストがかかるようになりました。現在ユーロ高であるので、1600円から1700円にあたるが、このために、受診抑制が起きているといいます。

ここで、診療所と病院の関係を考えてみましょう。ドイツでは英国などと同様に、患者がいきなり病院を受診することは原則としてないのです。このようなケースでは、救急外来であるERを受診することになります。

つまり日本のような、誰でも診療を受けられるという形の病院外来はないのです。

さらに、特徴的なのは日本でいう、かかりつけ医、家庭医といった概念が少し異なっていることです。すなわち、耳鼻科や眼科、といった、ドイツ語で言う「クライン」各科は、かかりつけ医ではなく専門科にあたります。したがって、上記の各科を受診するにはかかりつけ医の紹介が必要になります。

入院は、上述したように原則は紹介です。もちろん救急外来はその限りではありません。 ちなみに、ドイツの開業医への診療報酬は「総額請負」制をとっています。保険組合に当たる各疾病金庫と保険医協会とが毎年請負契約を結び、受診率のいかんをとわず、総額を支払う、というものです。保険医協会は、その額を出来高に応じて各医師に按分します。

予算のようなものなのです。ちなみに、診療所という用語はKlinik と訳されるが、これは病院やリハビリ施設の名称として使われ、とくに専門病院を指し、日本の診療所とは異なります。なお、日本の無床診療所に対応するものは開業医と呼ばれます。

参考岡島道夫先生HP  http://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/index.htm#list2

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