Chapter01
離島から医師が消える。
自分が何とかしなければ。
離島から医師がいなくなってしまう。
2012年の冬、私はそんな切迫した求人ニーズに出会いました。
現地の医療は、島中央部の基幹病院と島内3ヶ所に置かれた出張所によって支えられています。
基幹病院の医師が3ヶ所を定期的に回っていましたが、その方が辞めるとのこと。基幹病院と出張所は救急車でも30分かかります。
島の人々の高齢化を考えると、医師の不在は絶対に避けたい。
私は弊社サイト上で募集条件を魅力的に打ち出し、最適な医師の応募につなげることに自信がありました。
サイトに掲載してから翌々日に面談、翌週に契約というスピードマッチングを実現させたこともあります。
そこで今回は、破格の待遇と着任時期(夏)がすぐ伝わるようアピールし、医師の応募を待ちました。
そしてD先生と出会ったのです。

Chapter02
やっと見つかった
関東在住の先生には、
すぐに入職できない事情が
ありました。
内科のD先生には、奥様と、春から小学校にあがる予定のお子様がいらっしゃいます。
関東で働いていましたが、「いずれは田舎でじっくり医療にたずさわりたい」という要望をお持ちでした。
私との面談後、現地の方々と直接お話しするために離島へ。病院、出張所と見て回り、D先生自身、かなり手応えを感じていたようです。しかし下見の道中、先生といろいろ話すうちに、実はお子様に持病があることがわかりました。
離島に単身赴任する意志は固まっているが、子供の状況を考えると、せめて入学後の1年間はそばにいてあげたい。
それがD先生の本当の気持ちでした。一方で、「夏には来てほしい」という病院側のリクエストもあります。
どうやって折り合いをつけるか、私は悩みました。

私たちは
ご家族のことも考えて提案しています。
Chapter03
病院への説得を続け、
無事了解を得る。
5ヶ月にわたるマッチングです。
悩んだ結果、私はD先生の事情を率直に話して、病院の方々に理解していただこうと決めました。
先生は離島の医療に貢献する意志を持っています。
着任の時期が多少ずれ込んでしまっても、待ってもらう価値はあると考えたのです。
実際に病院側に事情を伝えたところ、D先生とご家族の環境の変化をくみ取っていただき、先生の希望どおり、翌春まで待ってもらうことになりました。
それだけではありません。毎月1回関東の自宅に帰る費用を用意し、将来ご家族を呼び寄せたときにお子様の体調をサポートする医療機関も紹介する、と申し出てくださったのです。
離島の医療にたずさわりながら、地域のコミュニティのなかでお子様を育てていく。
5ヶ月かけて道筋ができたことに、私はホッとしました。

Chapter04
先生のライフプランまで考えて、
紹介をしていきたい。
「募集条件を魅力的に打ち出す」と言うと
誤解されるかもしれませんが、私が本当に大切にしているのは、医師のライフプランを考えたマッチングです。
D先生の件はもちろん、最初にふれたスピードマッチングでもスタンスは同じです。
産休で医師が抜ける穴を「週3.5日の非常勤で埋めたい」という病院側の要望に、「自分の時間を確保して開業の準備を進めたい」という医師をマッチングして、無事入職を実現させました。
それには離島であれ、現在担当している都内・川崎であれ、地域の医療機関の強み・特色をしっかり理解すること。
そして医師のみなさんが「自分の将来のためにそこで働きたい!」と思えるような求人に昇華させること。
今までもこれからも、それが私の役目だと考えています。

要望しにくいことも、
あなたに代わって交渉いたします。