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泌尿器科の医師転職お役立ちコラム
泌尿器科の「訴訟事例」

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訴訟事例-泌尿器科

1数字で見る訴訟の現状

〈医事関係訴訟委員会のデータによる、近年の訴訟件数やその推移〉
まずは客観的な数値として、最高裁判所の中に設置されている医事関係訴訟委員会から出されている医事関係訴訟に関する統計データを見ていきましょう。医事関係訴訟事件(地裁)の、「診療科目別既済件数」です。泌尿器科はここ3年間で次のように推移しています。
平成24年 18件
平成25年 24件
平成26年 13件
注1)この数値は、各診療科における医療事故の起こりやすさを表すものではありません。
注2)複数の診療科目に該当する場合は、そのうちの主要な一科目に計上されています。
注3)平成26年の数値は速報値です。

2泌尿器科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
では泌尿器科に対する、あるいは関わる可能性がある訴訟、あるいはそれに類する事例を見ていきましょう。
【事例1】
患者A(以下、A)は、平成10年6月ころから、B1大学B2病院(以下、B病院)泌尿器科の外来を訪れていたが、平成14年9月、Y2医師(Aの主治医)やY3医師(泌尿器科において研修医を除くと最も若い年次の医師)の診察を受け検査入院したところ、同月20日、前立腺癌であるとの結果が出た。同月28日、Y2医師はAに告知し、治療方法として手術、放射線治療、ホルモン療法の3種類があることを伝えた。Y2医師はこのころから、Aに対してY2医師、Y3医師及びY1医師(平成2年に医師となり、平成7年には日本泌尿器科学会の専門医、平成12年には同じく指導医の認定を受けていた)の3名(以下3名あわせてY医師らという)、腹腔鏡下前立腺全摘除術(本術式)による手術を行うことを考え始めていた。
Y2医師は、同年10月7日、Aとその妻に、手術について説明したが、開腹術と腹腔鏡下術のメリット、デメリットについては十分な説明をせず、また、腹腔鏡下術が保険の適用外であることや、Y医師らに術者としての経験がないことについては説明をしなかった。そのため、Aは、早期の離床・退院が望めるとの説明を受け、本術式を希望することをY2医師に告げた。Aの入院は同年11月5日、手術は同月8日と決まった。
Y2医師はY1医師に対し、Aの手術の術者になることを依頼し、Y1はいったん遠慮したものの、これを引き受けた。
手術前に3回カンファレンスが開かれ、泌尿器科のC診療部長は、その度に指導医を呼ぶことを提案したが、Y2医師が自分たちだけでやることを求め、C診療部長も、開腹術に途中から移行すれば手術を終わらせることができるだろうと考え、最終的に本術式の施行を許可した。
本件事故までに、Y医師らは、腹腔鏡下術の術者としての経験はあったが、本術式については、Y2・Y3医師には、術者、助手のどちらの経験もなく、Y1医師も助手としての経験が2例あるだけであった。
同年11月8日午前9時45分ころ、Y1医師が術者、Y3医師が第1助手、Y2医師が第2助手(腹腔鏡操作)という役割でAに対する本件術式での手術が開始され、内骨盤筋膜切開等までのステップは比較的順調に推移していたが、午前11時58分ころ、Y1医師がツッペルで前立腺表面をこすりすぎて、前立腺表面を覆う前立腺筋膜の深陰茎背静脈(以下、DVC)の束の左側から出血させた。
(中略)
午後8時10分ころ、Y1医師は再度開腹術への移行を提案したが、Y2医師、Y3医師の反対を受け、継続することになった。
午後8時50分ごろ、D医師は判断し、Y医師らに、手術が長時間になっていることを指摘し、開腹術に移行するよう強い口調で怒鳴った。しかし、D医師はヘモグロビン値等の検査結果を伝えなかったため、Y医師らは、出血が継続しているとは思わず、しばらく本術式を継続したが、午後9時20分ころから25分ころ、開腹術に移行した。
D医師は、ヘモグロビン値をY医師らに伝えなかったため、Y医師らはAが重篤な状態に陥っていることを知らず、この間も、開腹術を進め、午後10時35分ころ手術を終えて閉腹した。
Aの心拍数、血圧が低下したため、心臓マッサージや輸血がポンピングで行われた結果、Aの循環動態は落ち着きを見せた。しかし、Aは、麻酔から覚醒せず、同年12月8日、低酸素脳症に起因する肺炎により死亡した。
東京地裁平成18年6月15日判決
引用元:
No.178「前立腺癌の男性に対して、大学病院の医師らが腹腔鏡下前立腺全摘術を施行したが、患者が死亡。業務上過失致死罪で起訴された執刀医につき、禁錮2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した地裁判決」(Medsafe.Net)

【事例2】
 東京慈恵会医科大学付属青戸病院(東京都葛飾区)で前立腺がん摘出のため腹腔鏡手術を受けた男性が死亡した事故で、日本泌尿器科学会と日本エンド口口ジー・ESWL学会は30日、業務上過失致死罪で起訴された執刀医ら3医師の会員資格や専門医資格を一時停止する、と発表した。また、両学会は腹腔鏡による前立腺摘出手術について指針をまとめた。腹腔鏡による腎摘出で20例以上の経験がある前立腺摘出を習熟医の下で計10例以上経験した過去の手術件数、成績を患者に事前に説明する、ことなどを手術の条件としている。
引用元:
専門医資格3医師停止 青戸病院医療事故(医療・介護の総合サイト)

3泌尿器科関係の訴訟の現状

〈訴訟とメディア、報道〉
最近は減少、横ばいといった傾向が見られる医療訴訟ですが、昔に比べればすぐに訴訟沙汰に、といった状況があります。これはメディアや報道の影響も大きいと言われます。訴訟だけでなく最近の医療関係のランキング記事などを含め報道のあり方が適切か、これがミスリードになっていないか等に苦言を呈する声も医師からは挙がっています。

4泌尿器科の訴訟への対処

〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉
上で紹介した事例2は、慈恵医大青戸病院医療過誤事件と呼ばれるものです。事故後の学会対応についてをここでは掲載しましたが、病院側も経緯や今後の対応を含めたお詫び文をWebサイト上に掲載しています。
青戸病院医療事故のお詫び: 慈恵大学
過去の事故や訴訟への病院側の対応についても、職場環境を知るという意味ではチェックしておきたいところです。

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