地域によって様々な医師の転職市場。特に医師の募集状況や地域の特徴は二次医療圏ごとに異なります。
石川中央医療圏での転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した地域別の転職お役立ち情報をお届けします。
〈石川県中部で県庁所在地の金沢市を含み、平野部と山岳部からなる6自治体による医療圏〉
石川県の二次医療圏である石川中央医療圏は、石川県の能登半島北部にあたる金沢市、白山市、かほく市、野々市市、津幡町、内灘町の6自治体で構成されています。
本医療圏は、日本海に面して浅野川、犀川、手取川などの河川が形成した加賀平野と、その背後に迫る両白山地の山間部、そして手取川源流地帯の白山を主峰とする急峻な山岳地帯からなります。
本医療圏の面積は約 1400平方キロメートル、平成23年の県推定人口が約72万4千人で、年齢区分割合は幼年人口が14.0%、生産年齢人口が64.3% 老年人口が20.6%と、
石川県全体の平均と比較して生産年齢人口が多く、高齢化率は低くなっています。
〈石川県の行政の中心地とともに、城下町金沢や信仰の山白山など観光業が盛んな医療圏〉
石川中央医療圏では、平成の大合併の時期に自治体の編入や合併があり、現在の6自治体で構成されています。
本医療圏には石川県の県庁所在地である金沢市を含み、行政の中心地でもあります。
本医療圏の中心産業は観光業で、特に金沢市は「加賀百万石の城下町」ということから江戸時代から続く様々な伝統工芸や、兼六園をはじめとする江戸時代の加賀藩の時代から残る歴史的な史蹟が数多く残り、
北陸新幹線開通以降は人気の観光拠点となっています。
また他にも、信仰の山として長年にわたって栄えてきた白山や、北陸地方でも屈指の海水浴スポットである内灘砂丘の地域、そして両白山地の山懐に点在する温泉地など、各種の観光資源が一年中観光客を集めています。
公共交通は、医療圏内の金沢駅まで北陸新幹線が開通して、首都圏との往来がとても便利となりました。また平野部をJR西日本のJR北陸本線が金沢駅まで伸びていて、関西方面からの足も十分にあります。
他にもJR西日本のJR七尾線、第三セクターに転換したIR石川鉄道、そして北陸鉄道の浅野川線と石川線が本医療圏内を通っていて、移動に不自由しない程度の便数が確保されています。
北陸本線沿線以外はバスの移動になりますが、地域によってバスの便数に著しく差があるのでその点は注意が必要です。
道路の面では、自動車専用道として北陸自動車道が本医療圏の日本海岸沿いに通っていて圏内に6つのICを持ち、北陸地方各地や関西地区、東海地区へのアクセスは良好です。
また一般道も国道8号線を軸として国道157号線や国道159号線をはじめ本医療圏内外に国道や県道が伸びていますので、本医療圏南部の両白山地山岳部を除けば、道路網も整備されています。
〈本医療圏内の金沢市と周囲の自治体間での初期救急、二次救急医療の差の解消が課題〉
石川中央医療圏には県庁所在地である金沢市を含み、石川県立中央病院と金沢大学附属病院とが石川県全体の中核病院の役割を分担して、
本医療圏の中核病院として国立病院機構金沢医療センターや金沢市立病院が役割を分担しています。
本医療圏にはこれらの病院を含めて平成23年10月時点の厚生労働省の調査で60の病院と573の一般診療所があります。
本医療圏の医療体制の現状の問題として、初期救急医療、二次救急医療に対する医療圏内の地域差があります。
本医療圏内での初期救急医療体制は、金沢市においては296の医療機関が参加して1休日12ヶ所の在宅当番医制を取っていて休日夜間は金沢総合健康センター夜間急病診療所での対応が整っていますが、
白山市と野々市市では67の医療機関による1休日4~6ヶ所、かほく市、津幡町と内灘町では51の医療機関による1休日2ヶ所のそれぞれ在宅当番医制となっていて、さらに休日夜間急患も行われていない状況です。
さらに二次救急においても金沢市では病院群輪番制と救急告知病院の併用で行っているものの、他の地区では病院群輪番制が行われておらず、さらに救急告知が行われていない自治体もあります。
このように本医療圏であっても地域によって救急医療の質に偏りがある現状があります。
石川県は現状として、地理的に隣接医療圏の休日夜間急患センターや病院群輪番制の医療の方が近接しているケースなどはそちらで対応を行うべく、本医療圏と隣接医療圏の初期救急及び二次救急医療の連係を整備して、
より迅速で救命率の高い方法で対応を行うべく施策を立てていますが、将来的には各自治体や医師会との調整にて在宅当番医制の参加医を増やすことや、
自治体毎、医師会毎の休日夜間急患センターを設置するなどして、医療圏内どこでも同様に医療サービスを行うことが可能なように、自治体や各医師会と調整を進めていく施策を検討しています。
〈医療圏内の医師の偏在、特に無医村を含むへき地医療の今後の医療環境の向上が課題〉
平成22年12月末現在の厚生労働省の調査によれば、石川中央医療圏の人口10万人あたりの医師数は328.0人で、全国平均219.0人や石川県の平均267.1人との比較では高い値となっています。
ただし本医療圏内には金沢大学医学部や金沢医科大学など医師養成大学、及び臨床研修医受入れの数多くの病院を含むため、
今後は本医療圏内での医師の偏在を検証する必要があります。
この点について本医療圏の医療の現状として、へき地医療対策の充実があります。本医療圏内には平成21年時点で無医地区が3地区、へき地診療所が4ヶ所あり、
これらの地区の医療の確保の継続と充実を進める必要が生じています。
石川県としても対策として「へき地医療における医療機能の明確化」を掲げて、「無医地区等における保健指導/へき地診療の確保/へき地診療の支援医療/行政機関による支援」の4つの対策を行う方針です。
このうち「へき地診療の確保」については、該当する地域に必要とされる診療部門や医療機器等の整備を行うこと、緊急に内科的及び外科的な処置を必要とする際のために、
へき地医療拠点病院等との連携を整備しておくこと等を施策としていて、また「へき地診療の支援医療」については、へき地診療所への代診医の派遣、診療所医師への技術指導や援助を行うこと、
へき地の医師への研修の実施や研究施設の提供を行うこと、へき地医療拠点病院等での遠隔診療による診療支援を実施すること、
及び高度な診療機能を有してへき地医療拠点病院での診療活動のバックアップを行えるような後方支援病院の整備を行うことを施策としています。
特に本医療圏では白山市に無医地区が3ヶ所とへき地診療所が3ヶ所、津幡町にへき地診療所が1ヶ所あり、白山市では公立つるぎ病院が、津幡町では河北中央病院が医師を派遣していますが、
さらに石川県立中央病院がへき地医療拠点病院としてへき地診療所の支援医療を行い、金沢大学附属病院と金沢医科大学病院とが後方支援病院の役割を果たすように施策で決められて現在医療体制の構築中です。