地域によって様々な医師の転職市場。特に医師の募集状況や地域の特徴は二次医療圏ごとに異なります。
北部医療圏での転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した地域別の転職お役立ち情報をお届けします。
〈佐賀県北部の2自治体による、山地やその間に挟まれた平地、離島からなる医療圏〉
佐賀県の二次医療圏である北部医療圏は、佐賀県の北部にあたる唐津市、玄海町の2自治体で構成されています。
本医療圏の面積は約520平方キロメートル、平成24年10月1日現在の佐賀県推計人口からの人口が約13万2千人です。
西部の東松浦半島の上場台地から南延する丘陵地帯と東部の脊振山系が展開する山岳地帯、及びその間を流れる松浦川に沿った平坦地からなり、玄界灘に面しています。
さらに玄界灘に神集島、高島、向島、馬渡島、加唐島等の離島を抱えた医療圏です。
〈古代から歴史に名が残る地域で、現代では窯業や水産業が盛んな医療圏〉
北部医療圏には「古事記/日本書記/万葉集」等に名前が登場する地名があります。また本医療圏には数々の古墳があり、日本の中でも最も古い時代から栄えたと考えられている地域です。
また本医療圏内の唐津市は陶磁器製造業が盛んで、現在でも唐津焼の本場となっています。
一方で日本海の玄界灘に面している本医療圏では水産業も盛んで、全国でも有数の漁場となっている本医療圏の沖合域では、マダイやブリ、イカなどの魚介類の好漁場となっていて、
沿岸域ではフグやアワビなどの養殖業が行われています。
公共交通は、JR九州のJR筑肥線が九州最大の都市である福岡市から伸び、本医療圏北部を東西に横断しています。
また本医療圏内北部からJR唐津線が南方向に伸びて県庁所在地である佐賀市方面に向かっています。鉄道沿線の公共交通での医療圏内の移動はある程度便利と言えます。
また道路網は、国202号線や国道203号線、国道204号線をはじめとして各方面に国道や県道が張り巡らされていて、山地部分を除けば道路網は整備されています。
〈本医療圏内の離島を中心にへき地医療の確保と支援が重要な施策〉
北部医療圏では唐津赤十字病院が中核病院の役割を担っています。本医療圏にはこの病院を含めて平成23年10月時点の厚生労働省の調査で18の病院と104の一般診療所があります。
本医療の医療体制の問題として、へき地医療の問題があります。本医療圏には無医地区と規定される地区はありませんが、準無医地区とされている向島、へき地診療所とされている神集島・高島などの
離島7ヶ所、辺地の巡回診療で対応されている唐津市池原地区と、佐賀県の中でも最もへき地医療の対象である地区が多い医療圏となっています。
これについては佐賀県も今後の方策として、へき地診療所等での医師確保対策について必要に応じてへき地診療所の開設者である唐津市と協議し、唐津市が行う医師確保対策の後方支援を行うこと、
佐賀大学医学部との連携で医師の養成や確保等を検討し、医学部と一体となってへき地での修を実施する等、へき地診療所に勤務する医師の資質の向上を図ること、
へき地診療所の施設・設備の充実と運営支援を行うことを施策として行っています。
また、へき地地区の重症患者の救急搬送体制については、通常はチャーター船や海上タクシー等の船舶を使用することで本土の港までの患者の搬送を行い、
通報を受けて港に待機している救急車にて医療機関への搬送を行っていますが、特に重篤な患者の搬送では、隣県の福岡県の久留米大学病院や国立病院機構長崎医療センターを基地として就航している
ドクターヘリを活用することで対応する施策を行っています。
特に今後は、巡回診療の頻繁化や24時間365日途切れない医療アクセス体制の確立、高度で専門的な診療機能による三次救急医療機関等による後方援助、
そして医療用のwebカンファレンスシステムを活用した、三次救急医療機関による医療支援等の強化を図る計画です。
〈全体的な医師不足の解消とともに、急性心筋梗塞対応の機能を本医療圏内で持つ必要あり〉
平成22年12月末現在の厚生労働省の調査によれば、北部医療圏の人口10万人あたりの医師数は185.6人で、佐賀県の平均245.0人のみならず全国平均219.0人との比較でも低い値となっています。
本医療圏は県としての医師増が必要な行政課題となっています。
また本医療圏の課題として、急性心筋梗塞に対する医療機関が少ない点があります。本医療圏中心地の唐津市は県庁所在地の佐賀市にある本疾患での第三次医療の整っている病院からは多少距離があることで、
本医療圏内にてある程度の急性期医療の機能を持つ必要があります。
しかし厚生労働省の「平成20年医療施設調査」によれば心筋梗塞の専用病室を有する病院や病床は無く、また心臓血管外科と届け出た医師の数も0であり、この点の充実が必要となっています。
このような点を佐賀県は行政上の問題と考えていて、将来的には救命救急センターを有する病院もしくは心疾患専用集中治療室を有する病院の整備を本医療圏内に設置して、
患者の来院後速やかに初期治療を開始すると同時に、30分以内に急性心筋梗塞の専門治療を開始するような体制づくりを検討しています。さらに急性心筋梗塞発症直後やそれ以前の不安定狭心症が発生している時期に、
緊急冠動脈造影の検査や冠動脈インターベンション治療が可能であること、そして急性心筋梗塞直後の急性左心不全及び致命的不整脈への対応治療が可能であること、
また症状に応じて循環補助装置の使用が可能であることなどを施策目標としています。