リウマチ科の医師転職お役立ちコラム
リウマチ科の「訴訟事例」
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診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。リウマチ科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査したリウマチ科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
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1数字で見る訴訟の現状
〈データによる訴訟〉
リウマチ科についてはそれ単独で医療訴訟件数として算出されているデータが少ないため、関係の深い内科で見ていきましょう。少し以前のものになりますが、厚生労働省から出されている訴訟に関するデータを見てみると、内科については平成20年に診療科目別既済件数として228件、医師1000人当たりの既済件数で見ると2.5件となっています。また連携する事が多い整形外科は126件、医師1000人当たりの既済件数は5.8件となっています。
リウマチは一般的に約70~80万人の患者がいるとされていますが、これも正確には把握できていない状態で、訴訟については事例を見ながら起こり得るケースを把握していった方が良さそうです。
2リウマチ科に関連する訴訟事例
〈実際の訴訟事例〉
次にリウマチ科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
なおリウマチ科の可能性がある事例を引用したもので、実際の担当医はリウマチ科以外の場合もあります。
【事例1】
大崎市民病院本院でことし2月、通院治療を受けていた女性患者が医療ミスが原因で死亡したことが1日、分かった。遺族との間で、市側が約4000万円の損害賠償を支払うことで和解が成立したという。
市は、市議会12月定例会に提出する2014年度病院事業会計補正予算案に、女性患者の遺族に支払う損害賠償を計上したことを明らかにした。市はこれまで事実を公表していなかった。
同病院総務課によると、死亡したのは栗原市の50代女性。2008年に関節リウマチの治療を始め、肝機能に影響が出る治療薬の処方を受けた。病院側は女性にB型肝炎の既往症があることを把握していたが、状態が安定していたため、投薬を続けたという。
女性は13年12月に体調を崩し、ことし2月に入院先の東北大病院で劇症肝炎で死亡した。大崎市民病院の医療安全管理委員会は3月、病院側が経過観察を十分にすれば劇症肝炎の発症は防げたと認めて補償を決定。10月末に和解が成立した。
市は同日、市議会12月定例会に提出する議案を記者発表し、報道機関の指摘で事実を説明した。
次は医師に対するものではありませんが、リウマチ科に関係する訴訟のリスクとして挙げます。
【事例2】(事案部分のみ)
患者A(本件事故当時58歳、女性)は、慢性関節リウマチ治療のため、B都立病院に入院して、左中指滑膜切除手術を受けた。看護師Y1およびY2は、B都立病院整形外科に勤務していた。平成11年2月11日、医師の指示により、Aに対し、点滴器具を使用して抗生剤を静脈注射した後、Aに刺した留置針の周辺で血液が凝固するのを防止するため、引き続き血液凝固防止剤であるヘパリンナトリウム生理食塩水を点滴器具を使用してAに注入することになった。
8時15分ころ、看護師Y1は保冷庫から、注射筒部分に黒色マジックで「ヘパ生」と記載されたヘパリンナトリウム生理食塩水10ミリリットル入りの無色透明の注射器1本を取り出して処置台に置き、続いて他の入院患者Eに対して使用する消毒液ヒビテングルコネート液を準備するため、無色透明の注射器を使用して容器から消毒液ヒビテングルコネート液を10ミリリットル吸い取り、この注射器を先ほどのヘパリンナトリウム生理食塩水入りの注射器と並べて処置台において置いた。
看護師Y1は、その後、先ほどのヘパリンナトリウム生理食塩水入りの注射器の注射筒部分に黒マジックで書かれた「ヘパ生」という記載を確認することなく、これを消毒液ヒビテングルコネート液入りの注射器であると誤信して、黒マジックで「6、E様洗浄用ヒビグル」と手書きしたメモ紙をセロテープで貼り付け、他方、消毒液ヒビテングルコネート液入りの注射器をヘパリンナトリウム食塩水入りの注射器であると誤信して、これを、抗生剤とともにAの病室に持参した。
看護師Y1は、午前8時30分ころ、Aに対して点滴器具を使用して抗生剤の静脈注射を開始するとともに、消毒液ヒビテングルコネート液入りの注射器をAの床頭台の上に置き、それから他の患者の世話をするためその場を離れた。
その後、同日午前9時ころ、Aから抗生剤の点滴が終了した旨のナースコールに応じて赴いたY2看護師が抗生剤の点滴終了後、Aの床頭台に置かれていた消毒液ヒビテングルコネート液入りの注射器をヘパリンナトリウム生理食塩水の注射器であると思い込み、これをAに点滴して投与した。
その後、Aの容態が急変し、その連絡を受けた医師の指示により、同日午前9時15分ころ、血管確保のための維持液の静脈への点滴が開始されたが、維持液に先立ち、点滴器具内に残留していた消毒液ヒビテングルコネート液を全量Aの体内に注入させることになり、Aは、消毒液ヒビテングルコネート液の誤投与に基づく急性肺塞栓症による右室不全により死亡した。
引用元:
No.248「看護師が投与薬剤を取り違えて、患者が死亡。看護師2名に業務上過失致死罪の成立を認めた地裁判決」(Medsafe.Net)
3リウマチ科関係の訴訟の現状
〈訴訟リスクが発生する環境〉
上で紹介した事例2は、実際の訴訟対象は看護師です。クロロキン薬害訴訟というのもリウマチの治療薬に絡んだ薬害事例として知られます。このように訴訟は医師に対してだけでなく医療現場のあらゆる場面で抱えている不安、と言う事ができます。
4リウマチ科の訴訟への対処
〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉
医療訴訟の不安が現場に蔓延する昨今ですから、医師個人、あるいは勤務する病院だけでなくより大きなサポートが求められます。日本リウマチ学会でも訴訟については事故後の対応も含め、しばし演題になっています。さまざまな形で学会からのサポートも強く望まれる所でしょう。