地域によって様々な医師の転職市場。特に医師の募集状況や地域の特徴は二次医療圏ごとに異なります。
神戸医療圏での転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した地域別の転職お役立ち情報をお届けします。
〈神戸医療圏の概要-兵庫県の南東部の沿岸部から内陸部に位置する医療圏〉
兵庫県の二次医療圏である神戸医療圏は、兵庫県の南東部に存在する政令指定都市である神戸市1市、
行政区を数に含むと神戸市の東灘区、灘区、中央区、兵庫区、北区、長田区、須磨区、 垂水区、西区の9自治体にて構成されている医療圏です。
本医療圏の総面積は約550平方キロメートル、平成23年11月1日の兵庫県推定による人口は、約154万5千人です。
〈政令指定都市である神戸市全体の医療圏で、公共交通も道路網も整備されている〉
兵庫県南東部に位置する神戸医療圏は、六甲山地の南側の海岸線沿いの平地と、六甲山地の北側の丘陵地帯からなる政令指定都市神戸市全体を含む医療圏です。
産業の点では、本医療圏内の海岸線部分に阪神工業地帯の重化学工業や食品製造業の工業地帯が連なり、
また六甲山北部の丘陵地帯にも加工業を始めとする新規工業団地がいくつも新設されていて、工業が盛んな医療圏です。
また神戸市自体が観光都市として観光客を集める他、六甲山や有馬温泉、須磨の浦などの古くからの観光地や、
ポートアイランドをはじめ埋立地や六甲山北側のゴルフ場の数々など新規の観光地もあり、本医療圏は第二次及び第三次産業が盛んな医療圏です。
公共交通の面では、医療圏内に山陽新幹線の新神戸駅があり、東西どちらからも交通の便が良いです。
また医療圏の南部を東西方向に阪神電鉄本線、JR西日本のJR山陽本線、阪急電鉄の阪急神戸線、山陽電鉄本線が通り、さらに南北方向には神戸電鉄の有馬線、粟生線、三田線や
神戸市営地下鉄各線、北神急行電鉄、新交通システムポートランド線など本医療圏内を鉄道がくまなく路線を伸ばしています。
本医療圏内はとても交通至便です。
また道路では、自動車専用道だけで港湾幹線道路、阪神高速3号神戸線、阪神高速7号北神戸線、山陽自動車道、中国縦貫自動車道をはじめとして、
本医療圏内に自動車専用道がくまなく張り巡らされていて、一般国道である国道2号線、国道428号線やその他の国道、県道網を合わせて道路の面も十分に整備されています。
〈周産期医療での、本医療圏規模や周辺から流入する患者に見合う医療機関の確保が必要〉
神戸医療圏の中核病院は神戸市立医療センター中央市民病院が役割を担いつつ、5疾病5事業について県立災害医療センター、県立こども病院、神戸大学医学部附属病院など
複数の病院が機能を分担している形を取っています。
本医療圏内にはこれらの病院を含め、107の病院と1583の一般診療所(いずれも平成24年10月1日現在)があります。
本医療圏の現状として、周産期医療が挙げられます。圏内には総合周産期母子医療センターとしては県立こども病院に加え
て平成25年に神戸市立医療センター中央市民病院が指定され、地域周産期母子医療センターとして、神戸大学医学部附属病院、
済生会兵庫県病院があるなど大都市として周産期医療に関する高度医療を提供可能な病院は揃っているといえます。
しかし、これは神戸市のみの問題ではなく兵庫県及び関西経済圏全てに通じる問題ですが、産婦人科や産科標榜医療機関数及び医師数が減少している現状があり、
また産科が不足している阪神北医療圏の三田市から神戸市への患者の流れもあるため、その規模に見合った周産期医療体制の維持が可能な医療機関数と
医師数の確保が必要となっています。兵庫県、神戸市ともその点は重要視していて、行政主導で「神戸市医師会急病診療所での産婦人科救急の診療日の拡充」や
「産婦人科と産科の医師の確保策の充実方策を継続して国に要望する」など、対策を実施するための手続を行っている最中です。
〈医療圏内で死亡率の高く全国平均よりも死亡率の高いがんへの対策が今後の課題〉
平成22年12月時点での神戸医療圏内での人口10万人対医師数は297.8人で、兵庫県全県の226.2人、全国平均の219.0人と比較すれば多いと言えます。
ただし医療圏内に大きな病院の数も多いことで、一般診療所や小規模な病院の医師の数が足りているかという点を、今後行政にて細かく分析する必要があります。
さらに本医療圏で医師が直面する現状として、がんの死亡率の高さと増加があります。厚生労働省統計では平成23年度の人口10万人に対するがんでの死亡率は全国地よりも高く、
平成14年からの3年毎の調査でも有意差を持って増加しています。
がんでの死亡率は住民全体の長寿傾向も一因になっているものなので一概に医療環境や医師に原因が由来するとも言えないものですが、
平成20年の神戸市福祉保健局のアンケートによれば住民の「がん検診の受診率の低さ」が目立ちます。
このような状況に兵庫県や神戸市も行政対策として「がん検診受診率の向上」と「検診結果で精密検査が必要な人を確実に適切な医療機関につなぐ連携体制の充実」、
そしてその対策を実行するための「住民への健康教育によるがんへの正しい知識の普及啓発活動」を施策として行っています。また兵庫県は、
厚生労働省が平成24年に示した「がんの医療体制の構築に係る指針」に沿った形で、本医療圏内での専門的がん診療、標準的がん診療、
在宅療養支援の治療での機能類型を踏まえた、医療体制の構築を施策として実行している最中です。本医療圏ではこの医療体制と連携しながら、がん死亡率の減少への施策を行う計画です。
この点で本医療圏でも日常的に患者に接し、必要に応じて専門医との連携を行うかかりつけ医の存在が非常に重要になり、今後需要が更に増えることになるでしょう。