地域によって様々な医師の転職市場。特に医師の募集状況や地域の特徴は二次医療圏ごとに異なります。 但馬医療圏での転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した地域別の転職お役立ち情報をお届けします。
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〈但馬医療圏の概要-古代律令制度時代以来の旧・但馬国全域の医療圏〉 兵庫県の二次医療圏である但馬医療圏は、日本海に面した旧・但馬国全域をエリアとする医療圏です。 現在は豊岡市、養父市、朝来市、香美町、新温泉町の3市2町によって医療圏が構成されています。 医療圏の総面積は約2千133平方キロメートル、平成23年11月1日の兵庫県推定による人口は、約17万8千人です。 元々古代から圏内全体が『旧・但馬国』としてひとつの行政単位であったため、兵庫県としても住民サービスのための県民局と二次医療圏を旧・但馬国で設定したのも自然と言えます。
〈水産業と観光業が中心で、山岳地帯が多い医療圏〉 兵庫県北部に位置していて日本海型気候の但馬医療圏は、全体的に標高1000メートルクラスの山地とその山林が圏域全体の面積の83%を占め、 市街地を形成するのは豊岡や出石、和田山等の盆地部分と、日本海に注ぐ各河川の流域が中心です。 産業は、日本海で行われるズワイガニ漁で有名な水産業、地場産業である豊岡のかばん製造業、城崎や香住、浜坂の温泉や神鍋/ハチ北高原などの観光業がバランスよく発達しています。 特に最近は「天空の城・竹田城」が観光地として人気が出て、更に有名になった城崎温泉と共に医療圏内の観光産業の収益シェアを押し上げています。 交通の面では、エリア内をJR西日本のJR山陰本線とJR播但線が走っていますが、城崎温泉駅以南は複線区間が多い電化である程度列車本数があるものの、 城崎温泉以北は単線非電化路線となるため、自家用車の利用が最適でしょう。
〈過疎化による地域医療の不便さを行政指導で補いつつある〉 但馬医療圏は市街地を形成するほど人口が密集した地域が少なく点在していて、そのために医療機関も人口が密集した地域に点在している状況です。 中核病院としては元々公立豊岡病院担っていて、圏内に病院は14、一般診療所は134(いずれも平成18年医療施設調査:厚生労働省)ありました。 しかし特に但馬医療圏全体として過疎化の問題があり、それに合わせて患者数の減による病院の診療科が休止や廃止、受入可能な患者数の制限など、地域医療に支障をきたしている現状がありました。 また医療機関も但馬圏内で比較的人口の多い豊岡市や朝来市周辺に集中する現状もありました。 このような医療環境を打破するため、平成17年に当時の公立豊岡病院を公立豊岡病院組合立豊岡病院として新設し、同時に急性期医療を公立八鹿病院と共に担うこととして、 同時に但馬圏内の各公立病院には慢性期医療を担う病院と位置付けて、公立豊岡病院組合立豊岡病院からそれぞれ診支援を行えるように、但馬地区全体の地域医療連携体制を整える行政方針を打ち出しました。 このような施策により、医療機関毎の役割分担を明確にするとともに、地域の一般診療所への有効な支援が行えるような仕組みを但馬医療圏内で構築しつつあります。
〈現状では医師数が不足も、高齢者医療を中心とした需要が存在〉 平成22年12月時点での但馬医療圏内での人口10万人対医師数は177.2人で、兵庫県全県の226.2人、全国平均の219.0人と比較しても不足数が目立ちます。 特に但馬医療圏で憂慮すべき問題は、入院患者の他の医療圏への流出が多いという点です。 平成20年度患者調査によれば、但馬医療圏内に在住している入院患者のうち、26.4%と4人に1人以上が但馬医療圏外の医療施設に入院していて、 逆に但馬医療圏内での入院患者の中で在住地が但馬医療圏外の割合は6.6%と、医療圏外への入院患者の流出が極めて多いという点が問題となっています。 これは但馬医療圏の持つ地形的、公共交通の理由から、隣接する鳥取県や京都府などへの患者の流出が多いことが原因で、兵庫県としても圏内の医療体制を十分に構築することで、 できるかぎり但馬医療圏内で病気が終息するような医療行政の方策を行っています。前項で述べたとおり公立豊岡病院組合立豊岡病院を中核として、各病院や一般診療所の役割分担を明確にするとともに、 クリティカルパスのような手段で相互の支援体制を十分に構築することで、医師が働きやすい環境を作り出し、この先も引き続き医師の確保を行っていく方針が立てられています。 従って今後の但馬医療圏は、医療行政によって現状より医師が働きやすい環境が作られていきます。
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