地域によって様々な医師の転職市場。特に医師の募集状況や地域の特徴は二次医療圏ごとに異なります。
鹿本医療圏での転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した地域別の転職お役立ち情報をお届けします。
〈熊本県の鹿本医療圏の概要〉
熊本県の二次医療圏である「鹿本医療圏」は、山鹿市1市からなる医療圏です。
本医療圏は熊本県の北部内陸部に位置し、北側が福岡県に、東側が熊本県の菊池医療圏に、南側が熊本医療圏に、西側が有明医療圏に接しています。
本医療圏は熊本県北部のなだらかな山地及び丘陵地の中にあり、菊池川やその支流の流域の平地に市街地や農地が形成されています。
本医療圏の面積は約300平方キロメートル、平成24年10月1日時点人口の熊本県推計人口は約5万4千人で、平成22年国勢調査時点での年齢3区分人口では老年人口が31.2%で、
熊本県全件と比較して6ポイント程度老年人口が多く、今後の少子高齢化が進行して人口の減と高齢化率の上昇が予測されている医療圏です。
〈九州内でも有名な温泉郷を含む医療圏で、鉄道路線は無いものの道路網は整備されている〉
鹿本医療圏の基幹産業は観光業です。本医療圏内には観光ガイドブック等で「六湯郷」と呼ばれる温泉街が点在していて、温泉の多い熊本県でも「温泉郷の街」のひとつとして知られており、温泉客誘致による観光業が盛んです。
他に古墳群や有名な祭りなど、観光資源を数多く持っています。
公共交通では本医療圏内には鉄道路線が無く、公共交通はバスの便になります。上記六湯郷などの観光地や市街地と、それ以外の地域などでバスの便数に大きな差があるため、
本医療圏内の移動手段には自家用車を検討する必要があります。
一方で道路網の点では、本医療圏内を南北に貫く国道3号線を幹として、他の国道や県道が本医療圏内外の各方向に通じています。
医療圏内北部の山岳地域以外では、観光の面を考慮して道路網は整備されていると言えます。
〈周産期母子医療の拠点本医療圏内に無く、隣接医療圏と一体となり周産期医療を提供〉
鹿本医療圏では山鹿市民医療センターが中核病院の役割を担っています。
本医療圏内には平成24年4月1日現在の熊本県医療政策課の「病院台帳、診療所台帳、歯科診療所台帳」によれば、病院6ヶ所、一般診療所48ヶ所が存在します。
本医療圏の医療体制の課題として、周産期医療体制の医療資源不足が挙げられます。
本医療圏内には周産期母子医療センターのみならず地域周産期中核病院も存在せず、隣接する有明医療圏と合わせて有明・鹿本周産期医療圏として荒尾市民病院に地域周産期中核病院を置いていますが、
周産期母子医療センターは熊本医療圏内の病院に依存している形となっています。
この点を熊本県としても問題としていますが、現状の医療資源ではまず各周産期医療機関と周産期母子医療センターとの役割分担を明確化して、迅速な搬送体制の連携を強化することで、
安心して出産できる環境整備を図ることとします。まずは各周産期医療圏での研修が実施できる体制整備を推進し、周産期医療圏毎の周産期医療関係者の資質向上、人材育成を推進していく方針です。
また熊本県全県対象の人材育成に加えて、各周産期医療圏での分娩等の研修が実施できる体制整備を推進して、周産期医療圏毎の周産期医療関係者の能力向上や人材育成を推進する方針です。
また母子保健対策と連携した健診受診の勧奨と妊婦に対する保健指導、ハイリスク妊婦に対する受診勧奨等、関係機関と連携した保健医療の充実を図る計画です。
更に産科のみならず歯科や行政の多角的な介入による、早産予防対策や極低出生体重児を減らすための妊婦への啓発活動等を実施していく計画です。
将来的には周産期医療圏という形ではなく、本医療圏内に地域周産期中核病院機能を移管して本医療圏内でのある程度の安全な周産期医療体制を構築する計画で、そのための今後の対策立案を行っています。
〈政策としての医師増が必要、さらに糖尿病治療にて医療資源増と関連機関の連携が必要〉
平成22年の厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査によれば、鹿本医療圏の人口10万人あたりの医師数は166.1人で、全国平均219.0人や熊本県全体の平均257.5人との比較でもかなり低い値となっており、
県の医療行政にて医師不足の解消が急務の課題となっています。
また本医療圏の現状として、糖尿病への医療資源の不足が挙げられます。本医療圏内での医療提供体制は、平成24年3月時点で糖尿病専門医が1人で、糖尿病治療をすべて専門医のみで診察することは不可能という現状があります。
糖尿病患者の治療には「かかりつけ医」との連携が重要なことから、熊本県が設立した「熊本県糖尿病対策推進会議」では、地域のかかりつけ医に一定の研修を受講してもらい、
健診で糖代謝異常を指摘された患者への対応及び地域の糖尿病診療の窓口となる医師養成を目的とした、熊本県独自の「糖尿病連携医制度」を創設していて、その増加が求められています。
本医療圏でも糖尿病連携医が5名であり、さらなる増加が求められています。さらに本医療圏では、糖尿病の発症、重症化、合併症の予防に対して、医療機関のみならず自治体や保健所等関係機関が連携して、切れ目のない医療を提供するべく方策を立案中です。
このような状況の本医療圏では、代謝系の内科医の需要があります。