地域によって様々な医師の転職市場。特に医師の募集状況や地域の特徴は二次医療圏ごとに異なります。
八代医療圏での転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した地域別の転職お役立ち情報をお届けします。
〈熊本県の八代医療圏の概要〉
熊本県の二次医療圏である「八代医療圏」は、八代市、氷川町の1市1町からなる医療圏です。
本医療圏は熊本県の中央部に位置し、八代海と九州山地の間に広がる、東西方向に約50キロメートル、南北方向に約30キロメートルの医療圏で、北側を宇城医療圏と熊本医療圏に、
東側を宮崎県に、南側を球磨医療圏と芦北医療圏に接していて、西側は八代海に面しています。
商工業地域、農業地域、山村地域が混在する八代市と、平坦部分が多い農業地域の氷川町で構成されます。
本医療圏の面積は約710平方キロメートル、平成22年10月1日の熊本県推計人口は約14万人で、年齢3区分人口では年少人口が12.7%、生産年齢人口が57.8%、老年人口が28.5%で、熊本県全件とほぼ同程度の人口構成の医療圏です。
〈臨海部分を中心とした工業都市の一面と、イ草生産などの農業が盛んな一面を持つ医療圏〉
八代医療圏の基幹産業は工業で、臨海工業地帯の造成や港湾施設の充実が図られ、早くから大企業の基幹工場が進出していて、熊本県下でも有数の工業都市とし発展しています。
またその一方では、球磨川や氷川の両水系で形成された豊かな土地が平野として形成され、畳の原料であるイ草やトマトなど数多くの農産物が生産されています。
公共交通では、本医療圏内に九州新幹線の新八代駅があり、鹿児島、福岡及び関西方面へ新幹線列車が直通しています。
またJR九州のJR鹿児島本線とJR人吉線、第三セクターの肥薩おれんじ鉄道線が医療圏内の八代駅をジャンクションとして通っています。
鉄道の沿線以外はバスの便になりますが、地域によって鉄道・バスの便数に大きな差があるため、本医療圏内の移動手段には自家用車の使用も念頭に置くべきです。
一方で道路網では、本医療圏内海岸部を九州自動車道が南北に貫き、また南九州西回り自動車道が本医療圏内で分岐するなどして、3ヶ所のICを持っていて、
熊本、福岡、鹿児島、宮崎をはじめとする九州の各都市への移動は容易です。一般道では、国道3号線を幹として、他の国道や県道が本医療圏内外の各方向に通じています。
本医療圏内東部の九州山地の山岳地域以外では、道路網もある程度は整備されていると言えるでしょう。
〈医療圏内にへき地を抱える一方でへき地医療拠点病院が無く、へき地医療が今後の課題〉
八代医療圏では熊本労災病院が中核病院の役割を担っています。本医療圏内には平成24年3月31日現在の八代保健所の医療施設台帳によれば、病院13ヶ所、一般診療所129ヶ所が存在します。
本医療圏の医療体制の課題として、へき地医療の医療資源の不足の問題があります。
本医療圏内には平成24年4月時点で八代市内に無医地区が2ヶ所、へき地診療所が3ヶ所存在しています。
いずれの地区も八代市西部の九州山地の1000メートル級の山々が立ち並ぶ地域の山間部の集落で、交通手段に乏しく、また全ての地域での高齢化も進んでいる現状があり、市街地の拠点病院への通院が困難な地域に該当します。
また本医療圏にはへき地医療拠点病院が無く、本医療圏内の医師会の支援によるへき地診療所の運営がなされていて、地域密着で大きな役割を担っている一方で、へき地診療所の専任医療スタッフの確保が課題となっています。
熊本県もこのような問題を解消するべく、へき地における良好な医療の確保を目指しています。県の施策として「へき地医療支援機構」を立ち上げていて、医師の育成や確保、医師の派遣、へき地医療従事者への総合的な支援の3つの施策を中心に対策を行っています。
現状の医療資源でのへき地医療の継続を県が支援して、へき地診療所の設置自治体への支援体制の強化や診療所の運営方法の見直しなどの取組みを行っていく方策です。
また将来的には、本医療圏内へのへき地医療拠点病院の設置や医師の育成、へき地医療に必要な総合医療の医師への研修など、必要な施策を実施していく計画となっています。
〈政策としての医師増、及び生活習慣病の発症予防の医療圏内住民への啓発が課題〉
平成22年の厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査によれば、八代医療圏の人口10万人あたりの医師数は208.3人で、全国平均219.0人や熊本県全体の平均257.5人との比較では少なくなっています。
医師不足の解消が必要となっています。
また本医療圏の現状として、生活習慣病の発症予防が挙げられます。本医療圏内の疾病全体の6割が生活習慣病由来の疾病ということから、特に本医療圏は住民への生活習慣の改善意識の啓発が必要となっています。
まずは子供の頃から健康な生活習慣を身につけることやそれを支援する社会環境を整えること、また生活習慣病の早期発見に繋がる特定健診の受診率が本医療圏では30%台に過ぎないことから、
自治体による広報啓発や、医療機関での夜間休日の検診実施、地区や組織のPR活用等により、熊本県として定めた特定健診受診率65%以上を目指し施策を検討していくことなどが行われています。
このような現状があり、医療圏内の住民の身近に寄り添うことが可能な「かかりつけ医」の存在が非常に重要で、今後も地域に寄り添う医師の需要があります。