美容皮膚科の医師転職お役立ちコラム
美容皮膚科の「学会」
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診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。美容皮膚科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した美容皮膚科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
▲医師の転職お役立ちコラム一覧へ主な学会の概要-美容皮膚科 日本美容皮膚科学会
1日本美容皮膚科学会について
〈日本美容皮膚科学会の概要〉
日本美容皮膚科学会は正式名称そのままで、事務局は東京都新宿区大久保の新宿ラムダックスビルにあります。現在の本学会の会員数は2,000名弱で、日本における美容皮膚科医療の担い手の中心となっています。
入会については、日本美容皮膚科学会定款第2章第7条にて
・正会員:本会の目的に賛同する皮膚科等の医師
・準会員:本会の目的に賛同する施設および企業等に所属する研究者
・賛助会員:本会の目的に賛同して、その事業を援助する個人、又は団体
という事が定められています。なお美容皮膚科学に関して功績があった、もしくは本学会に功労のあった正会員を、理事会での決定にて名誉会員や功労会員に認定する制度もあります。
2日本美容皮膚科学会の沿革とその活動内容
〈日本美容皮膚科学会の成立と改革、現在行われている教育面での活動内容〉
日本美容皮膚科学会の歴史は、皮膚科の医師であり日本皮膚科学会理事長や日本小児皮膚科学会初代会長を歴任した故・安田利顕教授が、皮膚の手入れや皮膚と化粧品・石鹸等との関係をまとめて1965年(昭和40年)に「美容のヒフ科学」という書籍を出版したことから始まったと言えます。この書籍がベストセラーとなったことで、美容と皮膚科学の関係の重要性が周知され、美容を手掛ける者は皮膚科学の知識を持つこと、及び皮膚科は美容面に科学的な論証を与える必要があることの両方が美容業界と皮膚科業界の両者での共通認識となり、そのような流れの中で1987年(昭和62年)に安田教授が「日本美容皮膚科研究会」を発足して初代会長に就任しました。その後1994年(平成6年)に「日本美容皮膚科学会」と改名、2008年(平成20年)には標榜科名として「美容皮膚科」が認可されて現在に至ります。
日本美容皮膚科学会の英文表記は“Japanese Society of Aesthetic Dermatology”です。“JSAD”という略称も使われています。本学会では日本語機関誌として “Aesthetic Dermatology”を発行して、会員の教育面での支援を行っています。採択された論文を本学会員に早く周知する手段としてネット上での公開を行い、電子投稿や閲覧が可能となっています。
3目的と取り組み
〈日本美容皮膚科学会にて定められた目的と具体的事業〉
日本美容皮膚科学会は日本美容皮膚科学会会則第1章第2条にてその目的を、「美容皮膚科学に関する研究および、その研究成果の普及、ならびに会員相互の交流をはかること」(日本美容皮膚科学会会則第1章第2条引用)としています。そして第3条にて目的の達成のため、次の事業に取り組んでいます。
1.定期学術大会,講演会,分科会の開催
2.学術大会の記録,その他の刊行物の発行
3.内外の関連諸学会等の連絡および協力活動
4.その他本会の目的達成に必要な事
(日本美容皮膚科学会会則第1章第3条引用)
これらの事業を支えるために、本学会では毎年1回全国規模での学会総会・学術大会を開催するとともに、前項で述べた機関誌の発行などを行い本学会員の支援を行っています。
また本学会では、日本皮膚科学会や日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会と協力して皮膚科医学の研究内容や臨床例についての情報交換を行っている一方で、“INTERNATIONAL MASTER COURSE ON AGING SKIN(IMCAS:国際美容・アンチエイジング医療学会)”や「日本化粧品技術者会」との交流を積極的に行い、美容分野と皮膚科医学分野の技術の融合に努めています。
尚、前出の「美容のヒフ科学」は初版発売後に版数を重ね、安田教授の後任として漆畑修教授が改訂を行い、現在では「改訂第9版」が販売されていて、一般市民向けのみならず皮膚科を目指す若手医師や美容関係者、エステシャンの教科書的な役割も果たしています。
4仕事上での利点や今後の需要
〈直接生命維持に必須な診察科ではないが、かかりつけ医となり専門医療に繋げやすい役割〉
現在の美容皮膚科は、皮膚科の目線でメスを使用せずに美容を目的とする診療行為全般を表すようになっています。近年は医療技術の発展によって、患者にとって安全でかつ気軽な施術が受けられるようになり、患者のQOLを上げる目的での役割を果たしています。ただし美容皮膚科は皮膚科の医学を基盤として成り立つ上に、現在ではその治療内容から脈管、神経の走行、表情筋の分布、SMASに関する理解の面など、従来の皮膚表面から真皮までの知識での対応だけでは許されなくなり、真皮深層から筋膜レベルの形成外科の知識まで必要となりつつあります。
その一方で、市販の化粧品も皮膚表面の清浄化だけではなく、皮膚の色素沈着やシワの改善などの有効性を持たせた機能性化粧品の時代がやってきつつあります。そのため美容皮膚科医は販売中の化粧品に関しても最新のトレンドを知る必要が出てきています。
現在美容皮膚科で扱う医療は、美容皮膚科は生命維持に必須な医療行為というよりは、患者のQOLを上げる目的での医療行為である場合がほとんどであり、この先はドクターズコスメの多様化やアンチエイジングのブームにより、「患者がQOLのために治療を気軽に相談できる医師」という立場になっていくと考えられます。その中で医師が患者の様子を注視することや問診を行うことで、患者の持つ隠れた病を発見して専門医に繋げることができれば、重症化する前に患者の病の治療に掛かることが可能になります。
このような点から患者のQOLを上げるために気軽に診察を受けられる、ある意味「かかりつけ医」としての役割が美容皮膚科としての立場となるため、今後は美容皮膚科医の必要性やその需要も医療現場で増加するものと予測されます。