美容皮膚科の医師転職お役立ちコラム
美容皮膚科の「訴訟事例」
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診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。美容皮膚科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した美容皮膚科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
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1美容皮膚科の訴訟
〈数値とその内訳で見る訴訟の全体像〉国民生活センターに美容医療サービスという形で集計されている相談件数を見てみましょう。平成24年で1,874件、平成25年で2,156件、平成26年で2,622件となっています。このうちの半数は販売方法や広告に問題のある相とされ、実際に平成24年で1,000件、平成25年で1,195件、平成26年で1,479件となっています。また医師による美容医療施術で皮膚障害や熱傷など危害を受けたという相談も多いようです。美容医療サービスという事で大括りになっていますが、政府広報オンラインでは美容医療として「外科分野」「皮膚科分野」「内科分野」に分けられています。しかし実際に美容皮膚科が受け持つ分野はどこまでかという境界は個別の医療機関によりますので、厳密な診療科目内での事案かは見えにくい面もあります。
2美容皮膚科に関連する訴訟事例
〈実際の訴訟事例〉では実際に美容皮膚科に関連する訴訟や事故、苦情についての事例をいくつか見ていきましょう。なおこれらは美容皮膚科が直接関わっていないものも含んで紹介していきます。【事例1】まず国民生活センターに寄せられた相談から美容形成に関係するものをいくつか紹介していきましょう。まずは提供するサービスについてです。○1週間前、インターネットで見つけた美容皮膚科に出向いてスキンケア4回コースを割引価格で契約し、1度施術した。光をあてるだけの施術で、効果が感じられずやめたいが、精算金が定価で計算され不満だ。○エステ店に紹介されたクリニックで、レーザー脱毛を約120万円で契約をした。その後追加の契約をしたが、予約が取れず1度も施術を受けないまま閉院した。返金してほしい。○上腕の脂肪吸引手術をしたら、袖のない服が着られないくらいひどく凸凹になった。診察の際に医師からは、「マッサージをすれば治る」と言われたが、別の病院で「これはひどい。返金してもらえばいい」と言われた。返金を求められるだろうか。次に紹介するのは危害に関するものです。○1年前に、瞼に脂肪を注入する手術を受けたが失敗し傷が残った。やっと見つけた別の病院で修正手術をしたところ、顔面麻痺になった。手術にかかったお金を返金してほしい。○昨年皮膚科で、ケミカルピーリングの施術を受けた後、顎の下が腫れてしわが寄った。これまで複数の医院で治療しているが治らない。賠償を求めたい。○顎鬚のレーザー脱毛を受けたところ、顎に複数の小さな窪みができてしまった。医師からは「補償はない、様子をみるように」と言われたが不安だ。
引用元: 各種相談の件数や傾向・美容医療サービス:国民生活センター
次に挙げるのは個別の事例ではなく、内閣府による文書です。
【事例2】近年の美容や健康、癒しに対する意識の高まり等を背景として、エステ・美容医療サービスは広く普及し、定着してきた感がある。こうした中、全国の消費生活センターには、毎年1万件近くのエステ・美容医療サービス関連の相談が寄せられている。最近の全国消費生活情報ネットワーク・システム(以下「PIO-NET」という。)に寄せられた相談情報をみると、エステによって皮膚にやけど状の障害やシミ、ただれが生じた等、身体に危害を受けた情報(危害情報)の全体に占める割合が年々増えてきている。さらに、無資格者によるエステとしてレーザー脱毛、アートメイク、まつ毛エクステンション等の施術が行われたことがうかがえるケースも見受けられる。また、美容医療サービスについても、施術後、広告の価格とは大幅に異なる代金を請求されたというケースや、あるいは、説明不足に起因すると思われる治療結果についての相談が少なからず見受けられる。上記に掲げた事例をみると、消費者自身が、氾濫している情報に惑わされることなく、自ら判断するといった意識が必要なのはいうまでもないが、これだけで被害防止を図るには限界があり、制度上等の課題に対して適切に対応していくことが重要である。
3美容皮膚科関係の訴訟の現状
〈エステを含め、美容医療サービス全般と認識される〉事例2を取り上げたのには理由があります。この中でも少し触れられているように、毎年のように職域を逸脱して脱毛行為等を行うエステが逮捕というニュースが流れるからです。エステティシャンが医療行為を行う事は許されない訳ですが、ここまで見て来たように美容医療サービスという大枠で伝えられるため、美容皮膚科も印象的に損をするケースが出て来ます。またこうしたエステと一体で運営する医師や医療機関の存在も悩ましい所です。さらにエステと医療を分けた報告でも「(美容)医療サービス」などと呼ばれ、美容皮膚科での事例か美容外科での事例かがわかりくい面もあり、それでマイナスイメージに引っ張られる事があります。ただし医療サービスへの苦情として、レーザーを使用しての脱毛やアートメイクの事例が目立つのもまた事実です。
4美容皮膚科の訴訟への対処
〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉上述の政府広報オンラインなどを通じて消費者の意識向上を図る事などが行政から行われていますが、医療界もさまざまな取り組みをしています。例えば日本皮膚科学会は多くの相談や苦情が寄せられた事から「ケミカルピーリングガイドライン」の作成を行っています。また今後日本皮膚科学会の美容皮膚科・レーザー指導専門医制度が正しい知識を伝えていく役割と一層期待されています。こうした専門医の存在は採用側にとってもメリットが大きいものに映るでしょう。医師個人も美容分野については治療内容だけでなく広告等に対する訴訟や苦情が多い事から、これをどう行っているかについて勤務を考える医療機関の取り組みを事前にチェックする事でリスクを減らす事ができそうです。
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