婦人科の医師転職お役立ちコラム
婦人科の「訴訟事例」
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診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。婦人科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した婦人科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
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1婦人科の訴訟
〈ここで扱う内容について〉産婦人科は一般的に訴訟の多い科目として認識されています。実際に医師一人あたりの訴訟件数としては産婦人科が最多となっています。これは出産に関わる科目という理由が大きいですが、この項では出産を含んだ産婦人科についての訴訟や事故の事例は取り上げません。女性特有の病気を診る婦人科についてのものを、症例レベルで区切り紹介していきます。
2婦人科に関連する訴訟事例
〈実際の訴訟事例〉それでは婦人科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。【事例1】患者(大正12年生、女性)は、昭和36年、子宮癌のため、子宮摘出術及び放射線治療を受けたが、平成2年ころ、放射線治療の晩期合併症として、両側尿管狭窄症から両側水腎症に陥り、腎後性腎不全の状態が進行していた。平成2年5月、甲病院泌尿器科のA医師が患者を診察したところ、両側尿管腸骨動脈交叉部以下の高度の狭窄症により、左腎は無機能腎、右腎は機能低下と診断されたため、A医師の執刀で、左腎摘出術及び右経皮的腎瘻術等が行われた。その後、腎後性腎不全の状態は回復し、同年10月、患者は、甲病院を退院し、患者の長女である被告B医師が勤務し、その夫被告C医師が開設する被告病院(総合病院)に転入院した。被告B医師が、全身状態管理及び尿路感染予防のための腎盂洗浄を行った。患者はA医師の下にも通院し、4~6週ごとに同医師による腎瘻カテーテル交換が行われた。患者は、平成12年6月20日、甲病院を受診し、A医師に対し、半年ほど前から不正性器出血があると訴えた。A医師が遺残膀胱をカテーテル洗浄すると出血が認められ、患者の膣を内診すると硬い腫瘤が触れたため、A医師は、甲病院産婦人科のD医師に患者の診祭を依頼した。翌21日、D医師は、患者の子宮癌が再発を考えたが、同年7月19日に検査を行った乙病院の担当医は、子宮癌再発ではなく膣癌で診断した。患者は膣断端から膀胱にかけ浸潤した癌と診断されたが、D医師は、患者が子宮癌のため放射線治療を受けていたことから、さらに放射線治療を施すのは困難であり、化学療法も、単腎で腎機能が低下している患者に行うのは困難であると考え、対症療法を行うこととした。患者は、同年7月ころ、炎症反応を示す白血球数やCRP値が継続的に高値となり、感染症予防のため抗生剤投与等が行われていたが、炎症所見が治まらなかった。(中略)患者の容態は次第に悪化し、経口摂取の回数及び量が減少し、自力体動も不可能になっり、白血球数及びCRP値も悪化し、体動時には疼痛を訴えた。被告B医師は、8月1日から、連日毎朝1回点滴を行い、9月6日からは毎夕点滴を行うようにした。しかし、患者の体温は37.0度前後で推移しており、腎機能も透析が必要な程度ではなく、尿量も、10月8日まで、概ね乏尿とはいえない程度で、尿比重も特に異常値を示すことはなかった。ところが、10月10日、患者の尿量減少が大きくなり、翌11日午前O時以降、尿量がなくなり、同日午前10時52分、患者は死亡した。患者の長男が、姉である被告B医師及びその夫である被告C医師に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。大阪地方裁判所 平成15年(ワ)第10019号 損害賠償請求事件 平成17年12月2日判決確定結論:請求棄却引用元:過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 産婦人科 大阪地判平成17年12月2日判決(堀法律事務所)
次に紹介するのは、非常に有名な「富士見産婦人科病院事件」と呼ばれるもので、それを捏造という違った観点から論じている例の冒頭になります。
【事例2】 金儲けの為に健全な女性の子宮を摘出・・・とのショッキングな報道で日本中を震撼させた富士見産婦人科医病院事件が起こったのは21年前のこと。これを機に、日本の医療は『乱診乱療』、つまり患者のことを顧みず、医者は金儲けの為に医療を行っているとのレッテルが貼られた。この忌まわしい出来事の発端となった同事件について読者はどういう印象をお持ちだろうか? 「この事件は全くのデッチ上げ事件だった」との視点から論じています。●考察の主要項目・この事件を機に厚生省の低医療費政策が強化・マスコミの報道姿勢に世論誘導の意図を見る
引用元: 特別寄稿 捏造された「富士見産婦人科病院事件」の顛末:シーミンク(CMINC)
3婦人科関係の訴訟の現状
〈医療訴訟と報道〉医療訴訟の増加と報道の関係については多く論じられています。事例2は婦人科においてそれを象徴する事案とみなされ、そのためさまざまな見解が出されています。下記もまた、違った角度からこの事案を考察した内容となっています。追悼 佐々木静子医師 -聖女のような献身的医師の生きざま:医療事故研究会のブログ
この事案は医療事故の範疇を超え、政治にまで影響が及んで行きました。当該の問題から政治献金までが発覚したためです。これを多く書くのは医療事故の本題から離れていくので控えますが、訴訟を取り巻く環境ではこうした事まで出てきて、医師個人がそれに巻き込まれていく可能性もあるのです。
4婦人科の訴訟への対処
〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉事故を念頭に置いてのものではありませんが、日本婦人科腫瘍学会では「日本婦人科腫瘍学会」の策定といった取り組みがされています。同学会の専門医制度も役に立つ知識を得るものと言えるでしょう。これらを学び自分自身を高めつつ、勤務先となる病院がどういった医療訴訟や事故に対する備えや考えを示しているかが、今の時代は非常に重要な事と言えそうです。日本医師会による「医療従事者のための医療安全対策マニュアル」にある、「安全管理体制の整備」を基に勤務を考える病院のチェックをしてみるのも良さそうです。
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