形成外科の医師転職お役立ちコラム
形成外科の「学会」
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▲医師の転職お役立ちコラム一覧へ主な学会の概要-形成外科 日本形成外科学会
1日本形成外科学会について
〈日本形成外科学会の概要〉
日本形成外科学会は、正式名称を「一般社団法人日本形成外科学会」と言います。日本医学会に所属する分科会の一つです。
事務局は東京都新宿区大久保の新宿ラムダックスビル内にあり、2015年4月現在の会員数は全国で4,824名です。
入会については、一般社団法人日本形成外科学会定款第5条にて
・一般会員:医師または医学研究者でこの法人の目的に賛同して入会した者
・賛助会員:この法人の目的、事業を賛助する個人または法人
・国際会員:この法人と海外の学会との関連を密にするため、海外の形成外科医の中から理事会が推薦し理事会、評議員会の決議を経て会員総会で承認された者
と定められています。尚本学会に対して功労や功績の合った人へ「特別会員/名誉会員」の称号を贈る規定もあります。
2日本形成外科学会の沿革とその活動内容
〈日本形成外科学会の成立と改革、現在行われている教育面での活動内容〉
1955年(昭和30年)に第一回国際形成外科学会が開催されたことを受け、1956年(昭和31年)に「plastic surgery研究会」が開設され、皮膚科、耳鼻咽喉科、整形外科、眼科、口腔外科などから週に一度医師が集まり検討会を行ったことが、日本での形成外科学会の活動の始まりです。
翌年この研究会は第一回研究会として学術集会を開催し、さらに1958年(昭和33年)の第二回研究会にて正式に「日本形成外科学会」として誕生し、1972年(昭和47年)に日本医学会の分科会として公認されました。1975年(昭和50年)には「形成外科」という名称が一般標榜科として認められ、1985年(昭和60年)には本学会が社団法人として整備されました。現在は公益法人改革において一般社団法人へ移行されています。
日本形成外科学会の英文表記は“Japan Society of Plastic and Reconstructive Surgery”です。“JSPRS”という略称も使われています。本学会では日本語機関誌「日本形成外科学会会誌(日形会誌)」を年12回発行するとともに、スウェーデンの学会と共同で英語機関誌 “Journal of Plastic Surgery and Hand Surgery”を年6回隔月で発行して、会員の教育面での支援を行っています。
3目的と取り組み
〈日本形成外科学会にて定められた目的と事業、そして学会が認定する専門医制度〉
日本形成外科学会は定款第2章第3条にて、「形成外科学に関する学理および応用の研究についての発表及び連絡と知識の交換、情報の提供等を行うことにより、形成外科学の進歩普及を図り、もってわが国における学術の発展と国民の福祉に寄与する」ことを目的(一般社団法人日本形成外科学会定款第2章第3条引用)としています。そして第4条にて目的の達成のため、日本国内及び海外にて次の事業に取り組んでいます。
1.学術集会、学術講習会の開催
2.機関誌、論文集等の刊行
3.形成外科専門医の認定
4.内外の関係学術団体との連絡及び提携
5.その他この法人の目的を達成するために必要な事業
(一般社団法人日本形成外科学会定款第2章第4条引用)
こうした事業を支えるために、本学会では前項で述べた機関誌の発行で会員医師の教育を支援するとともに、年に2回、春には臨床を中心、秋には基礎研究を主とした学術総会を開催しています。2015年時点で春の学術総会は第58回、秋の学術総会は第24回の歴史があります。形成外科で扱う疾患は顔や手足をはじめ全身表面の傷や変形をきれいに治すことが目的で、扱う臨床分野と基礎研究分野はどちらも多岐にわたるため、発表の場を増やすために年2度の学術総会が開催されています。
更に本学会では他の医療学会とも積極的な交流を行い、例えば「日本マイクロサージャリー学会」や「日本頭蓋顎顔面外科学会」、「日本創傷外科学会」等の医療が一部重なる医学会の学術集会にも参加して、臨床例や研究内容の情報交換を行い、本学会会員の能力の向上に役立てています。
また本学会では「日本形成外科学会専門医制度」を設けています。本学会に関わる専門医には、形成外科で治療を行う全ての領域への専門医である「形成外科専門医」と、形成外科の中でも全般的に患者数が多い疾病を対象とした「各領域の専門医」があり、現在各領域の専門医としては「創傷外科専門医」と「頭蓋顎顔面外科専門医」が設置されています。今後はこの2件以外の各領域でも専門医の制度を立ち上げていく計画です。
形成外科専門医は、身体の表面の治療という点で全身の病気や怪我の治療に関わります。そのため専門医資格は形成外科にて一般診療を行う際に必要となります。一方各領域の専門医は、形成外科専門医の資格を取得した上で各専門分野に進むこととされ、例えば創傷外科専門医であれば、「熱傷や外傷などの急性創傷/一般には床ずれと称される褥瘡/下腿潰瘍などの慢性創傷/ケロイドや肥厚性瘢痕」などを対象に、高度な治療が行える形成外科専門医を日本創傷外科学会が創傷外科専門医と認定する方式としています。
形成外科では、形成外科専門医の資格が形成外科臨床医として必要となります。平成25年8月現在で日本国内及び海外に2,191名の専門医が登録されています。
4仕事上での利点や今後の需要
〈外科医としての基本スキルが身に付き、治療後の患者のQOLに深く関わる形成外科医〉
形成外科で治療を行う疾病は、外傷、熱傷、頭蓋顎顔面外科、唇裂・口蓋裂、母斑・血管腫・血管奇形、頭頚部再建、乳房再建、褥瘡・難治性潰瘍、顔面神経麻痺、リンパ浮腫、レーザー、美容などと幅広く、対象疾患が多い形成外科では他の外科と比較して定型的な手術が少なく、患者毎に最適な手術の方法や手術後の治療法などを選択する必要があります。この点が外科医としてのプライマリケアでのスキルを会得する上でとても有効であり、医師が形成外科を学ぶ際の重要な利点となります。また他の外科治療の一部として形成外科の医療分野が必要となり他の外科治療チームに参加することも多く、その際に他の外科治療を学ぶことや他部門の外科医との人脈構築が可能な点も形成外科医の利点です。
現在、都道府県毎の保健医療計画にて「かかりつけ医でのプライマリケア」という点が重要視されている点や、近年女性に増加中の疾病「乳がん」治療での「切除治療後の乳房再建」のようにQOLを考慮して形成外科的治療が求められる医療が増加している点から、形成外科医の需要は将来さらに増えると考えられます。