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血液内科の医師転職お役立ちコラム
血液内科の「訴訟事例」

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訴訟事例-血液内科

1血液内科の訴訟

〈科目の特性、考慮すべき事柄〉
血液内科の訴訟件数は、最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」から出されている統計データによると平成25年で178件、平成26年で187件となっています。なおこの数値は血液内科単独ではなく、一般内科や呼吸器内科を含む内科全般のデータになります。
血液内科という科目の特性上、輸血医療に大きく関わりこれが訴訟のリスクになる場合もあります。また信仰上の理由による輸血拒否といった事については、倫理観や価値観の相違と医療行為の問題として日本医師会からも考え方が示されています。

2血液内科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
次に血液内科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
平成2年5月23日、患者(大正10年生、女性)は、右下腹部の痛みを訴えて被告甲病院(大学病院)を受診した。患者に対し、精査が行われたが、痛みの原因は判明せず、担当のA医師、B医師、C医師は、患者に対して試験的開腹手術を行うこととし、同月28日、A医師が、開腹手術を施行し、回盲部の癒着を切離するとともに、索状物により絞扼されかかっていた虫垂が切除された。
平成9年3月10日、患者は、右下腹部の痛みを訴えて被告甲病院外科に入院し、翌日、精神科を受診して心気症と診断された。
同年12月15日、患者は、被告甲病院から、被告乙病院(大学病院)精神科へ転院した。D医師は、患者が抗生剤に対してまったく反応がないこと等から、血液疾患を疑い、平成10年3月13日、被告甲病院血液内科に精査を依頼したところ、同月31日、患者は慢性骨髄性白血病と診断された。同年4月3日、患者は、丙病院(大学病院)へ転院となり、平成11年7月14日、慢性骨髄性白血病により死亡した。
患者の夫が、被告甲病院及び被告乙病院を開設する法人に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。
東京地方裁判所 平成13年9月27日判決
結論: 請求棄却
引用元:
過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 内科 東京地判平成13年9月27日判決(堀法律事務所)

【事例2】
(概要)
Aの妻であるB(昭和14年2月生まれ)が、Bの実弟であるCのために同種末梢血幹細胞移植のドナーとなるにつき、Hが設置するI病院において顆粒球コロニー刺激因子製剤の投薬を受け、末梢血幹細胞採取が実施された際、I病院のO医師には診療ガイドライン遵守義務違反および説明義務違反があり、J学会には、診療ガイドライン遵守に関する監視義務違反があるとして、AがI病院らに対して損害賠償を求めるなどした事案。
(経過)※一部
平成13年、Cは造血幹細胞移植の目的でI病院血液内科に入院した。
Bは、I病院において、Bの兄弟およびCの子らとともにHLA抗原型の検査を行った。
その結果、7月2日、BとCはHLA型が同一の姉弟であると推定された。
Bは、I病院を受診し、血液検査等を受けた。O医師は、検査データの確認およびBに対する問診を行い、ドナーとしての適格があると判断し、その旨、Bに告げた。なお、I病院では、医師の数の問題およびCの症状が複雑であったことから、O医師がレシピエントであるCおよびドナーであるBの主治医となった。
CおよびCの家族に対し、どうしてもCが同種移植を希望する場合は、HLA適合ドナーであるBの同意があれば準備する旨説明した。O医師は、20日にCの家族からBがドナーになることを承諾したと聞いたので、同種末梢血幹細胞ドナー登録センターに対しBに係るドナー登録申請書を送付した。
Bは、I病院に入院し、血液検査を受け、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤の投薬を受けた。
O医師は、Bに対し、入院診療計画書で、同種造血幹細胞移植ドナーとして入院すること、9月6日からG-CSFを投与し、9月10日および同月11日に末梢血幹細胞の採取を行うことなどは説明したが、ドナー登録やドナーのフォローアップに関する説明は行わなかった。
(略)
平成14年、 Bは急性骨髄性白血病のために他院に入院した。O医師は、Bの事例を重篤な有害事象発生例として報告した。急性骨髄性白血病のため、Bは死亡した。
大阪地裁平成19年9月19日判決
結論:一部認容(200万円) 確定
引用元: 診療ガイドラインと法的責任について(メディカルオンライン)

3血液内科関係の訴訟の現状

〈社会にも大きな影響を与える訴訟のリスクも〉血液内科の特性上、大きな訴訟のリスクも考えられます。「薬害エイズ事件」「薬害肝炎」といったものは一般にも広く知られる事案でしょう。実際、薬害肝炎については肝臓病専門医、産婦人科専門医と共に血液内科専門医が専門家証人による証拠調べを行われています。
薬害肝炎訴訟とは(薬害肝炎訴訟弁護団)
医学的な見地から専門家として携わる立場、また大きな訴訟リスクが襲って来る狭間に医療現場はあると言えます。

4血液内科の訴訟への対処

〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉医療事故を完全に無くす事は不可能なはずです。起きてしまった場合の対処、起こらないようにする対処とともに病院から積極的な情報開示という姿勢は、日ごろから世間や患者との絆を作り訴訟に対しての間接的な対策になるかもしれません。例えば血液内科を持つ京都市立病院は病院で発生した医療事故の件数と重大な医療事故の概要について告知するなどの取り組みがあります。
医療安全対策及び医療事故の公表(京都市立病院)
また働く医師から見れば、こうした姿勢も訴訟に対して安心できる職場かどうかの判断基準の一つになるかもしれません。

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