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心臓血管外科の医師転職お役立ちコラム
心臓血管外科の「訴訟事例」

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訴訟事例-心臓血管外科

1数字で見る訴訟の現状

〈データによる訴訟〉
一般的に外科は訴訟リスクが高いと言われます。データで見てみましょう。平成20年と少し以前のものになりますが、厚生労働省から出されている訴訟に関する資料では診療科目別既済件数は180件となっています。この時内科は228件と最も多い件数でしたが、医師1000人当たりの既済件数で見ると2.5件で、外科は同じ基準で見ると倍の5件になります。これを上回るのは産婦人科と整形外科・形成外科だけで全体では3番目に多い科目となり、訴訟リスクはやはり高めと言えそうです。なおこれは心臓血管外科だけでなく脳神経外科や呼吸器外科を含む外科全般の件数になります。これから心臓血管外科に対する、あるいは関わる可能性が大きい訴訟事例を見ていきましょう。

2心臓血管外科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
【事例1】
東京医大病院第2外科の男性外科医が担当した心臓手術で、2003年1月からの1年余りに4人が相次いで死亡していたことが昨年12月に発覚。病院側は当初、手術ミスを否定したが、外部の専門家による調査委員会は今年3月、技術の未熟な外科医に執刀を続けさせた指導体制の不備などを厳しく指摘した。これを受けて、病院側はミスを認めて謝罪、理事長らトップが引責辞任を表明、担当教授、外科医が辞職した。厚生労働省は、東京女子医大病院(02年)に次いで、特定機能病院の承認取り消しを決めた。
引用元:
東京医大事件(新小児科医のつぶやき)

【事例2】
患者(昭和18年生、男性)は、平成10年6月30日、冷汗を伴う胸痛を訴え、7月1日、被告病院(国立病院)の心臓血管外科を受診した。血液検査の結果、クレアチンキナーゼ値が上昇しており、小領域の心筋梗塞が疑われたため同月6日に心臓カテーテル検査が実施され、その結果、左回旋枝の入口部に95%の狭窄と、右冠動脈の近位部に90%の狭窄が認められた。検査中、カテーテルを挿入した大腿動脈に動脈硬化があり、カテーテル操作が困難であったため、カテーテル操作を容易にするため、シースがロングシースに変更された。又、造影検査中に、心房細動に伴う不整脈が出現した。
同年7月10日、循環器科と心臓血管外科の合同カンファレンスにおいて、患者に対する治療方針が協議され、協議の結果、早急に冠動脈の狭窄を拡張しなければ急性心筋梗塞による突然死の危険があるが、再度開胸してバイパス術を行うことは昭和61年に実施された手術による癒着のため困難であり、造影検査だけでも不整脈が出現するほどであるから、経皮的冠動脈形成術(PTCA。先端部にバルーン〔風船〕を付けたバルーンカテーテルを使用し、冠動脈の狭窄を拡張する治療法)施行のほかに方法はないという結論に達した。
患者に対して施行されたPTCAの手順は、ガイドワイヤーを鼠径部の大腿動脈から大動脈を通して冠動脈狭窄部位の遠位に達するまで挿入し、次にバルーンカテーテルをガイドワイヤーに沿って挿入した上で、狭窄部位において加圧によりバルーンを膨張させて狭窄を拡張し、それだけでは拡張不十分な動脈硬化の強い部分には、血管を内側から補強するステント(ステンレス製の円筒型の金網)を植え込んで留置するものであった。
(中略)
10時40分、血圧が95/60(mmHg、収縮期/拡張期)に低下し、以後、血圧低下に対し昇圧剤が投与された。10時45分から10時48分までの間に、右冠動脈の狭窄に対して3回の拡張が行われ、その間、収縮期血圧が、10時45分に85、10時46分に80、10時48分に70台へ低下した。10時48分、心電図に、心筋梗塞の発症をうかがわせるST上昇の波形が認められ、呼吸困難が出現して、収縮期血圧が70台となり、心拍数(毎分)も50台に低下した。10時55分、血圧はいったん125/85に回復したが、患者は大声でうなり声を発するようになり、11時ころには、意識を消失して呼名に反応しなくなった。11時8分までに、右冠動脈内に2個のステントが植え込まれ予定していたPTCAの施術は終了したが、11時20分ころ、左回旋枝の急性閉塞が認められ、11時31分、左回旋枝に対して再度バルーンによる拡張が行われた。11時42分、自発呼吸が停止し、11時44分、心室細動が出現し心臓マッサージが開始され、電気ショックも行われた。午後0時、人工心肺装置(PCPS)が装着されたが直ぐに血液の流量が得られなくなった。0時23分、A医師は、患者の腹部に膨隆を認め、0時43分、急性腹腔内出血と診断し、その後、患者を集中治療室に移して心肺蘇生術を実施したが回復せず、午後2時48分、患者の死亡が確認された。
患者の妻、子らは、手術をしたA医師、主治医であるB医師に過失があったと主張し、国、A医師及びB医師に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。
東京地方裁判所 平成16年1月26日判決
結論 請求棄却
引用元:
過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 循環器内科 東京地判平成16年1月26日判決(堀法律事務所)

3心臓血管外科関係の訴訟の現状

〈訴訟に対する医療側の反応〉
事例1は4人の死亡者が出ている事から、東京医大事件とも呼ばれています。これに関しては医療側へのインパクトも大きく、心臓血管外科専門医認定機構による心臓血管外科専門医の資格更新で2009年から5年間の資格剥奪者が600人以上出ている事、また専門医認定に必要な手術症例数を数年間で50例と引き上げた事などはこの件を受けてのもの、という意見もあります。

4心臓血管外科の訴訟への対処

〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉
前項のように医師のレベルを上げていくという事は大切ですが、昔に比べ訴訟のリスクが大きくなっている昨今では医師側も不安への備えをしておくのも大切と言えます。東京医大事件は医師の技術や経験以外に病院の体制の問題を指摘する声もあります。実際にこれが表に出たのは内部告発からでした。こうした事からも個人の問題ではなく、医療事故にきちんと備え対処する職場の大切さが見えて来ます。

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