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消化器外科・肛門科の医師転職お役立ちコラム
消化器外科・肛門科の「訴訟事例」

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訴訟事例-消化器外科・肛門科

1数字で見る訴訟の現状

〈医事関係訴訟委員会のデータによる、近年の訴訟件数やその推移〉
まずは客観的な数値として、最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」で出されている医事関係訴訟に関する統計データを見ていきましょう。医事関係訴訟事件(地裁)の、「診療科目別既済件数」です。消化器外科関連はここ3年間で次のように推移しています。
平成24年 145件
平成25年 124件
平成26年 114件
注1)この数値は、各診療科における医療事故の起こりやすさを表すものではありません。
注2)複数の診療科目に該当する場合は、そのうちの主要な一科目に計上されています。
注3)平成26年の数値は速報値です。

2消化器外科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
次に消化器外科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
患者(昭和9年生、男性)は昭和55年8月ころから、糖尿病及び胃の治療のため甲病院へ通院し、胃の薬として、メサフィリン、タガメット、セルベックス、SM散等を処方されていた。昭和58年6月27日、胃内視鏡検査が実施され、潰瘍瘢痕等は認められず、胃の萎縮が強いと診断された。同年11月18日、患者は入院を勧められたが、乙省の要職にあるため入院できないとしてこれを断った。平成6年1月20日、上部消化管内視鏡検査が実施され、食道に異常はなく、胃内にも潰瘍瘢痕等は認められず、萎縮性胃炎であると診断された。
患者は平成13年7月30日、嚥下困難を訴えて丙大学病院内科及び外科を受診し、同年8月2日、内視鏡により食道及び胃・十二指腸のファイパー検査及び食道の生検を受け食道癌と診断された。患者は、同月10日、入院となり、消化器外科のA医師、B医師、C医師及びD医師らが主治医となった。D医師は患者の娘婿であった。同月13日、光学医療診療部において内視鏡による食道及び胃・十二指腸のファイパー検査とこれらの部位の生検が同部のE医師、A医師及びD医師により実施され、食道粘膜、胃の表面粘膜、胃底腺粘膜等が採取された。検査の結果、胸部中部食道に長径約7cmの3型食道癌(進行食道癌)、全周性で深達度はT2(固有筋層まで浸潤)のものと、それに付随する0-Ⅱbの表在型食道癌があると診断された。診断結果に基づき、患者に対し、抗癌剤であるブリプラチンと5-FUの投与と30ないし40Gyの放射線照射を併用する放射線化学療法を1コース施行して癌を小さくした後、切除手術をする治療方針が決められた。
(この間の経過略)
同月31日、午前4時ころ看護師が見回った際、患者は就寝中で異常は認められなかったが、午前5時15分、ベッドを離れ窓際で100ml程度吐血して倒れているのが発見され、心肺停止状態であった。蘇生措置が施されたが、同日午前7時05分に患者は死亡した。
病理解剖によって、直接の死因は、5cm程度の大きさの胃潰瘍からの大量出血であることが明らかになった。胃内には凝血塊を含む血液が約1000ml貯留し、十二指腸、空腸、回腸内容物は血性であった。結腸、直腸内にも血性内容物が見られ、潰瘍の口側後壁寄りの辺縁部に径1.0㎝大の潰瘍瘢痕が認められた。
患者の家族(妻及び子ら)が、主治医であったA医師、B医師及びC医師に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。
東京地方裁判所 平成17年2月16日判決
結論: 請求棄却。
引用元: 過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 消化器外科 東京地判平成17年2月16日判決(堀法律事務所)http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14354046.html

【事例2】
千葉県がんセンターにおける腹腔鏡下手術について、患者が術後に短期間で亡くなる事例が続いたことを重く受け止め、県民に安全で安心できる医療を提供する観点から、原因の究明と再発防止を目的とし、手術の評価、院内での意思決定手続き、患者への説明等について、調査・検証を行うため、第三者による検証委員会を設置(千葉県 千葉病院局による第三者検証委員会設置の声明より)。
下記はそこで出された報告書内に記載があった事例の一つになります。なお引用元掲載の事例は担当医と当時の消化器外科部長に対して、書面による質問調査を実施されているとの事。訴訟の有無は記されていませんが、最近の事例として挙げておきます。
1、膵頭部癌の診断の下、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術、小開腹下門脈合併切除再建・胆管空腸吻合・膵空腸吻合・十二指腸空腸吻合術が行われた。
2、死因は、術後出血による不可逆性の播種性血管内凝固から生じた多臓器不全と考えられた。
3、初回手術に何らかの原因があり、手術当日の術後出血につながった。血管誤認により総肝動脈あるいは上腸間膜動脈の切離が行われた可能性があるが、術後出血との関係が明確でなかった。一方、腹腔鏡下に胆管空腸吻合を試みているが、空腸は血流不全を示唆する色調を呈していた。
引用元: 千葉県がんセンター腹腔鏡下手術に係る第三者検証委員会報告書(案) (千葉県 千葉病院局)
https://www.pref.chiba.lg.jp/byouin/kenritsubyouin/joukyou/gan-kensyo03.html

33.消化器外科関係の訴訟の現状

〈訴訟リスクもあり、外科志望者の減少も問題に〉
上の訴訟件数や事例に見られるよう、訴訟リスクが外科志望者を少なくさせているという見方もされています。実際に日本外科学会の調査によると、労働時間の長さや時間外労働の多さを筆頭に、訴訟リスクの高さも 「外科志望者数の減少」の原因として思い当たることの上位になっています。

44.消化器外科医たちの声

いずれの医療科目に対しても訴訟のリスクはついて回ります。医師たちの多くはキャリアや人生設計の見直しを迫られる事に強い不安を抱えます。
これからの人生を切り開いていこうとする若い医師たちは尚更のことかもしれず、それもあってか外科医は訴訟のリスクもあり志望者が減少しているのではという声が多いのは事実です。しかし志望者減はリスクへの不安では無くやりがいを見いだせないのでは、という声も現場の医師たちからあります。

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