消化器内科の医師転職お役立ちコラム
消化器内科の「学会」
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主な学会の概要-消化器内科 日本消化器病学会
1日本消化器病学会について
〈日本消化器病学会の概要〉
日本消化器病学会は、正式名称を「一般財団法人日本消化器病学会」と言います。日本医学会所属の分科会の一つです。
事務局は東京都中央区銀座のK-18ビル内にあり、全国に北海道、東北、関東、北信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州の10の支部を持ちます。2015年6月末日現在の会員数は全国で34,076名、設立以来100年を超す歴史を持ち国内の消化器関連学会の中の基盤学会という位置付けです。
会員については、消化器疾患全体を扱う内科医を中心として、外科、小児科、放射線科、病理等にて医師免許を取得した者に入会資格が与えられています。一方で近年は医師以外にも「研究者会員」という、医師以外で消化器病の研究に従事している人を対象にした会員枠が設けられ、本学会の評議員もしくは役員の推薦を受け、本学会総務委員会で認定された上で入会可能となります。
2日本消化器病学会の沿革とその活動内容
〈日本消化器病学会の成立と改革、医師の教育や一般市民への普及活動〉
日本消化器病学会は1898年(明治31年)に「胃腸病研究会」という名称で設立されました。変遷を経て現在の名称になったのは1964年(昭和39年)です。一方で1954年(昭和29年)には財団法人として認可され、2013年(平成25年)には一般財団法人へ移行されました。
日本消化器病学会の英文表記は“The Japanese Society of Gastroenterology”です。“JSGE”という略称も使われています。
本学会では英語機関誌として “Journal of Gastroenterology”を、日本語機関誌として「日本消化器病学会雑誌」を年12回毎月発行していて、さらに英語版の“Clinical Journal of Gastroenterology”を年6回隔月電子版で発行して、会員の教育面での支援を行っています。いずれの機関誌も、会員であればオンラインにて閲覧や投稿を行うことが可能です。
また本学会では、一般市民向けの健康ニュース雑誌である「消化器のひろば」を3月下旬と9月下旬の年2回発行、及び「患者さんと家族のためのガイドブック」というシリーズでの「肝硬変/胆石症」など各消化器疾患に関する病気毎のガイドブックの発行を行い、各種医療機関での配布や本学会ホームページ上での公開を行うなど、本学会内のみならず一般市民に向けての本学会から情報発信も活発に行なっています。
3目的と取り組み
〈日本消化器病学会にて定められた目的と具体的事業、そして学会が認定する専門医制度〉
日本消化器病学会の目的は、定款第2章第4条にて「消化器およびその疾患に関する基礎的および臨床的研究の奨励を為し、もって消化器病学の向上発展をはかり、人類の福祉に寄与すること。」(定款第2章第4条引用)としています。そして第2章第5条にて目的の達成のため、日本全国において次の事業に取り組んでいます。
1.消化器疾患に関する研究発表および討議のための学術集会の開催
2.機関誌の刊行
3.消化器疾患の診断、治療に関する医師補習教育講演会等の開催および専門医育成のための講習の実施ならびに講演会等の開催
4.消化器疾患の研究者に対する研究助成
5.消化器疾患に対する一般の関心を高める目的の集会および出版
6.消化器病の専門医の認定のための教育病院の指定と認定試験の実施
7.世界消化器病学会に対する国際協力
8.その他前条の目的達成のために必要な事業
(1~8、定款第2章第4条引用)
こうした事業を支えるために、本学会では会員向けには全国規模の学術集会を年2回、支部単位で年数回の学術集会や教育講演会を行うとともに、前項で述べた機関誌の発行などを行い、会員医師の養成を行っています。
また一方で本学会では一般市民に向けての「市民公開講座」を全国の支部単位で頻繁に実施して、現在の医療情報を積極的に公開しています。
さらに本学会では、「消化器病専門医制度」を設置しています。日本消化器病学会専門医制度規則の第1章第3条に消化器病専門医の医師像、第2章第4条に専門医の条件、第3章第5条に専門医の認定方法が定められていて、医師像にふさわしい能力を持った医師を5年間専門医として認定を行っています。5年毎に更新が必要なこの専門医制度が、その専門医としての資格を有する医師の能力を示し、職場での待遇面で有利に働きます。平成24年8月現在で日本国内には 17,679人の消化器病専門医が認定されています。
4仕事上での利点や今後の需要
〈専門医率の多さの安心感と、食生活面での患者の健康維持の対応で需要増が見込める〉
医師が消化器内科を学ぶ利点として、消化器関連の様々な疾病に対する基盤の役割を果たすことが挙げられます。特に日本においては近年の食生活の変化による消化器系疾病の変化や、胃内部のピロリ菌の発見による胃がん対策の医療方針の転換など、消化器関連の疾病治療にも大きな変化が見られています。その際の臨床の現場や研究の部門での基盤的な役割を果たすのが消化器内科の分野であり、また従来からある病気の治療方法の進化を患者に直接伝える点や、生活習慣病対策で患者への健康指導を行う点など、患者との密接な繋がりを持つのも消化器内科の分野となります。このように「患者に寄り添う立場の医師」として、個別の様々な消化器関連疾病対策の基盤の役割を果たし、人間にとって大切な行為である「食」の分野から健康についてのアドバイスを行っていくこととなります。
また、日本消化器病学会の会員数は約34,000人であり、学会誌やホームページ上からも「新しい病気の症例やその治療法についてのガイドライン等がいち早く公開される」点も利点となります。さらに会員中17,000人余りが消化器病専門医と会員の専門医率も高く、消化器内科を学び消化器病学会の会員になることで、専門医の適切なフォローも期待できます。
前にも述べた通り、日本人の食生活の変化による疾患の内容や、過去には十分ではなかった病気の原因や治療法の解明が進んでいることから、消化器内科専門医としての需要は消化器内科の分野のみならず特定の内臓の部位や疾病に特化した医療科との橋渡しの役割、および生活習慣病から日本人の健康維持を担っていく役割など多岐にわたり、その需要も増えています。このため今後の医療界では、消化器内科医を経験された医師の皆様のスキルが、転職される際には大きな武器となるでしょう。