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小児外科の医師転職お役立ちコラム
小児外科の「訴訟事例」

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訴訟事例-小児外科

1小児外科の訴訟

〈数値で見る訴訟とそこから見えて来る傾向〉
小児外科に関連するという事で、小児科の訴訟件数を最初に挙げます。平成24年で22件、平成25年で10件、平成26年で9件となっています。また小児外科を外科の範囲として見れば、こちらは同じ年で常に100件を超える訴訟件数になっています。これは内科に次いで二番目に多い訴訟件数の科目となります。小児外科での医療事故は外科に分類される場合もあるでしょう。
なおこうした訴訟の多さもあり外科医の数は年々減少傾向にあるとよく言われますが、小児外科だけで見ると2000年代は微増しています。

2小児外科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
次に小児外科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
(症例は7歳男児、主訴、下腹部痛、既往歴はなし)
本患児は、午前6時ごろ、下腹部痛を訴えた。同日午前9時半、患児は父親と供に自宅から車で5分ほどの被告B医師のクリニック(外科・内科・消化器内科)を受診。B医師は、患児が左下腹部を手で押さえていたため、触診したが、顕著な圧痛は認められなかった。筋性防御もなく、尿検査も正常であった。腹部X線撮影後、患児は自分でゆっくり歩くことはできたが、長いすに横たわっていた患児は、父親に睾丸の痛みを訴えた。腹部X線の結果は正常であったが、父親は患児の訴えをB医師に話し、B医師は、陰嚢部の診察をしたのである。患児はB医師の陰嚢部触診時に、痛いと言って逃げるようにベッドの上方にずれあがるなどしていた。(中略)
そして、患児はB医師から鎮痛剤等の服用の指示を受けて帰宅し、同薬剤を服用したが、痛みが止まらないため、父親はB医師に対し電話で指示を仰いだが、薬の服用の指示のみであった。同日夜、左睾丸部の痛みが増強したため、再度B医師のクリニックにて診察を受け、睾丸捻転症が疑われてC病院へ転院。同病院泌尿器科にて睾丸捻転症と診断され、睾丸の捻転、絞扼解除の処置が行われたが、結果的に左睾丸摘出術を施行されたのである。この症例は、小児の腹痛診断の難しさだけでなく、成人と違って、自覚症状を適切に言えない小児だからこそ起こった症例と考える。
患児の両親は
1、初診時、陰嚢痛を訴えていたにも係わらず、B医師は必要な種々の検査や治療措置を施行しなかったこと、
2、B医師が患児を初診時に専門医に転送すべき指示をしなかったこと、
3、初診時に患児の病状、および今後起こりえる危険性や専門医への受診の必要性について説明を十分にしなかったこと、
4、B医師は、電話で患児が痛みを訴えて指示を仰いだ時点で、再来院を指示するか、もしくは専門医への受診を指示すべきであるのに指示をしなかった、と主張して損害賠償を請求したのである。
引用元: 小児医療訴訟の現状と対策(順天堂医学)

【事例2】
40代の小児外科医が、血管を傷つけた場合に出血を抑えるための器具を準備しないまま、6歳の患者の腫瘍の一部を切り取る検査を担当しましたが、剥離が難しかったことから、或いは再び開腹することなどの負担を考え、途中で主治医と相談することなく独断で全摘出手術に方針を転換し、大動脈を傷つけ、出血性ショックで死亡させた事案。
※(細かい事実関係については、報道機関により微妙に異なります)との注釈付きで、引用元に下記の通りいくつかの報道内容が掲載されています。
●中日新聞
病院では7月、開腹して腫瘍の組織を検査したところ、いったん良性と判断。だが、臨床的に悪性が疑われるため、主治医の小児科医が他の部位からの組織採取を小児外科医に依頼した。小児外科医ははく離が難しかったことから腫瘍の全摘手術に方針を転換し、腫瘍の切除を進めたが、何らかの原因で大動脈を傷つけたため出血。子どもは手術中に心停止となり、死亡した。
●時事通信
児童は昨年7月、副腎にできた大きさ約20センチの腫瘍の一部を切り取る2回目の検査を受けたが、再び開腹することなどの負担を考えた小児外科医が途中で全摘出手術に方針を転換。その後、外科医が誤って膵臓(すいぞう)近くの大動脈を金属製の鉗子(かんし)で傷つけ、児童はその日のうちに出血性ショックで死亡した。
●NHK
去年7月、当時小学1年生の6歳の子どもの腫瘍の組織検査のための手術が行われた際、執刀した40代の医師が、腫瘍を 取り除くことができると判断して、摘出手術に切り替えたところ、誤って近くの大動脈を傷つけ 、出血が多くなり死亡したということです。 病院の調査の結果、執刀した医師は、腫瘍の摘出手術に切り替えることについて、子どもの主治医の小児科医と十分な検討をしていなかった上、血管を傷つけた場合に出血を抑えるための器具を準備しないまま、手術を進めていたことがわかったということです。
※引用元にはその他毎日新聞、読売新聞の内容も掲載されています。
引用元: 名古屋大学医学部付属病院小児外科で,平成22年7月の医療事故死(出血性ショック)公表(弁護士谷直樹/医療専門の法律事務所のブログ)

3小児外科関係の訴訟の現状

〈小児外科の特性から発生しがちな事故〉
事例1で“成人と違って、自覚症状を適切に言えない小児だからこそ起こった症例と考える”と考察されていますが、これは「こどもはおとなのミニチュアではない」という小児外科説明を行う際によく使われる言葉と共通、またその事実により起こった事故と言う事ができるかもしれません。
また日本医師会による「医療従事者のための医療安全対策マニュアル」には、「はじめに」の中で“大量生産や画一化された製造過程と異なり、医療では個々に特性の異なる”という表現で死の危険性も伴うハイリスクな患者について述べられていますが、幼児や子どもといった大人とは違う心身を持つ存在もこれに当てはまると言えるでしょう。こうした事も含め、医療行為で起こり得る危険性を日頃から考えておく必要がありそうです。

4小児外科の訴訟への対処

〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉
このように子どもの医療に関しては細心の注意と特別な知識や技術が必要とされると言えます。
そうした技術と知識の証の一つが、小児外科専門医(認定医)と言えるかもしれません。医師を雇い入れる医療機関も訴訟リスクが高めとされる科目だけに、専門医資格の有無を目安に採用や待遇について考える場合は多くあると言えそうです。
また医師個人がこうした力を付けておく事で、訴訟や事故などの備えや組織整備をきちんとした医療機関での雇用のチャンスが広がります。訴訟対策が行ってある医療機関のチェックポイントがどこかという点は、例えば日本小児外科学会の講習等でも時折テーマとして取り上げられています。

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