在宅医療の医師転職お役立ちコラム
在宅医療の「専門医取得要件」
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1日本在宅医学会の専門医制度について
〈日本在宅医学会による専門医の詳細〉
一般社団法人日本在宅医学会では専門医制度を設けています。
まずそれを運営する比較的新しい学会、日本在宅医学会についても少し見ていきましょう。学会発足前に前身となる在宅医療を推進する医師の会が1994年にでき、その後1999年に日本在宅医学会となります。在宅医療を“客観的根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine)”とし、多くの医師が在宅医療を学べる場となるようにというのが掲げられたテーマでした。一般社団法人になったのは2012年の事です。
2002年に具体的な取り組みとして専門医制度ができます。2005 年度からは経過措置による認定を開始します。その経過措置が終了した2009年までの間に、 認定専門医161名が誕生し制度の基盤が固まっていきました。2008年からは研修プログラムの認定が開始され、翌2009年春からこれら全国の研修プログラムで在宅医療専門医研修が行われていきます。そして2010 年から認定専門医試験が実施され、「在宅医療認定専門医」として現在に続きます。
この認定医制度の目的ですが、日本在宅医学会認定専門医制度規定の第1条に目的として下記のように明記されています。
“在宅医学に基づいた在宅医療の専門医を養成・認定し、在宅医療の発展に貢献することを目的とする。”
この制度の維持、運営については専門医制度委員会により行われています。
2資格試験の概要と認定の要件
〈在宅医専門医試験の概要と要件等の詳細〉
それでは、在宅医療認定専門医を取得するための条件を、日本在宅医学会認定専門医制度規定と日本在宅医学会認定専門医制度細則から見ていきましょう。
【試験の概要】
試験は一次審査として書類審査、二次審査として専門医試験が行われます。
書類審査の評価については、下記になります。
・提出症例について評価。
・ポートフォリオ 10 領域 15 項目の内容。
・在宅医療に関する宣言書の内容。
専門医試験については、下記の内容になります。
・多肢選択問題(MCQ)と臨床問題からなる記述試験。
・ポートフォリオ面接。
・年1回、4月~7月に実施。
二次審査は、一次審査合格者に対してのみ行われます。また一次審査合格で二次審査不合格の場合は、翌年以降一定の期間に限り、二次審査の受験を申請できる事になっています。
【要件(申請資格)】
要件については日本在宅医学会認定専門医制度規定の第3条に申請条件として定められています。
■医師免許を有し、医師として 5 年以上の経験を有していること。
■医師としての人格ならびに見識を備え、在宅医療に実績を有していること。
■日本在宅医学会の会員であること。ただし、研修プログラムの実施に支障のないかぎり、会員歴は問わない。
■日本在宅医学会が定める基礎学会の研修を修了していること、または日本在宅医学会のさだめる基礎学会の認定医あるいは専門医資格を取得していること。ただし、これらについては2010年から一定の期間はこれを免除する。基礎学会については細則に定める。
■緩和ケア研修と内科研修を修了していること。ただし、一定の条件を満たす場合は、これを免除する。緩和ケア研修と内科研修の詳細は、細則に定める。
■日本在宅医学会の在宅研修プログラムを修了していること、あるいは申請期日までに在宅研修プログラムを修了見込みであること。ただし、5 年以上の訪問診療の経験を有するもので、日本在宅医学会が認めたものは、在宅研修プログラムでの研修を免除し、認定専門医試験受験資格を認める(以下これを実践者コースという)。実践者コースの申請については細則で定める。
申請に必要な書類については、下記になります。
1、認定専門医資格審査申請書
2、履歴書
3、在宅研修プログラムの研修修了証明書、または研修修了見込み証明書
(ただし、実践者コースの申請者を除く)
4、症例報告。
5、ポートフォリオ。
6、他施設交流研修修了証明書。
7、本学会の定める宣言書一通。
8、その他。本学会の定める書類。
症例報告やポートフォリオ、他施設交流研修などの詳細は細則に定められています。
なおこの試験の合格率ですが、少し前のデータですが2011年度で66.7%となっています。受験者数は15名でした。
3専門医更新の要件
〈在宅医専門医を更新するための要件に関する詳細〉
在宅医専門医の5年ごとの更新については、日本在宅医学会認定専門医制度規定の第6条に下記のように定められています。
■更新に必要な単位は 50 単位とする。 必要単位の半分(25 単位)以上は、本学会が行うプログラムで取得する。
■在宅医療専門医としての実績の報告。
■更新の審査料。
更新単位数については細則内に定められています。一部抜粋しましょう。
○在宅医学会のプログラム(更新期間内に25単位必要) ・大会への参加 8単位 ・一般演筆頭者 3単位
・一般演題連盟者 1単位
・教育プログラムの参加 1 テーマ4単位
○在宅医学会以外のプログラム
・日本プライマリ・ケア学会(学術会議のみ) 参加3単位
・日本家庭医療学会 (学術集会・総会のみ) 参加3単位
4専門医制度の現状と変化
〈時代の変化と共に変わる専門医制度〉
時代の要請もあり、地域との関わりを重視する家庭医、あるいは総合的な診療能力を有する総合診療医の存在が注目され始めています。それに関連する資格として在宅医療専門医も重視されてきています。
また日本の専門医制度は第三者機関の日本専門医機構に移行する過渡期になっています。ここで19番目の基礎領域として新設される総合診療科との連携など、在宅医療専門医も変化の兆しが見えています。