美容外科の医師転職お役立ちコラム
美容外科の「訴訟事例」
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診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。美容外科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した美容外科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
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1美容外科の訴訟
〈数値で見る訴訟〉美容外科に関連するという事で、形成外科の訴訟件数を最初に挙げておきましょう。最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」から出されている統計データからです。平成24年で24件、平成25年で29件、平成26年で28件となっています。次に美容医療サービスという形で、国民生活センターに寄せられた相談件数を見てみましょう。平成24年で1,874件、平成25年で2,156件、平成26年で2,622件となり、半数以上が販売方法や広告に問題のある相談となっています。一方で日本医療機能評価機構の医療事故報告によると、全体の医療事故が増加している中で平成24年度の美容整形科の医療事故報告は0件となっています。
2美容外科に関連する訴訟事例
〈実際の訴訟事例〉それでは美容外科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。【事例1】患者(昭和36年生、女性)は、長女を出産後、乳房がやや下垂するようになり、二女出産後の平成3年ころ、甲クリニック(美容外科)において200から220cc程度の生理食塩水バッグを用いた豊胸術を受けた。患者は、三女の出産・授乳を終えたころから、乳房全体の下垂が目立つようになったため、再度豊胸術を受けることとした。患者は、既に挿入されている生理食塩水バッグはそのままにして、乳腺下に脂肪を注入すれば、乳房の下垂を改善できるのではないかと考え、平成16年3月ころ、被告クリニックに、数回電話相談をした上、被告クリニックにおいて脂肪注入による豊胸術を受けることを決意した。患者は、4月30日、被告クリニックを受診し、5月1日に自家脂肪注入による豊胸術を受けた。(中略)その後、手術が開始され、患者の左右の臀部から大腿部にかけての脂肪が合計約300mlほど吸引され、患者の左右の乳房に注入された。その際、甲クリニックで挿入されていた生理食塩水バッグは抜去された。患者は、手術で希望していた結果が得られなかったことから、被告クリニックの担当医師らに手技上の過失や説明義務違反があったなどと主張して、被告病院を開設する法人に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。東京地方裁判所 平成17年11月24日判決結論: 一部認容引用元: 過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 美容整形 東京地判平成17年11月24日判決(堀法律事務所)
【事例2】次に、国民生活センターに寄せられた相談から美容形成に関係するものをいくつか紹介していきましょう。まずは提供するサービスに関するものです。○クレジット会社から督促通知が来て、20代の学生の娘が美容クリニックで130万円もの高額な顔のたるみ手術を受けたことが分かった。学生に契約させるなど、納得いかない。○美容外科で、「約300万円が半額になる」と値引きを強調して勧誘され、リフトアップやしみ取りの契約をした。しかし、高額なので未施術分を解約したい。○エステ店から紹介された美容外科で、全身脱毛の契約を50万円でした。一切解約しないと記載がある同意書にサインをしたが、高額で支払うことが難しく、施術前なので解約したい。次に紹介するのは危害に関するものです。○美容クリニックで、「腫れない手術」と説明されて二重瞼の埋没手術を受けたが、目が腫れて仕事に行けない。納得できず返金を求めたい。○8年前、無料モニターで顔と体の整形手術を行った。その際に、胸の下に手術で使用した管が残ったことが最近分かった。身体に不具合がなければ摘出しなくてもよいらしいが、不安だ。どうすればいいか。○10年前美容外科で顔のリフトアップ等の手術をしたが顔の違和感が残っている。手術の結果が不満なので返金してほしい。
引用元:各種相談の件数や傾向・美容医療サービス:国民生活センター
3美容外科関係の訴訟の現状
〈相談機関でも多く取り上げられている分野〉美容分野については、訴訟までいかない相談事例も多くある事が国民生活センターの各種データからもわかります。また法律事務所にも多く相談が寄せられる科目のようです。広告方法や施術内容そのもの以外に金額に関するものも目立つようです。加えて過去の医療行為に対するもので、時効についての問い合わせもあるようなので患者側から見ると長期間悩まされている事例も見えて来ます。ただし冒頭のデータの中でも触れましたが、美容整形科という区分けで見ると平成24年度の医療事故報告は0でした。美容分野については訴訟が多いイメージですが、患者本人がイメージ通りの仕上がりに不満を持つ事によるクレームも多いのではないか、という声も聞かれます。
4美容外科の訴訟への対処
〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉一方、医療側も訴訟や事故に関する取り組みに力を入れています。日本美容医療協会では美容医療に関する医療法違反広告は以前から眼に余るものがあるとし、平成6年には自主規制となる「美容医療に関わる広告、記事等における自主規制コード」の作成を行いました。また平成19年には通称、医療広告ガイドラインと呼ばれる「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」が通知され法的規制の範囲となりました。それ以降も内閣府消費者委員会や厚労省医政局総務課といった関係先との意見交換など、事故やトラブルを未然に防ぐ取り組みが行われています。また今回取り上げた事例でもありましたが、美容分野に関しては事前の説明についてが争点になる場合が多くあります。医療分野で多く言われるインフォームドコンセントについて医師、そして所属する医療機関は十分な取り組みを日頃から行っておきたいものです。
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