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病理診断科の医師転職お役立ちコラム
病理診断科の「訴訟事例」

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訴訟事例-病理診断科

1病理診断科の訴訟

〈ここで扱っていくもの〉
病理診断科は比較的新しい分野だけに、これそのものに対する訴訟や事故というものは目立って多くありません。しかしそれに関係するものは過去から多くあります。ここではそうした病理診断科へ関わってくるであろう、訴訟や事故について紹介していきます。これにより病理診断科で今後出て来そうな訴訟の傾向もつかめそうです。

2病理診断科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
それでは病理診断科に関連する訴訟事例を具体的に見ていきましょう。なお事例は病理診断科そのものではなくそれに関係するものを含み紹介しています。
【事例1】
■概要
医師らが、臨床病理センターの行った誤ったRh式血液型判定を信頼し、血液型不適合を疑わずにいたため、新生児に溶血性核黄疸による脳性麻痺が発生した事例において、関連した医療機関、臨床病理センターに総額約5,700万円の損害賠償を認定(昭和57.12.21札幌地裁判決)。
甲は、第2子妊娠後に、乙医院において、母子健康手帳に各種検査の結果の記載を受けるとともに、その備考欄にRH式血液型について「RH(+)」との記載を受けた。この記載は、丙臨床病理センターの検査結果を移記したものだったが、検査報告書自体の添付はなかった。
その後甲は、里帰り分娩のために丁病院に転医し、正常分娩により娩出(母児ともに異常なし)した。丁病院は、乙医院において記載された母子健康手帳の備考欄の「RH(+)」の検査結果を確認しただけで、あらためて甲の血液型の検査をすることはなかった。Rh式血液型不適合による新生児溶血性核黄疸の処置が遅れたために、第2子には脳性麻痺の後遺障害が発生した。
引用元: 事故例(株式会社メディクプランニングオフィス)

【事例2】
平成25年6月下旬、熊本大学医学部附属病院(以下、「熊本大学病院」という.)において、二人の患者様に対し、肺がん疑いのため、診断確定を目的にCT下肺生検を実施した.その後、病理部にて標本を作製する際に検体を取り違え、間違ってがんと診断された患者様の右肺下葉を約2ヶ月後に切除した.同患者様の切除標本にがんが見つからず、確認を重ねる中で、9月10日に病理検体の取り違えが発覚し、もう一人の患者様に対してはがんとの診断が遅れてしまう事案が発生した.(以下「本事案」という)
熊本大学病院の医療安全管理委員会において、外部委員を含む医療安全調査専門委員会を設置することが決定され、平成25年9月10日に第1回委員会を開催し、以後平成25年12月5日まで計5回の委員会を行い、12月18日医療安全管理委員会において医療安全調査報告書を承認した.本概要は医療安全調査報告書を要約したものである。
引用元: 熊本大学医学部附属病院における 病理検体取り違え事案に関する医療安全調査報告書(熊本大学医学部附属病院)

【事例3】
中国地方の大都市の医師会検査センターで細胞診の見落としが発覚した。子宮癌の検診で細胞診の検査を受けたところ陰性(Class 2)の結果であったが、後日別の施設で検査したところ子宮頚部の進行癌であることが判明した。見直しにより明らかな癌細胞が見落とされていた。最初に診た医師が検査センターに意義を申し立てこの内容が新聞記事となった(中国新聞)。外部の専門家も交えた事故調査委員会を立ち上げ、原因の究明と今後の対策を講じて落着した。癌細胞を見落とした 70歳の細胞検査士は事件発覚時には退職しており、技師に対する処分はなかった。

【事例4】
J 大学で病理解剖した例の臓器やパラフィンブロック・ガラス標本などの返還要求が遺族から出された。大学側は「ブロックやプレパラートは病院のものである」として裁判で争ったが、敗訴した。このような返還要求の事例は全国で 5 件ほど知られている。これらは厳密には医療過誤ではないが、病理検査が裁判に巻き込まれる理由のひとつであるので留意したい。
引用元: 第1回GLM教育セミナー(日本臨床検査専門医会)

3病理診断科関係の訴訟の現状

〈この分野で多く見られる問題〉
ここまで見てきた中で、病理診断科で起こり得る訴訟や事故のパターンについて代表的なものがいくつか見えて来ます。一つは誤判定、誤診です。また検体の取り違えというのも目立ちます。これについては患者の疾病や治療内容に直結するものだけに、特に注意すべきものとして定めている医療機関もあります。これが起こる要因として人為ミス、検査する側と依頼する側の連携不足が指摘されるところです。
こうした事とは別に、患者の臓器や標本の返還要求が起こりそれにより裁判にまで発展し得るというのも、この分野が抱えるリスクと言えそうです。

4病理診断科の訴訟への対処

〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉
訴訟や医療事故を防いでいく取り組みとして、マニュアルや検査結果などの管理がきちんとできている事が挙げられます。これは個人の問題ではなく、所属する医療機関がどうこれに取り組んでいるかが大きなポイントとなるでしょう。また管理は検体の採取から診断の管理、報告書の管理まで段階的なチェック体制が必要です。過去のヒアリ・ハット事例も共有できている環境だと、よりリスクに対する備えができていると言えそうです。
病理診断科は比較的新しい分野という事もあり、最近の訴訟や事故を教訓にして安全対策を整備する医療機関は、より安心して勤務できる環境と言えるかもしれません。

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