医師の転職・求人・募集なら、「納得のいくキャリア」にこだわり続ける医師転職ドットコムがご支援します。

医業承継のご相談はこちら 医師採用ご担当者様へ
サイト内の現在位置

眼科の医師転職お役立ちコラム
眼科の「訴訟事例」

医師の転職にお役立ちの情報満載!

診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。眼科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した眼科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。

▲医師の転職お役立ちコラム一覧へ

訴訟事例-眼科

1数字で見る訴訟の現状

〈医事関係訴訟委員会のデータによる、近年の訴訟件数やその推移〉
まずは客観的な数値として、最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」で出されている医事関係訴訟に関する統計データを見ていきましょう。医事関係訴訟事件(地裁)の、「診療科目別既済件数」です。眼科関連はここ3年間で次のように推移しています。
平成24年 34件
平成25年 20件
平成26年 17件
注1)この数値は、各診療科における医療事故の起こりやすさを表すものではありません。
注2)複数の診療科目に該当する場合は、そのうちの主要な一科目に計上されています。
注3)平成26年の数値は速報値です。

2眼科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
次に眼科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
原告:
X(消費者)
被告:
Y1(眼科診療所の眼科医)
Y2(コンタクトレンズ販売会社)
(1)Xは平成11年4月8日、Y2の経営する販売店にコンタクトレンズを買いに訪れ、同店の指示により、これに隣接し、業務上提携しているY1を開設者とする眼科診療所で視力検査等を受けたうえ、同日カラーコンタクトレンズ12枚セット2組24枚(本件コンタクトレンズ)とY2が販売元の洗浄液(蛋白質(たんぱくしつ)除去効果はない)等の付属品を総額約3万円で購入し、3組6枚のコンタクトレンズなどを受け取った(サービスとして、1日使い捨てコンタクトレンズが付けられた)。残りのレンズは、期間内の任意の時期に受け取ることができるシステムになっていた。
なお、本件コンタクトレンズは、従来型のもので、蛋白質除去処理や消毒処理が不要とされている使い捨てコンタクトレンズではなく、一般に含水性で蛋白質等の汚れが付着しやすいものであった。新聞の折り込み広告などには、1年で12枚自由にニューレンズにリフレッシュできる旨記載されていた。
また検診の際Y1は、「1カ月くらいしたら新しいレンズに交換するように」と説明し、蛋白質除去の必要性について説明を行わず、Y1のもとで働いていたY2の従業員も蛋白質除去の必要性について告知をせず、洗浄液による洗浄のみで足りると説明した。
(2)Xは同年6月7日、同眼科で定期健診を受けたところ、両眼とも矯正視力が低下していたことから、前よりも度を強めた3組6枚の本件コンタクトレンズを受け取った。その後、Xは、本件コンタクトレンズを装用したが、左眼に違和感や両眼に痛みを感じ、左眼の黒目の上に透明な水疱(すいほう)のようなものができたりしたので、新しいレンズに交換した。
しかしそれでも左眼が乾燥して痛み、充血もしてきたので、同年8月2日Y1の診察を受けた。すると、Xの右眼の結膜が充血しそれに隣接して角膜に線状の上皮障害が認められるとともに、左眼の角膜には炎症による混濁が認められたが、Y1は、抗炎症剤の点眼薬を処方しただけで抗生物質などの処方は行わず、購入時にサービスで付けられた1日使い捨てのコンタクトレンズを使用するよう告げた。
Xはその後、同月9日にも同眼科において診察を受けた。そして、その際にY1から提案された方針のうち、本件コンタクトレンズを使用していくこととしたが、装着すると痛みを感じたので、眼鏡を購入して、これを使用した。しかし、眼鏡の度数を上げても左眼はぼやける状態となった。そこでXは、同月18日から他の眼科医で診察を受けたところ、左眼に改善の見込みのない角膜混濁が認められ、症状固定との診断を受けた。
Xは左眼の角膜混濁や矯正視力低下は、Y2の従業員やY1の不適切な説明や診療によるものとして、Y1およびY2に対し不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起した。
大阪地裁堺支部 平成14年7月10日判決
結論: 裁判所は、被告らのコンタクトレンズを販売、処方する際の告知・説明義務違反を認め、また被告医師については、コンタクトレンズの装用による眼の痛みに対する治療に過失があったことを認め、総額425万余円の不法行為による損害賠償責任を認めた。
引用元: コンタクトレンズ説明義務違反事件(独立行政法人国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201005_1.html

【事例2】
患者(大正9年生、男性)は、平成10年6月2日、被告病院(大学病院)において、右眼の白内障が少しずつ進行しているとの診断され、同年8月18日、右眼の白内障手術を受けるため、被告病院に入院した。入院時の右眼視力は0.6で、視野は正常だった。
患者は、同月20日、担当医師(眼科教授)の執刀で白内障手術を受け、8月30日に退院した。手術中、毛様体上皮が剥離し、硝子体出血による硝子体混濁が生じたが、眼底後極部の網膜剥離には至らなかった。
患者は同年9月2日と9日に被告病院を受診した。2日の診察において、患者から飛蚊症と多重複視の訴えがあり、視力の低下(0.1)、周辺部に膜様物の立ち上りが認められたが、膜様物に対する検査は実施されなかった。
9日の診察では、患者の右眼に網膜剥離(裂孔原性網膜剥離。網膜に孔が生じ、この孔から眼球内の水(液化した硝子体)が網膜の下へ入り込んで、網膜が剥離する疾患で、いったん剥離が進行し始めると、自然治癒の可能性は極めて小さく、全網膜が剥離して失明に至る。剥離が黄斑部に達すると視力が著しく低下する。陳旧化すると剥離した網膜に線維膜が形成され、網膜が剥離したままの形で器質化するおそれもある)が発見された。右眼視力は2日が0.1、9日が0.2であった。患者には、視野欠損などの網膜剥離の自覚症状はなかった。
患者は、9月14日に再手術する予定で、9月11日に被告病院に再入院した。11日の診断では、剥離はまだ黄斑部に達しておらず、患者の右眼視力は0.4であったが、12日には、患者の網膜剥離が悪化し剥離が黄斑部に及んび、右眼のほぼ全視野に欠損が生じた。しかし、担当医師は、手術を早める必要はないと判断し、予定どおり14日、右眼の網膜剥離に対する手術が実施された。
患者は、同年10月2日に被告病院を退院したが、右眼視力は、退院後の10月7日の検査で0.1であった。
患者は、平成11年1月13日まで被告病院に通院したが、右眼視力は0.1のままで回復せず、甲病院(大学病院)へ転院した。同病院において、同年4月15日の検査で右眼にも視野狭窄が認められ、平成12年5月22日には、右眼視力は0.04で矯正不能、網膜剥離後の網膜変性により視力回復は不能と診断された。
患者は平成14年11月21日、視野障害により身体障害程度等級2級の認定を受けた。
患者は被告病院を開設する国に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。
東京地方裁判所 平成15年5月7日判決
結論: 一部認容(認容額2734万2179円)。
引用元: 過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 眼科 東京地判平成15年5月7日判決(堀法律事務所)
http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14356396.html

33.眼科関係の訴訟の現状

〈最近眼科で事件、訴訟で目立つレーシック手術〉
最近の眼科での訴訟、医療事故として目立つのがレーシック手術に関するものです。以下は日本眼科学会のWebサイトでも取り上げられている事例です。
レーシック術後の角膜感染症多発事件について
http://www.nichigan.or.jp/news/013.jsp
ここでは2008年から2009年にかけての角膜感染症について取り上げながら、「エキシマレーザー屈折矯正手術のガイドライン」を定めるなど眼科学会の改善への取り組みも紹介されています。

44.眼科医たちの声

〈インフォームドコンセントの取り組み〉
訴訟が身近なリスクになって来ている現在、現場の眼科医からは処置、検査、そして手術前の充分なインフォームドコンセント(説明と同意)が必要という声が上がっています。患者との協力関係は事故を未然に防ぐだけでなく、その病気をとともに闘ってゆく関係強化にもつながっていきます。

眼科の医師求人特集トップへ

眼科のお役立ちコラム