医師の転職・求人・募集なら、「納得のいくキャリア」にこだわり続ける医師転職ドットコムがご支援します。

医業承継のご相談はこちら 医師採用ご担当者様へ
サイト内の現在位置

外科の医師転職お役立ちコラム
外科の「訴訟事例」

医師の転職にお役立ちの情報満載!

診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。外科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した外科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。

▲医師の転職お役立ちコラム一覧へ

訴訟事例-外科

1数字で見る訴訟の現状

〈医事関係訴訟委員会のデータによる、近年の訴訟件数やその推移〉
まずは客観的な数値として、最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」で出されている医事関係訴訟に関する統計データを見ていきましょう。医事関係訴訟事件(地裁)の、「診療科目別既済件数」です。外科関連はここ3年間で次のように推移しています。
平成24年 145件
平成25年 124件
平成26年 114件
注1)この数値は、各診療科における医療事故の起こりやすさを表すものではありません。
注2)複数の診療科目に該当する場合は、そのうちの主要な一科目に計上されています。
注3)平成26年の数値は速報値です。

2外科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
次に外科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
A(当時72歳の男性)は平成17年(以下、同年については省略)4月9日午後2時40分ころ、自転車運転中の転倒事故により、左鎖骨骨折、左肋骨骨折等の傷害を負い、救急車でY社団法人が開設・経営するY病院に搬送され、B医師の診察を受けた。その際にAは、左肩痛を訴え、Aの左頚部、鎖骨周辺には膨張があり、鎖骨の骨折が疑われた。
同日午後3時40分ころ、Aに対しレントゲン検査が行われた。撮影されたレントゲン写真によればAの鎖骨は骨折しており、第三骨折(骨折によって骨の一部分が剥離して、遊離骨片となったもの)が生じていた。また、同日午後4時58分ころ、Aに対し、胸部のCT検査が行われた。
Y病院の外科担当のB医師は、上記レントゲン検査、CT検査の結果、Aの症状を、左鎖骨骨折、左第五肋骨骨折、左肺挫傷、左血気胸と診断し、AはY病院に入院した。Aは疼痛を訴えていたが、B医師は、鎖骨と肋骨が折れているから仕方ないと言い、Aにボルタレン(痛み止めの坐薬)を投与した。
同日午後6時、Aは、診察室から入院病棟に移ったが、Aには左鎖骨から胸にかけて軽度の膨張があった。Aは疼痛を訴え、うなり声を上げていた。
同日午後8時30分、左鎖骨から側胸部痛が増強したため、B医師の指示に基づき、看護師はAに対しペンタジン(鎮痛剤)15mgを投与した。
4月10日午前0時30分、B医師は看護師に指示し、Aに対し、レンドルミン(睡眠薬)を投与した。
同日午前1時40分ころC看護師がペンライトでAの様子を照らすと、Aの首の周りがひどく腫れ、紫色に内出血していた。X2(Aの子)が、痛み止めが効かないので再度痛み止めを頼むと、看護師は投薬を確認するためナースセンターに戻り、さっきのは睡眠薬だったからとAに対しボルタレンを投与した。
同日午前4時30分、Aは疼痛(背部痛)を訴え、ベッド上に座っていた。また、そのころ、Aは、起き上がっているとめまいがすると話し、気分不良を訴え嘔吐した。嘔吐後、気分不快が落ち着いたようであり、C看護師は経過観察とした。
(この間の経過略)
同日午前6時40分ころ、Aは、心肺停止、呼吸停止に陥り、Y病院の医師、看護師は、Aに対し心臓マッサージなどを続けた後、AをICUに移動させた。その後、蘇生措置により一時Aの心拍が再開し、ICUで治療を受けていたが、同日午後10時ころ、心肺停止となり、死亡が確認された。Aの死因は、左鎖骨骨折部位からの持続的な出血による血腫の増大により、気管が圧迫されて窒息し、心肺停止、呼吸停止に陥った窒息死であった。
医学的知見によれば、第三骨折が生ずるような激しい骨折は、周囲の軟部組織の高度な損傷を伴うことが多く、その損傷が動脈であった場合には、出血は持続的となり、出血性ショックに陥る可能性があること、骨折が鎖骨であった場合には、鎖骨下部に存在する鎖骨下動脈の損傷の可能性も疑われ、気管の構造の特殊性から、持続的な出血に伴う血腫の気管圧迫によって、呼吸困難が生ずる可能性があるとされている。
その後、Aの遺族であるXらは、B医師、C看護師の過失によりAは死亡したと主張し、使用者であるY社団法人に対し、損害賠償を求めて訴えを提起した。
前橋地方裁判所 平成22年4月30日判決
結論: 損害賠償をY社団法人に命じられる。
引用元: No.185「自転車運転中に転倒・骨折し、救急搬送された患者が、入院中に骨折部位からの出血による血腫の増大により窒息死。医師の検査義務違反、経過観察義務違反を認め、遺族の請求を認めた地裁判決」(Medsafe.Net 医療安全推進者ネットワーク)
http://www.medsafe.net/contents/hanketsu/hanketsu_0_194.html

【事例2】
X(本件当時45歳の女性)は、平成8年ころ以降、左乳房に示指頭大の無痛性腫瘤があることに気づき、平成9年2月10日(以下平成9年については月日のみを記載する。)、Y市が設立・所管するY市立市民病院(以下Y病院)の外科を受診し、B医師の診察を受けた。触診においては、リンパ節の腫大は触知されなかったものの、左乳腺外上領域の乳頭から3センチメートル離れた部位に直径1.5センチメートルの硬い腫瘤が触知されたため、B医師はXの年齢を考慮して癌も否定できないと考え、良性か悪性かを鑑別するために、同日に乳房撮影を、2月14日に乳腺エコー検査を行った。
乳房撮影では、淡く均一な腫瘤陰影が認められたものの、典型的な悪性所見である微小石灰化像等は認められず、乳腺エコー検査では、触診と一致する13.5ミリメートル×10.2ミリメートルの楕円形に近い横長の腫瘤が認められ、境界は比較的鮮明で、内部エコーは比較的均一な低エコー、後方エコーは増強傾向であり、線維腺腫に特徴的な像もみられたが、画像上、中心部に一部石灰化様の高エコーも認められた。乳房撮影及び乳腺エコー検査のいずれにおいても典型的な悪性所見が認められなかったため、B医師は、可能性としては繊維腺腫を最も疑ったが乳腺エコー検査で内部エコーに一部石灰化様の高エコーを認められたこと、上記と同様の画像所見でも癌である場合も存在すること及びXの年齢から、悪性も否定できないと考え、穿刺吸引細胞診を行うこととし陰圧をかけた注射器をXの腫瘍に穿刺して細胞を吸引採取し、Y病院の検査部に穿刺吸引細胞診を依頼した。
(この間の経過略)
2月27日、B医師がX及びその夫に、最終診断が癌であること、手術方法として乳房温存療法が適応であることを説明した。Xは、平成3年の右乳腺腫瘍のときと同様に良性の腫瘍であろうと考えていたことから、癌との告知を受けて、非常に驚き、ショックを受けて、手術方法等について冷静に判断することができなかったため、B医師の判断に任せて乳房温存による手術を受けることに同意した。
Xは3月3日Y病院の外科に入院し、翌4日、本件手術が実施された。手術終了後、B医師は切除標本の状況をみる目的で、切除した乳腺組織にメスを入れてその割面を観察したところ、悪性ではない可能性が考えられたため、腫瘍本体を病理組織検査に提出した。同月8日、上記病理組織検査の診断結果として典型的な線維腺腫であり悪性でない旨の回答があったため、B医師は、Xに対して悪性ではなかったことを説明し、また、同日夜、その夫にもその旨を説明した。
そこで、Xは、Y病院のB医師らには生検を行わずに癌と最終診断した注意義務違反があると主張し、Y市に診療契約の債務不履行に基づく損害賠償として、慰謝料の支払いを求めて、訴えを提起した。
名古屋地方裁判所 平成15年11月26日判決
結論: 請求を一部認容。
引用元: No.216「市立病院で、患者の乳腺腫瘍を乳癌と診断し、乳房温存療法による手術を実施したがその後良性と判明。生検を行わずに悪性と診断をした医師の過失を認めて、慰謝料の支払いを市に命じた地裁判決」(Medsafe.Net 医療安全推進者ネットワーク)
http://www.medsafe.net/contents/hanketsu/hanketsu_0_231.html

33.外科関係の訴訟の現状

外科は分野が多岐に渡るために、どういった内容の訴訟かを見ていく必要がありますが、外科として大きく括ると訴訟件数は内科に次いで多く、1,000人あたりの訴訟件数としてはその内科を大きく上回ります。平成18年の厚生労働省による医事関係訴訟事件の診療科目別既済件数では内科の2倍となる5.4件となっていました。こうした訴訟件数の多さは外科医志望者の減少の要因になっている、という意見も多くあります。

44.外科医たちの声

〈キャリアプランだけでなく、訴訟は日常的な診療を困難にするという声も〉
外科医の多くが訴訟のリスクに不安や恐怖を感じている事はデータ等から明らかです。実際の生の声では、キャリアプランの見直しや人生設計を大きく変更してしまうという将来に対する不安が聞かれますが、裁判とそこから受けるストレスにより日常の診療も困難になっていくというのも不安要因として挙がります。

外科の医師求人特集トップへ

外科のお役立ちコラム