耳鼻咽喉科の医師転職お役立ちコラム
耳鼻咽喉科の「訴訟事例」
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診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。耳鼻咽喉科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した耳鼻咽喉科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
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1数字で見る訴訟の現状
〈医事関係訴訟委員会のデータによる、近年の訴訟件数やその推移〉まずは客観的な数値として、最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」で出されている医事関係訴訟に関する統計データを見ていきましょう。医事関係訴訟事件(地裁)の、「診療科目別既済件数」です。耳鼻咽喉科関連はここ3年間で次のように推移しています。平成24年 19件平成25年 6件平成26年 8件注1)この数値は、各診療科における医療事故の起こりやすさを表すものではありません。注2)複数の診療科目に該当する場合は、そのうちの主要な一科目に計上されています。注3)平成26年の数値は速報値です。
2耳鼻咽喉科に関連する訴訟事例
〈実際の訴訟事例〉次に耳鼻咽喉科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。【事例1】39歳男性患者が、左耳前部と頸部の腫脹のCT検査のため、Y病院放射線科B医師より非イオン性ヨード造影剤を注入された際、アナフィラキシー様ショックを起こして死亡した事案につき、非イオン性ヨード造影剤の禁忌及び慎重投与の事由として、造影剤による副作用の既往歴やアレルギー体質等が挙げられているのに、B医師は本件検査前に患者に対し、充分な問診を行わず、現に患者の実夫も、過去に造影剤検査で死亡した事実などがあることから、B医師が患者に対して問診の目的を理解させたうえで、本件造影剤の禁忌及び慎重投与の各事由に従って慎重な問診を行っていれば検査は中止されたものとして、B医師の問診義務違反と男性患者の死亡とには相当因果関係があるものと、Y病院は患者遺族に対して損害賠償支払い義務を負うものと判断された事例。
【事例2】
■概要
日野市立病院における入院患者の死亡について、日野市及び担当医師が、1億4,027万7,859円の損害賠償を求められたもの。
■診療経過
平成15年9月16日午後7時24分に当該患者(武蔵村山市居住 当時53歳)を救急外来にて診察し、急性喉頭蓋炎と診断、入院となった。入院後、点滴を施行、頻回に訪室するとともに、血中酸素飽和度をモニタリングしながら監視をしていた。
同日10時30分頃、ナースコールがあり看護師が訪室すると、ベッド上で座位になって唾液・痰を出そうとしていた。その後、病状が急変したため、主治医は、緊急気管切開・薬剤投与をし、内科当直医師、緊急登院してきた耳鼻科医師、当直看護師とともに全力で救命措置を行ったが、翌17日午前1時33分、救命措置の甲斐もなく死亡を確認した。
次に紹介するのは、広く知られる事案になります。
【事例3】
■概要
本件は、原告らの子が、綿菓子の割りばしをくわえたまま転倒し、軟口蓋に受傷したとして、被告学校法人杏林学園(以下「被告杏林学園」という)が開設する杏林大学医学部付属病院(以下「被告病院」という。)を受診したが、担当医師被告Aは十分な診察を行わず、子の頭蓋内損傷を看過し、適切な治療を行わなかった診療上の注意義務違反(過失)があり、これによって子が死亡するに至ったことに加え、子の治療方法に関する被告病院医師らの不適切な説明により精神的損害を被ったとして、原告らが被告らに対して、債務不履行及び不法行為(使用者責任)に基づき、連帯して、子の逸失利益及び慰謝料並びに原告ら固有の慰謝料等合計4480万1983円並びにこれに対する平成11年7月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案。
引用元: 平成12年 (ワ) 第21303号 損害賠償請求事件(裁判所)
3耳鼻咽喉科関係の訴訟の現状
〈訴訟事件と報道〉
昔に比べて訴訟が増えた事に対して、メディアの影響を合わせて論じられる事が多くあります。事例3については「杏林大病院割りばし死事件」といった呼称で広く知られ、医療と報道の在り方を巡る出来事としても広く知られています。
その象徴が全国ネットのテレビ局に対して放送倫理・番組向上機構(BPO)から勧告が行われたという事にあります。具体的には訴訟そのものは無罪、請求棄却となり、担当医に過失がないことが認められたにも関わらず、数多くの担当医批判が繰り広げられたというのです。その内容がどういったものであったかについて、詳細が下記にまとめられてあります。
参考: 割り箸訴訟へのBPO勧告(新小児科医のつぶやき)
これについては一テレビメディアと医療機関という関係を超え、医療崩壊を加速させたという評価もされるほど多く語られて来ています。
4訴訟を防いでいくために
〈医師や病院の取り組み〉
メディアでの取り扱われ方、その影響もあり医療と患者との関係性や意識が変化した昨今ですから、思いがけない訴訟が起こる可能性は至る所にあります。ですから医療現場には日頃から相応の準備が求められます。
例えば耳鼻咽喉科麻生病院では、医療安全管理マニュアルという何ページにも及ぶ書類が用意され、改訂を重ねて来ています。その中には安全管理や報告の体制に始まり、現場での情報収取や医療機器の点検整備、常備しておくべき個々のマニュアルについても定められています。
勤務する医療機関を選ぶ際にはこうしたものをなるべく事前に確認し、どれぐらい日頃の準備がされているか。それを選択の目安にすると良さそうです。
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