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呼吸器内科の医師転職お役立ちコラム
呼吸器内科の「訴訟事例」

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訴訟事例-呼吸器内科

1数字で見る訴訟の現状

〈データによる訴訟件数〉
まずは客観的な数値として、厚生労働省から出されている訴訟に関するデータを見ていきましょう(呼吸器内科単独ではなく一般内科や消化器内科を含む内科全般のデータになります)。少し以前のものになりますが、内科については平成20年に診療科目別既済件数として228件あり、最も多くなっています。医師1000人当たりの既済件数で見ると2.5件となり、眼科や泌尿器科と同程度の件数になります。

2呼吸器内科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
次に呼吸器内科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
患者(当時31歳、女性)は、平成10年ころより、市が設置・運営する被告病院(公立病院)のA医師(内科医)を含む複数の医師から、自己免疫疾患の疑いがあると診断された。A医師は、シェーグレン症候群を疑ったものの確定診断には至らず、甲国立病院の医師は成人スチル病であると診断していたが、検査結果や臨床症状等は、いずれの病型にも典型的に当てはまるものではなかった。
患者は、自己免疫疾患に対し効果があるとされるステロイド剤による治療を受けないまま、自宅療養を続けていたが、平成13年10月14日、意識消失発作を起こして被告病院内科に入院した。
(中略)
午前11時過ぎ、B医師は、心電図検査に加え、血液ガス分析検査を実施し、過換気状態の他、重篤な代謝性アシドーシスと低酸素血症を発症していると判断し、毎分5リットルの酸素を酸素マスクにより投与して経過観察することとした。
その後、看護師から患者の病状や検査結果の連絡を受けたA医師からの指示で、午後1時30分ころ、患者に対しケイテン(第4世代の抗生物質)及び生理食塩水の点滴投与が実施された。
午俊3時過ぎころ、D看護師は、B医師に対し、上記抗生剤の点滴とその後の患者の過換気状態と頻繁な訴え、SpO2(94%~96%)、血圧(88/68)、脈拍(130台)の値を報告し、指示を求めた。B医師は、申し送りの際にC医師から、ハロペリドールで鎮静効果があったことを聞いていたことから、代謝性アシドーシスを防止するために頻呼吸による低換気状態を改善し、かつ、頻呼吸による呼吸筋の疲弊を予防するために、ハロペリドールを投与し鎮静化させる必要があると判断したが、被告病院内の別の場所において、脳梗塞により被告病院に入院することとなった他の患者の処置を行っていたこともあって、電話でD看護師に対し、ハロペリドール1アンプルを筋肉注射するよう指示し、午後3時15分ころ、D看護師により、患者に対しハロペリドール1アンプルが筋肉注射された。
午後3時30分ころ、患者の姉が、患者の目が上転し、手を胸の前でグーの状態で握りしめるなと硬直状態にあるのに気付き、直ちに部屋を出て廊下にいた看護師に異常を訴えた。看護師が訪室したところ、患者は「うーうー。」とうなりながら眼球が上転した状態であったため、他の看護師を呼び、B医師に連絡するよう指示した。
看護師らは蘇生のための機器を準備し、心電図モニター等を設置したところ、患者は、心停止及び呼吸停止の状態であった。B医師は、間もなく患者の下へ駆けつけ、患者が心肺停止状態にあることを確認したことから、看護師らとともに、心臓マッサージを行い、アンビユーバッグによる送気を行った。午後3時35分ころ、B医師は、看護師らに対し、エピクイック(昇圧剤)2アンプルを側管より注入し、メイロン250mlの点滴を急速に静脈から投与するよう指示し、これらの処置により、患者の心拍数は100台で再開し、自発呼吸も出現した。このころ、集中治療室の当直医師であったE医師が、B医師の指示に応じて駆けつけ、午後3時45分ころ、患者に対し気管内挿管を行ったが、自発呼吸があったので、アンビューバッグによる呼吸コントロールを行った。そのころF医師も患者の救命措置に加わった。
午後4時ころ、状態が安定したため、患者は個室に移された。しかし午後4時11分以降、心拍数が30台に低下したため、人工呼吸器を装着するなどしたが、午後9時1分、患者の死亡が確認された。
翌4日、被告病院において実施された患者の病理解剖の結果、両側気管支肺炎及び肺鬱血水腫、るいそう等とされたが、間質性肺炎とはされなかった。
患者の両親は、被告病院を設置・運営する市に対し損害賠償請求訴訟を提起した。
大阪地方裁判所 平成18年6月30日判決
結論: 請求棄却
引用元:
過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 呼吸器内科 大阪地判平成18年6月30日判決(堀法律事務所)

【事例2】肺炎と診断されて緊急入院した患者に対し、血ガス検査を行い、同検査に基づき100%酸素マスクにより酸素投与が開始されたが、患者は呼吸停止・心肺停止状態に陥り、以後いわゆる植物状態に陥った事例で、患者は呼吸中枢の機能低下、呼吸筋の疲労蓄積にあったから十分に呼吸停止に至ることが予見され、そのために人口呼吸の開始、少なくともその体制を備えておくべきところ、それを怠った過失のため本損害が発生したものとして、1億6915万円の賠償が認められた例があります。

3呼吸器内科関係の訴訟の現状

〈訴訟は治療だけでなく薬剤でも〉
最近の事例として話題になったのが「イレッサ訴訟」というものです。これは医師ではなく肺癌に対する治療薬として用いられた薬剤に対して製薬会社と国に対して起こされた訴訟ですが、場合によっては医師に対しても及んでくるものと言えるでしょう。このように医療訴訟はいつ、どういった形で起こるか予断を許さないものがあります。

4呼吸器内科医たちの備え

〈訴訟リスクの不安と葛藤を持つ内科医たち〉
こうした訴訟リスクに対して、現場の医師たちはもちろん多くの不安や葛藤を抱えて治療に臨んでいる実態があります。深夜までの勤務をしつつ医療ミスの発生を防ぐためインフォームド・コンセントに多くの時間を費やすなど、一人一人の医師が心掛けています。当然ながらこれをバックアップする病院の組織や体制も重要になって来ます。

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