脳神経外科の医師転職お役立ちコラム
脳神経外科の「学会」
医師の転職にお役立ちの情報満載!
診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。脳神経外科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した脳神経外科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
▲医師の転職お役立ちコラム一覧へ主な学会の概要-脳神経外科 日本脳神経外科学会
1日本脳神経外科学会について
〈日本脳神経外科学会の概要〉
日本脳神経外科学会は、正式名称を「一般社団法人日本脳神経外科学会」と言います。日本医学会に所属する分科会の一つです。事務局は東京都文京区本郷の石川ビル内にあり、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州の7支部を持ち、平成26年9月現在の会員数は全国で9,297名です。
入会については、一般社団法人日本脳神経外科学会定款第3章第5条にて
・正会員:脳神経外科学に関し学識経験を有する個人
・賛助会員:この法人の事業を援助する個人又は法人
と定められ、更に本学会に特に功労があり総会で承認された者を「名誉会員/特別会員/客員会員」とすることが定められています。正会員は必ずしも医師資格を必要としてはいません。
2日本脳神経外科学会の沿革とその活動内容
〈日本脳神経外科学会の成立と改革、現在行われている教育面での活動内容〉
日本脳神経学会は1948年(昭和23年)に日本外科学会の際に「日本脳・神経外科研究会」が結成されて、1952年(昭和27年)に日本脳・神経外科学会と改称しました。その後1965年に診療科としての登録が行われた際、法律用語で「・」を使えないことから診療科名を「脳神経外科」、学会名を「日本脳神経外科学会」と現在の表記とする一方で、診療科の定義を「脳、脊髄及び末梢神経に関する外科」と一般に誤解を与えないよう明示しています。世界脳神経外科学会連盟(WFNS)には1957年の第1回総会から参加しています。
日本脳神経外科学会の英文表記は“The Japan Neurosurgical Society”です。“JNS”という略称も使われています。本学会では英語機関誌として “Neurologia medico-chirurgica(NMC)”を年12回、オンラインジャーナルとして発行しています。またNMCを製本化した特集号が年3回配布されるのとともに、“NMC Case Report Journal”が1月、4月、7月、10月の年4回発行され、会員の教育の役割を担っています。
3目的と取り組み
〈日本脳神経外科学会の目的と具体的事業、日本脳神経外科学会が認定する専門医制度〉
日本脳神経外科学会は定款の第2章第3条にてその目的を、「脳神経外科学に関する学理及びその応用についての研究発表、知識の交換、会員相互及び内外の関連学会との連携協力等の事業を行うことにより、脳神経外科学の進歩普及を図り、もってわが国の学術の発展に寄与する」(一般社団法人日本脳神経外科学会定款第2章第3条引用)ことを目的としています。そして第2章第4条にて目的の達成のため、国内外で次の事業に取り組んでいます。
1.学術集会、学術講演会等の開催
2.学会誌及びその他の刊行物の発行
3.研究の奨励及び研究業績の表彰
4.関係学術団体との連絡及び協力
5.国際的な研究協力の推進
6.脳神経外科専門医等の認定
7.一般への普及啓発活動
8.その他目的を達成するために必要な事業
(一般社団法人日本脳神経外科学会定款第2章第4条引用)
このような事業を支えるために、本学会では年に1回の学術集会・総会を行うとともに、前項で述べた機関誌の発行を行うなどして、会員医師の教育を支援しています。
また本学会ではUCAS Japan のホームページを運営して一般公開しています。これは脳神経外科の治療対象である「脳動脈瘤の破裂により発症するクモ膜下出血」を防ぐ目的で、未破裂脳動脈瘤を抱える患者の治療に際する適切な指針を立てるための基礎として、脳神経外科医師以外の分野の医療関係者や一般市民に向けての情報を公開する目的で運営して公開しているものです。UCASは“Unruptured Cerebral Aneurysm Study”の略で、「未破裂脳動脈瘤悉皆調査の臨床研究」を意味します。
さらに一般市民に向けては、本学会の各支部単位で定期的に市民公開講座を開催して、脳卒中をはじめとする脳や脊髄、末梢神経の疾病の予防や治療に関する啓発活動を行っています。
一方本学会では「脳神経外科専門医制度」を設置しています。脳神経外科専門医は、脳神経外科で扱う疾病についての予防、診断、救急治療、手術もしくは非手術的治療、リハビリテーション等にて総合的で専門的な知識と診療技術を有し、必要であれば他の専門医への転送の判断も的確に行える能力を備えた医師を指します。専門医は5年毎に資格を更新する必要が有り、そのため本学会内では「脳外科専門医生涯教育制度」も運営されています。平成26年9月現在で7,333名の脳神経外科専門医が登録されていて、その資格を有する医師にとっては待遇面に有利な条件となっています。
4仕事上での利点や今後の需要
〈脳神経外科が学ぶ知識や技術の範囲の広さと高齢化社会が、脳神経外科医の需要を増やす〉
脳神経外科医の対象疾病は脳卒中に代表される脳血管障害をはじめ、脳腫瘍、椎間板ヘルニアに代表される脊椎や脊髄の疾病、頭部外傷、老化と痴呆に関する疾病、てんかんに代表される機能的疾患、髄膜炎に打表される炎症性疾患まで多岐にわたり、更にそれらの病気を発症した患者に対する救急対応、診断、外科的及び非外科的治療、周術期管理、リハビリテーション、長期予後管理などを一貫して対応する上に、疾病の予防も指導することになります。そのため脳神経外科の診療は問診や神経学的所見から始まり、CTやMR等の撮影画像を緻密に調査すること、治療方法の組立を考えること、そして治療を完結させるまでの手術前後の患者の全身管理が重要となるため、外科としての知識に加えて内科としての知識や画像診断、神経病理の知識も必要となり、結果として総合的な医療を学ぶことになります。また幅広い診断能力や治療技術に加えて診断や治療に必要な論理的思考が鍛えられ、医師としての重要なスキルを身に付けることができます。
さらに日本の高齢化社会の急激な進行により、各都道府県の保健医療計画で脳卒中が重大疾病のひとつとして予防策や発症後の対応策を求める現在、脳卒中を対象疾患とする脳神経外科医の重要性がまずます大きくなる現状があります。
以上の点から、将来的には現在以上に脳神経外科医の需要は増えることが見込まれます。