脳神経外科の医師転職お役立ちコラム
脳神経外科の「専門医取得要件」
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1日本脳神経外科学会の専門医制度について
〈日本脳神経外科学会による専門医の詳細〉
一般社団法人日本脳神経外科学会による「脳神経外科専門医」については、一般社団法人日本脳神経外科学会専門医認定制度規程の第1条に、次の目的が明記されています。
“脳神経外科を専攻するすぐれた医師を養成し、脳神経外科学の進歩発達とその診療水準の向上をはかり、国民の福祉に貢献することを目的とし、専門医を認定する。”
またより具体的に脳神経外科専門医の知識や能力についても規定されています。
“心臓・血管系に関する豊富な知識と技能を有し、心筋梗塞、狭心症、高血圧、動脈硬化、弁膜症、心不全、不整脈、などの脳神経外科疾患の適切な診断・治療及び予防ができる能力を有する。”
認定を行う所として第2条に専門医認定委員会についても記載されています。
専門医の数としては、2013年(平成25年)で7,207人となっています。
なおこの専門医制度には5年ごとの更新も定められています。
2資格試験の概要と認定の要件
〈脳神経外科専門医試験の概要と要件等の詳細〉
それでは、この資格試験の概要と認定の要件を見ていきましょう。
【試験の概要】
○試験方式と内容
・筆記試験
専門的知識や判断力を問う、脳神経外科疾患に関する計250の問題が出題。
・口頭試問
筆記試験の合格者のみ受験。実地に即した診療能力が試験官により問われます。
実際に治療された患者の症状、診断画像や手術中の写真などが実例として計9例提示されます。このそれぞれに対して一問一答形式で診断、治療方針、手術の実際などを答えていきます。
なお筆記試験に合格し、口頭試問で不合格となった場合は、翌年、翌々年の筆記試験が免除となります。
【要件(申請資格)】
専門医の受験資格要件については、専門医認定制度内規の第2条に次の内容が定められています。
■卒後臨床研修2年の後、第6条に定める研修プログラムのもとで通算4年以上所定の研修を経ること。
(脳神経外科専門医研修中の医師を脳神経外科専攻医と呼称する)。ただし、この間少なくとも3年以上脳神経外科臨床に専従し、基幹施設に6か月以上在籍すること。
■別表の症例経験目標を満たし、筆頭演者として学会(生涯教育クレジット5点以上)で発表2回以上、筆頭著者としての論文(英文和文を問わない。査読付き)採択受理1編以上あること。
■第3条に定める書類を提出すること。
■4年以上正会員であり、所属する第7条に定めるプログラム責任者に認定を受ける資格があると認められること。
■日本の医師免許証を有しない外国人医師については、少なくとも2年以上日本脳神経外科学会の賛助会員であり、所定の施設で少なくとも2年以上脳神経外科の臨床に専従し、プログラム責任者に認定を受ける資格があると認められること。
第6条に定める研修プログラムとは、SPECT / PET 等核医学検査機器、術中ナビゲーションなどを有すること、脳腫瘍関連学会合同や日本脳卒中の外科学会などの各学会から円滑で充分な研修支援が得られていることといった定めがあります。
次に、出願書類についてです。これは上の要件にある第3条に定める書類を指す内容となっています。
1、認定申請書
2、医師免許証写し
3、別表に定める症例経験目標の症例一覧表および到達目標評価を記入した研修記録帳
4、その他、本学会が指定する書類
これらと共に所定の審査手数料を納付することにより、手続きができます。
なおこの試験の合格率は約70%になっています。専門医試験の結果と試験問題の一部は脳神経外科学会会員専用ページで閲覧ができます。
3専門医更新の要件
〈脳神経外科専門医を更新するための要件に関する詳細〉
脳神経外科専門医の5年ごとの更新については、専門医生涯教育制度内規といった形で定められています。資格更新要件は下記の通りです。
■脳神経外科の診療に従事していること。
■5年間の認定期間に最低1回、日本脳神経外科学会学術総会及び日本脳神経外科コングレス総会の各々に参会すること。
■5年間の認定期間に最低1回、本学会が認定する医療倫理、医療安全、医療事故、医事法制に関する研修を受講すること。
■別に定める日本脳神経外科学会が認定する生涯教育クレジット対象学会・研究会への参加により、1年平均30点以上、5年間の認定期間に150点以上の生涯教育クレジットを取得すること。
4専門医制度の現状と変化
〈時代の変化と共に変わる専門医制度〉
脳神経外科の領域は多彩とされます。その理由が多種多様の疾患が対象となるからです。専門医取得の後も総合的脳神経外科医を目指す、あるいは一部の分野に特化するなどを選んでいきます。
制度的には大きな変化が起ころうとしています。各学会から第三者機関である「日本専門医機構」への専門医制度の移行です。脳神経外科専門医は基本領域として認定されていて、この影響が今後考えられます。