産科・産婦人科の医師転職お役立ちコラム
産科・産婦人科の「学会」
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▲医師の転職お役立ちコラム一覧へ主な学会の概要-産科・産婦人科 日本産婦人科学会
1日本産婦人科学会について
〈日本産婦人科学会の概要〉
日本産婦人科学会は、正式名称を「公益社団法人日本産婦人科学会」と言います。日本医学会の分科会の一つとなります。
事務所を東京都中央区京橋に置き、2014年3月時点で正会員16,118名の会員数を持つ組織です。入会については、勤務先のある地域の各地方学会までの連絡が必要になります。
2沿革と国際性
〈日本産婦人科学会の国内での歴史と国際的な働き〉
日本産婦人科学会の発足は1949年(昭和24年)になります。これだけを見れば戦後の比較的新しめの学会と言えますが、もともとは「日本婦人科学会」と「産科婦人科医学会」の二つがあり、これが発展的に統合する形で誕生しています。それぞれの設立は日本婦人科学会が1902年(明治35年)、産科婦人科医学会が1915年(大正4年)となっていて、共に大変古い歴史を持っています。特に明治に設立をされた日本婦人科学会は、日本医学会の創設時の「16の分科会」の一つとなっていて、100年を超える歴史を持ちます。なお1949年からの学会の歴史については、1998年に出版された「日本産科婦人科学会50年史」(日本産科婦人科学会第50回総会記念事業委員会編集)に詳しくそれまでの歴史、活動が記されています。この団体が公益社団認定を受けたのは2011年(平成23年)の事で、それまでは文部科学省所管の社団法人となっていました。
日本産婦人科学会の英文表記は“Japan Society of Obstetrics and Gynecology”となっていて、略称として「JSOG」が用いられます。またアジア・オセアニア産婦人科連合の英文機関誌である“The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research”の編集にも全面的な強力を行っています。これは組織内の編集が主として取り組んでいるものです。また若手医師育成プログラムの中で「日米若手医師交換プログラム」「米国産婦人科学会」「台湾産婦人科学会」への参加などさまざまな海外での活動も行われています。これらの活動の背景には、日本の産婦人科医療が世界でもトップクラスという事があります。
3目的と取り組み
〈少子化に直面する日本と、日本産婦人科学会の主な取り組み〉
日本産婦人科学会は、現在日本が「少子化」という大きな問題を抱えている事から、非常に重要な役割を担っている学会と位置づけられています。活動もそうした状況を踏まえながら大変活発なものになっています。
また2013年(平成25年)の学会理事長の挨拶に見られるように、さまざまな問題についても日夜取り組んでいます。具体的なものをいくつか挙げていくと「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査の方向性」、「子宮頸がん予防のHPVワクチン普及のための課題克服」といったものがあります。
また制度的なものとして厚生労働省による「専門医の在り方に関する検討会」報告に基づく「新たな専門医制度」発足に向けての準備といった取り組みもされています。これは今後の制度運営が第三者機関移行後になった後も、若手医師の教育や認定試験等に関しては日本産婦人科学会が責任を持って行っていくという意思表明であり、この分野についても熱心な取り組みがされています。
機関誌としては「日本産科婦人科学会雑誌」の発行が毎月行われています。また学術講演会の開催や生涯研修プログラム、教育講演などを通してさまざまな課題解決に取り組んでいます。その中では一般女性を対象とした公開講座も開催されていて、大きな課題でありまたライフスタイルとも密接な関係がある出産というものについての身近な取り組みとなっています。
ここでユニークな取り組みについても紹介しておきたいと思います。「本会の禁煙宣言」という形で禁煙関連11学会に参加、加えて独自の喫煙対策推進も出されています。「すべての産婦人科外来、病棟は全面禁煙とする」「本会主催の学術講演会、その他本会及び地方部会が主催する会議および懇親会において会場施設内での完全禁煙を推進する」などの9項目にわたる内容は、喫煙が女性の健康を害する重大な要因であり、妊娠や出産を通して子どもにも悪影響を及ぼすものという考えに基づくこの会ならではの強い取り組みです。
4仕事との関わり
〈日本産婦人科学会を通じて、資格とさまざまな情報を取得〉
医師個人の実際の仕事や転職との関わりが大きいものとしては、専門医制度が挙げられるでしょう。日本産婦人科学会では「産婦人科専門医」の資格試験が実施されています。また上述の通り新制度での認定が「一般社団法人日本専門医機構」のもと2021年から行われていく予定です。
また当直回数を減らすなど労働環境の改善、あるいは女性と男性の産婦人科医の割合など仕事とも関わる情報を学会での活動を通して得て行けば、より有意義になっていくはずです。