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整形外科の医師転職お役立ちコラム
整形外科の「訴訟事例」

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訴訟事例-整形外科

1数字で見る訴訟の現状

〈医事関係訴訟委員会のデータによる、近年の訴訟件数やその推移〉
まずは客観的な数値として、最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」で出されている医事関係訴訟に関する統計データを見ていきましょう。医事関係訴訟事件(地裁)の、「診療科目別既済件数」です。整形外科関連はここ3年間で次のように推移しています。
平成24年 99件
平成25年 90件
平成26年 95件
注1)この数値は、各診療科における医療事故の起こりやすさを表すものではありません。
注2)複数の診療科目に該当する場合は、そのうちの主要な一科目に計上されています。
注3)平成26年の数値は速報値です。

2整形外科に関連する訴訟事例

〈実際の訴訟事例〉
次に整形外科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
患者(大正15年生、男性)は平成6年3月22日、右膝痛を訴えて被告病院(総合病院)整形外科を受診し、レントゲン検査の結果等から変形性膝関節症と診断された。担当医師は患者に、関節注射等の保存的治療を行い、痛みが軽減されなければ人工関節置換術を勧めることを説明し同年6月11日まで、ヒアルロン酸ナトリウムの関節注射を実施したが右膝関節痛は軽快しなかった。担当医師は同月20日、右膝関節の造影検査を実施し膝蓋軟骨の消失や軟骨面の不整等が見られたが、骨切り術を要するほどの変形は認められなかったため人工関節置換術を実施することとした。患者は同年7月12日、被告病院に入院し、同月15日、人工関節置換術を受けた。
患者は手術直後から関節液貯留等の症状は見られなかったが、右膝痛、熱感や腫脹などが継続し、体温も微熱傾向にあった。患者は同年8月12日には、右膝に著明な腫脹や熱感が見られ血液検査で、CRP値や赤沈値が異常値を示していた。患者は同年11月30日に被告病院を退院するまで、右膝の熱感、腫脹及び疼痛が継続し、微熱傾向も同年10月末まであり血液検査で白血球数、CRP値及び赤沈値のいずれかが異常値を示す状況であった。患者は、退院後、被告病院に通院していたが、右膝関節痛や腫脹等の症状が軽快しなかったことから、平成7年9月4日、別の病院(大学病院)の整形外科を受診した。同年10月、同病院に入院して関節液の培養検査を受けたところ、ブドウ球菌が検出され、同病院で同年11月14日、右膝の人工関節が抜去され平成8年2月20日に再置換術が実施された。平成14年10月8日には、再置換術後の感染のため、人工関節が再度抜去され創外固定された。
患者は平成15年5月29日、右膝下に感覚障害(感覚鈍麻)、右下肢全体の運動障害(固縮)及び右下肢の形態異常(短縮)があり、右下肢機能全廃により、屋内では歩行に両松葉杖を要し、屋外では車椅子の使用を要し、階段昇降は不能であるとの診断を受けたが、別の原因で死亡した。
患者の家族(妻及び子)が、被告病院を開設する法人に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。
大阪地方裁判所 平成18年3月17日判決
結論: 一部認容(認容額 800万円)。
引用元: 過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 整形・形成外科 大阪地判平成18年3月17日判決(堀法律事務所)
http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14355845.html

【事例2】
昭和63年10月29日、患者Xは左脛骨高原骨折の傷害を負い、同年11月4日ころY1の開設するY病院に入院し、同病院の整形外科医であるY2医師の執刀により骨接合術及び骨移植術(以下、「本件手術」という)を受けた。
平成元年1月15日、XはY病院を退院したが、その後、同年8月頃に、本件手術時に装着されたボルトの抜釘のためにY病院に再入院するまでの間、Y病院に通院してY2医師の診察を受け、リハビリを行った。
本件手術後の入院時及び上記通院時に、XはY2医師に対して左足の腫れを訴えることがあったが、Y2医師は腫れに対する検査や治療を行わなかった。
Xは、上記ボルトを抜釘してY病院を退院した後は、自らの判断でY病院への通院を中止し、その後、平成4年7月16日、平成7年6月3日、平成8年8月3日にそれぞれ助骨痛、腰痛等を訴えてY病院で診察を受けたことがあったものの、その際にはY2医師には左足の腫れを訴えることはなかった。
平成9年10月22日、XはY病院に赴き、Y2医師に対して本件手術後左足の腫れが続いていると訴えた。これを受け、Y2医師はレントゲン検査や左右の足の周経を計測する等の診察を行った。その結果、左足の周経が右足の周経よりも3cmほど大きかったものの、左膝の可動域が零度から140度まであり整形外科的治療として満足できるものであったこと、圧痛もなくXがこれまでどおり大工の仕事を続けることもできていたこと等からみて、機能障害がなく問題はないと判断してXの上記訴えに対して格別の措置を講じなかった。
(この間の経過略)
その後、平成13年4月から10月にかけて、XはT大学医学部付属病院、K大学医学部付属病院及びU大学医学部付属病院に赴き、これら各病院において、それぞれ左下肢深部静脈血栓症ないし左下肢静脈血栓後遺症(以下「本件後遺症」という)と診断された。
(X診察当時の医療水準等については省略。以下Xの請求)
XはY1及びY2に対して、ア;Y2医師が、必要な検査を行い、又は血管疾患を扱う専門医に紹介する義務があるのに、これを怠り、その結果、Xに本件後遺症が残った、イ;仮に、アの義務違反と本件後遺症の残存との間の因果関係が証明されないとしても、上記後遺症が残らなかった相当程度の可能性を侵害された、ウ;仮に、アの因果関係及びイの可能性が証明されないとしても、Y2医師は、当時の医療水準にかなった適切かつ真摯な医療行為を行わなかったために、Xはそのような医療行為を受ける期待権が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた。最高裁判所第二法廷 平成23年2月25日判決
結論: Yらの敗訴部分を破棄し、Xの控訴を棄却。
引用元: No.267「下肢の骨接合術などの手術を受けた患者が、合併症として下肢深部静脈血栓症を発症」(Medsafe.Net 医療安全推進者ネットワーク)
http://www.medsafe.net/precedent/hanketsu_0_267.html

3整形外科関係の訴訟の現状

〈整形外科は医師数での割合で見ると、比較的多めの訴訟件数〉
少し古いデータですが、平成18年に厚生労働省から出されているデータによると、医師1,000人あたりの訴訟の既済件数で、整形外科は6.6件と全体の2番目の多さでした。人件費と借入金が他科より多いという事、診療単価の安さ、過当競争で経営的にも厳しいという考察も整形外科には見られます。そんな中で訴訟件数の多さもネガティブな要因に加わります。

4整形外科医たちの声

〈整形外科の苦しい現場からの声〉
このように訴訟リスクの他にも、整形外科の現場は非常に苦しいものがあるようです。実際の声を挙げてみましょう。
「現在の医療の高度化、患者のニーズの多様化に現場のマンパワーが全く追いついていません。それにもかかわらず勤務医の給料は10年以上前から変わりません」
訴訟は近年の患者の権利意識の高まりとも無縁ではないとされています。患者のニーズの多様化とは治療内容だけでなく、訴訟と隣り合わせのリスクも多分に孕んでいると考えられます。

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