精神科の医師転職お役立ちコラム
精神科の「訴訟事例」
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1数字で見る訴訟の現状
〈医事関係訴訟委員会のデータによる、近年の訴訟件数やその推移〉
まずは客観的な数値として、最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」で出されている医事関係訴訟に関する統計データを見ていきましょう。医事関係訴訟事件(地裁)の、「診療科目別既済件数」です。精神科関連はここ3年間で次のように推移しています。
平成24年 33件
平成25年 33件
平成26年 31件
注1)この数値は、各診療科における医療事故の起こりやすさを表すものではありません。
注2)複数の診療科目に該当する場合は、そのうちの主要な一科目に計上されています。
注3)平成26年の数値は速報値です。
2精神科に関連する訴訟事例
〈実際の訴訟事例〉
次に精神科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
統合失調症のため治療していた女性Cは、平成7年6月ころから八重歯が気になり始めたがこだわりが悪化し、平成8年4月には鋏の先で歯を半分位まで削るような奇異な行動をとった。同年5月、希死念慮を訴えて興奮するようになり国立病院に入院した。事故当日の7月9日午前6時に朝の薬を服用。午前6時30分、他の患者に「ライターを貸して」と懇願。看護師は、危険防止のため病室に戻し施錠した。午前7時ホールにて朝食。午前8時15分、Cが病室で臥床して落ち着いていることを確認。
看護師は、午前8時23分ころ、ナースステーションにおいて看護記録をつけていた。同時刻頃Cは病室にて、自己のTシャツの裾にライターで火をつけ、自殺未遂を図った。直ちに救急車で救命センターに運ばれたが3度熱傷40%と診断され、四肢体幹機能障害の後遺障害を負った。
Cと両親が病院は患者の病状や挙動の変化等に十分注意し、事故を未然に防止すべき義務があったのにそれを怠ったとして、国家賠償法1条又は民法715条に基づき、その損害の賠償を求めた。横浜地方裁判所 平成12年1月27日(第一審)
結論: 控訴後和解。
引用元: 隔離・身体拘束時の事故事例・判例について-(2)隔離室隔離の判断が問われた事例(e-らぽ~る)
https://www.e-rapport.jp/team/action/sample/sample07/03.html
【事例2】
精神科で発覚した主な問題事件。引用元から2012年-2011年の内容を抜粋。事件であり必ずしも訴訟に発展していないものもあります。
2012年
・思春期診療の医師を男子中学生に対する準強制わいせつ容疑で逮捕。
・入院患者を殴って死なせた傷害致死容疑で同室の男逮捕。
・認知症の男性患者が布団にくるまれ窒息死。「大声を上げたので」と看護師。解雇処分。
・医療法人清和会のケアホーム・グループホームの女性職員が入所者9人の150万円着服。
・精神障害者グループホームで理事長が暴力。傷害容疑で逮捕。
・ニセ精神科医が雇われ、15企業で健康診断20回。
・関西記念病院と関西サナトリウムで医師9人が集団辞表。
・患者2人の医療保護入院届を紛失。
・入院患者38人の預け金計約270万円を男性看護師が着服、懲戒解雇。
・2005年に女性患者を絞殺した容疑で、当時入院の女を逮捕。
・看護師数ごまかしなどで不正請求、保険指定取り消し。
・措置入院の病状報告遅れ。07〜11年度に県精神医療センターなど6病院20件。
・入院患者4人と職員2人の計6人が結核に集団感染。
・精神科の外来患者4人分のカルテを誤って焼却処分。
・入院患者が首を絞められ死亡。同室の患者2人を殺人容疑で逮捕・起訴。
・男性患者が胸を骨折。第三者委の調査で看護師8人が暴力をふるった可能性。県が告発。
・肺炎悪化の82歳女性に点滴ミス。病院が遺族に謝罪。
・看護師が患者4人に頼まれた買い物のお釣り39万円を着服。停職処分。
2011年
・看守部長が受刑者に暴行、戒告処分。
・看護師が入院女性に強制わいせつ容疑、書類送検。
・精神科病棟の入院患者15人と職員8人がノロウイルス感染。
・入院中の女性患者が絞殺。別の女性患者を殺人容疑で逮捕。
・男性患者が絞殺。医療観察法で入院中の男性患者を逮捕。
・無資格のニセ心療内科医が診療所。44歳女を逮捕。
・男性患者を絞殺。同室の患者を逮捕。
・医療保護入院の男性患者が死亡。傷害致死容疑で患者の男を逮捕。
・女性事務職員が患者37人の口座などから約1億8千万円を着服。10月逮捕。
・精神科入院の男性が絞殺される。殺人容疑で入院の2人逮捕、1人を起訴。
・福岡 入院患者や医師ら計20人が結核感染。
・入院患者絞殺。他の患者を逮捕。
・院長が架空診療の処方せんで向精神薬12万錠を入手、知人に譲渡。保険医療機関指定と保険医登録を取り消し。
・精神科病棟で酸素吸入器のバルブが閉まり、女性患者死亡。4月にも同種事案(影響なし)。
・精神科の訪問看護で不正請求。8000万円余の返還請求。
引用元: 精神科で発覚した主な問題事件(認定NPO法人 大阪精神医療人権センター)
http://www.psy-jinken-osaka.org/?page_id=1155
3精神科関係の訴訟の現状
〈賠償請求をされない場合も加えると、2000年代に入り精神科の医療事故は増加傾向〉
精神科の医療事故で最も多いのが「転倒・誤嚥による窒息といった不慮の事故」、次いで「自殺」となります。これらは必ずしも訴訟とはなってないものが含まれますが、こうした精神科での医療事故は2000年代以降増加傾向が見られ、何らかの賠償請求をなされている事例も徐々に増加しています。
44.精神科医たちの声
〈訴訟件数の少なさや訴訟になった場合の判断の曖昧さが、精神科医療のレベルを下げているという声もあり〉
冒頭に挙げた近年の訴訟件数でも精神科は一見するとそれほど多くないように見えます。実際に平成18年に出された厚生労働省のデータによる、医師1,000人あたりの訴訟の既済件数では2.5件と比較的少なめです。
こうした他の科と比べて圧倒的に訴訟が少ないという事、また訴訟になったとしても病院側の管理体制や薬物に関係するとされ医師の責任があまり追及されないという事が日本の精神医療のレベルを下げているという声も聞かれます。
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