小児科の医師転職お役立ちコラム
小児科の「訴訟事例」
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11. 数字で見る訴訟の現状
〈医事関係訴訟委員会のデータによる、近年の訴訟件数やその推移〉
まずは客観的な数値として、最高裁判所の中に設置された「医事関係訴訟委員会」で出されている医事関係訴訟に関する統計データを見ていきましょう。医事関係訴訟事件(地裁)の、「診療科目別既済件数」です。小児科関連はここ3年間で次のように推移しています。
平成24年 22件
平成25年 10件
平成26年 9件
注1)この数値は、各診療科における医療事故の起こりやすさを表すものではありません。
注2)複数の診療科目に該当する場合は、そのうちの主要な一科目に計上されています。
注3)平成26年の数値は速報値です。
22.小児科に関連する訴訟事例
〈実際の訴訟事例〉
次に小児科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
【事例1】
患者(平成9年生、男性)は、平成9年3月15日、被告甲医院(産婦人科の単科医院)で出生した。出生翌日から患者の黄疸の度合いが測定されたが、A医師は、患者の黄疸を生理的な新生児黄疸と判断し、3月23日、患者を退院させた。4月15日、被告甲医院において患者の1か月検診が行われ、A医師が診察したが、少し黄疸が残っているものの、問題はないと判断し、直接ビリルビン値を測定しなかった。
4月16日、患者の両親は、患者に鼻詰まりを認めたため、被告乙病院(総合病院)小児科に患者を受診させた。診察したB医師は、患者の皮膚の色が黒ずんでいたことから、病的な黄疸か否かを鑑別するため血液検査を実施することを勧めたが、患者の母は、前日に被告甲医院で1か月健診を受けて大丈夫だと言われたと述べて、血液検査を拒んだ。B医師は、患者の母の態度から、前日に先天性胆道閉鎖症の鑑別のための直接ビリルビン値等が測定されているものと考え、血液検査を実施しなかった。
5月30日深夜、患者が発熱したため、患者の両親は、翌31日、患者を被告乙病院に受診させた。B医師は、患者に重度の黄疸が現れていることを認め、血液検査を実施したところ、患者の直接ビリルビン値が高値を示した。患者は、被告乙病院に入院となり、6月4日、先天性胆道閉鎖症の確定診断を受けた。B医師は、患者に対して直ちに手術を行う必要があると判断したが、被告乙病院に小児外科の医師がいなかったため、患者を丙病院(総合病院)へ転院させた。患者は、6月10日、丙病院で肝門部肝空腸吻合術を受けたが、先天性胆道閉鎖症は治癒せず同月18日に死亡した。患者の両親は、患者が死亡したのはA医師及びB医師が患者の先天性胆道閉鎖症を早期に発見せず手術が遅れたためであるなどと主張し、被告甲医院と被告乙病院を開設する各法人に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。
東京地方裁判所 平成16年4月15日判決
結論: 被告甲医院を開設する法人に対して一部認容(認容額330万円)。
被告甲医院を開設する法人に対して一部認容(認容額330万円)。
引用元: 過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 小児科・新生児科 東京地判平成16年4月15日判決(堀法律事務所)
http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14356014.html
【事例2】
患者A(平成4年6月生まれの男子)は、平成7年1月24日ころ発熱し、26日早朝に息苦しさを訴え、同日午前7時50分ころ救急車でTクリニックに運ばれた。Tクリニックの医師はAを診察後、紹介状を書き、Aの両親に対し、AをYが経営するY病院に連れていくよう指示した。両親は、直ちにY病院の小児科を訪れ、AはN医師の診察を受け、入院となり、同日午前10時10分ころ病室に入った。翌27日午前7時20分ないし午前7時25分ころ、Aに付き添っていた母親が、ナースステーションの看護師に対し、Aの顔色が悪いことを伝えた。そのとき既にAにはチアノーゼがあった。これを受けて看護師が、同日午前7時30分ころAを処置室に搬送して、医師の指示を受けないまま酸素吸入を行ったが、同日午前7時40分ころAは呼吸停止となり、同日午前7時55分ころ、S医師が看護師から連絡を受けて来院して処置を行い、午前9時30分ころにはAをICU(集中治療室)に移して更に処置を施したものの、同人の意識は回復しなかった。
Aはその後意識を回復することなく、平成7年10月26日午前8時50分Y病院において呼吸停止による低酸素性脳症により死亡した。
Aの両親が、N医師及びY病院を被告として、損害賠償請求を求めて訴訟を提起した。
富山地方裁判所高岡支部 平成13年2月28日判決
結論: N医師の過失を認定。
引用元: No.47「小児喘息患者が容態急変して死亡。治療効果の見極めを怠った医師の過失を認めた判決」(Medsafe.Net 医療安全推進者ネットワーク)
http://www.medsafe.net/contents/hanketsu/hanketsu_0_51.html
33.小児科関係の訴訟の現状
〈訴訟リスクが原因、と見られる小児科医不足の実際〉
一般的に小児科医は不足していると見られていて、その原因を訴訟リスクと考える人も多いようです。しかし実際にこうした医師不足の問題を考える資料などによると、「広く薄い配置」「(それに伴う)厳しい勤務環境」「大人に比べて多くの時間と手間がかかっても報酬には結びつかない」など労働環境にその理由の多くを求める考察も多いようです。
44.小児科医たちの声
〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉
小児科という特質上、「小児は成人のミニチュアでない」ということ、つまり何が起こるか解らないということを医師も患者の家族も認識しなければならないという考えが強くなっています。これが時間を十分にかけて簡単な言葉で説明し、自由な質問をできる環境を確保するといったインフォームドコンセントを充実させるという積極的な取り組みになっています。
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