人工透析科の医師転職お役立ちコラム
人工透析科の「学会」
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診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。人工透析科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した人工透析科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
▲医師の転職お役立ちコラム一覧へ主な学会の概要-人工透析科 日本透析医学会
1日本透析医学会について
〈日本透析医学会の概要〉
日本透析医学会は、正式名称を「一般社団法人日本透析医学会」と言います。日本医学会に所属する分科会の一つです。
事務局は東京都文京区本郷のアラミドビル内にあり、13の常設委員会を持ち、平成27年3月31日現在の会員数は全国で17,028名となっています。
入会については、一般社団法人日本透析医学会定款第3章第6条にて
・正会員:本学会の目的に賛同して入会した個人
・施設会員:本学会の目的に賛同して入会した医療施設又は診療科等
・賛助会員:本学会の事業を援助する個人又は団体
という各会員が定められて、更に本学会に特に功労があり総会で承認された者を「名誉会員」とすることが決められています。人工透析には医師のみならず多くの医療従事者が関わっているため、正会員になるのに医師資格を必要とする訳ではありません。
2日本透析医学会の沿革とその活動内容
〈日本透析医学会の成立と改革、現在行われている教育面での活動内容〉
日本透析医学会は1968年(昭和43年)に「人工透析研究会」という任意学術団体として発足し、1985年(昭和60年)日本透析療法学会と改称、1993年(平成5年)に社団法人として認可されて現在の日本透析医学会という名称に改称されました。2012年(平成24年)には公益法人制度改革により、一般社団法人に指定されています。
日本透析医学会の英文表記は“The Japanese Society for Dialysis Therapy”です。“JSDT”という略称も使われています。本学会では英語機関誌として “Therapeutic Apheresis and Dialysis”を年6回、日本語機関誌として「日本透析医学会雑誌」を年12回と「年次学実集会・総会特別号」を年1回の合計年13回発行して、会員の教育面での支援を行っています。いずれも本学会員にネット上での閲覧や論文投稿が可能な「オンライン投稿システム」を備えています。更に2015年(平成27年)から腎代替療法の世界的なレベルでの技術向上と情報共有を目的とした機関誌“Renal Replacement Therapy”が創刊されました。これによって血液透析や腎移植をはじめ再生医療に関するあらゆる領域の研究成果の論文を掲載するとともに、慢性腎疾患、貧血、腎感染等の論文も世界中から募集して、腎代替療法分野の一層の充実を図る計画です。
3目的と取り組み
〈日本透析医学会の目的と具体的事業、そして日本透析医学会が認定する専門医制度〉
日本透析医学会は定款の第2章第4条にてその目的を、「透析医学すなわち血液浄化法(血液透析法、腹膜透析法、血液濾過法、血液吸着法、血漿交換法等)とその対象疾患の病因、病態に関する研究調査を行い、それについての発表、知識の交換、情報の提供等を析医学に関する研究の進歩と知識の普及を図り、もって学術の発展に寄与する。」(一般社団法人日本透析医学会定款第2章第4条引用)ことを目的としています。そして第2章第5条にて目的の達成のため、国内外で次の事業に取り組んでいます。
1.研究集会,学術講演会等の開催
2.調査及び研究
3.学術雑誌等刊行物の発行
4.研究業績の表彰及び研究の助成
5.国内外の関係学術団体との連絡及び協力
6.専門医,指導医及び認定施設の認定
7.災害発生時における援助
8.その他目的を達成するために必要な事業
(一般社団法人日本透析医学会定款第2章第5条引用)
こうした事業を支えるために、本学会では年に1回の学術集会・総会を行うとともに、前項で述べた機関誌の発行などを行い、会員医師の養成を行っています。また疾病毎に日本透析医学会としての診察や治療に関するガイドラインを決定しての公布や、日本臨床工学技士会、日本腎不全看護学会等の他団体との共同で治療時のガイドラインの作成など、診察や治療のガイドラインの作成や、透析医療に関連する他の医学会や団体との連携を行い、情報交換等を頻繁に行っています。
その一方で本学会では2015年から「日本透析医学会専門医制度」を設置しました。今後制度に決められた手順を踏んで透析内科の分野で十分なスキルを持った医師への資格の認定を行っていく予定で、その資格を有する医師の待遇等に有利な条件となることが期待されます。
4仕事上での利点や今後の需要
〈社会の人口の高齢化によって人工透析科の需要が増え、また世界中で腎疾患に対応可能〉
医師が人工透析科を学ぶ一番の利点は、今後の日本で「人工透析を必要とする患者が一層増加する」ことで人工透析科の需要が増加する点にあります。現在の日本は世界中でも極端な高齢化社会に向かっていて、今後透析を必要とする疾病や透析によって生ずる病態も今後ますます複雑化すると考えられます。それにより今後は、高齢者に対する透析医療の根本的な見直しや、在宅医療の推進の立場から人工透析を行う際の有効な合併症対策を行うことで、透析を必要とする患者のQOLの改善が求められています。日本全国で現在約31万人、更に年々増加する人工透析が必要な腎不全患者の医療を担うため、透析医学に関する学術・研究の進歩及び医師一人ひとりのスキルアップが必要です。
このように人工透析科のスキルは高い専門性を必要としますが、同時に透析という医療は医師のみならず看護師、栄養士、臨床工学技士等との協力で行うチーム医療であり、人工透析科医はそのチーム医療のリーダーとして治療を行います。この経験の積み重ねが将来の難病治療でのチーム医療のリーダーとしての能力を身に付けることが可能です。
また一方で透析時の患者管理にて、患者の合併症の発症を防ぐためには感染症、循環器、神経等を中心とした一般的な内科の知識が必要となり、人工透析科を学ぶことは必然的に他の内科全般の知識を身に付ける事が必須です。これが人工透析科医の持つ非常に優れたアピールポイントとなります。
更に人工透析科で治療を行う患者は、内科/外科を問わず患者の治療を行う可能性があります。透析とは一見無関係と思われる科の治療中に合併症として腎不全が発生する可能性があり、その際に対応可能なのが人工透析科という理由です。このような点から、人工透析科は普段から他のあらゆる科との連携を念頭に置く必要があり、そこで築いた人脈がその後に有効に活用できるのも利点です。
このように人工透析科のスキルは多様で非常に高いものであるため、透析医療の人材は今後ますます需要が高くなり、今後人工透析科のスキルを持つ医師の需要がこの先より増加することが考えられています。