人工透析科の医師転職お役立ちコラム
人工透析科の「訴訟事例」
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診療科によって様々な医師の転職市場。特に医師の求人・募集状況や転職時のポイントは科目ごとに異なります。人工透析科医師の転職成功のため、医師転職ドットコムが徹底調査した人工透析科医師向けの転職お役立ち情報をお届けします。
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1人工透析のリスク
訴訟に結びつく可能性がある事故が頻発〉
北九州で最大級の透析病院と言われる小倉第一病院の勉強会資料によると、人工透析については年2万件事故、死亡例は5件という数値が紹介されています(2001年の報道を基にした資料)。
これは訴訟ではなく事故の数ですが、場合によっては訴訟にも大きく関係するデータとも考えられます。医療訴訟は増えているとはいえ示談になるケースも多いので、現場では公にはなっていない話し合いや対応がされている可能性もあります。
2人工透析科に関連する訴訟事例
〈実際の訴訟事例〉
次に人工透析科に関連する訴訟事例をいくつか見ていきましょう。
なお人工透析科の訴訟の可能性がある事例を引用したもので、実際の担当医は人工透析科以外の場合もあります。
【事例1】
患者(昭和27年生、男性)は、慢性腎不全で昭和62年12月ころから、左腕の内シャントによる血液透析を受けていたが、平成6年ころから、左腕の動脈を表在化させ(動脈を遊離して皮下に移すこと)、同所に針を刺して行う方法により血液透析を受けるようになった。平成7年9月から、患者は、担当医師が開設した人工透析専門病院である被告クリニックに通院し、血液透析を受けていたが、その後、同部分に動脈瘤が生じた。
患者は、平成12年9月20日に被告クリニックで血液透析を受けた時は異常がなかったが、翌21日午前、穿刺部(動脈瘤から1cmほど離れた動脈部分)がかゆくなり、同日午後2時半ころ、穿刺部が赤く腫れ、膿が出るなどしたため、午後2時40分ころ、被告クリニックを訪れた。担当医師は、看護師長から、患者の穿刺部が赤く腫れ、少量の膿が出ていたが、圧痛はなく、かゆみがある状態で、全身状態は、発熱もなく元気であったとの報告を受け、看護師長を通じて、穿刺部を外用消毒剤のイソジンで消毒し、抗生物質の含まれているゲンタシン軟膏を塗布し、抗生物質のセフゾンと消炎鎮痛剤のロキソニンをそれぞれ2日分処方し、翌朝来院するよう指示した。患者は、その場で、セフゾン1錠を服用したが、同日午後4時ころから、熱感があって具合が悪く、午後7時前には体温が40度を超え、下痢が始まり、午後9時前には体温が40度以上となったため、午後9時過ぎころ、被告クリニックに連絡した。担当医師は、翌朝診察し、必要なら血管の手術ができる病院を紹介するので、それまではボルタレン座薬を使うなどして様子を見て、何かあれば連絡するよう指示した。
患者は、午後10時前にボルタレン座薬を入れたが、下痢ですぐ薬が外に出てしまい、熱は下がらず、下痢も継続した。
患者は、翌22日午前4時過ぎ、熱が39度2分あり、2個目のボルタレン座薬を入れた午前6時ころ、両足が白く冷感や痛みを感じたので、被告クリニックに連絡したところ、病院に行くよう指示され、午前6時55分ころ、救急車を呼ぴ、午前7時28分ころ、甲病院(国立病院)に搬送された。同病院において、患者は、敗血症性ショック、左総腸骨動脈血栓症の診断を受け、同日、左大腿動脈経皮的緊急血栓除去手術を受けるとともに、血液検査を受けた。検査の結果、同月27日、敗血症の原因菌がMRSAであることが判明した。患者は、抗生剤の多剤併用投与を受け、一時好転の兆しが見られたが、その後症状が悪化し、同月28日、左上腕切断手術を受けた。
患者は、被告クリニックを開設する担当医師に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。
大阪地方裁判所 平成15年9月17日判決
結論: 一部認容(認容額 170万円)
引用元:
過去の医療事故・医療過誤(医療ミス)の裁判事例 内科 大阪地判平成15年9月17日判決(堀法律事務所)
【事例2】
本件は、人口透析中の糖尿病や閉鎖性動脈硬化症その他の病気があると診断された患者が虚血性心疾患の有無を確認するために心臓カテーテル検査を受けたところ、右膝窩動脈に血栓症を発症して、右足趾全部の切断に至った場合に、患者は同検査の適応があり、その発症は閉鎖性動脈硬化症の結果で、その切断に医師の責任はないが、検査により血栓症になる危険性についての説明が不十分であったとして慰謝料30万円と弁護士費用5万円が認められた事例である。前記のとおり糖尿病と閉鎖性動脈硬化症の基礎疾患を有する患者に対して心臓カテーテル検査を実施することには危険があると言われているところであるが、本判決はそのような場合には説明義務があることが認めた点に意義がある。
引用元:
心臓カテーテル事故判決例に現れた過失行為の態様(関智文法律事務所)
3人工透析科関係の訴訟の現状
〈訴訟リスクが広がる現場〉
冒頭でも掲げたように、訴訟に至らないまでも人工透析に関する事故は多く、常にリスクを抱えていると言えます。このため医師をはじめとする現場は肉体のみならず精神的な疲労も大きいと考えられます。
4人工透析科の訴訟への対処
〈医療事故を防ぐための医師たちの取り組み〉
人工透析の訴訟リスクは医療器具による部分が極めて大きい事は言うまでもありません。ですから透析医療のリスクマネジメントとして機器の操作、設備そのものに対しても多く触れられます。就職や転職の際にもこれを考慮して職場選びのポイントにすべきでしょう。
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