ボーナス(賞与)の季節というと、夏(6月頃)と年末(12月)というのが一般的ですが、年俸制になることも多い医師にも、ボーナスは支給されるのでしょうか?公的調査と医師転職ドットコムに掲載されている求人情報をもとに医師の賞与事情について調査しました。

目次
医師の賞与(ボーナス)は平均で年収の約8%相当(約1か月分)
令和6年の賃金構造基本統計調査によると、「きまって支給する現金給与額」は月103万円、「年間賞与その他特別給与額」は107万円となっていました。合計の医師の年収は1,338万円となっており、賞与(ボーナス)はその約8%相当(毎月の支給額の約1か月分)という状況です。
ただし、この中にはボーナスが支給されない医師も含まれているため、ボーナスが支給された医師の中でみるとこれより多いと考えられます。
医師のボーナスが減少?直近5年間での医師の賞与比較
最近では医師の働き方改革や、病院の経営悪化に関する6病院団体による共同声明などがあり、医師が勤務する病院側の経営環境も変化してきていることがうかがえます。
医師のボーナス金額はどのように変わってきているのでしょうか?先の賃金構造基本統計調査について、直近5年間での推移を見たところ、以下のようになっていました。
調査年 | きまって支給する現金給与額(A) | 年間賞与その他特別給与額(B) | 年収(A × 12 + B) |
---|---|---|---|
2024年 |
103万円 |
107万円 |
1,338万円 |
2023年 |
109万円 |
128万円 |
1,436万円 |
2022年 |
110万円 |
114万円 |
1,429万円 |
2021年 |
105万円 |
118万円 |
1,378万円 |
2020年 |
110万円 |
118万円 |
1,440万円 |
医師のボーナス額(年間賞与その他特別給与額)は2023年が最も高く128万円、一方で2024年は107万円と過去5年間で最も低くなっています。
2024年度からは医師の働き方改革のほか、コロナ関連の支援金が終了したこともあって、医療機関の経営状況はより厳しくなってきているため、そうした背景もボーナスの報酬に反映されているのかもしれません。
医師のボーナスあり/なしの割合は?
医師のうちボーナスをもらえている割合はどれぐらいなのでしょうか?医師転職ドットコムの掲載求人から、賞与の有無が明記されている求人(複数求人がある施設・企業はそのうち1つのみを抽出した)958件のデータを調査すると、下図のようになっていました。
賞与ありが42%、賞与なしが58%となっており、ボーナスがない求人の方が多いという状況です。なお、賞与のデータは求人における任意項目となっていて記載なしのものも多くなっており、記載なしの中では賞与なしの割合はより高いことが予想されるため、実態はこれよりも賞与なしの割合が高いものと考えられます。
上記を病院・クリニック・その他の施設種別に見たもの(実数)が下表になっています。
病院 | クリニック | その他 | |
---|---|---|---|
賞与あり |
254 |
134 |
10 |
賞与なし |
203 |
323 |
34 |
病院では賞与ありが賞与なしに比べてやや多いのに比べて、クリニックでは賞与なしが顕著に多くなっています。医師が病院からクリニックに異動や転職する場合は、ボーナスの有無は最初に確認した方が良いかもしれません。
ボーナスの支給は年2回がやはり多い?賞与ありだが「年俸に含む」場合も
医師のボーナスはいつ支給されることが多いのでしょうか?同じく医師転職ドットコムで賞与が支給されている求人から、賞与に関する詳細の記載のあった274件を分類すると、以下のようになっていました。
件数 | 割合 | |
---|---|---|
年2回支給 |
146 |
53% |
その他・別途条件 |
96 |
35% |
年3回支給 |
13 |
5% |
年1回支給 |
13 |
5% |
年4回支給 |
6 |
2% |
これを見ると、医師も年2回(53%)のボーナス支給が最も多いことがわかります。また、少ないですが年1回や年3回といったケースや、さらに珍しい例として年4回(夏・秋・年末・期末など)支給されるケースもあることがわかりました。
一方で、その他・別途条件も35%で年2回に次いで多いですが、その中には「年棒に含む」「年間賞与の12等分した金額を毎月の給与にて支給」など、賞与ありとしているものの、年俸に含む扱いとなっているものも見られました。
また、その他・別途条件の中では支給金額について記載のあるものもあり、「実績に応じて」といった条件から「3か月分」「4か月分」「4.25月/年」など支給額が定まっている場合もありました。
明確に記載のある中だと支給額としては4ヶ月分が最も多くなっていました。医師平均では1ヶ月程度なので支給/不支給の差がやはり大きいのかもしれません。