医師の病院以外での働き方にはどんなものがある?―医師1,923人のアンケート調査より―

医師の職場として最も多いのは当然ですが「病院」です。実際、令和4年の医師・歯科医師・薬剤師統計では、64%の医師が病院で働いている結果となっていました。

しかし、医師のスキルや医学的な知見は病院以外でも発揮できます。医師の知識や臨床経験を生かせる病院以外の働き方としては、どのようなものがあるのでしょうか。医師1,923人から寄せられたアンケート結果をもとに、在宅医療クリニック、自由診療クリニック、介護老人保健施設、健診施設、産業医の5つの働き方について調査しました(回答者の属性)。

 

医師の病院以外での働き方にはどんなものがある?―医師1,923人のアンケート調査より―

<病院以外での働き方アンケート関連記事>

 

健診施設での勤務経験がある医師は6割近くに

まず病院以外の下記5つの勤務先についてアルバイトも含めた勤務経験を聞いたところ、「健診施設で勤務したことがある」と答えた医師が57.9%と最も多い結果となりました。

病院以外の勤務先 「勤務経験がある」医師数 割合
健診施設 1,114

57.9%

在宅医療クリニック 661

34.4%

自由診療クリニック 520

27.0%

産業医 458

23.8%

介護老人保健施設(老健) 440

22.9%

実に医師の6割近くが、キャリアのいずれかの時点で健診業務に携わった経験があることがわかります。常勤先というよりはアルバイトやスポット勤務先として、健診施設が広く浸透していることが推測されます。

続いて「在宅医療クリニック」が34.3%となっています。医師の3人に1人が経験している背景には、給与が比較的高く、アルバイトやスポット勤務の需要もあることがあるとみられます。また高齢化社会の波を受けて、患者側のニーズが高まっていることも関係しているかもしれません。

3位以降は、「自由診療クリニック(27.0%)」「産業医(23.9%)」「介護老人保健施設(老健)(22.9%)」という結果となりました。

実際に働いた医師の満足度が高かった勤務先とは?

健診施設を筆頭に、一定数の医師が病院以外の多様な場でキャリアを経験している実態が明らかになりました。こういった勤務先での働きやすさについて、医師はどう受け止めているのでしょうか。

各勤務先での勤務経験がある医師に対し、勤務してみての満足度を訪ねたところ、下記表のような結果となりました。

病院以外の勤務先 満足度ランキング
勤務先 「満足している」+「どちらかと言えば満足している」と回答した医師数 割合
産業医 376

82.1%

健診施設 839

75.3%

自由診療クリニック 384

73.8%

在宅医療クリニック 460

69.6%

介護老人保健施設(老健) 290

65.9%

「満足している」「どちらかといえば満足している」と回答した医師の割合が高い順に並べたところ、経験者からの評価が最も高かったのは「産業医」で、満足度は82.1%でした。

一般企業に所属するため、臨床現場での勤務に比べて規則的な勤務となることや、業務負担の少なさが理由だと考えられます。

次いで、勤務経験者数が最も多かった「健診施設」が75.3%で2位に入っています。経験者が多く、かつ満足度も高いことから、多くの医師にとって魅力的な働き方のひとつととらえられていることが分かります。

「自由診療クリニック」の満足度も73.8%と7割を超えました。高額給与の勤務先が多く、収入面で満足感を得やすいことが推測されます。「在宅医療クリニック」「介護老人保健施設(老健)」についても、いずれも6割超の医師が満足していると回答していました。

<参考:各勤務先の常勤求人一覧>

「働きやすさ」や「患者に寄り添う魅力」も。病院以外の働き方を選ぶメリット

医師が病院以外で働くメリットには、どんなものがあるのでしょうか。実際に勤務したことがある医師からは、「QOL向上、高収入など勤務条件が魅力的」「それぞれの働き方ならではのスキル・視点が身につく」などの声が寄せられました。

産業医

予防医療への貢献、新鮮な勤務内容

    • 病気発症した社員を、極力、業務を離脱しなくて済むように関われること。病院勤務であれば、会社内での業務配慮にまで意見することが難しい。 (50代男性、循環器内科)
    • 医療だけでなく、会社組織の中での調整や、メンタルヘルスに関する面談など、自分の得意な点が生かせること。企業様のお役にたてると思う。 (60代男性、神経内科)
    • 病院での仕事内容とがらっと違うので新鮮で楽しい。 (40代男性、在宅診療)
    • 業種が違えばまた求められるものが変わるので飽きない (40代男性、その他診療科)

QOLや給与が良く働きやすい

    • 自分の時間を有効に使え、ワークライフバランスを確保しやすい (60代男性、一般内科)
    • 一般企業での勤務は福利厚生が優れる、病院の様な勤務時間があってないようなずさんな労務管理ではない (40代男性、腎臓内科)
    • 嘱託は副業としてできる 時給がいい (40代女性、産婦人科)
    • 短時間で高額、異業種(企業)とのつながりがもてる (40代男性、腎臓内科)

健診施設

健診ならではの業務内容、スキルの向上

    • 働く世代の健康に寄与できる (40代女性、整形外科)
    • 専門外の検査情報をアップデート出来る。紹介をした近隣クリニックの対応状況を把握出来る。 (50代男性、循環器内科)
    • 遠隔読影で、田舎にいながら、都会の検診に参加できる (60代男性、呼吸器内科)
    • 時間が明確で予定がたてやすい。複数医療機関で契約することで、他施設の良い点を導入してスキルアップ出来る。婦人科検診など、新たなスキルを身につけて選択肢が広がった。 (40代女性、健診・人間ドック)
    • 婦人科など専門性があると時給などは良い (40代男性、一般内科)

安定した業務で働きやすい

    • マニュアルがあり助かる。あまりイレギュラーがない (30代女性、放射線科)
    • 診療における緊張感はなく、プレッシャーは少ない。 (60代男性、一般外科)
    • 患者ではなく健康な人を対象とするし、診療ではないので、持ち帰る仕事がない。 (40代女性、婦人科)
    • 開業していると他の医師に会えるチャンスがないが、いろんな科の医師に会える (50代女性、循環器内科)

自由診療クリニック

高額給与かつ働きやすい

    • 仕事内容の割に時給が高い (40代男性、在宅診療)
    • 労働負荷が少ない、比較的給与水準が高い (40代男性、精神科)
    • 基本は予約対応のため、勤務調整がしやすい。 (40代女性、美容)
    • 勤務自体にゆとりがあり、定時帰宅できること。 (30代女性、小児科)
    • 勤務先がレーザー脱毛クリニックで、患者さんに大きな合併症を引き起こすことが少ないため比較的背負うリスクも少なかったこと。 (60代男性、一般内科)
    • マニュアル通りに処方や説明するだけ。ラク (30代女性、婦人科)

患者や自分の選択肢が広がる

    • 患者へ提供できる選択肢がふえる。保険診療以外の治療を実施経験できる。 (50代女性、一般内科)
    • 今後のニーズや自分が知らない知識が得られる。コミュニケーション能力が上昇する (40代男性、一般内科)
    • 時間の余裕があり、自分の勉強の時間に効率よく使える (20代男性、救命救急)

在宅医療クリニック

患者家族の生活を含めた診療や終末期医療に携われる

    • 一人一人の患者に時間をかけて接することができる。 (40代女性、腎臓内科)
    • 患者様と最期までかかわることができること、家族も含めたかかわりができることで、達成感がある。 (50代男性、一般内科)
    • (アルバイトとしてスポット勤務した感想として)急性期病院で勤務かつ診療科としても急性期を診る機会が多いものとして、患者さんが自宅や施設へと帰った後の生活や疾患と付き合う様を間近に診療することが非常に有意義と感じた。 (40代女性、消化器内科)
    • 老人医療、終末医療、介護の現場を目の当たりにすることができる。自分自身や親の老後について考えさせられる。 (40代女性、消化器外科)
    • 患者やその家族の負担が少ない。ねたきりの患者の病院への受診のための搬送は大変である。 (50代男性、一般内科)
    • 居宅で看取れる。大病院の負担を軽減できる。 (40代女性、精神科)

高給、労務負担の少なさなど勤務条件が良い

    • 労力に対するコストパフォーマンスが極めて高い (50代男性、その他診療科)
    • アルバイトとして勤務するのであれば、単位時間当たりの報酬が高い事が多い (50代男性、麻酔科)
    • 急患などがないこと。タイムスケジュールが組みやすい。医師の労務負担が少ない。 (50代男性、内分泌・糖尿病・代謝内科)
    • 基本的に初診患者を診ないため、なんらかの情報のある患者しか診ない。契約内容にもよるが、臨時往診がなければ状態の安定している患者しか診ないでいい (40代女性、精神科)
    • 移動が気分転換になる (50代女性、心療内科)

介護老人保健施設(老健)

急性期対応があまり発生せず、じっくり患者と向き合える

    • 比較的安定した患者さんが多く、業務上のリスクは少ないと思います。 (60代男性、病理診断科)
    • 時間がゆったりと流れている (40代女性、小児外科)
    • ほとんどが経過観察、do処方 (50代男性、一般内科)
    • 老健へ戻る又は入居するとどういう環境かをよく知れるので、普段急性期で見ている患者さんの今後をイメージしやすい (30代女性、乳腺外科)
    • 薬品や診療機器も限られる中で、療養の安定をどのように図るか、腕が試される (40代男性、一般内科)
    • ゆったりとじっくりと患者さんと向き合える。 (30代女性、腎臓内科)

ライフステージに合わせた働き方として選びやすい

    • QOLがとても良い、定時で帰れる (30代女性、血液内科)
    • 現在の年齢・体力に丁度良い仕事量だと思う。 (60代男性、一般内科)
    • 定時帰宅が可能。予め申請していれば勤務日数に融通が効くため子育て中の女医にとっては働きやすい。 (40代女性、一般内科)
    • 研修医の時にバイトとして勤務 給料の補填の意味合いが多かった (40代女性、婦人科)
    • 楽に稼げる (40代男性、麻酔科)

臨床から離れる不安…病院以外の働き方のデメリット

病院以外の働き方について、臨床を離れたり、治療ではなくケアを主軸に置いたりなど、主流のキャリアから遠ざかるイメージを持つ医師も多いです。各勤務先で働くデメリットについて、アンケートでは経験者から「臨床への復帰が困難になる」「やりがい不足」といった意見が挙げられました。

産業医

臨床スキルの低下や責任に見合わない勤務条件・リスク

    • 臨床に戻りにくくなる (50代女性、内分泌・糖尿病・代謝内科)
    • 臨床の先生の間では医師として扱ってもらえない気がする。 (50代女性、眼科)
    • 自分から学んでいかないと、待っているだけでは知識やノウハウが入らない。 (40代男性、その他診療科)
    • 専門性が問われることは少ないが、資格の更新が必要。 (60代男性、その他診療科)
    • 通常の医賠責保証で産業医業務がカバーされていないものも多い (30代男性、一般内科)
    • いくつかの事業所を掛け持ちしないと収入源にならない (60代男性、腎臓内科)

メンタルヘルス対応や業務内容のあいまいさなど、産業医ならではの業務の難しさ

    • メンタルに問題がある方の対応が長期化することがある (60代男性、放射線科)
    • 組織の中で産業医ができることの限界を感じることが多い。 (50代女性、一般内科)
    • コロナ禍以降、正社員専属産業医求人がなくなり、1年有期雇用求人がほとんどになり、企業の正社員ではないので、保健師より地位が低い。それを知っている保健師のパワハラがひどい。 (40代男性、一般内科)
    • 上手く業務ができない社員がいた場合に、本来であれば労務問題として人事担当者が処理しなければならない事案に対して、「上手く業務できないのは病気だと思う」といって産業医サイドに押し付けられそうになる。 (50代男性、循環器内科)

健診施設

診療スキルの停滞や治療介入できないもどかしさ

    • 手術や治療ではなく、一般診察・検査だけなので、単調で医師としてのやりがいに欠ける。 (40代女性、婦人科)
    • 最新の医療から離れ、知識のアップデートがなされない (40代男性、脳神経外科)
    • 受診勧告を行うのみで、治療行為が出来ない。 (50代男性、脳神経外科)
    • 気にかかる点があったとしてもあまり時間をかけられない (30代女性、救命救急)
    • 健診会社や病院によって、業務範囲が異なっており、その詳細が事前には不詳な場合がある (60代男性、一般内科)

見落としによる訴訟リスク、業務量に見合わない待遇

    • 膨大な量の所見が必要で見落としリスクはある (30代男性、一般内科)
    • 人数をかなり捌かないといけないこと、読影の技術が必要で読影可能な人員が少ない場合はリスクになること (40代女性、健診・人間ドック)
    • 短時間の多くの方を診療しないといけないが、給与が安い (50代男性、呼吸器内科)
    • 朝早い。給料が安い。質より量を求める管理者と逆を求める受診者。いわゆる一見さん受診者の数を捌くゆえの見落とし。 (60代男性、一般内科)

自由診療クリニック

医師としてのやりがいのなさ、雇用の不安定さへの懸念

    • クリニックからすると医師免許があればいいだけ。医師としての存在意義は皆無。 (40代男性、一般外科)
    • 正直どんな処置や手術をやっているのか理解せずとも勤務できてしまう (20代男性、救命救急)
    • 企業の内部体質が分かりにくい (30代男性、健診・人間ドック)
    • 保険医療以上に人気商売でかつ時代的にSNSなどによる風評被害が起こりうる。また診療内容によっては流行りすたれや同業者が増えて経営難~倒産のリスクがあります。 (60代男性、一般内科)
    • バイトで勤務していた脱毛クリニックが倒産してしまい給料が未払いとなった。 (40代男性、一般内科)

保険診療よりも患者の要求が高い、訴訟リスクがある

    • 自由診療であるため患者の要求が高い(高すぎる)と感じることがある (40代女性、神経内科)
    • クリニック側に非のない患者トラブルが非常に多い (50代男性、一般内科)
    • 訴訟リスクの問題や賠償保険の問題 (50代男性、形成外科)
    • 訴訟リスクが高い、お客様のためクレーム対応や口コミも保険診療より厳しい (30代女性、小児科)

在宅医療クリニック

医療スキルの停滞ややりがい不足、厳しい労働条件

    • 日々ルーティン、医学的な成長を見込めない (40代男性、皮膚科)
    • ある程度のスペシャリティをもった状態でこなければ再度転職となると幅が狭まる (40代男性、在宅診療)
    • 検査の出来ないアウェイでの仕事で、無力感を感じる (50代男性、消化器内科)
    • 物足りなさを感じる。私自身はやりがいをあまり感じれなかった。 (30代男性、形成外科)
    • 予定人数の経過観察だけで終わればよいが、緊急対応や搬送対応でかなり多くの追加時間を取られる。また定期勤務日以外に緊急連絡があることがとても多い。 (50代男性、一般内科)
    • 常に呼ばれる可能性があり、精神的・肉体的緊張状態が続く。 (60代男性、一般内科)
    • 真冬、真夏、大雨の時は大変 トイレに行けないのも困る (50代男性、消化器内科)
    • 移動時間が長く空き時間や休憩が少ない点,移動の際の事故のリスクなど. (30代男性、消化器外科)

提供できる医療の質の限界や他院との連携の難しさ

    • 病院より侵襲的処置をするときのリスクが高い (50代女性、一般内科)
    • 治療、検査でできることが限られている (30代男性、神経内科)
    • 常勤先急性期病院の勤務医からすると、在宅医はピンキリで、ACPや急変時の対応について話すらされたことのない超高齢者の患者、またその家族が多すぎて本当に苛立ちます。在宅や訪問診療をコスパだけで選んで、在宅医療の本質をまったく捉えられてない一部の適当な在宅医は許せません。 (30代男性、循環器内科)
    • 重症患者さんを頑張って抱えるとなると周囲の病院との連携が重要であり、そこの確立が出来ていない在宅クリニックは、厳しいものがある。また、在宅クリニックの院長が、全身管理が出来ない科の出身の雇われ院長だと、現場が
      荒れる (60代男性、循環器内科)
    • 病院に患者さんを集めて診察しているわけではないので、診療の効率は悪い(仕方なし)。病院やクリニック勤務であれば、自分たち医療従事者のワークフィールドに患者さんが入ってくるわけだが、在宅医療の場合は相手の生活範囲にこちらから踏み入れることになる。その特殊性からの齟齬やトラブルなどは勘案しながら診療にあたる必要があると思う。 (30代男性、消化器外科)
    • 現時点では経営状態や待遇がよいクリニックが多いが、過当競争や保険点数の切り下げにより、待遇が悪化する可能性がある。 (50代男性、その他診療科)

介護老人保健施設(老健)

臨床医としてのキャリアへの影響、スタッフ同士の連携の難しさ

    • 新しいことは少なく管理がメイン、診療の楽しさは少ない (50代男性、一般内科)
    • 急性期病院に戻りにくい (30代男性、麻酔科)
    • 急変対応や急性期管理など若い時に培ってきた技量が落ちざるを得ない、新薬の知識にうとくなる。 急性期のように検査ができないため 医療機関受診の目安をつけることが難しい。職員は医療者ではないため 医療内容を伝える時には まるで患者に伝えるように噛み砕いて話す必要がある (40代女性、一般内科)
    • スタッフのリテラシーや民度、知的能力が限りなく低い。話が通じない。医療のレベルが低い。利用者が急変して基幹病院へ夜間休日搬送もありうるが、急変患者のスタッフの対応能力がまちまち(概して低い)、そこに自分自身が巻き込まれる。 (40代男性、小児科)
    • 全く管理なさらない医師もいらっしゃるので、アルバイトで勤務したにも関わらず、専門医への緊急搬送やご家族への説明などしなければいけない事もある。 (50代女性、総合診療科)

できる検査や治療が限られている中での対応の難しさ

    • 医療費用がほぼ持ち出しなので使える薬が制限される。検査機器がないので、看取り希望以外の重症者を受け入れにくい。 (60代男性、一般内科)
    • 検査などが必要最低限しかできない、自分の不得意分野では相談できる環境が少なく孤独になりがち。 (30代女性、腎臓内科)
    • 家族の意識の違い。加齢変化はどうしようも無いことを理解してない。意識の無い患者に、(とことんやってくれ)というのは、自己満足 (50代男性、その他診療科)
    • 土日でも看取りで呼ばれる。夜間も施設から電話がある。専門以外の病気も対応が必要。 (60代男性、泌尿器科)
    • 急変時対応。DNRがしっかりとれていれば問題ないとは思うが、徘徊や発熱など多そう (30代女性、健診・人間ドック)
    • コスト的な要求からは、できるだけ『医師として』働かないことが求められる(マルメ内での損失を抑えるため)。しかし名目上の業務内容としては、一人であらゆる疾患や治療に対応できる、離島のスーパードクター的な働きが要求されている。矛盾の極みである。 (60代男性、一般内科)

未経験医師からの人気が高い勤務先とは?人気の理由も紹介

病院以外の選択肢の中で、未経験者医師に人気のある勤務先はどこなのでしょうか。アンケートで聞いた5つの勤務先について、病院以外で働いた経験がない医師に対し「今後機会があれば勤務してみたいかどうか」聞き、ランキング形式でまとめました。

今後働いてみたい病院以外の勤務先ランキング
勤務先 回答数 割合
産業医 505

34.5%

介護老人保健施設(老健) 396

26.7%

健診施設 214

26.5%

在宅医療クリニック 318

25.2%

自由診療クリニック 345

24.6%

全体的に3割程度にとどまっており、「病院以外での勤務先で働いてみたい」と考える医師が特に多いわけではありません。その中で見ると、満足度ランキングと同じく「産業医」が最も人気で34.5%となっていました。それ以外の勤務先は3割未満でほぼ横一列の結果となっています。

医師の生の声から見える病院以外の働き方の魅力

それぞれの働き方に対して、勤務したことのない医師はどのような魅力を感じているのでしょうか。未経験医師から寄せられた「働いてみたい理由」に関するコメントから、それぞれの勤務先に期待される魅力や役割を探ります。

1位:産業医 ~ ワークライフバランスと予防医療への関心

満足度・人気ともにトップだった産業医。コメントからは、定時勤務などによるワークライフバランスの改善を期待する声が目立ちました。また、治療だけでなく予防に関わるという、臨床とは異なる医師としての役割に魅力を感じるという意見も見られました。

    • 時間がカチッとしているから。 (50代男性、泌尿器科)
    • 定時勤務や非感染の勤務ができることはありがたいため (30代女性、小児科)
    • 勤務時間が短いので、子育て中でも勤務しやすそう。ただし資格をとる時間やお金が結構かかるのに収入が少なく、大変さと収入さがみあわなさそう。 (30代女性、美容)
    • 産業医資格を持っているのでそれを活かしたいから (40代男性、リウマチ科)
    • 資格は取得済だが、未経験のため (50代男性、一般内科)
    • 「診断して治す」より、「働き方を調整して予防する」スタンスに共感できます。 (50代男性、在宅診療)
    • 企業内での医師の役割を知りたい (40代女性、皮膚科)
    • 精神科医であり、産業医としての勤務もキャリアパスに入っている (30代男性、精神科)

2位/3位:老健・健診施設 ~ セカンドキャリアの有力な選択肢

老健や健診施設は、特にキャリアの後半を見据えた働き方として注目されているようです。体力的な負担が少ないことや、QOLを重視したいという声が寄せられました。

老健
    • 体力的にきつくなったらこれを優先して考えます。 (60代男性、一般内科)
    • 定年後にはいいかなと思う (50代男性、泌尿器科)
    • 老後の収入のため (40代男性、整形外科)
    • 条件がよければ勤務してみたい (40代男性、救命救急)
    • QOLを重視したいときにはいいと思う (40代男性、精神科)
    • 急性期病院と比較して忙しくなさそうだから。 (30代男性、呼吸器内科)
    • 初期研修の際に行ったところの先生が、朝の診察後はほぼ寝て過ごされていたから (40代男性、眼科)
    • 施設からの不要な搬送などが多いので、現状をみて改善する策を考えてみたい (30代女性、救命救急)
    • リハ医は向いていると思った (20代男性、リハビリテーション)
    • 医師の経験として (40代男性、総合診療科)
健診施設
    • 時間内は集中するがこじれる症例は少なそうで解放感がある (50代男性、神経内科)
    • 今の自分の専門分野でやっていけなくなったら勤務先候補の筆頭になると思います。今から他の専門分野を追求するのはしんどいので。 (30代男性、産婦人科)
    • 時間配分には余裕はなさそうだが、子育て中にはやりやすそうだから (30代女性、腎臓内科)
    • 整形外科なのであまり検診では役に立たない (20代女性、整形外科)
    • 眼科の機会はないかも? (50代女性、眼科)
    • 医師としての経験を広げたい (30代男性、精神科)
    • 内視鏡のスキルを活かせる (40代女性、一般外科)

4位:在宅医療クリニック ~ 患者と向き合う医療へのやりがい

在宅医療クリニックでは、地域医療への貢献や患者一人ひとりと向き合う勤務内容、収入や働きやすさといった勤務条件への関心など幅広い理由で人気が集まっていました。

    • 自分の医師としての総合力を試してみたい。 (50代男性、消化器外科)
    • アルバイトとして関わってみることで見識が広がりそう (30代男性、呼吸器内科)
    • 緩和ケアを勉強しているから (40代女性、麻酔科)
    • 地方の病院に勤務していて、交通の便が悪く通院困難になりつつある高齢者がいるので手助けになれば良いと思う (70歳以上女性、一般内科)
    • 国の施策の大きな方針として在宅医療を推し進めている印象だから (20代男性、腎臓内科)
    • 高給でライフワークバランスがいいから (50代男性、脳神経外科)
    • スポットで入れやすそう (30代男性、心臓血管外科)
    • リタイヤ後の勤務先としては候補にあがる (50代男性、循環器内科)
    • 病院を引退したら、考えてもいいかもしれないので (50代男性、消化器内科)
    • バタバタした外来業務を離れて、1人1人と向き合う医療がしたい。 (50代男性、整形外科)
    • 自宅での患者さんの生活を見ながら診療できるから。 (50代女性、一般内科)
    • 人生の最後に立ち会えることへ興味があるから。 (50代男性、一般内科)
    • 在宅医療クリニックからのご紹介などやり取りが多いので、どういった診療体制なのか経験して理解を深めたい (30代女性、救命救急)

5位(人気):自由診療クリニック ~ 給与と新しい医療への期待

自由診療クリニックは、やはり給与水準の高さが大きな魅力として挙げられています。また、保険診療の枠組みを超えた医療の可能性に期待する声もありました。

    • ある程度まとまった収入がほしいため、医師の経験として (40代男性、総合診療科)
    • 給与が魅力的 (40代男性、リウマチ科)
    • 勤務してみたいが、医師賠償保険の適応外になるのは不安 (20代女性、神経内科)
    • 楽そう、ストレスが無さそうなので (50代男性、消化器内科)
    • 内容によっては専門分野でなくても働くことができそうだから。 (40代男性、小児科)
    • 保険診療が崩壊しつつある今、有能な医師が活躍するフィールドは保険診療ではなく自由診療だと思う。将来的には自由診療で保険診療と同じことをやることになると思われるため。 (40代男性、腎臓内科)
    • 精神科の保険治療の時間の制限を考えて自費とか英語外来なら自費はありと思う 美容ではない (40代女性、精神科)
    • どんな感じか知らないので経験してみたい (50代男性、一般内科)
    • いろんな経験を積みたいから。 (40代男性、呼吸器内科)

医師が興味を持っているその他の勤務先とは?

今回アンケートで意見を募った5つの勤務先以外で、医師が興味を持っている勤務先について聞いたところ、下記のような働き方が挙げられました。

病院以外の医療・介護施設勤務

    • 船舶での医療 (50代男性、麻酔科)
    • 南極越冬隊など,貴重な体験ができる勤務先 (60代男性、健診・人間ドック)
    • 療育機関 (50代男性、精神科)
    • 介護医療院 (60代男性、老年内科)
    • クリニック勤務医+自由診療スポットバイト (30代男性、小児科)
    • (自分が積極的にやりたいと思っている訳ではありませんが) オンライン診療には少し興味があります (60代男性、循環器内科)

公的機関・企業

    • 現在拘置所に勤務しておりますがとても興味深いです。今後、少年院や留置場なども機会があれば考えたいと思っています。 (60代女性、皮膚科)
    • 理化学研究所等の研究機関 国家公務員 (40代男性、脳神経外科)
    • 製薬会社、生命保険会社、医療機器メーカー (40代女性、小児外科)

特殊な形で医師の知識を活用できる勤務先

    • 医療翻訳 (40代女性、リハビリテーション)
    • 医療訴訟のアドバイスとか (50代男性、放射線科)

医療に関係しない勤務先

    • 飲食店やアパレル (40代男性、消化器外科)
    • 農家 (40代男性、緩和ケア)
    • 各種相談機関での相談業務 (60代女性、精神科)

製薬会社や研究職に興味を示す医師が多かったほか、特殊なところでは船舶での医療やイベントの医療班など、疾患の治療とは少し離れたところで医療知識を活用したいと考える回答も多く寄せられました。

リゾート旅行への同行や好きなスポーツに関わる仕事など、業務に付随する楽しみを求める様子もうかがえます。

また、少数派ですがまったく医療とは関係のない仕事を選びたいという意見も挙がっていました。

まとめ

医師として初めて勤務する先は基本的に病院で、その後も多くの医師が病院での勤務を続けます。そのため、病院以外での勤務についてあまり触れる機会がなく、キャリアの選択肢から自然と外れているという医師も少なくないかと思います。

一方、今回のアンケートでは、病院以外で勤務経験のある医師の満足度はいずれも6割以上となっていました。

当たり前と思っていたキャリアの中で何か行き詰まりを感じた際には、思い切って病院以外での別の可能性を探すというのも良いのかもしれません。

 

【参考】回答者の属性

調査概要

調査内容 病院以外の医師の勤務先に関するアンケート
調査対象者 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 2025年6月21~30日
有効回答数 1,923件

 

年齢

年齢 回答数 割合
29歳以下 64

3.3%

30代 517

26.9%

40代 587

30.5%

50代 402

20.9%

60代 279

14.5%

70歳以上 74

3.8%

 

性別

性別 回答数 割合
男性 1,378

71.7%

女性 545

28.3%

 

診療科

現在の主たる診療科 回答数 割合
一般内科 253

13.2%

総合診療科 30

1.6%

消化器内科 100

5.2%

呼吸器内科 47

2.4%

循環器内科 67

3.5%

腎臓内科 29

1.5%

神経内科 33

1.7%

内分泌・糖尿病・代謝内科 56

2.9%

血液内科 19

1.0%

老年内科 27

1.4%

人工透析科 14

0.7%

リウマチ科 18

0.9%

一般外科 43

2.2%

消化器外科 59

3.1%

呼吸器外科 11

0.6%

心臓血管外科 9

0.5%

脳神経外科 39

2.0%

乳腺外科 14

0.7%

泌尿器科 48

2.5%

整形外科 112

5.8%

形成外科 34

1.8%

現在の主たる診療科 回答数 割合
美容外科 6

0.3%

小児外科 2

0.1%

眼科 59

3.1%

皮膚科 54

2.8%

耳鼻咽喉科 39

2.0%

精神科 148

7.7%

心療内科 8

0.4%

放射線科 45

2.3%

小児科 80

4.2%

産婦人科 65

3.4%

婦人科 26

1.4%

麻酔科 76

4.0%

救命救急 29

1.5%

ペインクリニック 4

0.2%

緩和ケア 7

0.4%

美容 27

1.4%

病理診断科 21

1.1%

在宅診療 24

1.2%

健診・人間ドック 57

3.0%

リハビリテーション 21

1.1%

上記以外 63

3.3%

 

地域

地域区分 回答数 割合
北海道・東北 164

8.5%

関東 773

40.2%

中部 281

14.6%

近畿 388

20.2%

中国・四国 120

6.2%

九州・沖縄 190

9.9%

不明・海外 7

0.4%

 

主たる勤務先

現在の主たる勤務先 回答数 割合
病院(大学病院以外) 922

47.9%

大学病院 203

10.6%

クリニック(勤務医) 452

23.5%

クリニック(開業医) 117

6.1%

一般企業 70

3.6%

介護施設 33

1.7%

休職中 44

2.3%

その他 82

4.3%

 

 

 

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