
医師の病院以外の勤務先施設として身近になりやすいのが健診施設です。特に健診が多いシーズンではアルバイト先として勤務する医師も多くなりますが、医師にとってはどのような特徴をもった勤務先なのでしょうか?
医師が健診施設で勤務するメリット・デメリットや向いている医師などをアンケートから見ていきます(回答者の属性)。
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医師の過半数が健診施設で勤務経験あり
アンケート回答医師のうち、健診施設でアルバイトも含めて勤務経験のある割合は下図のようになっていました。
「勤務している」が17.4%、「過去に勤務したことがある」が40.6%と、合わせて57.9%の医師が健診施設で勤務経験ありという結果になっています。
健診施設の医師の勤務先としてのメリット
医師の健診施設の勤務先としてのメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか?自由回答では、以下のようなものが挙げられました(回答の一部を紹介)。
- 
- 勤務時間が明確(40代女性、放射線科)
- ほぼ定時で終われる。定型業務でOK(50代女性、一般内科)
- 当直やオンコールがない(50代男性、一般内科)
- 勤務時間が比較的一定で、オンコールや当直はない(60代女性、一般内科)
- 勤務時間が決まっており、予定が立てやすい。(70歳以上男性、放射線科)
 時間通りに終わる・残業がない
- 
- その日限りの仕事であること(50代男性、小児科)
- 処方をしなくても良い(50代男性、整形外科)
- 責任が少ない、他科への忖度が少なく済むことが多い(30代男性、健診・人間ドック)
- 診療における緊張感はなく、プレッシャーは少ない。(60代男性、一般外科)
- 生死に関わるような緊迫感がない(40代女性、一般内科)
 精神的にラク・責任が重くない
- 
- アルバイトとしては楽で賃金がよい(50代男性、精神科)
- 業務内容の割に給与が良い(40代女性、産婦人科)
- 楽で給料が多い(40代男性、一般内科)
- たまたまかもしれないが、勤務したところの仕事量が少なく給与が良かった。(40代女性、脳神経外科)
- 短時間で比較的よい給与が稼げる、専門知識を必ずしも必要としない、予防医療に関わることができる(30代女性、精神科)
 業務のわりに給与・コスパが良い
- 
- 多くの方をチェックするので、多くの方を救う(50代男性、呼吸器内科)
- 働く世代の健康に寄与できる(40代女性、整形外科)
- 疾病の早期発見に貢献できる(70歳以上男性、健診・人間ドック)
- 未病を見つけることが出来る(50代男性、その他診療科)
- 生活習慣病以外に、よろず健康相談所として、健康課題を解決できる(60代女性、一般内科)
 病気の早期発見に貢献できる
- 
- 老人医療が少ない(50代女性、耳鼻咽喉科)
- 元気な人しか来ない(30代男性、皮膚科)
- 対象者に病人がいない(50代男性、消化器内科)
- 症状のない受診者が来院するので 気楽に診察・検査ができる(60代男性、産婦人科)
- 健常者が多いため対応しやすい(40代女性、腎臓内科)
 基本的に健康な人をみるので気楽
- 
- CXR, ECG診断を多数こなすことができて、経験値が上がる。(70歳以上男性、一般内科)
- レントゲン読影が得意になる(50代男性、一般内科)
- 時間が明確で予定がたてやすい。複数医療機関で契約することで、他施設の良い点を導入してスキルアップ出来る。婦人科検診など、新たなスキルを身につけて選択肢が広がった。(40代女性、健診・人間ドック)
- 内視鏡などの経験ができる(60代男性、消化器外科)
- 顔面、口腔・咽頭の視診や、頚部の触診、胸部聴診、下肢の浮腫の有無、手首での脈拍触診のスキルが向上した。(60代男性、耳鼻咽喉科)
 読影など特定の経験値が上がる
- 
- 働きやすい。感じの良い職員が多い。(60代男性、一般内科)
- 年齢に関係なく関与できる。内科医の高齢時の行先である。(70歳以上男性、リウマチ科)
- 時間が合えば隙間バイト的にできる(30代男性、病理診断科)
- 募集が豊富(50代男性、腎臓内科)
- 開業していると他の医師に会えるチャンスがないが、いろんな科の医師に会える(50代女性、循環器内科)
 その他
健診施設の医師の勤務先としてのデメリット
一方で、医師の健診施設の勤務先としてのデメリットとしては下記のようなものが挙げられました(自由回答の一部を紹介)。
- 
- 最新の医療から離れ、知識のアップデートがなされない(40代男性、脳神経外科)
- 臨床現場には戻れなくなりそう(50代男性、一般内科)
- 体力勝負ではあるが頭は使わないので、臨床力がどんどん落ちる。(40代男性、その他診療科)
- 健診施設のみでの勤務をすると医師としてのスキルが衰える(60代女性、婦人科)
- 健診業務ばかりしていると医学の進歩に取り残される(70歳以上男性、一般内科)
 臨床能力が落ちる・スキルアップしにくい
- 
- 役に立っている実感がない。(60代女性、一般内科)
- 深くふれあうことがなく面白くない(50代男性、一般内科)
- 医師としてのやりがいは乏しい。(60代男性、一般外科)
- 患者さんとのかかわりが薄い流れ作業のような仕事であり、あまり楽しくない(60代女性、一般内科)
- 患者さんが一期一会の関係なので、やりがいがない。毎日同じことの繰り返しでアップデートがない。(50代女性、循環器内科)
 仕事が単調で面白くない・やりがいがない
- 
- 不特定多数の方を短時間で診察しないといけない(50代男性、整形外科)
- とにかく「多くさばく」ことが求められる。仕事が単調。時にクレーマー対応が必要。(60代女性、一般内科)
- 時間の割に検診の数が多くしんどい(50代男性、麻酔科)
- 短い時間で患者をさばくので、適当になってしまう(30代女性、呼吸器内科)
- 100人以上の多数の診察のため、非常に疲れ、体力を要する(60代女性、神経内科)
 数をこなすのが大変・忙しい
- 
- 業務の割に給与が安い(30代男性、放射線科)
- スポットアルバイトで行きましたが、健診のバイトは毎週固定の勤務ではないので年収が計算出来ない。健診が無い時期もあるので。(50代男性、麻酔科)
- 健診には繁忙期と閑散期があり、冬場には仕事がなくなる。(50代女性、健診・人間ドック)
- ワーク・ライフ・バランスは良さそうだが、給与はあまり期待できない。(60代男性、その他診療科)
- ビジネス要素が強い。利益を上げる必要があるので、時間内にすべき業務が多すぎる。 しかし給与は低い。(50代女性、総合診療科)
 給与が安い・報酬が低い
- 
- 見落としが、怖い(30代女性、消化器内科)
- 見逃しがあってはならないため、慎重になる(50代女性、整形外科)
- 胸部X線などで見逃しからの訴訟の危険がつきまとう。(30代男性、一般内科)
- 見落としによる訴訟リスク(60代男性、一般内科)
- 短時間で多くの患者を見るため、見落としのリスクがある(30代男性、耳鼻咽喉科)
 見落としが怖い・訴訟リスクがある
- 
- 胸部の聴診で、セクハラしたと言われる。(50代男性、在宅診療)
- 運営が医療従事者でないことがあり、医療的な目線が抜けていることがある。(40代女性、健診・人間ドック)
- お客様として接しなければならない(50代男性、一般内科)
- 2診体制で、もう1人が働かない(40代男性、精神科)
- 男性の医師が女性を診察するときに、セクハラなどと言われないか心配(30代男性、リウマチ科)
 受診者対応や人間関係・体制が大変
- 
- 遠方までの移動があること(50代男性、小児科)
- 巡回が不規則(40代男性、健診・人間ドック)
- 5時起きがあたりまえ。車酔いしない体が必要。(60代男性、老年内科)
- 交通事情が悪い地域が多い印象。(40代女性、一般内科)
- 巡回バスでは、移動時間がかかる。(60代男性、耳鼻咽喉科)
 巡回や早朝移動が負担
- 
- 残業がほぼなし(50代女性、耳鼻咽喉科)
- 競合が増えているので競争が大変になると思う(40代男性、精神科)
- 女性医師が増えているので、求人のとりあいになりそう(30代男性、放射線科)
- 緊急対応が心配(50代男性、一般外科)
- 急に休めない(50代女性、一般内科)
 その他
健診施設に勤務経験のある医師の満足度は?
上記のようなメリット・デメリットがある中、健診施設に勤務した医師の満足度はどのようになっているのでしょうか?アンケートの結果は下図のようになりました。
「満足している」が23.3%、「どちらかといえば満足している」が52.0%と合わせて75.3%の医師が一定程度「満足」している状況です。
健診施設での医師の勤務に向き・不向きはある?
健診施設は幅広い医師が勤務していますが、向き・不向きはあるのでしょうか?健診施設に向いている医師について質問したところ、以下のような回答が寄せられました(自由回答の一部を紹介)。
- 
- プライベートの時間をしっかり取りたい(40代女性、放射線科)
- 家庭、私生活が多忙で、仕事にエネルギーを注ぎたくないひと(50代女性、一般内科)
- 残業を望まず、自分の生活を重視したい医師(40代男性、消化器外科)
- 育児や介護などで残業やオンコールができない医師(40代女性、産婦人科)
- 当直や待機もなく時間できちんと終わるので、子育て中の医師に向いている。(50代女性、婦人科)
 家庭やQOL優先。残業・当直なしで働きたい
- 
- 心身が疲弊して普通の診療からドロップアウトした医師(50代男性、精神科)
- 医療レベルが低くて他者からの尊敬がなくても、責任が少ない医療がいい人(30代男性、健診・人間ドック)
- 急性期に疲れ、精神的に楽に働きたい医師(60代男性、一般外科)
- 一時的に臨床の忙しさや命に直結するようなプレッシャーから離れて休みたい医師(30代女性、産婦人科)
- 急性期の患者を受け持ちたくない、入院患者を持ちたくない医師(40代男性、一般外科)
 臨床に疲れ、責任の少ないルーチンワークがしたい
- 
- 定年後の医師(40代男性、精神科)
- 定年後のセカンドキャリア(60代男性、放射線科)
- 第一線を退いた医師(50代男性、一般外科)
- 自分もだが、もう一線を引退した医師。(70歳以上男性、一般内科)
- お客様対応の出来る引退医師(40代男性、消化器内科)
 定年後・リタイア後のセカンドキャリア
- 
- 午前中だけ働きたい医師(50代女性、一般内科)
- フルタイムで働けない医師(50代男性、泌尿器科)
- 常勤が難しく時短やスポット勤務希望の医師。(60代女性、皮膚科)
- 出産後や子育て中のスポット勤務(40代女性、小児科)
- 主勤務先があり、バイトで行く医師(40代男性、内分泌・糖尿病・代謝内科)
 バイトやスポットで短時間だけ働きたい
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- 速度をこなせる医師(40代女性、内分泌・糖尿病・代謝内科)
- 短時間で要領よくさばくのが得意(40代男性、リハビリテーション)
- 受診者さんに丁寧に対応できる医師:臨床の感覚でちょっとでも横柄にすれば即座にクレームです。「オレは絶対病院には行かない!」という人も健診には来ます。
 診察の早い医師:診察が遅いと併診の医師へ受診者の数が流れ、嫌がられます。バス健診だと次の健診に向かわなければならないため診察が遅くて予定時間内に終わらないとシャレになりません。(30代男性、一般内科)
- 時間効率を意識できる医師(40代男性、小児科)
- 人の話を短くきりちゃっちゃと診察を回せる医師(30代女性、放射線科)
 テキパキと効率よく数をこなせる
- 
- 総合的に診察するのが得意な医師。(40代女性、精神科)
- 各科の基本的な臨床的知識と、十分なコミュニケーション能力がある医師(60代女性、一般内科)
- 一次予防に関心のある医師。(50代男性、一般内科)
- 予防医学に対して熱意のある医師。日々のルーチンワークの中にも予防医学の観点でアップデートをしていくモチベーションのある医師。(30代男性、消化器外科)
- 内科の知識と経験は必須。こなすだけのバイト感覚でやってほしくない(40代男性、一般内科)
 予防医学や総合的な知識に関心がある
- 
- 早起きが得意な人(50代女性、耳鼻咽喉科)
- サービス業を徹底できる人(40代女性、健診・人間ドック)
- 愛想が必要(30代男性、消化器内科)
- 専門用語を連発せずに、利用者の理解を最優先できる医師。(50代男性、循環器内科)
- 見落としをしない正確な判定を下せる医師(30代女性、産婦人科)
 その他
健診施設での勤務で医師の印象に残っているエピソード
短時間で多くの患者を診ることが多い健診施設ですが、勤務した医師はどのようなことが印象に残っているのでしょうか?以下のようなエピソードが寄せられました(自由回答の一部を紹介)。
眼瞼結膜貧血、腹部所見で腫瘤あり、胃がんを見つけたこと。やはり、充実感がある。 (60代女性、一般内科)
受診者が多すぎて、契約した勤務時間から1.5時間以上もオーバーして残業代なし。 (40代男性、リウマチ科)
血液検査で重篤な異常のある方がいて、こちらは医師・患者として対応したが、相手は患者としてではなく健診を受けに来ただけの人だったので、話が噛み合わなかった。 (40代男性、腎臓内科)
会社から、聴診は真似だけで良いですと言われた。 (50代男性、在宅診療)
午前午後の二か所拠点がある健診バイトで、午前中の終了時に終了の声掛けをされず、置いて行かれた(放置された)。昼休みがパーになった。 (40代男性、小児科)
自院の患者さんが受診者にいて、診察の時驚かれ、バイトしているのがバレた。 (50代女性、循環器内科)
巡回健診で長時間パイプ椅子は結構腰に堪えます。 (40代女性、健診・人間ドック)
これまでバセドウ病の患者さんを何人か見つけて治療に結びつけられたのはよかったと思います。 (50代男性、神経内科)
医師3人のはずが二人バックレて、応援が来るまで一人で対応してました…。 (50代女性、眼科)
説明に費やす時間は決められているが、利用者の理解に不安を感じた時には、数分程度延長して説明することを心掛けていたところ「今までで一番真面目に結果説明してもらった」と複数投書していただき、健診施設から感謝状をもらいました。 (50代男性、循環器内科)
【参考】回答者の属性
調査概要
| 調査内容 | 病院以外の医師の勤務先に関するアンケート | 
|---|---|
| 調査対象者 | 株式会社メディウェルに登録している医師会員 | 
| 調査時期 | 2025年6月21日~2025年6月30日 | 
| 有効回答数 | 1,923件 | 
年齢
| 年齢 | 回答数 | 割合 | 
|---|---|---|
| 29歳以下 | ||
| 30代 | ||
| 40代 | ||
| 50代 | ||
| 60代 | ||
| 70歳以上 | 
性別
| 性別 | 回答数 | 割合 | 
|---|---|---|
| 男性 | ||
| 女性 | 
診療科
| 現在の主たる診療科 | 回答数 | 割合 | 
|---|---|---|
| 一般内科 | ||
| 総合診療科 | ||
| 消化器内科 | ||
| 呼吸器内科 | ||
| 循環器内科 | ||
| 腎臓内科 | ||
| 神経内科 | ||
| 内分泌・糖尿病・代謝内科 | ||
| 血液内科 | ||
| 老年内科 | ||
| 人工透析科 | ||
| リウマチ科 | ||
| 一般外科 | ||
| 消化器外科 | ||
| 呼吸器外科 | ||
| 心臓血管外科 | ||
| 脳神経外科 | ||
| 乳腺外科 | ||
| 泌尿器科 | ||
| 整形外科 | ||
| 形成外科 | 
| 現在の主たる診療科 | 回答数 | 割合 | 
|---|---|---|
| 美容外科 | ||
| 小児外科 | ||
| 眼科 | ||
| 皮膚科 | ||
| 耳鼻咽喉科 | ||
| 精神科 | ||
| 心療内科 | ||
| 放射線科 | ||
| 小児科 | ||
| 産婦人科 | ||
| 婦人科 | ||
| 麻酔科 | ||
| 救命救急 | ||
| ペインクリニック | ||
| 緩和ケア | ||
| 美容 | ||
| 病理診断科 | ||
| 在宅診療 | ||
| 健診・人間ドック | ||
| リハビリテーション | ||
| 上記以外 | 
地域
| 地域区分 | 回答数 | 割合 | 
|---|---|---|
| 北海道・東北 | ||
| 関東 | ||
| 中部 | ||
| 近畿 | ||
| 中国・四国 | ||
| 九州・沖縄 | ||
| 不明・海外 | 
主たる勤務先
| 現在の主たる勤務先 | 回答数 | 割合 | 
|---|---|---|
| 病院(大学病院以外) | ||
| 大学病院 | ||
| クリニック(勤務医) | ||
| クリニック(開業医) | ||
| 一般企業 | ||
| 介護施設 | ||
| 休職中 | ||
| その他 | 
 
								 
					

 
				

 
		 
		 
                 
                    