医師の定年は何歳?医師が定年後のセカンドキャリアに抱える不安とは?―医師1,871名へのアンケート調査より―

医師は、一般的に何歳まで働くことができるのでしょうか?医師免許には年齢に関係する有効期限はありませんが、勤務医であれば勤務先の定年制度に従うことになります。
「現在の職場で、いつまで働き続けられる?」「年齢を重ねても医師として働き続けられる勤務先はある?」など、定年後のセカンドキャリアに関する不安を感じることもあるのではないでしょうか。

本記事では、会員医師1,871名へのアンケート結果をもとに、医師の定年制度の実態や、医師が定年後の働き方についてどう考えているのかを明らかにしていきます(回答者の属性)。

 

医師の定年は何歳?医師が定年後のセカンドキャリアに抱える不安とは?―医師1,871名へのアンケート調査より―

医師の「定年制度」の実態

主たる勤務先に医師の定年制度があるかどうか聞いたところ、「ある」と答えた医師が全体の54.8%、「ない」が30.3%、「わからない」が15.0%という結果でした。

回答者の主たる勤務先別に分析したところ、定年制度が「ある」と回答した医師の割合が最も高かったのは大学病院で、全体の82.7%を占めていました。逆に最も少なかったのはクリニック開業医で、4.8%となっています。

【勤務先別】主たる勤務先で医師の定年制度があるかどうか
主たる勤務先 ある ない わからない
病院(大学病院以外)

66.8%

21.2%

12.0%

大学病院

82.7%

6.6%

10.7%

クリニック(勤務医)

29.1%

45.7%

25.1%

クリニック(開業医)

4.8%

91.9%

3.2%

一般企業

46.0%

38.0%

16.0%

介護施設

20.0%

56.0%

24.0%

病院勤務では定年制度が設けられているケースが一般的で、クリニック勤務だと定年制度のある勤務先は少ないことがわかります。

また、回答した医師の居住地域による差はほぼ見られませんでしたが、年齢別でみると20~30代の医師では「ある」という回答がやや高い傾向がみられました。

【年代別】主たる勤務先で医師の定年制度があるかどうか
主たる勤務先 ある ない わからない
29歳以下      

67.6%

11.8%

20.6%

30代

59.7%

19.0%

21.3%

40代

57.9%

29.0%

13.1%

50代

54.9%

32.7%

12.5%

60代

46.6%

41.8%

11.6%

70歳以上

37.8%

43.3%

18.9%

若手医師ほど大学医局に所属している割合が高いことが関係しているものとみられます。

定年は何歳? 再雇用や勤務延長制度はある?

医師の定年年齢は65歳が主流

主たる勤務先において定年制度があると回答した医師に対し、定年と定められている年齢を聞いたところ、回答した医師の65.4%が「65歳」と答えました。次いで多かったのは「60歳」(25.3%)でした。

主たる勤務先別の定年年齢を調べると、いずれも65歳定年となっている医療機関が最も多くなっていますが、クリニックでは「60歳」と回答した医師の割合がやや高くなっています。


勤務先別:主たる勤務先で医師の定年制度に定められている年齢

医師の定年の年齢は、一般企業と比べて違いはあるのでしょうか。厚生労働省が取りまとめた「高年齢者雇用状況等報告」(2024年6月時点)によると、企業における定年制の状況は次のグラフの通りで、全企業のうち60歳定年としている企業が64.4%となっています。


企業における定年制の状況を示したグラフ

65歳定年が主流となっている医師と比べると、企業に勤める会社員は60歳定年の割合が多くなっていることが分かります。

ただし、2025年4月から高年齢者雇用安定法に基づき、一般企業でも65歳までの雇用確保が義務化されています。企業勤めの会社員も、医師の間で主流の定年年齢と同じ65歳まで現役で勤務する人が増えていくものとみられます。

「主たる勤務先で再雇用や勤務延長制度がある」医師は7割超

定年を迎えた医師の中には、意欲や技術があり現場に立ち続けることを望む医師もいます。医師不足が続く昨今、そういった医師に活躍してもらうことは、医療機関や地域医療にとっても大きなプラスになります。

医師が定年後も働き続けられる制度として、定年後の再雇用や勤務の延長に取り組んでいる医療機関はどれくらいあるのでしょうか。

主たる勤務先において定年後の再雇用や勤務延長の制度があるかどうかきいたところ、全体の75.7%が「ある」と答えています。

多くの医療機関で定年後の医師に引き続き働いてもらう選択肢を持っていることがわかります。

勤務先別にみると、大学病院以外の病院が78.8%と高く、次いでクリニック(勤務医)が60.3%となっています。

【勤務先別】定年後の再雇用や勤務延長制度などはあるか
主たる勤務先 ある ない わからない
病院(大学病院以外)

78.8%

6.9%

14.3%

大学病院

39.3%

27.0%

33.7%

クリニック(勤務医)

60.3%

12.1%

27.6%

クリニック(開業医)

83.3%

16.7%

0.0%

一般企業

69.6%

13.0%

17.4%

介護施設

100.0%

0.0%

0.0%

また、医療機関ではありませんが一般企業でも69.6%と高い傾向がみられています。一方、大学病院は定年制度がある病院が多いものの、定年後も医師を雇い続けるための制度は39.3%と低くなっていることが分かりました。

さらに「わからない」という回答も33.7%と多く、そもそも大学病院に勤めている医師が定年後の再雇用や勤務延長制度にそこまで興味を持っていない可能性も考えられます。

【自由回答】「病院の若返りを阻害」「実力があれば定年は不要」医師の定年制度への受け止め

医師が自身の主たる勤務先で定められている定年制度についてどう思っているのか、自由回答から引用してご紹介します。

定年後の待遇の変化について

    • 60歳で給与を大幅カットして5年延長、65歳でまた大幅カットして1年契約。70歳になったら、どうなるかわかりません。現在70歳以上の医師多数在籍ですが、給与カットされたのか不明です。年々できる仕事量が減っているのでカットされても妥当と思います (60代男性、一般内科)
    • 定年で一度篩にかけるにはいいと思うが、続けて欲しいのに嘱託として給料を年々下げるのは悪質だと思う (60代男性、消化器外科)

定年制度に賛成する意見

    • 定年後の先生が急性期病院で再雇用になると、病院の若返りを阻害している (30代男性、救命救急)
    • 必ずしも65歳である必要はないが、明らかに診療能力が衰えてきている先生に穏便に退いてもらえるような仕組みは作るべきだと思う (30代女性、血液内科)
    • 高齢医師に対して、能力に応じて報酬を決める効果があるため、定年制と再雇用の組み合わせは必要と思う。無能な高齢医師が漫然と雇用され続ける制度はやめてほしい。尻ぬぐいさせられるので迷惑である (50代男性、精神科)

能力に応じて年齢関係なく働ける環境を求める声

    • 定年制度はない方が助かる。定年後の能力は人によると思います (60代男性、循環器内科)
    • 実力があって必要な先生の定年後勤務には賛成です (30代男性、救命救急)

高齢になっても働き続けることへの不安・不満

    • 基本的に定年で退職のようだが、どうやって雇用が延長されたり、嘱託になっているのか、かなり曖昧な印象 (50代男性、脳神経外科)
    • いくつまで勤められるか不安もある (60代男性、老年内科)
    • 長く働きたくない (40代男性、一般内科)

その他

    • 勤務医で働きたい人は働いていい制度にしてほしいが、ずっと居座って老害になっている医師もいる。ただ、外科医が一斉に定年退職すると外科の世界はどうなるのか、不安である (40代男性、救命救急)
    • もうすでに常勤で働けているとはいえない高齢医師が、他の医師・スタッフに迷惑をかけているのは問題なので、今後は、定年制だけではなく、高齢医師の資格更新制度を導入すべきと思う (60代男性、一般内科)

医師は何歳まで働きたいと考えている?

定年制度では65歳が一般的となっていますが、医師自身は何歳まで働き続けたいと考えている人が多いのでしょうか?
アンケートでは「65歳」以上と回答した医師が計78.8%と、医師の8割近くが65歳以降も働く意欲を持っていることが分かりました。

回答を年代別にみてみると、年代があがるごとに「可能な限り働きたい」と回答する医師の割合が増加していることがみてとれます。


医師として何歳まで働き続けたいかの回答結果を医師の年代別に示すグラフ

若手医師は定年後のキャリアを具体的に想像しづらいことや、長く医師を続けていく中で医療に貢献する思いが強くなることなどが考えられます。

現役バリバリ?ゆったりマイペース?定年後・65歳以降の理想の働き方と転職市場

医師が定年後に重視するのは”業務負荷の重さ・忙しくないこと”

激務の若手~中堅医師世代を経て、定年後にも医師として働き続ける場合、医師はどのような働き方を理想としているのでしょうか?
65歳以上、もしくは定年後に働くうえで最も重視することについてきいたところ、「業務負荷・忙しくないこと」という回答の割合が最も多く62.9%でした。

65歳以上、もしくは定年後に重視する働き方の条件(複数回答) 回答数 割合
業務負荷・あまり忙しくない勤務 927

62.9%

業務内容・やりがい 760

51.6%

勤務日数・勤務時間 745

50.5%

勤務する地域 740

50.2%

給与・年収 662

44.9%

役職 69

4.7%

 

一方で、次に多かった回答は「業務内容・やりがい」(51.6%)となっています。体力面で負担の大きい業務を減らしつつ、積み重ねてきた経験や知識を活かせる、充実した働き方を望む医師が多いとみられます。

定年後の理想の勤務先にクリニックを選ぶ医師が4割超

また、定年後にどんな種別の勤務先で働きたいかという質問では、開業と勤務を合わせてクリニックが43.6%と最多でした。続いて病院(35.5%)、介護施設(9.0%)が挙げられています。

開業の道を希望する医師と、老健など介護施設を選んだ医師が1割程度となっています。また、その他には一般企業や健診、アルバイト中心のフリーランスなどが含まれています。

定年後の医師の勤務先、実態は?

では、実際に定年後のキャリアを歩んでいる医師の勤務先の実態はどうなっているのでしょうか。

2022年の医師・歯科医師・薬剤師統計をもとにまとめたところ、クリニックで働く医師が多いなど全体的な傾向として大きなずれはないものの、いくつか異なるポイントがみられました。

65歳以上の医師の主な勤務先
年齢層 病院 クリニック(勤務医) クリニック(開設者または代表者) 介護施設 その他
65歳~69歳

38.4%

11.4%

43.9%

2.0%

4.3%

70歳~74歳

31.4%

13.6%

47.3%

3.4%

4.4%

75歳~79歳

29.3%

17.3%

43.3%

4.9%

5.1%

80歳~84歳

26.8%

21.6%

36.2%

6.7%

8.6%

80歳以上

18.4%

27.6%

30.9%

5.9%

17.1%

合計

32.7%

14.9%

43.3%

3.5%

5.7%

医師へのアンケート結果では、クリニックで働きたいと考えている医師が全体の4割強いました。実際には、クリニックで働いている医師の割合は各年齢層でいずれも5割を超えていることがわかります。

内訳として、アンケートでは開業よりも勤務医として働きたいという声が多くなっていたのに比べて、実情は開設者や代表者、つまり開業医の割合が多くなっています。

また、介護施設に勤務する医師は、各年齢層で1割に満たない現状が見て取れます。

【コンサルタントに聞く】医師が定年前後の勤務先を選ぶ時の3つのコツ

60代以上の医師が転職の成功を目指すときには、押さえるべき3つのポイントがあります。定年前後の医師の転職を数多く支援してきたメディウェルのコンサルタントに聞きました。

1.転職市場を把握し、自身の希望に照らして納得いく着地点を探る

65歳以上のベテラン医師のご転職先として多く、また現実的な選択肢として下記の2つの例が挙げられます。

老健などの
介護施設
働き方が緩やかで、ご高齢の先生でも長期的に働くことが可能です。80代以降も勤務を続けていらっしゃる先生もいます。
療養型病院の
病棟管理業務
ご担当の診療科にもよりますが、内科など幅広い患者さんを見ることができる場合は、ご高齢の先生と相性の良い勤務先だといえます。

一方で、働き方を緩やかにすると、収入面で現状を維持することが難しくなる傾向があります。また、臨床継続を強くご希望の場合、クリニックの外来勤務など選択肢はありますが、求人の絶対数はどうしても限られてしまうのが実情です。

こういった転職市場を把握したうえで、ご自身のご希望とすり合わせて、ご納得いただける選択肢を考えていくことが大切です。

2.これまで築き上げてきた人脈や経験を活用する

一般的に医師が転職活動をする中では、面談などに進まなければ、医療機関側が先生の現状やご希望を直接知る機会は限られてしまいます。ご高齢の先生の場合、年齢だけを理由に面談まで行きつかないというケースも残念ながら少なくありません。

互いに全く知らない転職先とのやりとりを目指すよりも、これまでに築いてきた人脈を生かして知人や友人を頼るほうが、先生の能力やお人柄がすでに伝わっていることから、年齢が選考の障壁になりにくいこともあります

ただし、知人を介した転職は条件面での取り決めがあいまいになりやすく、後々契約内容の認識のずれが発覚するなど、「こんなはずではなかった」と後悔する事態にもつながりかねない側面を持っています。

大切な人間関係に影響を与えるリスクを避け、転職後に希望とのギャップが起きづらい形で転職活動を進めるためには、条件交渉や契約内容の確認を代行してくれる紹介会社の活用など、他の手段を検討することも必要かもしれません。

3.「5年、10年先を見据えたキャリアプラン」を立てる

65歳を迎えられる先生方の中には、体力や診療能力にまだまだ衰えが見えない方も多く、臨床を離れて緩やかな働き方にシフトすることへの抵抗感をお持ちの先生が一定程度いらっしゃいます。

しかし、ご高齢になってからのご転職は、長くご勤務いただくことを見通したキャリアプランの設計が特に重要です。臨床現場へのご転職を果たしたとしても、70代に入り体調の変化から再度転職を余儀なくされ、結果としてさらなるご負担がかかってしまうということも考えられます。

だからこそ「5年先、10年先も同じ勤務先で同じように働いていけるか」という視点をお持ちいただくこと、70代後半までを見通した勤務先選びをおすすめしています。

【キャリアプラン例】常勤先として週に3~4日は老健施設で勤務。同時に週1~2日はクリニック外来業務の定期アルバイト勤務をする

無理なく臨床現場に立ち続けながら、業務負担を減らすことを目指したご提案です。このようなケースだと、ご年齢を重ねて体力的に臨床現場に立ち続けることが難しくなってきた場合でも、軸足を常勤先に移していくことが可能です。

定年後のキャリアを考える時は上記の3つのコツを押さえていただくと、ご自身の希望の見直しや具体的な転職活動の方法について、考えやすくなるかもしれません。

【自由回答】「生涯現役」「FIREして趣味に生きる」…私の定年後のキャリアプラン

医師が思い描いている定年後のキャリアプランについて、自由回答から引用してご紹介します。

可能な限り臨床を続ける

    • できる限り、患者さんと接していたい (70歳以上男性、麻酔科)
    • 医者は死ぬまで医者だと思っているので、死んでから免許を返納してくれと言っています。定年のない職場ですが、日常診療に支障が出るほど衰えたら長くは生きられないだろうなと思っています。それくらい生命を絞って頑張ろうと。(60代男性、一般内科)
    • ずっと手術していたい (40代男性、整形外科)

無理のない働き方に変えていく

    • 60歳以降は第一線を退き、非常勤勤務をしながら、家族とマイペースに過ごしたいです (40代女性、麻酔科)
    • まずは68歳くらいまでフルタイムで働き、それ以降は自分のモチベーションや体力、生活費を考えながら、段階的に調整する (60代男性、放射線科)

開業・事業承継する

    • 早めに開業する (30代女性、呼吸器外科)
    • 自分は親の跡を継いでクリニックを経営することになります。親が作った赤字を精算しある程度余力を残した状態で閉院もしくは継承をしたいです (40代女性、内分泌・糖尿病・代謝内科)
    • 後10年はプレイングマネージャーとして自身のクリニックで働いていたいが、60後半で雇われる側のみで経営を気にせず働きたい (50代男性、泌尿器科)

引退する・趣味を楽しむ

    • 50〜60程度で仕事を引退して悠々自適な生活がしたいです (30代男性、麻酔科)
    • 定年後は日本中を転々と旅行しながら美味しいものを食べたい (40代女性、産婦人科)
    • NPO 法人を立ち上げて猫のために生きたい。もう人間はこりごりです (50代女性、皮膚科)
    • 趣味主体の生活を送ってみたい (50代女性、在宅診療)

社会貢献したい

    • 臨床の第一線からは離れるかもしれない。健診や産業医など、自分にできることで社会に貢献していければと思っている (60代女性、一般内科)
    • 余生を謳歌するとともに地域医療に微力ながら貢献したい (30代女性、循環器内科)
    • 仕事は辛いけど、生き甲斐でもある。しっかり知識と技術を保ち、自分が役に立てる状態を保ちたい (50代女性、一般内科)

金銭面から働かざるを得ない

    • 働き続けたい、というか、働けるうちは働かないと生活が成り立たないかと思います。年金はじめ、国の制度には全く期待できませんし… (40代女性、健診・人間ドック)
    • iDeCoの退職金をいただいてから退職金をもらわないといけないのでそれまで勤務しないといけなくなった (40代女性、精神科)
    • 年金だけではとても生活できない (60代男性、総合診療科)

医師が抱えるシニア時代のキャリアへの不安とは?

定年後も働き続けられる制度が約7割の勤務先にあり、医師自身も約8割が長く働きたいと考えている中でも、やはり定年の年齢を超えて仕事を続けることは簡単ではありません。
定年後に働くうえでの懸念点を聞いたところ、圧倒的に多かった回答が「自身の体力・健康」(70.2%)でした。

65歳以上、または定年後に働いていくうえで不安なこと(複数回答) 回答数 割合
自身の体力・健康 1,035

70.2%

長く勤務できる職場が見つかるか 675

45.8%

家庭・プライベートの環境 370

25.1%

最新の治療や医学情報へのキャッチアップ 370

25.1%

不安に思うことはない 122

8.3%

その他 15

1.0%

医師の判断は患者の健康に関わるので、医師として働き続けるうえで判断力や日々進歩する医療知識を維持することは欠かせません。診療科によっては長時間拘束されたり、緻密な手技を求められたりすることもあります。医師自身が健康でなければ、高齢になっても働き続けることは難しいでしょう。

次いで不安を覚える医師が多かったのが「長く勤務できる職場が見つかるか」(45.8%)でした。医師不足が叫ばれる昨今でも、年齢を理由に「安定して長期間働けないのではないか」と医療機関側から雇用を敬遠されるケースがないわけではありません。働きたくてもどのように勤務先を見つけたらいいかわからない、と心配する医師が約半数もいるのです。

こうした不安を解消し、先生の体力やご希望に合った働き方ができる環境を探すには、情報収集がカギとなります。特に年齢を重ねてからの転職は、豊富な求人数や多数の医療機関とのつながりを持つ紹介会社の活用が有効です。

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【自由回答】医師の定年について医師はどう考えている?

医師の定年制度全体について、アンケートに寄せられた自由回答を紹介します。

能力・健康に基づく判断の必要性

    • 周囲の先生を見ていると、70歳近くなるとやや古い医学知識で診療を行っているケースが見られるので、一定の区切りを自覚することは必要だと思う。ただ個人差があり、一律の定年ではとらえられない (60代女性、一般内科)
    • 70歳ぐらいまでは健康で患者と会話ができ、診断に狂いがなければ医師は続けられると思っている (50代男性、泌尿器科)
    • 引き際が大事だと思う。自身の健康や認知症を疑う状態でも、偉そうに居座り、所謂老害にあたる医師が、古い知識のまま患者に接しているのをたくさん見かけます。側から見ていて診療に携わるのは危ないと思います。それでもなかなか辞めさせられない現場も問題だと思います (40代女性、内分泌・糖尿病・代謝内科)
    • 世間一般の定年が自分が働くのを終える年齢に合っているとは限らないので,時期をみて体力的・技術的に働くことが可能なのかを冷静に自己分析して決めたいと考えている (40代男性、麻酔科)
    • 技術的なピークを過ぎたら手術は引退するべき。Dxについていけないなら診療を辞めるべき (50代女性、婦人科)

定年制度への賛否

    • 医師という責任ある職業についている以上、自分の都合のみで、ダラダラと年を重ねて働くべきではない。定年制は必要 (60代男性、一般内科)
    • ある程度必要。高齢の医師は新しい知識やガイドライン等に乏しいことが多い (40代女性、在宅診療)
    • 年齢に応じて定年を決めるのは良くない。個人差があるため (70歳以上男性、老年内科)
    • 医師に定年は不要と思う。知識も経験も豊富な医師や大学教授が65で定年になるのを大変勿体無いと思う (50代女性、皮膚科)
    • 60代はさすがに早いと思う (40代女性、内分泌・糖尿病・代謝内科)

制度・環境への意見・提言

    • 医師不足を解消するには定年後の医師の活躍が必要 (50代男性、乳腺外科)
    • 医師余り地域の定年は早く(55歳位)、医師不足地域の定年は遅く(75歳位)すると良いと思う (50代男性、病理診断科)
    • 今後、医師過剰になって、場合によっては早期退職も募集されることになるのではないかと感じる (40代男性、一般外科)
    • 医療過疎地なども含めて、セミリタイアした医師を生かしていくことを、今後雇用主は考えるべきではないかと思う (60代男性、麻酔科)
    • 総合病院では定年が設定されているケースが多く医師の平均年齢が低い一方で、小さい病院やクリニックの医師の高齢化が進んでいる。高齢医師によって町の一次医療が成り立っているようにも思われる。そうした病院の医療のガラパゴス化も心配だが、定年後の医師の望む働き方と一次医療の需要とが合致していると思う (40代女性、産婦人科)

後進への配慮・世代交代

    • 人口減少に入り、若手と職を争いたくないが、昨今の若手の気風をみると、ベテランを雇用された方がいいのではないかと思ったりもする (50代男性、脳神経外科)
    • ある程度歳を経たら後輩に道を譲り、働き方を変えていく必要があると思う。一方で、大学などである程度の立場になってしまうと引き際をあやまったのか老害と化しているDrもよく見る。医師としては明確な定年がないため、できる、と思ってしまうのだろうが上が居座れば、若手は育たない。ああはなりたくないと、常々思っている (40代男性、その他診療科)
    • 定年の延長は必ずしも好ましいことばかりではない。診療能力が疑わしい医師、働かない医師(昔は馬車馬のように働いたとしても)は、一旦早く退職させないと後進が可哀想 (70歳以上男性、一般内科)
    • 老兵はたた消え去るのみ。若い人の仕事をとる真似はやめた方が良いと思っている (50代女性、放射線科)

その他

    • 医師としてのパフォーマンスが落ちていないなら、年齢だけで再雇用のような減給はしてもらいたくない (40代男性、在宅診療)
    • 自分の年齢や能力に見合った職場をみつけることが大事だと思います (40代男性、リウマチ科)
    • 自分で働き方を決められるよう実力を身に着けたい (30代男性、整形外科)
    • 医師はサラリーマンと比べて個人差が激しいと思う。もともとの診療科、同一の診療科を続けるのか診療科を変えるのか、診療体制(大学病院から市中病院、クリニックや検診施設、病院でも急性期から療養まで、高齢者施設から保健所など)による柔軟な対応ができるのか否か、都市部なのか地方なのか、常勤なのか非常勤なのかなど、考慮すべき要素が多すぎるので、一般化するのは難しいと思います。その前提で強いて言うならば、70歳〜80歳の範囲で標準化されるのではないでしょうか (60代男性、放射線科)

まとめ

今回の調査から、多くの医師が医師として長く働きたいと願っていることが分かりました。

また過半数の医師の勤務先で定年制度が設けられていることや、そのうちの7割超で再雇用や勤務延長など長く働き続けられる制度が用意されていることから、ある程度年齢の線引きはあるものの、医療現場にはシニア世代の医師の活躍の場が多く存在すると推測できます。

一方で、医師は自身の定年前後のキャリアについて、体力面や勤務先が見つかるかどうかなどの不安を抱えていることも明らかになっています。

現在の職場の制度や環境下で、ご自身の思い描くキャリアプランは実現できそうでしょうか?もし少しでも不安や疑問に思うことがあるならば、希望に合った働き方を実現するために転職を考えることも効果的な一手となるかもしれません。

まずはご自身が何歳まで、どんな環境で医師として働きたいか、今一度キャリアプランを考えてみてはいかがでしょうか。

 

【参考】回答者の属性

調査概要

調査内容 医師の定年に関するアンケート
調査対象者 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 2025年2月17~26日
有効回答数 1,871件

 

年齢

年齢 回答数 割合
29歳以下 34

1.8%

30代 422

22.6%

40代 549

29.3%

50代 441

23.6%

60代 335

17.9%

70歳以上 90

4.8%

 

性別

性別 回答数 割合
男性 1,387

74.1%

女性 484

25.9%

 

診療科

現在の主な診療科 回答数 割合
一般内科 225

12.0%

総合診療科 34

1.8%

消化器内科 105

5.6%

呼吸器内科 47

2.5%

循環器内科 66

3.5%

腎臓内科 24

1.3%

神経内科 36

1.9%

内分泌・糖尿病・代謝内科 42

2.2%

血液内科 18

1.0%

老年内科 28

1.5%

人工透析科 11

0.6%

リウマチ科 12

0.6%

一般外科 39

2.1%

消化器外科 57

3.0%

呼吸器外科 21

1.1%

心臓血管外科 18

1.0%

脳神経外科 54

2.9%

乳腺外科 11

0.6%

泌尿器科 40

2.1%

整形外科 105

5.6%

形成外科 31

1.7%

現在の主な診療科 回答数 割合
美容外科 3

0.2%

小児外科 7

0.4%

眼科 52

2.8%

皮膚科 51

2.7%

耳鼻咽喉科 36

1.9%

精神科 147

7.9%

心療内科 6

0.3%

放射線科 51

2.7%

小児科 79

4.2%

産婦人科 74

4.0%

婦人科 17

0.9%

麻酔科 90

4.8%

救命救急 23

1.2%

ペインクリニック 1

0.1%

緩和ケア 12

0.6%

美容 22

1.2%

病理診断科 23

1.2%

在宅診療 18

1.0%

健診・人間ドック 53

2.8%

リハビリテーション 22

1.2%

上記以外 63

3.4%

 

地域

地域区分 回答数 割合
北海道・東北 157

8.4%

関東 761

40.7%

中部 251

13.4%

近畿 394

21.1%

中国・四国 126

6.7%

九州・沖縄 178

9.5%

不明・海外 4

0.2%

 

主たる勤務先

現在の主たる勤務先 回答数 割合
病院(大学病院以外) 1,004

53.7%

大学病院 197

10.5%

クリニック(勤務医) 398

21.3%

クリニック(開業医) 124

6.6%

一般企業 50

2.7%

介護施設 25

1.3%

休職中 27

1.4%

その他 46

2.5%

 

 

 

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