
自分の方が責任のある仕事をしているはずなのに給料は同僚の方が高い
仕事量が増えたのに年収は以前と変わらない
今の報酬には自分の専門性やスキルが全く反映されていない
収入はもちろん多いに越したことはないですが、少なくとも自分の仕事に見合った給与が支払われているかどうかということは、職場への満足度に大きく影響します。これには、報酬の決定される基準が深く関わってきます。
それでは医師の場合、支払われる給与はどのように決められているのでしょうか?また、医師にとって満足度の高い報酬の決まり方とはどのようなものになるのでしょうか?2025年の医師へのアンケート調査をもとに見ていきます(過去調査:2019年アーカイブ)。
目次
医師の年収の状況
まず、医師によって年収はどれぐらい異なるのでしょうか?アンケートの結果は下表のようになっています(副業・アルバイト込みの年収)。
| アルバイト・副業込みの医師年収 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 800万円未満 |
167 |
8.13% |
| 800万円以上1,000万円未満 |
137 |
6.67% |
| 1,000万円以上1,200万円未満 |
194 |
9.44% |
| 1,200万円以上1,400万円未満 |
186 |
9.05% |
| 1,400万円以上1,600万円未満 |
260 |
12.65% |
| 1,600万円以上1,800万円未満 |
213 |
10.36% |
| 1,800万円以上2,000万円未満 |
235 |
11.44% |
| 2,000万円以上2,200万円未満 |
211 |
10.27% |
| 2,200万円以上2,400万円未満 |
111 |
5.40% |
| 2,400万円以上2,600万円未満 |
112 |
5.45% |
| 2,600万円以上2,800万円未満 |
44 |
2.14% |
| 2,800万円以上3,000万円未満 |
37 |
1.80% |
| 3,000万円以上 |
148 |
7.20% |
医師で最も多い年収は1,400万円~1,600万円で中央値で見ると1,700万円となっていますが、800万円未満の医師が8.13%、また3,000万円以上が7.20%と年収の幅もかなり広くなっているといえます。
医師の給与はどのように決まっているのか?
医師の給与が決定される基準について、「医師年数」、「勤務時間」、「経営層の判断」、「スキル」、「業務量」、「出来高払い(患者数や診療報酬に応じて変動)」の6つから医師にアンケートを実施したところ、下図の結果となりました。
「反映されている」「どちらかといえば反映されている」の回答割合が大きい順に、勤務時間(56.9%)、医師年数(53.0%)、経営層の判断(50.3%)、スキル(35.3%)、業務量(33.2%)、出来高払い(17.7%)となっています。
勤務時間は前回調査(2019年)では37%だったため、反映されている割合は高くなってきています。医師の働き方改革や、子育て中の女性医師の増加などもあって、より勤務時間と報酬を連動させるようになってきているのかもしれません。
また医師年数に関しては、ウェブ上に掲載されている医師の求人でも、目安となる年収に対して「医師5年目○○万円、医師10年目○○万円」と年数が基準となることが多くなっています。現状も医師の給与は年功序列の面が比較的強いといえます。
医師にとって満足度の高い報酬体系は?
それでは、医師にとって満足度の高い報酬体系とはどのようなものなのでしょうか?上記で医師が回答した「年収に反映されている基準」と、「年収への満足度(現在の年収が見合っているかどうか)」を掛け合わせて調べたところ、下表の結果となりました※1。
| 項目 | 医師の年収への満足度(4点満点) | ||
|---|---|---|---|
| 反映されている | 反映されていない | 満足度の差 | |
| 医師年数 | 2.91 | 2.63 |
0.28 |
| 勤務時間 | 3.01 | 2.39 |
0.62 |
| 経営層の判断 | 3.00 | 2.40 |
0.60 |
| スキル | 3.17 | 2.42 |
0.75 |
| 業務量 | 3.19 | 2.40 |
0.79 |
| 出来高払い | 3.13 | 2.66 |
0.47 |
「業務量」が年収に反映されている場合に年収への満足度は0.79ポイントと高くなっており、次いで「スキル」が年収に反映されている場合も同様に0.75ポイント満足度が高くなっています。
さらに各項目について年収への満足度との関連をスピアマンの順位相関係数及びP値の分析を実施したところ、下記のような結果となりました。
| 順位 | 評価項目 | 相関係数 | P値 (有意確率) |
|---|---|---|---|
| 1位 | 業務量 |
0.383 |
<0.001 |
| 2位 | スキル |
0.366 |
<0.001 |
| 3位 | 勤務時間 |
0.288 |
<0.001 |
| 4位 | 経営層の判断 |
0.244 |
<0.001 |
| 5位 | 出来高払い |
0.205 |
<0.001 |
| 6位 | 医師年数 |
0.142 |
<0.001 |
それぞれの評価項目で「P<0.001」と有意に満足度と関連していました。特に業務量が0.383と最も相関係数が高くなっており、スキルも0.366と相関係数が次いで高くなっている状況です。
上記を踏まえると、特に「業務量」と「スキル」が反映される報酬体系であると、医師にとって年収への満足度が高くなると考えられます。
スキルや業務量が年収に反映されているのは3~4割と、医師においてはまだ少ない状況ですが、インセンティブ制を導入する、資格手当を設けるなどできる限り業務量やスキルを反映しようとしている医療機関もあります。
医師の求人において年収の多い・少ないといったことはすぐ目にとまりますが、長期間満足して働けるような職場を探す際には、「どのようなことが評価される職場なのか」「どのようにして報酬が決まっているのか」ということも加味した上で、自分を適切に評価してもらえるような職場を選ぶことも大切なポイントといえます。
<注>
※1 「反映されている」は「どちらかといえば反映されている」も含み、「反映されていない」には「あまり反映されていない」も含む。また、年収への満足度は「見合っている」(4点)、「どちらかと言えば見合っている」(3点)、「あまり見合っていない」(2点)、「見合っていない」(1点)の4点満点での平均点数。
