診療科ごとに専門医資格の価値は異なる?―医師2,090人のアンケート調査より―

若手医師の大半は専門医資格の取得を目指しますが、取得のためのコストや取得後のメリットについて現実的に考えるうちに、「専門医ってキャリアで本当に必要なの?」と思うこともあるでしょう。そして、こうした事情は診療科によっても異なってくると考えられます。

実際のところ、専門医資格の取得状況や、メリットの感じ方には、診療科によって大きな違いがあるようです。この記事では、医師の方々へのアンケート結果を基に、診療科ごとの専門医資格との向き合い方のリアルな違いをデータから紐解いていきます。(回答者の属性)。

 

診療科ごとに専門医資格の価値は異なる?―医師2,090人のアンケート調査より―

 

診療科別にみる専門医資格の取得状況とメリットの実態

まず、専門医資格の所持率と取得経験について聞いたところ、医師の78%が現在専門医資格を所持していることが分かりました。


専門医資格の取得経験と現在所持しているかどうか

上記回答について、診療科ごとに「専門医資格の所持率」、「専門医のメリットが取得や更新の労力・費用に対して『見合う』と回答した医師の割合」、「複数の専門医資格を取得している医師の割合」をまとめたところ、下記の表のとおりとなりました。

現在の主たる診療科 専門医資格の所持率 (専門医所持者のみ)取得や更新の労力・費用に対してメリットが「見合う」 (専門医所持者のみ)複数専門医を取得している
一般内科

59.2%

34.1%

60.3%

総合診療科

60.0%

54.2%

45.8%

消化器内科

94.1%

43.2%

95.5%

呼吸器内科

85.2%

50.0%

78.3%

循環器内科

89.4%

31.6%

85.5%

腎臓内科

89.7%

50.0%

84.6%

神経内科

87.5%

35.7%

64.3%

内分泌・糖尿病・代謝内科

88.7%

53.2%

70.2%

血液内科

84.6%

63.6%

68.2%

老年内科

73.9%

58.8%

58.8%

リウマチ科

93.8%

60.0%

80.0%

一般外科

77.6%

28.9%

76.3%

消化器外科

94.9%

22.7%

85.3%

心臓血管外科

93.3%

50.0%

78.6%

脳神経外科

92.5%

59.5%

51.4%

泌尿器科

80.0%

55.0%

37.5%

整形外科

87.1%

46.3%

32.4%

形成外科

88.6%

46.2%

30.8%

眼科

71.0%

34.1%

4.5%

皮膚科

67.7%

38.6%

11.4%

耳鼻咽喉科

94.2%

34.7%

16.3%

精神科

71.8%

37.6%

22.4%

放射線科

77.8%

64.3%

33.3%

小児科

88.9%

45.3%

50.0%

産婦人科

86.1%

54.4%

39.7%

婦人科

100.0%

63.2%

47.4%

麻酔科

74.0%

40.3%

26.0%

救命救急

81.6%

40.0%

62.5%

美容

20.0%

50.0%

50.0%

病理診断科

94.1%

56.3%

81.3%

在宅診療

47.1%

62.5%

75.0%

健診・人間ドック

35.0%

50.0%

57.1%

リハビリテーション

66.7%

65.0%

50.0%

上記以外

62.7%

37.8%

67.6%

※回答数15未満の診療科については省略

専門医所持率が最も高いのは婦人科、低いのは美容

アンケート調査によると、「婦人科」(100.0%)、「消化器外科」(94.9%)、「耳鼻咽喉科」(94.2%)、「消化器内科」「病理診断科」(94.1%)などでは、実に9割以上の医師が専門医資格を所持していると回答しました。これらの診療科では、専門医資格を持つことが診療を行う上でのスタンダード、あるいは必須の要件と見なされている状況がうかがえます。

その一方で、「美容」(20.0%)や「健診・人間ドック」(35.0%)、「在宅診療」(47.1%)といった診療科では、専門医を所持する医師は半数にも満たない結果となりました。また、「一般内科」においても59.2%と、約4割の医師が専門医資格を所持していません。

専門医取得・維持に見合うメリットを感じている医師が多いのはリハビリテーション科

資格取得にかかる労力やコストに対して、医師はどの程度メリットを感じているのでしょうか。

「十分見合っている」「どちらかというと見合っている」と回答した医師の割合が高い診療科として、「リハビリテーション科」(65.0%)、「放射線科」(64.3%)、「血液内科」(63.6%)などが上位に並びました。

これらの診療科では、専門医であること自体が診療の質や信頼性に直結し、医師自身もその価値を強く実感しながら日々の業務にあたっている様子がうかがえます。

専門医資格の価値は、単に「持っているか」だけでなく、その専門性を臨床現場で「いかに活かせるか」が、メリットを実感する上での重要な鍵となりそうです。

複数取得の割合が多いのは消化器内科、少ないのは眼科

次に、取得した専門医資格の数に目を向けると、いくつかの診療科では複数の専門医資格を取得することが当たり前となっている現状が見えてきます。

特に「消化器内科」では95.5%、「循環器内科」では85.5%の医師が複数の専門医資格を取得していると回答しており、複数の資格を持つことがもはや当たり前となっているようです。これは該当の診療科において、基礎領域をベースに専門性を深めるサブスペシャルティ領域の資格を取得していくキャリアパスが一般的となっていることを示唆しています。

ここまで見てきたように、専門医資格の価値は、診療科によって「取得が必須か」「複数必要か」「メリットを実感できるか」といった点で大きく異なることがデータから明らかになりました。

では、なぜこのような差が生まれるのでしょうか。続いて、こうした状況の背景にある、診療科ごとの「専門医取得の難易度」や「取得要件」といった、より具体的な制度面に焦点を当てて分析していきます。

専門医取得の難易度と要件、診療科による違いとは?

合格率から見る専門医試験の難易度

専門医資格を取得する上で避けて通れないのが専門医試験です。2021年度~2023年度に実施された基本領域の年度別受験者数と合格率を見てみると、資格によって合格率にばらつきがある様子がみられます。

基本領域の年度別受験者数と合格率の一覧表
専門医名称 2021(R3)年度 2022(R4)年度 2023(R5)年度
受験者数 合格率 受験者数 合格率 受験者数 合格率
内科専門医 1,965

94.4%

2,495

90.0%

2,833

85.3%

総合内科専門医 5,062

71.9%

1,527

87.4%

小児科専門医 1,118

82.1%

799

78.1%

704

80.0%

皮膚科専門医 300

82.7%

330

80.9%

291

81.1%

精神科専門医 625

72.5%

587

72.4%

605

74.9%

外科専門医 289

90.3%

1,490

97.0%

878

96.9%

整形外科専門医 653

92.3%

586

90.4%

668

89.4%

産婦人科専門医 477

86.7%

476

87.0%

516

86.6%

眼科専門医 341

66.9%

392

90.6%

345

94.5%

耳鼻咽喉科専門医 236

83.5%

260

88.5%

293

88.4%

泌尿器科専門医 259

94.6%

264

92.8%

257

84.0%

脳神経外科専門医 258

82.2%

229

83.0%

259

78.0%

放射線科専門医 252

93.3%

247

93.9%

230

89.6%

麻酔科専門医 506

72.3%

697

71.6%

627

76.1%

病理専門医 136

83.8%

111

80.2%

108

83.3%

臨床検査専門医 12

83.0%

18

83.3%

16

87.5%

救急科専門医 405

89.3%

357

90.1%

336

89.8%

形成外科専門医 172

89.9%

162

92.5%

175

93.4%

リハビリテーション科専門医 136

92.6%

100

92.0%

129

90.6%

総合診療専門医 83

89.2%

267

88.8%

386

89.9%

基本領域専門医の平均 435

86.5%

519

87.2%

508

85.7%

令和6年度版日本専門医制度概報より
※「-」はコロナ禍等の影響で実施延期

基本領域の試験結果を見ると、精神科専門医や麻酔科専門医ではいずれの年度でも合格率が比較的低くなっており、取得しづらい側面がうかがえます。反対に外科専門医やリハビリテーション専門医は各年度で合格率が90%を超えていることがわかります。

続いてサブスペシャルティ領域の専門医試験についても同様のデータをご紹介します。

サブスペシャルティ領域の年度別受験者数と合格率の一覧表
専門医名称 2021(R3)年度 2022(R4)年度 2023(R5)年度
受験者数 合格率 受験者数 合格率 受験者数 合格率
消化器病専門医 1,678

87.1%

837

73.1%

859

87.0%

循環器専門医 1,447

88.7%

849

89.6%

610

92.1%

呼吸器専門医 390

80.3%

352

82.3%

342

86.8%

血液専門医 350

98.0%

136

88.9%

148

87.7%

内分泌代謝科専門医 212

87.3%

246

97.2%

168

97.0%

糖尿病専門医 349

70.4%

394

66.2%

312

76.6%

腎臓専門医 239

95.8%

266

97.7%

232

95.2%

肝臓専門医 365

91.8%

399

92.9%

345

94.5%

アレルギー専門医 485

96.9%

343

91.8%

275

90.9%

感染症専門医 113

73.5%

124

77.4%

92

75.0%

老年科専門医 180

99.4%

92

94.6%

104

95.2%

神経内科専門医 270

83.3%

272

80.9%

252

81.0%

リウマチ専門医 202

82.7%

142

83.1%

166

83.7%

消化器内視鏡専門医 1,519

75.3%

1,190

90.0%

940

93.6%

がん薬物療法専門医 95

80.8%

118

86.4%

98

78.6%

消化器外科専門医 900

88.2%

605

70.1%

557

80.6%

呼吸器外科専門医 93

83.9%

93

83.9%

93

87.1%

心臓血管外科専門医 152

77.0%

155

92.3%

127

89.0%

小児外科専門医 69

75.4%

41

75.6%

31

80.7%

乳腺専門医 143

79.7%

133

80.5%

134

81.3%

内分泌外科専門医 20

80.0%

22

81.8%

22

81.8%

放射線診断専門医 221

92.3%

250

90.4%

219

90.4%

放射線治療専門医 60

90.0%

66

92.4%

61

86.9%

放射線カテーテル治療専門医 62

79.0%

84

76.2%

84

81.0%

集中治療科専門医 265

83.0%

287

87.8%

300

83.3%

脊椎脊髄外科専門医 510

99.8%

184

98.9%

205

99.0%

サブスペシャルティ専門医の平均 401

85.9%

297

86.3%

260

86.6%

令和6年度版日本専門医制度概報より
消化器病専門医は、新型コロナ禍の影響で2024年度に2回実施。
初回に2020、21年度分の延期分、2回目に22年度分を実施している

こちらも資格や実施年度によってばらつきがありますが、糖尿病専門医の合格率が比較的低くなっているようです。一方で「老年科専門医(2021年度)」は99.4%、「脊椎脊髄外科専門医(2021年度)」は99.8%と、ほぼ全員が合格しているケースもあります。

診療科ごとの専門医数と、取得に必要な経験年数

試験の前段階である「申請資格」の要件も、診療科によって異なります。必要な症例数や論文の数、学会発表などその項目は多岐にわたりますが、今回は各診療科の専門医数と取得要件を満たすために必要な経験年数を一覧でまとめました。

基本領域の専門医数と取得要件を満たすために必要な経験年数
専門医資格名 学会認定専門医数 機構認定専門医数 取得までの年数
内科専門医 6,358名(総合内科専門医は42,448人) 6,358名 専門研修3年(卒後5年)以上
小児科専門医 712名 16,276名 専門研修3年(卒後5年)以上
皮膚科専門医 7,606名 2,376名 専門研修3年(卒後5年)以上
精神科専門医 3,879名 8,619名 専門研修3年(卒後5年)以上
外科専門医 22,957名 2,915名 専門研修3年(卒後5年)以上
整形外科専門医 2,787名 17,996名 専門研修4年(卒後6年)以上
産婦人科専門医 4,488名 10,809名 専門研修3年(卒後5年)以上
眼科専門医 11,344名 474名 ・2003年以前医師国家試験合格者:認定された研修施設で5年以上の眼科臨床研修
・2004年以降医師国家試験合格者:専門研修4年(卒後6年)以上
耳鼻咽喉科専門医 1,093名 7,541名 専門研修4年(卒後6年)以上
泌尿器科専門医 2,969名 4,084名 専門研修4年(卒後6年)以上
脳神経外科専門医 650名 7,292名 専門研修4年(卒後6年)以上
放射線科専門医 3,767名 4,575名 専門研修3年(卒後5年)以上
麻酔科専門医 1,902名 7,776名 専門研修4年(卒後6年)以上
病理専門医 335名 2,506名 専門研修3年(卒後5年)以上
臨床検査専門医 187名 454名 専門研修3年(卒後5年)以上
救急科専門医 5,943名 3,186名 専門研修3年(卒後5年)以上
形成外科専門医 572名 2,599名 専門研修4年(卒後6年)以上
リハビリテーション科専門医 290名 2,596名 専門研修3年(卒後5年)以上
総合診療専門医 658名 専門研修3年(卒後5年)以上

 

サブスペシャルティ領域の専門医数と取得要件を満たすために必要な経験年数
専門医資格名 学会認定専門医数 取得までの年数
消化器病専門医 23,899名 基本領域専門医を取得し、専門研修3年(最短で卒後7年)以上 ※基本領域により異なる
循環器専門医 17,260名 基本領域専門医取得後、専門研修3年(卒後8年)以上
呼吸器専門医 7,831名 基本領域専門医取得後、専門研修3年(卒後8年)以上
血液専門医 4,574名 基本領域専門医取得後、専門研修3年(卒後8年)以上
内分泌代謝科専門医 3,824名 基本領域専門医を取得し、専門研修3年(卒後7年)以上
糖尿病専門医 6,933名 基本領域専門医を取得し、専門研修3年(卒後7年)以上
腎臓専門医 6,375名 基本領域専門医を取得し、専門研修3年(卒後7年)以上
肝臓専門医 8,138名 ・2018年度以前の医師免許取得者:基本領域専門医を取得し、専門研修5年(卒後7年)以上
・2019年度以前の医師免許取得者:基本領域専門医を取得し、専門研修3年(卒後7年)以上
アレルギー専門医 5,121名 基本領域専門医を取得し、専門研修3年(卒後6年)以上
感染症専門医 1,795名 基本領域専門医を取得し、専門研修3年(卒後8年)以上
老年科専門医 1,736名 基本領域専門医取得後、専門研修2年(卒後7年)以上
神経内科専門医 6,725名 基本領域専門医を取得し、専門研修最短3年(卒後6年)以上
リウマチ専門医 5,248名 基本領域専門医を取得し、専門研修3年(最短で卒後5年)以上 ※基本領域により異なる
消化器内視鏡専門医 21,460名 ・2015年以前の医師免許取得者:基本領域専門医を取得し、専門研修5年(卒後7年)以上
・2016年~2019年医師免許取得者:基本領域専門医を取得し、専門研修4年(卒後6年)程度
がん薬物療法専門医 1,758名 基本領域専門医を取得し、専門研修最大3年(最短で卒後5年)以上 ※基本領域により異なる
消化器外科専門医 9,178名 外科専門医を取得し、専門研修4年(卒後6年)以上
呼吸器外科専門医 1,651名 外科専門医を取得し、専門研修3年(卒後6年)以上
心臓血管外科専門医 2,619名 外科専門医を取得し、専門研修3年(卒後7年)以上
小児外科専門医 765名 初期臨床研修後、専門研修3年を含む外科医歴通算7年(卒後9年)以上
乳腺専門医 1,838名 基本領域専門医を取得し、専門研修5年(卒後7年)以上
内分泌外科専門医 397名 基本領域専門医を取得し、専門研修3年(最短で卒後6年)以上 ※基本領域により異なる
放射線診断専門医 6,430名 放射線科専門医を取得後2年(卒後7年)以上
放射線治療専門医 1,430名 放射線科専門医を取得後2年(卒後7年)以上
放射線カテーテル治療専門医 1,252名 放射線診断専門医を取得し、専門研修2年以上
集中治療科専門医 2,770名 基本領域専門医を取得し、最短で専門研修2年(卒後7年)以上 ※基本領域により異なる
脊椎脊髄外科専門医 2,337名 基本領域専門医を取得し、専門研修2年(卒後8年)以上

「同一施設での週3日以上の勤務」の更新要件が壁に?麻酔科の事例

こうした要件の中でも、特に医師の働き方に直接影響するのが「勤務形態」に関する規定です。

例えば「麻酔科専門医」では、2019年に更新要件が「一つの医療機関に週3日以上勤務し、麻酔科関連業務に従事していること」と変更され、注目を集めました。

この規定は、質の高い医療を提供するために設けられたものですが、出産・育児などのライフイベントを機にフルタイム勤務が難しくなった医師や、多様な働き方を模索する医師にとっては、専門医取得を断念せざるを得ない高いハードルとなる可能性があります。キャリア形成の途上で柔軟な働き方を求める医師にとって、こうした勤務形態の縛りは切実な問題です。

専門医資格の難易度や取得までに必要な期間は、診療科や領域によって異なることがわかりました。

このほかにも、必要症例や学会発表など詳細な項目を含めると、取得・維持にかかるコストは資格によって大きく差が出てきます。

こうした取得のハードルの違いは、医師がその資格をどう捉え、どう活用しているかにも影響を与えているはずです。続いては、実際に医師たちがどのような種類の専門医資格を取得しているのか、医師のリアルな声に迫ります。

専門医資格の取り方から見る医師のキャリアの方向性

専門医資格の価値や取得のハードルは診療科によってさまざまですが、医師は実際にどんなバリエーションで資格を取得し、キャリアの軸としているのでしょうか。
複数資格を取得している医師に聞いた取得資格の回答事例をご紹介します。

「消化器外科学会、外科学会、大腸肛門病学会、内視鏡外科学会、消化器内視鏡学会、がん治療認定医」
(60代男性、消化器外科、クリニック勤務医)

「総合内科専門医、リウマチ専門医、腎臓専門医、糖尿病専門医、透析専門医」
(30代男性、在宅診療、クリニック勤務医)

「総合内科専門医、糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医、甲状腺専門医、人間ドック健診専門医」
(50代男性、内分泌・糖尿病・代謝内科、大学病院以外の病院勤務医)

「産婦人科専門医、遺伝、周産期、超音波」
(40代女性、産婦人科、クリニック勤務医)

脳神経外科、リハビリテーション、てんかん、脳波
(50代男性、脳神経外科、大学病院以外の病院勤務医)

病理専門医 細胞診専門医 分子病理専門医
(40代男性、病理診断科、大学病院以外の病院勤務医)

総合内科 アレルギー 小児科 救急 集中治療
(50代男性、総合診療科、大学病院以外の病院勤務医)

形成外科専門医 美容外科専門医 熱傷専門医
(50代男性、美容、クリニック勤務医)

緩和医療、呼吸器、アレルギー
(30代女性、緩和ケア、大学病院勤務医)

総合内科、消化器病、消化器内視鏡、肝臓病、プライマリケア連合学会
(60代男性、一般内科、クリニック開業医)

専門領域の中でさらに知識を深めるケースがほとんどですが、中には幅広い領域をカバーして総合的な診療能力を示すような取り方や、一部自身の専門領域からやや離れる資格を取得して定期非常勤勤務などに活かすことができそうな取得バリエーションとなっている回答も見られます。

資格取得には専門性を示すことが出来るメリットもあれば、費用などコストがかかる一面もあります。上記の先生方を参考に、取得・維持する資格の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

診療科別・専門医に関する受け止め

各診療科ごとで、医師は専門医資格や専門医制度をどのように受け止めているのでしょうか。寄せられた自由回答を診療科別にまとめました(※回答数の少ない一部診療科は非掲載)。

一般内科

    • 勤務条件等の融通性があれば、50代からでも取得を目指したい (50代男性、一般内科)
    • 私にはメリットはなかったが、専門医が何もないのは恥ずかしいという気持ちがあり、取得せざるを得なかった。 (70歳以上男性、一般内科)
    • 施設要件とかあって、とりたくてもとれなかったりすることもある (40代女性、一般内科)
    • 開業し、事業が安定するまではネームバリューとして必要かもしれない。 (50代男性、一般内科)
    • 女性として、出産子育てと、専門医取得の為のキャリア形成時期がぶつかるのが、大きな問題だと思います。40代になり、専門医を取っておけばよかったかも、と思うことも多いですが、自身のライフワークバランスの中では仕事に重きを置けませんでした。患者や同業者からの信頼や知識の向上のためには、専門医や資格を持ってた方が分かりやすいと思うので、制度は維持しておくのは良いと思います。 (40代女性、一般内科)

総合診療科

    • ある程度必要なことなのかもしれないとは思いつつ、総合診療の分野をやろうと思うと、維持が難しく、また街の医者にもとめられるものとして専門性よりも全体で見られることの方が大事かなとは思っています。 (30代男性、総合診療科)
    • 専門医がなくても、業務に全く支障がありません。胃カメラも専門医をとっていませんが、するのに全く問題ありませんでした。 (60代女性、総合診療科)
    • 維持が大変。金がかなりかかる。金で資格を買っているようにすら感じる。 (30代男性、総合診療科)
    • 現在の専門医制度では、取得するための労力などの違いにより、逆に医師の偏在を助長しているのではないか危惧しています。 (40代男性、総合診療科)
    • 若い医師は取得が大変だと思う。 (70歳以上男性、総合診療科)

消化器内科

    • 開業するのにいらない (60代男性、消化器内科)
    • いまは勤務先の指導施設維持のために行っているがもっと個人にもメリットがあっていいと思う (50代男性、消化器内科)
    • 専門医を取得する上で試験があり勉強しなければならず、医師の知識向上にはよい制度であると思います。 (40代男性、消化器内科)
    • 報酬に反映されないが、採用雇用時に必要であったので、消化器内視鏡だけでよかった。 (60代男性、消化器内科)
    • 消化器内科に専門を決めてから、消化器病と内視鏡の専門医取得を目指してキャリアを積みました。現在の専門医制度であれば取得が難しかったかと思います。 (40代女性、消化器内科)

呼吸器内科

    • これまで勤務していたのと違う他病院の専門医として転職する場合は役に立つと思います。私はまだその経験がないのであまり役に立った実感がありません。大学では専門医の取得による待遇の改善も特にありません。 (30代女性、呼吸器内科)
    • 必要なことだとは思いますが基礎分野の専門医取得後にサブスペシャリティ資格の取得が可能になる2階建て制は、一念発起した無資格年寄りには荷が重いです。 (50代男性、呼吸器内科)
    • 今のところ、無冠でも診療はできる (30代男性、呼吸器内科)
    • 転職の際には武器になると思います。転職の機会がなくてもその領域でまともなことをやってきたというアリバイにはなると思います。しかしそれ以上の価値はないと思います。同じ専門医でも仕事のレベルに天と地の差があります。学会の評議員や分科会などの資格を得る方達は、間違いなく価値の高い仕事をされていると思います。専門医制度も学会により難易度が高いものから、誰でも取れるしくみのものまであるので、どの専門医をとっているかにもよります。 (40代男性、呼吸器内科)
    • 勤務医を続けるなら専門医はあった方が良いです。転職やバイトでも差をつけられます。 (50代男性、呼吸器内科)

循環器内科

    • 学位と同じで在った方がいいがなくても困らないことが多いといったところです (60代男性、循環器内科)
    • 新たな専門医の取得を準備しています (40代男性、循環器内科)
    • 専門医を取得して良かったことがなく、単にプライドが満たされるのみで不要です。 (50代男性、循環器内科)
    • 内科系は二段階となり研修医からは敬遠される傾向となり内科の衰退になっている (50代男性、循環器内科)

腎臓内科

    • 学びの方法として必要だが、それは人のキャリアパスによる。 (50代男性、腎臓内科)
    • 専門医の有無は診療報酬に反映すべき (60代男性、腎臓内科)
    • 学会認定の専門医だけでよい 〇〇認定機構は不要 (60代男性、腎臓内科)

神経内科

    • 医師の知識・技量をより正確に反映し、待遇にも明確に反映されるような制度にしてほしいと思います。現状では専門医資格を維持するメリットが大きくないように思います。 (50代男性、神経内科))
    • 学会が締め付けのために利用している。専門医とかいう一団体の認定にどこまでの効果があるのか疑問。誰でも取れるものである。 (40代男性、神経内科)
    • 学会によっては持つ意義や資格試験内容に疑問があるところもある (40代女性、神経内科)
    • 妊娠したらキャリア閉ざされる (30代女性、神経内科)

血液内科

    • 透明性が欲しい (30代女性、血液内科)
    • 更新にお金がかかりすぎる (60代男性、血液内科)

老年内科

    • 専門医、認定医、指導医、博士号など自己満足のワッペン。本当に医師として役立つ人材か否か、人間教育?が最終目的では?でも誰が指導できるかな?不勉強な医師が多過ぎる。 (70歳以上男性、老年内科)
    • 後輩育成には必要となります (50代男性、老年内科)

一般外科

    • 若いうちは必要ですが、もう要らなくなりました。 (60代男性、一般外科)
    • 大学や公立などの大きい病院でしか取れない専門医ばかりでキャリアチェンジして新たに取得できない。 (40代男性、一般外科)
    • 生涯学習は必要だが、その助けになる専門医更新制度にして欲しい (30代男性、一般外科)
    • 更新に試験を加えるべきと思う。 (40代男性、一般外科)
    • 専門を成長させるための目標の一つ、目的ではない (60代男性、一般外科)

消化器外科

    • 病院を転勤したり非常勤になると専門医の維持が難しくなる。 (60代男性、消化器外科)
    • ロボット手術など一部の学閥に有利な既得権益がや利益相反があり、不公平な事案が横行しており、健全な状態ではない。 (40代男性、消化器外科)
    • 取得維持に労力、費用がかるので経費を病院負担にする、専門医取得によるインセンティブを採用するべきと考えています。 (30代男性、消化器外科)
    • 学会を集約して、専門医もどきを排除すべき。とにかく学会が多すぎる。 (50代男性、消化器外科)
    • 年齢を重ねてくると、手術の業績や論文数は負担になりました。 (60代男性、消化器外科)

呼吸器外科

    • 急性期医療に携わる場合は、専門医資格は必要であると思う。 (60代男性、呼吸器外科)
    • 専門医をきちんと価値あるものにすべきだとは思う。肺がん専門医が作られるそうだがメリットなのか。学会維持のためだけというなら本末転倒 (30代男性、呼吸器外科)
    • 専門医資格取得することが給与に反映されるようになって欲しい (50代男性、呼吸器外科)

脳神経外科

    • 育児中は遠距離の出張で出席や資格要件を得るのが大変です。なのでWeb併催はコロナ後も継続してほしかったです。 (30代女性、脳神経外科)
    • 取得のための施設案件に各専門医認定機構でばらつきがある。 (60代男性、脳神経外科)
    • 取るべき時期にはきちんと取る、更新条件によっては手放すのも十分容認できる (70歳以上男性、脳神経外科)
    • 専門医のゲートは通るべきと思います (60代男性、脳神経外科)

乳腺外科

    • 第一線で働く医師が払う犠牲は計り知れませんので、維持するための努力やそれ相応の勤務状況にある方が維持されるのが平等で良いと思います。一方で様々なキャリア形成がありますので、更新や維持ができなくてもこれまでの経験ということには変わりありませんからなくなったからと悲観的になる必要もないかと思います。 (30代女性、乳腺外科)
    • 資格更新は無理のないものにして欲しいです (40代男性、乳腺外科)

泌尿器科

    • 自身の診療領域であれば、持っているのがあたりまえ。 (40代男性、泌尿器科)
    • 30年もお金を払い続けたがメリットを感じることはなかった (50代男性、泌尿器科)
    • プログラム認定施設の少なさ、自由度の低さ (30代男性、泌尿器科)
    • 泌尿器科全体で、排尿の特殊な手術、生殖、小児、透析など泌尿器科でやることが減ってきているので、若い時からそのようなことに触れてサブスペシャリティとして資格がとれたら良いのになぁと思っております。また、学会についても、他科もですが、年会費以外に専門医更新に必要な教育サイトへの課金などがあり、経済的負担になっている。 (30代男性、泌尿器科)
    • 病院勤務医には専門医資格は必須だがセカンドキャリアでは必要ない。 (60代男性、泌尿器科)

整形外科

    • 開業医ですが手術も含め、経験値の方が大事と考える。専門医というだけで経験がないため、重要な病気(腫瘍など)を見逃す医者などが多い。専門医だからと信用は危険 (50代男性、整形外科)
    • 国家試験がATの運転免許でMTの限定解除が専門医試験 (30代男性、整形外科)
    • 可能な限り取得をすすめます。 (50代男性、整形外科)
    • 勉強する機会としては、有益だと思います (40代男性、整形外科)
    • 知識の習得やアップデートにはよいと考えるが、給与アップには何もつながらない。専門医を取得するのに、その努力とコスト、時間をかけているので、診療報酬に加算するなど、何かしらのインテンシブがないと、専門医を取ろうとする若手は減っていくのではないでしょうか (40代男性、整形外科)

形成外科

    • 専門医なんて、と思う若い先生方もいるようだが、確かに専門医だから腕が良い、と言い切ることはできなくても、そこに至る過程を経験したか、しないかは自身の医師人生において大きな違いとなると私は思います。専門医を取らずに活躍している先生方は、やはり、人には見えないところで相当の努力をしており、楽をして何かを成し遂げるのは難しい、のだと思います。 (50代女性、形成外科)
    • 専門医の一つが取れるくらいの最低限のトレーニングを受けていないと、後々大きな後悔をすると思います。直美には反対です。と同時に、医局側も、元研修医や元専攻医の「出戻り」を受け入れるべきだと思います。 (60代女性、形成外科)
    • 現在は美容で働いていますが、美容は直美が多すぎるのでなんとかしたほうがいいと思います。 (40代女性、形成外科)
    • 美容系の就職には有利です。 (50代女性、形成外科)

眼科

    • 学会の時に単位取るための手続きが面倒になっている感じがします。 (50代男性、眼科)
    • あることで、試験勉強するので知識には確実になる (40代女性、眼科)
    • 全然実用的とは思えない制度だが、勤務募集に差が出ては困るので、今は一応継続している。 (60代男性、眼科)
    • 厳しすぎると思います。 (50代女性、眼科)

皮膚科

    • 専門医がなくても他科の薬も処方できるし、専門医がなくても優秀な先生はたくさんいます。制度としては形骸的で機能していない気がします。 (30代女性、皮膚科)
    • クリニックに勤務する上で(雇われの身で)は必要な資格と思うが、更新するために必要な費用が高すぎる。 (30代女性、皮膚科)
    • 皮膚科は専門医をとっても維持ができるかについて不安があります (30代女性、皮膚科)
    • 準修練医制度などが出来始めたころで現実的な利用が困難であった時代に妊娠出産し、専門医取得の機を逃した世代への配慮もしていただきたい (40代女性、皮膚科)

耳鼻咽喉科

    • 各診療科の基盤となる学会の専門医資格の取得には、専門医試験の勉強を通じてある程度の知識の取得やスキル向上に役立つと思う。昨今では、患者側の視点ではあまり専門医資格の有無を必ずしも気にしないようではあるが、やはり専門医資格を持っているのとそうでないのとでは、ある程度差があるように感じてしまう。 (30代男性、耳鼻咽喉科)
    • プログラム制をとっている以上、取得条件を満たした場合には縛られるのは理不尽だと思っている。 (40代男性、耳鼻咽喉科)
    • 専門医と報酬が結びついてないのに取得するメリットを感じない。 (40代男性、耳鼻咽喉科))
    • 専門医がなくても診療はできるが信頼は得られないと思う (30代女性、耳鼻咽喉科)

精神科

    • 精神科に関しては、専門医資格取得の要件が勤務医にはハードルが高すぎる上、資格が質の担保にどれ程役に立っているのか疑問がある。つまり、取ろうと思っても、指導医がいない病院に勤めていればどうしようもないし、大金をかけて取るメリットもない。 (50代男性、精神科)
    • 僕らの科は、精神保健指定医の方が大切かと思う (50代男性、精神科)
    • 指導医の条件が非常に厳しいと感じます。 (40代女性、精神科)
    • 色々言われているが、基本領域の専門医はあるに越したことはないと思う。 (30代男性、精神科)
    • 昔は自己流の医者が多かったが、専門医制度により精神科医も標準化されつつあると思う。 (50代男性、精神科)

放射線科

    • 1つの病院の勤務での取得は難しく複数の病院で研修プログラムを組む必要性がでてきているように思います。医局に属さないと専門医取得は難しくなってくるように思います (50代女性、放射線科)
    • 年々取得の難易度があがっている (30代男性、放射線科)
    • 学会主導の専門医に戻っていただきたい (50代男性、放射線科)

小児科

    • 専門医取得は一定の医療レベルにあることを対外的にも示す指標になるので取得しておくほうが良いと感じる (40代女性、小児科)
    • これまでどのような病院で勤務して、どのくらい当直などをやったかなど実績を重視する事も大事 (50代男性、小児科)
    • 産業医資格のほうが役に立ってるかも (50代男性、小児科)
    • 専門医は妊娠出産する女医にはハードルが高い制度。つわりの中勉強し、臨月に受験した。しかし論文提出が無かった時代なのでまだマシだった。今は論文必須でハードルが上がり、後輩女医には気の毒な状況になった。取得するメリットは感じるが。 (40代女性、小児科)

産婦人科

    • 周産期は常勤で続けるには体力が厳しい。都立で、非常勤(当直あり)+常勤医の手が回らない専攻医指導を引き受けるという条件で体力温存しながら専門医・指導医資格を維持し、検診クリニックで食い扶持を稼ぐことにしました。しかし、こうすると常勤先がないことで日産婦の産婦人科指導医を喪失することがわかりました。失ったって都立で手厚く指導できるのは私しかいないわけですが。周産期指導医は指導施設について回るものであり私が非常勤かどうかではなくそこでどんな役割を果たしているかが問われるものなので維持できています。超音波指導医にも常勤医でなければならないという縛りがないため指導医としての診療と活動を行っている限り維持できるようです。そう考えると日産婦の指導医認定制度がいまの多様な働き方に全くマッチしていないとわかりました。 (40代女性、産婦人科)
    • 私の世代はキャリアを積むことで、専門員制度や資格の習得が出来上がってきた時期なのであまり負担はなかったと思います。今は資格を取るためにキャリアの方向を考えなければいけないものもあり働く病院、給与等に影響が出てくることがあるので負担が大きいかもしれないけど、習得してほしいと思います。 (60代男性、産婦人科)
    • 専門医を取得した後の維持が大変なのと、大学を離れた後に沢山の学会に所属するメリットとデメリットに悩む (40代女性、産婦人科)
    • 産婦人科は子宮がん検診するのも産婦人科専門医が求められる (50代男性、産婦人科)
    • 女性医師が増えている今日、専門医取得に関して、条件を見直すべき事項が多々あると思われる (30代女性、産婦人科)

麻酔科

    • 専門性の担保は重要だと思うが取得や維持が必要以上に難しくなることを懸念しています (30代男性、麻酔科)
    • 資格を持っていても大したことがない人もいれば資格はなくてもそれ相応ないしそれ以上の人もいるので、そこを評価してもらえる病院、知人などがいれば問題なく雇用してもらえると思うので、資格が必ずしも意味をもつようには思わない。 (30代男性、麻酔科)
    • この範囲なら専門医の維持のカウントに入れて良しとか、個々に状況を判断して貰えるような柔軟性があればいいなと思います。 (50代女性、麻酔科)
    • 転職する時以外は専門医のメリットがほとんどない (60代男性、麻酔科)

救命救急

    • 専門医資格が質的担保とは言えない制度設計のため、形骸化するリスクは常にあると思う。 (40代男性、救命救急)
    • 学会の功労会員なので、生涯、指導医です。大学を退官して、今は非常勤ですが、現状に満足しています。 (60代男性、救命救急)
    • 専門医は取りすぎも良くない。主なものとそれに関連する1、2個あれば十分。 (30代男性、救命救急)
    • 専門医があるから出来る手技を決めたり、給与等に反映する様にシステムを作るべき。 (60代男性、救命救急)

緩和ケア

    • その領域の診療の質を維持するために専門医制度は必要であるが、その取得のための救済措置などに、国・厚労省が現状を把握し続けるようにお願いしたい。 (50代男性、緩和ケア)
    • 子育てや介護が重なる世代に圧倒的に不利なシステム (40代女性、緩和ケア)
    • より柔軟に取れると、勉強する気になれます。専門医とれないので、ある程度以上の勉強をやめてしまうことがあります。 (40代男性、緩和ケア)

健診・人間ドック

    • 専門医取得に応じた実力があるか、不明の場合がある (60代女性、健診・人間ドック)
    • 専門医があったほうが、キャリア形成しやすいとは思う (30代男性、健診・人間ドック)
    • 出産後保健所に行き、専門医を取得する機会は無かった でもそれなりに仕事には恵まれた (60代女性、健診・人間ドック)
    • 更新なしのものが良い (40代男性、健診・人間ドック)

リハビリテーション

    • 持っていた方が絶対いいです。 (60代男性、リハビリテーション)
    • 専門医とは大学や大病院で働く「エキスパート」なのか一般の臨床現場で、専攻分野として働く「スペシャリスト」と考えるのかで研修や更新精度が変わると思います。そろそろ学術専門医と臨床専門医というようにわけても良いのかもしれません。また、一定の年数(20年程度)専門医を維持した専門医には、更新をせずに名誉専門医と名乗ってもよいかな?と思います。 (50代男性、リハビリテーション)
    • 複数の診療科の専門医取得が困難、研修指定病院での研修が中堅以上のキャリアの医師には難しい。 (60代男性、リハビリテーション)
    • 自身が関わる分野については、専門医資格を持っていた方が良いと考えます。病院の玄関に資格を掲示するためではなく、取得や更新のために知識・技術をアップデートすることがより良い医療を提供することにつながると思います。将来日本でも、病院の設備や医師の能力に応じて診療報酬を区別する時代が来るかもしれません。その時には、専門医資格の有無が要素のひとつになるかもしれません。ただし、認定や更新の手数料目的に色々な学会が資格を乱立しているとすれば、それは問題です。 (50代男性、リハビリテーション)

まとめ

今回のアンケート結果から、専門医資格の重要性やキャリアへの活かし方は診療科ごとに異なることがわかりました。

ただし、同じ診療科の中でも、今後どのようなキャリアや働き方を選ぶかによって、専門医資格の価値は変わってきます。

「専門医資格を取得したものの、あまり活かせている気がしない」
「興味があるキャリアを目指す中で、専門医資格が必要かどうか迷いがある」

そんなお悩みを感じたことがある方は、まずはご自身がどんな働き方をしていきたいのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

 

【参考】回答者の属性

調査概要

調査内容 専門医の取得状況とキャリアへの影響に関する医師アンケート
調査対象者 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 2025年4月20~29日
有効回答数 2,090件

 

年齢

年齢 回答数 割合
29歳以下 68

3.3%

30代 622

29.8%

40代 634

30.3%

50代 421

20.1%

60代 281

13.4%

70歳以上 64

3.1%

 

性別

性別 回答数 割合
男性 1,463

70.0%

女性 627

30.0%

 

診療科

現在の主たる診療科 回答数 割合
一般内科 213

10.2%

総合診療科 40

1.9%

消化器内科 118

5.6%

呼吸器内科 54

2.6%

循環器内科 85

4.1%

腎臓内科 29

1.4%

神経内科 48

2.3%

内分泌・糖尿病・代謝内科 53

2.5%

血液内科 26

1.2%

老年内科 23

1.1%

人工透析科 10

0.5%

リウマチ科 16

0.8%

一般外科 49

2.3%

消化器外科 79

3.8%

呼吸器外科 14

0.7%

心臓血管外科 15

0.7%

脳神経外科 40

1.9%

乳腺外科 14

0.7%

泌尿器科 50

2.4%

整形外科 124

5.9%

形成外科 44

2.1%

現在の主たる診療科 回答数 割合
美容外科 5

0.2%

小児外科 4

0.2%

眼科 62

3.0%

皮膚科 65

3.1%

耳鼻咽喉科 52

2.5%

精神科 174

8.3%

心療内科 5

0.2%

放射線科 54

2.6%

小児科 72

3.4%

産婦人科 79

3.8%

婦人科 19

0.9%

麻酔科 104

5.0%

救命救急 49

2.3%

ペインクリニック 6

0.3%

緩和ケア 13

0.6%

美容 20

1.0%

病理診断科 17

0.8%

在宅診療 17

0.8%

健診・人間ドック 40

1.9%

リハビリテーション 30

1.4%

上記以外 64

3.1%

 

地域

地域区分 回答数 割合
北海道・東北 176

8.4%

関東 899

43.0%

中部 273

13.1%

近畿 407

19.5%

中国・四国 123

5.9%

九州・沖縄 208

10.0%

不明・海外 4

0.2%

 

主たる勤務先

現在の主たる勤務先 回答数 割合
病院(大学病院以外) 1,110

53.1%

大学病院 241

11.5%

クリニック(勤務医) 468

22.4%

クリニック(開業医) 112

5.4%

一般企業 68

3.3%

介護施設 15

0.7%

休職中 39

1.9%

その他 37

1.8%

 

 

 

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