大学医局の人事/派遣先に満足している?医局の関連病院に関する医師1,658名のアンケート結果

大学医局の人事/派遣先に満足している?医局の関連病院に関する医師1,658名のアンケート結果

医師が転職する際の理由として、大学医局の人事が挙げられる場合がよくあります。特に「頻繁な人事異動が負担」、「大学病院勤務に戻って待遇が悪化した」、「医局人事にどうしても納得がいかない」といったケースでの相談が多くなっています。

大学医局に所属する医師は、医局人事や派遣先の関連病院(ジッツ)についてどのように考えているのでしょうか?また、医局に所属していない医師と比較して勤務先への満足度はどうなっているのでしょうか?医師1,658名のアンケートをもとに見ていきます。(回答者の属性)

 


 

大学医局に所属している医師の割合は4割弱

回答医師の大学医局への所属状況は以下のようになっています。

医師の大学医局への所属状況

最も多いのは「過去に大学医局に所属していたが現在は所属していない」医師で48.9%となっており、「現在大学医局に所属している」医師は38.4%と4割弱になっています。また、「これまで大学医局に所属したことがない」医師も12.8%という状況です。

 

診療科別では救命救急などで医局に所属したことない割合が高い

大学医局への所属状況について診療科別に見た結果は下表のようになっています(回答数20件以上の診療科のみ表示)。

診療科 回答数 現在大学医局に所属している 過去に大学医局に所属していたが現在は所属していない これまで大学医局に所属したことがない
一般内科 229

19.7%

63.8%

16.6%

消化器内科 100

39.0%

49.0%

12.0%

呼吸器内科 41

58.5%

29.3%

12.2%

循環器内科 53

39.6%

47.2%

13.2%

腎臓内科 22

54.5%

31.8%

13.6%

神経内科 34

44.1%

50.0%

5.9%

内分泌・糖尿病・代謝内科 45

37.8%

51.1%

11.1%

老年内科 23

13.0%

87.0%

0.0%

一般外科 37

45.9%

43.2%

10.8%

消化器外科 70

57.1%

34.3%

8.6%

脳神経外科 34

58.8%

35.3%

5.9%

泌尿器科 39

56.4%

38.5%

5.1%

整形外科 96

54.2%

43.8%

2.1%

形成外科 33

45.5%

51.5%

3.0%

眼科 49

46.9%

49.0%

4.1%

皮膚科 54

35.2%

59.3%

5.6%

耳鼻咽喉科 28

53.6%

46.4%

0.0%

精神科 132

28.8%

48.5%

22.7%

放射線科 46

43.5%

52.2%

4.3%

小児科 70

44.3%

45.7%

10.0%

産婦人科 52

46.2%

44.2%

9.6%

婦人科 23

30.4%

56.5%

13.0%

麻酔科 60

36.7%

50.0%

13.3%

救命救急 23

34.8%

34.8%

30.4%

健診・人間ドック 44

18.2%

56.8%

25.0%

リハビリテーション 20

45.0%

50.0%

5.0%

全診療科(上記にない科も含む) 1,658

38.4%

48.9%

12.8%

「現在大学医局に所属している」医師の割合は脳神経外科が58.8%と最も高く、次いで呼吸器内科が58.5%、消化器外科が57.1%、泌尿器科が56.4%と高い状況です。

「過去に大学医局に所属していたが現在は所属していない」医師は老年内科が87.0%と多く、次いで一般内科が63.8%と多くなっています。

また、「これまで大学医局に所属したことがない」医師が多いのは救命救急(30.4%)、健診・人間ドック(25.0%)、精神科(22.7%)となっています。これらの診療科では医局外での選択肢が多く、キャリアも築きやすいということなのかもしれません。

 

勤務先の満足度は医局に所属していない医師の方が高い傾向

現在の主たる勤務先での勤務環境や待遇の満足について、現在大学医局に所属している医師と所属していない医師それぞれに質問をしたところ、下表の結果となっていました。

勤務先の環境・待遇への満足度 大学医局に所属している 大学医局に所属していない
満足している

21.9%

27.7%

どちらかといえば満足している

45.9%

55.2%

あまり満足していない

23.0%

13.2%

満足していない

9.3%

3.9%

「満足している」「どちらかといえば満足している」を合わせた割合では大学医局に所属している医師が67.8%なのに対して、大学医局に所属していない医師では82.9%と、医局に所属していない医師の方が勤務先への満足度が高い傾向となっています。

 

所属している医局の関連病院の数、4割以上が「少ない」「あまり多くない」と感じている

現在大学医局に所属している医師について、所属先の医局の関連病院の数についてどう考えているかを質問したところ、下図の結果となりました。

所属する関連病院の数

「多い」が23.6%、「どちらかといえば多い」が34.9%となっている一方、「あまり多くない」も32.4%、「少ない」が9.1%と、関連病院の数を少なく感じている医師も4割以上いることがうかがえます。

 

医局関連で勤務したいと思う病院、「あまりない」「ほとんどない」医師が過半数

大学医局に所属している医師に、関連病院のうち自身が勤務したいと思う病院がどれぐらいあるかについて質問したところ、下図の結果となりました。

医局関連病院で勤務したい病院がどれぐらいあるか

「あまりない」が43.2%と最も多く、「ほとんどない」も13.7%となっており、勤務したいと思える病院が大学医局の関連病院内で十分にない場合が過半数となっています。

診療科別では下表のようになっています(大学医局に所属する医師15名以上の診療科のみ表示、「ある」は「十分ある」「比較的ある」の合計割合)。

診療科 回答数 勤務したい病院「ある」
一般内科 45

48.9%

消化器内科 39

46.2%

呼吸器内科 24

33.3%

循環器内科 21

52.4%

神経内科 15

40.0%

内分泌・糖尿病・代謝内科 17

58.8%

一般外科 17

70.6%

消化器外科 40

40.0%

脳神経外科 20

35.0%

泌尿器科 22

54.5%

整形外科 52

53.8%

形成外科 15

53.3%

眼科 23

43.5%

皮膚科 19

21.1%

耳鼻咽喉科 15

40.0%

精神科 38

52.6%

放射線科 20

55.0%

小児科 31

22.6%

産婦人科 24

37.5%

麻酔科 22

45.5%

全診療科(上記にない科も含む) 636

43.1%

関連病院で勤務したい病院が「ある」割合が高いのは一般外科(70%)、内分泌・糖尿病・代謝内科(58.8%)、放射線科(55.0%)などとなっています。逆に「ある」割合が低いのは皮膚科(21.1%)、小児科(22.6%)、呼吸器内科(33.3%)となっています。

勤務したいと思える関連病院が十分にない場合、医局内でのキャリアに将来性を抱きづらくなるため、退局を考える一つの要因にもなると考えられます。

 

医局内での人事の希望、半数が「実現しやすくない」「実現しづらい」

大学医局内で勤務したいと思える病院がいくつかあったとしても、その病院になかなか勤務させてくれず希望しない病院ばかりに派遣されてしまうというケースもあるかと思います。医局人事での自身の希望の実現しやすさの状況は下図のようになっていました。

医局人事での自身の希望の実現しやすさ

「実現しやすい」が9.0%、「どちらかといえば実現しやすい」が39.9%に対して、「あまり実現しやすくない」が36.3%、「実現しづらい」が14.8%となっており、約半数の医師が医局人事での希望が通りにくいと考えている結果となっています。

 

「とにかく人手が足りない」「待遇・環境に不満」―所属する医局の関連病院の状況や医局派遣に関する自由回答

医局に所属している医師に、関連病院の状況や医局派遣について自由回答を募ったところ、「とにかく人手が足りない」「待遇・環境に不満」「医局に所属しているが関わりは薄い」「医局のサポートに満足・理解のある医局」「希望が通らない・不公平」「異動したくないがさせられる・転勤が負担」といった回答が多く寄せられました。以下寄せられた回答の一部を紹介します。

    • とにかく人手が足りない

    • マンパワー不足(50代男性、麻酔科)
    • 以前より関連病院は少なくなり、医局員も減っている。医局員だけで構成するのは難しく現地採用が増えている(50代男性、麻酔科)
    • 一人や二人での派遣先が多く、休暇を取りにくい。(60代男性、呼吸器外科)
    • 中堅層が少なく、異動に関してどうなるか分からない不安がある(30代女性、乳腺外科)
    • 新入局員が少ないため限られた人員を少ない派遣先でぐるぐるまわしているだけになっている(50代女性、産婦人科)
    • 待遇・環境に不満

    • 給料が安い病院が多い(40代男性、精神科)
    • 人気のある病院は各病院の生え抜きの先生が残り医局派遣に頼る必要がなく、人気のない病院だけが医局派遣先として残っている印象です。(30代男性、消化器外科)
    • 病院内のハラスメント事案が、医局と病院の人事両立の関係で解決できない点があり、働きにくい環境が多い(40代女性、腎臓内科)
    • 能力や貢献度が低い医師もデキる医師と同様の待遇で扱われて仕事がデキる医師側の不満がつのりやすい。(40代男性、脳神経外科)
    • 嫌な病院に捕まってしまった(30代男性、循環器内科)
    • 医局に所属しているが関わりは薄い

    • 医局には所属しているが医局の人事には従っていない。(40代男性、心臓血管外科)
    • 現在は大学医局に所属しながらも、個人就職した病院に勤務しています。(50代男性、消化器外科)
    • もう医局人事を離れて自分で探しています。(40代女性、健診・人間ドック)
    • 元々は所属していませんでしたが、今の大学医局は、あるときから大学医局の関連病院に勤める医師は全員が基本的にその医局に所属するようにとお達しが出ました。医局には所属したくありませんでしたが、関連病院に勤務していたため、その病院の上司に、自分の顔を立てるために入局してほしいと言われ、入局しました。入局してかなり経ちましたが、一度も教授に会ったことはありません。医師がまあまあ充足しているのは医局のお陰かもしれませんが、いつか今の病院を辞めるときは医局も辞めたいと思っています。(40代女性、産婦人科)
    • 医局には所属しているものの、ほとんど関わりがない状態です(40代女性、産婦人科)
    • 医局のサポートに満足・理解のある医局

    • 自由人事の医局なので、情報だけもらうことができ、自分の意志で移動できるので個人としては良い形だと思います。病院を経営している先生方から見れば、人を確保しにくい形だと思います。(40代女性、精神科)
    • 自分は特例で好きなところに行っているので他の方は大変と思う(40代男性、循環器内科)
    • 教授と同級生なので融通がきく。(60代男性、人工透析科)
    • 医局長が頑張っているからそれほど不満はない(40代男性、整形外科)
    • 若い医師まで全員教授との面談で希望の進路を聞き、可能な限りそれに応じた采配をしてもらえる(30代男性、眼科)
    • 希望が通らない・不公平

    • 医局員の希望勤務先をアンケートなどできちんと調査すべき。希望を平等に聞いていないと感じる。(30代女性、眼科)
    • 自分が勤めたいエリアに少ない。結局希望は通らない。(30代男性、泌尿器科)
    • 研究や研鑽を名目に、偏った医局人事が取られることが多い。若手が働き方改革などで守られており、かつ都市部など希望を強くいうことができる反面、中堅以上の医師、特に独身や子どものいない家庭は勤務地を暗黙に強要されたり、勤務内容のしわ寄せが多い。(30代女性、小児科)
    • 派遣された病院に、尊敬する先生がいらっしゃり、とてもコミュニケーションがとりやすいチームだったため、残留したい旨を伝えたが、「ママさん先生優先」という理由で異動となった。数年後にも希望を出したが同様の理由で却下。そのあたりから、少しずつ医局との付き合いは薄くしていくことに決めました。(40代女性、リハビリテーション)
    • 人によって運不運、希望が叶うかどうかの差が大きいのがデメリットです。(40代男性、呼吸器内科)
    • 異動したくないがさせられる・転勤が負担

    • 医局人事は別法人での異動のため退職金積立が途切れ、異動にかかる諸経費は自費。生涯通算の損失では数千万に上る。今の若い世代の高いリテラシーの元では成立しない仕組みであると思う。(30代男性、消化器外科)
    • 自宅から遠方に配属される恐れが拭いきれない。(30代男性、血液内科)
    • 地方病院がだいたい主治医制のため出向したくない(30代男性、呼吸器内科)
    • 学位をとれば奉公として強制的にとばされる(30代男性、消化器外科)
    • ころころ転勤させすぎ。引越しが大変(30代男性、一般外科)
    • その他

    • 働き方が画一的で自由がない。自由を求めて医局をやめる人が近年増えている。(40代女性、産婦人科)
    • 卒後義務のある大学を出ていますが、条件がある中での入局を許可いただいたにも関わらず、今になって、返済して自由の身になる話を出され、それができないなら出身大学に帰れ、ともはやパワハラ相当の発言をされ、苦慮しています。(30代男性、耳鼻咽喉科)
    • 教授が変わって医局員の派遣方針に大きな変更があった。突然の方針の変更は困る。(40代男性、小児科)
    • 医局派遣で離島勤務を言い渡されたことがあったが、僻地の医師確保にはどうしても医局派遣が必要だと思う。(50代男性、放射線科)
    • はいかYESしか言えません(30代女性、産婦人科)

 

大学医局の影響力は地域や診療科によってはまだまだ大きく、専門医・学位取得などキャリア形成や地域医療を支える機能もあるものの、上記のアンケートを踏まえると、医局人事や派遣先に関して満足していない医師も多いようです。

医局に関してはさまざまなしがらみもあるところですが、板挟みになっていて自分の思い描く勤務がいつまでもできていないと感じたら、医局の外でのキャリアを考えてみるのも良いのかもしれません。

 

 

【参考】回答者の属性

調査概要

調査内容 医局の関連病院に関するアンケート
調査対象者 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 2025年10月21日~10月31日
有効回答数 1,658名

年齢

年齢 回答数 割合
29歳以下

21

1.3%

30代

433

26.1%

40代

535

32.3%

50代

383

23.1%

60代

235

14.2%

70歳以上

51

3.1%

 

性別

性別 回答数 割合
男性

1,231

74.2%

女性

427

25.8%

 

診療科

現在の主たる診療科 回答数 割合
一般内科

229

13.8%

消化器内科

100

6.0%

呼吸器内科

41

2.5%

循環器内科

53

3.2%

腎臓内科

22

1.3%

神経内科

34

2.1%

内分泌・糖尿病・代謝内科

45

2.7%

血液内科

13

0.8%

老年内科

23

1.4%

人工透析科

8

0.5%

リウマチ科

18

1.1%

一般外科

37

2.2%

消化器外科

70

4.2%

呼吸器外科

13

0.8%

心臓血管外科

14

0.8%

脳神経外科

34

2.1%

乳腺外科

16

1.0%

泌尿器科

39

2.4%

整形外科

96

5.8%

形成外科

33

2.0%

現在の主たる診療科 回答数 割合
美容外科

5

0.3%

小児外科

2

0.1%

眼科

49

3.0%

皮膚科

54

3.3%

耳鼻咽喉科

28

1.7%

精神科

132

8.0%

心療内科

6

0.4%

放射線科

46

2.8%

小児科

70

4.2%

産婦人科

52

3.1%

婦人科

23

1.4%

麻酔科

60

3.6%

救命救急

23

1.4%

ペインクリニック

5

0.3%

緩和ケア

10

0.6%

美容

17

1.0%

病理診断科

14

0.8%

在宅医療

18

1.1%

健診・人間ドック

44

2.7%

リハビリテーション

20

1.2%

上記以外

42

2.5%

 

地域

地域区分 回答数 割合
北海道・東北

160

9.7%

関東

652

39.3%

中部

215

13.0%

近畿

336

20.3%

中国・四国

120

7.2%

九州・沖縄

172

10.4%

不明・海外

3

0.2%

 

主たる勤務先

現在の主たる勤務先 回答数 割合
病院(大学病院以外)

893

53.9%

大学病院

185

11.2%

クリニック(勤務医)

349

21.0%

クリニック(開業医)

105

6.3%

企業

54

3.3%

介護施設

17

1.0%

休職中

26

1.6%

その他

29

1.7%

 

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