
大学医局に所属している医師が医局外での新たなキャリアを考える場合、トラブルなく進めたいのが退局の申し出です。一般的には早めに退局を申し出た方が医局側も人事調整しやすいので良いと言われますが、実際に退局した医師はどのタイミングで退局を申し出ているのでしょうか?
2026年4月実施の医師アンケートより医師の退局事情について見ていきます。(回答者の属性)
医師の退局申し出のタイミングで最も多かったのは「3~6ヶ月前」
医師が退局を申し出たタイミングは下表のようになっていました。
「3~6ヶ月前」に退局を申し込んだ割合が29.7%と最も多く、次いで「1~3ヶ月前」(21.3%)、「6~12ヶ月前」(20.4%)、「12ヶ月以上前」(19.9%)がそれぞれ2割程度となっています。
これは退局前6ヶ月(半年)で区切ると、半年よりも前から伝えているケースが約4割、半年を切ってから伝えているケースが約6割となります。
円満退局のアドバイスでは、半年前あるいは1年前から退局意志を伝えるというのが一般的ですが、実際の退局では半年を切ってからの方が多いというのは意外なように聞こえます。
家庭や自身の体調など、突然の事情で退局が必要になるケースや、次の医局人事が見えてきた段階で、異動先の不満から退局するといったケースが多いのかもしれません。
退局の申し出が認められるのに数ヶ月~1年以上かかるケースも
退局の申し出をしてからそれが医局で承認されるまでにはどれぐらいの期間が必要なのでしょうか?アンケート結果では以下のようになっています。
1ヶ月未満が49.4%と約半数を占めています。一方、退局が認められるまでに数ヶ月~1年以上かかっている医師も一定数いることがうかがえます。
この辺りは医局によっても違いが大きいところですが、ある程度認められるまでに時間がかかる可能性も考慮すると、やはり早めに退局の申し出をしておく方がトラブルは避けやすいものと考えられます。
退局活動に関する医師のエピソード
退局経験のある医師の自由回答から、退局活動に関するエピソードを以下に紹介します。医局の退局について何か参考になれば幸いです。
医局人事を専門医取得直後にやや強引に押し付けられたのがきっかけで、医局を辞めるのを決心しました。(40代女性、病理診断科)
退局を申し出たところ、ひたすら脅されたり、家族を馬鹿にされたりしたので、上司達に対する尊敬の念や申し訳ない気持ちが一気になくなり、逆に未練がなくなってよかった。上司達の本心が最後にわかってよかった。 (30代男性、整形外科)
辞めたいと言ってから3年かかりました。後輩を育ててから辞めろと。(30代男性、神経内科)
同棲を考えていたのだが、片道高速で2時間のド田舎に飛ばされそうになり、医局を辞めた。(30代女性、リウマチ科)
地方の大学医局を離れて上京するときに、「医局を離れて生きて行けると思うなよ。」と、医局長に言われたが、東京では生きて行けた。「お前の履歴書で、まともな勤め先で、働けると思うなよ。」と言われたが、どんな病院でも、働くことができた。修行先の病院で認められた末、別の大学の医局員に、いつの間にかなっていた。スタッフになったが、自由ではなくなっていった。開業して、自由になった。開業医は、タフな仕事だが、やりがいがあるあると思う。家族のためにも、今のほうが良い。(60代男性、精神科)
上司のハラスメントをきっかけに退職した。他の医局員も同様の被害を受けていたが、数年後にその上司が主任教授となった。やばいやつと分かった上で主任教授に慣れてしまう大学自体がやばいところだったと感じる。(40代男性、緩和ケア)
同期では医局に属するデメリットのほうが大きいと感じて10年目ぐらいで医局をやめた人が多い。(40代女性、麻酔科)
退局もスムーズではなかった。(50代男性、一般内科)
医局に属していない時に、医局関連の市中病院で働いていました。患者の割り振りを、医局に属している人を優先にされている現状を目の当たりにして、これが差別かと思った。同じ科でも、やはり医局に属している人の方が大事にされていた。しかし実際入局してみると、上下関係が厳しかったり、教授の命令絶対で(コロナ時代のときに、率先して診療をやらされて本当に嫌だった)、病院異動も本当に窮屈だった。今、やめて大正解だと思っています。(30代女性、一般内科)
医局を辞めることを考える際に、特にハードルになるのが、どのように退局を認めてもらうかということと、退局後の就職先探しです。退局についてはタイミングや伝え方などが重要になってきます。今回の記事が円満な退局の参考になれば幸いです。
【参考】回答者の属性
調査概要
| 調査内容 | 大学医局に関するアンケート |
|---|---|
| 調査対象者 | 株式会社メディウェルに登録している医師会員 |
| 調査時期 | 2026年4月21日~2026年4月28日 |
| 有効回答数 | 1,591名 |
年齢
| 年齢 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 29歳以下 |
37 |
2.3% |
| 30代 |
379 |
23.8% |
| 40代 |
507 |
31.9% |
| 50代 |
365 |
22.9% |
| 60代 |
243 |
15.3% |
| 70歳以上 |
60 |
3.8% |
性別
| 性別 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 男性 |
1,177 |
74.0% |
| 女性 |
414 |
26.0% |
地域
| 地域区分 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 北海道・東北 |
151 |
9.5% |
| 関東 |
603 |
37.9% |
| 中部 |
220 |
13.8% |
| 近畿 |
349 |
21.9% |
| 中国・四国 |
105 |
6.6% |
| 九州・沖縄 |
162 |
10.2% |
| 不明・海外 |
1 |
0.1% |
主たる勤務先
| 現在の主たる勤務先 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 大学病院 |
169 |
10.6% |
| 大学医局関連病院 |
227 |
14.3% |
| 病院(上記以外) |
596 |
37.5% |
| クリニック(勤務医) |
361 |
22.7% |
| クリニック(開業医) |
105 |
6.6% |
| 企業 |
55 |
3.5% |
| 介護施設 |
20 |
1.3% |
| 休職中 |
21 |
1.3% |
| その他 |
37 |
2.3% |
診療科
| 現在の主たる診療科 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 一般内科 |
167 |
10.5% |
| 総合診療科 |
30 |
1.9% |
| 消化器内科 |
84 |
5.3% |
| 呼吸器内科 |
43 |
2.7% |
| 循環器内科 |
60 |
3.8% |
| 腎臓内科 |
28 |
1.8% |
| 神経内科 |
29 |
1.8% |
| 内分泌・糖尿病・代謝内科 |
41 |
2.6% |
| 血液内科 |
21 |
1.3% |
| 腫瘍内科 |
4 |
0.3% |
| 老年内科 |
12 |
0.8% |
| 人工透析科 |
11 |
0.7% |
| リウマチ科 |
7 |
0.4% |
| 一般外科 |
25 |
1.6% |
| 消化器外科 |
52 |
3.3% |
| 呼吸器外科 |
17 |
1.1% |
| 心臓血管外科 |
11 |
0.7% |
| 脳神経外科 |
40 |
2.5% |
| 乳腺外科 |
3 |
0.2% |
| 泌尿器科 |
36 |
2.3% |
| 整形外科 |
93 |
5.8% |
| 形成外科 |
27 |
1.7% |
| 美容外科 |
8 |
0.5% |
| 小児外科 |
5 |
0.3% |
| 現在の主たる診療科 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 眼科 |
48 |
3.0% |
| 皮膚科 |
47 |
3.0% |
| 美容皮膚科 |
14 |
0.9% |
| AGA |
1 |
0.1% |
| 耳鼻咽喉科 |
28 |
1.8% |
| 精神科 |
120 |
7.5% |
| 心療内科 |
5 |
0.3% |
| 放射線科 |
50 |
3.1% |
| 小児科 |
69 |
4.3% |
| 産婦人科 |
62 |
3.9% |
| 婦人科 |
20 |
1.3% |
| 麻酔科 |
64 |
4.0% |
| 救命救急 |
31 |
1.9% |
| ペインクリニック |
5 |
0.3% |
| 緩和ケア |
8 |
0.5% |
| 病理診断科 |
16 |
1.0% |
| 臨床検査科 |
5 |
0.3% |
| 在宅医療 |
13 |
0.8% |
| 健診・人間ドック |
50 |
3.1% |
| リハビリテーション |
28 |
1.8% |
| 産業医 |
32 |
2.0% |
| 社医 |
1 |
0.1% |
| 上記以外 |
20 |
1.3% |

