医師は内科・外科といった区別や、消化器、呼吸器などの臓器別などで多くの診療科、専門領域に分かれますが、各専門領域で研鑽を積んでいる医師は、それぞれどのような資格を重視しているのでしょうか?2023年8月に実施した医師1,500名のアンケートから見ていきます。

【結果概要】
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- 医師の各診療科の資格において、最も取得率が高いのは「専門医」の資格となっている
- 診療科によっては複数の専門医が重視される場合や、精神保健指定医など専門医以外の資格が重視される場合もある
- 外科領域ではダヴィンチなどロボット支援手術の広がりを受けて、ロボット支援手術プロクターの資格なども重視されるようになってきている
「専門医」「認定医」「指定医」など医師の各種資格の取得状況
医師の専門資格としては専門医機構もしくは学会の指定する「専門医」が最も一般的にはなっていますが、その他にも専門領域によって認定医や指定医などの資格もあります。それらの資格の医師全体の取得状況は以下のようになっていました。
専門医
専門医を「取得している」医師は73%となっており、「取得予定」(9%)と合わせると8割以上の医師が何らかの専門医資格を取得する状況となっています。
診療科別(下表)では全体的に専門医の取得率が高いものの、美容・健診・一般内科などでは取得していない医師が多い状況となっています。
認定医
「認定医」を取得している医師は49%という状況です。専門医と比べると「該当の資格なし」(23%)と回答する割合も多くなっています。
診療科別(下表)では、内科系や一般外科・消化器外科、麻酔科などで認定医の取得率が高くなっています。
2018年の新専門医制度が開始されるまでは内科系では認定内科医が基本的な資格だったため、現在も多くの医師が取得している状況となっているようです。
指定医
「指定医」を取得している医師は25%となっており、専門医や認定医と比べるとかなり少ない状況です。「該当の資格なし」も35%と増え、一部領域が主な対象となる資格だといえます。
診療科別(下表)では精神科で69%と圧倒的に高く、他は低くなっています。
精神科においては精神保健指定医の資格がないと保護入院や措置入院などの対応ができないといったこともあり、特に重視されていると考えられます。その他、指定医としては母体保護法指定医や身体障害福祉法指定医などが挙げられます。
その他
専門医・認定医・指定医以外の資格取得については、「取得している」が19%のみとなっており、「該当の資格なし」が47%と最も多くなっています。
診療科別(下表)では、全体的に取得している割合が少ない中で、消化器外科(39%)、麻酔科(35%)ではその他の資格の取得率が比較的高い状況となっています。
消化器外科では手術支援プロクターの取得が増えてきていることが影響しているのかもしれません。麻酔科については麻酔科標榜医が基本的な資格となっており、これがないと麻酔科医として標榜することができないものとなっています※1。
【診療科別】医師がそれぞれの専門領域で重視する資格
各診療科の医師がそれぞれの専門領域で特に重視する資格については、下表のようになっています(各診療科で複数の医師から回答のあったものを記載)。
| 現在の主たる診療科 | 現在の専門領域で重視している資格 |
|---|---|
| 一般内科 | 内科専門医、総合内科専門医、総合診療専門医、認定産業医 |
| 消化器内科 | 消化器内視鏡専門医、消化器病専門医、肝臓専門医 |
| 呼吸器内科 | 呼吸器専門医 |
| 循環器内科 | 循環器専門医 |
| 腎臓内科 | 腎臓専門医、透析専門医 |
| 神経内科 | 神経内科専門医、認知症専門医、リハビリテーション科専門医 |
| 内分泌・糖尿病・代謝内科 | 糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医 |
| 人工透析科 | 透析専門医 |
| リウマチ科 | リウマチ専門医、総合内科専門医 |
| 一般外科 | 外科専門医、消化器外科専門医 |
| 消化器外科 | 内視鏡外科学会技術認定医、消化器外科専門医、ロボット支援手術認定プロクター |
| 呼吸器外科 | 呼吸器外科専門医、ロボット支援手術プロクター |
| 心臓血管外科 | 心臓血管外科専門医 |
| 脳神経外科 | 脳神経外科専門医、脳血管内治療専門医 |
| 乳腺外科 | 乳腺専門医 |
| 泌尿器科 | 泌尿器腹腔鏡技術認定医、泌尿器科専門医、泌尿器ロボット支援手術プロクター |
| 整形外科 | 整形外科専門医、脊椎脊髄外科専門医、認定スポーツ医 |
| 形成外科 | 形成外科専門医 |
| 眼科 | 眼科専門医 |
| 皮膚科 | 皮膚科専門医 |
| 耳鼻咽喉科 | アレルギー専門医 |
| 精神科 | 精神保健指定医、精神科専門医、認知症専門医 |
| 放射線科 | 放射線診断専門医 |
| 小児科 | 小児科専門医、小児神経専門医、周産期専門医(新生児)、アレルギー専門医 |
| 産婦人科 | 産婦人科専門医、婦人科腫瘍専門医、母体保護法指定医、生殖医療専門医 |
| 麻酔科 | 麻酔科専門医、緩和医療専門医、集中治療専門医 |
| 救命救急 | 救急科専門医 |
| 緩和ケア | 緩和医療専門医 |
| 病理診断科 | 病理専門医 |
| 健診・人間ドック | 人間ドック健診専門医、認定産業医 |
| リハビリテーション | リハビリテーション科専門医、回復期リハビリテーション病棟専従医 |
全体的には各診療科の専門医資格を重視する医師が多いですが、関連領域を含めて複数の専門医を重視している場合も多いことがうかがえます。また、精神保健指定医など専門医以外を重視する科も見られます。
さらに、外科系診療科でロボット支援手術プロクターも重視されるようになってきているのは近年の特徴といえそうです。
医療の技術・知識が増えていく中で、対応する資格や認定も増えていくことが予想されます。こうした診療科別の資格取得の傾向などの情報を参考にしつつ、自身のキャリアにとって重要なものは何かについて時折見直してみるのも良いのかもしれません。
- ※1 それだけ基本的な資格なため、前提条件と考えてその他の資格として「取得していない」や「該当の資格なし」としている麻酔科医もいると考えられます。







