医師の平均年収の最新データまとめ【年代・診療科・勤務先による違いなど詳細解説】

最新の賃金構造基本統計調査(令和6年)によると、医師の平均年収(平均給与)は1,338万円となっています。ただし、医師の年収については別の調査データも複数あります。それぞれのデータの特徴や、医師の多くがアルバイトをしている状況など、医師の働き方を踏まえないと年収の現実は見えてきません

ここでは、医師の年収に関する複数の最新のデータを活用しながら、医師の年収の実態や、年代・性別・診療科・勤務先・地域によって年収がどう変わるのかなどを詳細に解説していきます。

 

医師の平均年収の最新データまとめ【年代・診療科・勤務先による違いなど詳細解説】


 

医師の年収に関する最新データの概要

    • 医師の平均年収は1,338万円とされるが、この中にはアルバイトや副業は含まれず、アルバイト・副業込みの実際の年収は1,600万円程度。
    • 男性医師の方が女性医師に比べて年収が高く、年代別では50~60代で年収が高くなる傾向。
    • 勤務先別では公立系の病院に比べて民間病院がやや年収が高く、大学病院は他の病院やクリニックに比べて年収が大幅に低い傾向。
    • 都道府県別では北海道・山梨県・和歌山県で年収(給与下限)が高く、診療科別では美容外科・不妊治療・美容皮膚科で高い傾向。

医師の年収に関するデータの種類と特徴

医師の年収に関して公的に活用できるデータとしては、厚生労働省が調査している「賃金構造基本統計調査」(賃金センサス)と「医療経済実態調査」、人事院が実施している「職種別民間給与実態調査」があります。

上記に加え、医師転職研究所では、医師のアンケートデータと、医師求人情報、医師の転職実績のデータを年収に関する一次情報として調査しています。

それぞれデータの特徴を一覧化すると以下のようになっています。

データ名 提供元 調査方法 特徴
賃金構造基本統計調査 厚生労働省 (民営5人以上、公営10人以上の)事業所への調査 年収調査において参照されることの多い基本データ。ただし、医師の場合はアルバイトや副業が含まれないところに注意。
医療経済実態調査 厚生労働省 医療機関への調査 民間病院と公立病院の違いなど法人種別や施設別の年収が確認できる。ただし、やはり副業やアルバイトは含まれていない。
職種別民間給与実態調査 人事院 (50人以上の)事業所への調査 職種だけでなく職位別の給与について確認できるが、賞与が含まれていないため他のデータと組み合わせて確認する必要あり。
医師年収アンケート調査 医師転職研究所(株式会社メディウェル) メディウェル医師会員へのアンケート調査 医師のアルバイト・副業も含めたデータも含まれる。
掲載中の医師求人の年収下限・上限 医師転職研究所(株式会社メディウェル) 医師転職ドットコム上に掲載されている求人の年収下限・上限の集計調査 現在募集されている医師求人の年収など、市場動向がわかり、地域や診療科別に詳しく見ていくことが可能。
転職した医師の年収データ 医師転職研究所(株式会社メディウェル) メディウェルを活用して転職した医師の年収データを集計し調査 常勤で転職した際の医師の年収データのためアルバイト・副業は含まない。

各種データ別での最新の医師の年収

また、それぞれの最新調査での医師の年収の概要は以下のようになっています。

データ名 調査時期 医師の年収の概要 調査数(N数)
賃金構造基本統計調査 2024年 平均1,338万円 58,375件(事業所数)
医療経済実態調査 2023年 平均1,461万円(病院勤務医)
平均2,633万円(病院長)
1,139件(施設数)
職種別民間給与実態調査 2024年 平均1,263万円(医師)
平均1,512万円(医科長)
平均1,832万円(副院長)
平均1,978万円(病院長)
2,105件
医師年収アンケート調査 2024年2月 中央値1,700万円(アルバイト・副業込み)
中央値1,300万円(主たる勤務先のみ)
1,955件
掲載中の医師求人の年収下限・上限 2025年5月 平均1,331万円(給与下限)
平均1,859万円(給与上限)
14,433件
転職した医師の年収データ 2022年5月~2025年4月 平均1,509万円
中央値1,500万円
1,208件

実際の医師の年収はどれぐらいか?

医師の年収に関するデータが複数ある中で、実情に即した医師の平均年収はどのぐらいなのでしょうか。

一般的に参照されることが多く、他職種と比較しやすいという面では、賃金構造基本統計調査の平均1,338万円を基本として見ていくことが良いと考えられます。ただし、同調査では医師の副業・アルバイトは含まれていないため、医師年収アンケート調査から補完して見ていく必要があります。

年収アンケートではアルバイト・副業込みの年収と主たる勤務先のみの年収で400万円の開きがあった(アルバイト・副業を行っている医師に限定しても同様)ため、400万円を足した金額とすると1,738万円となります。

しかし、アンケート回答者層であるメディウェルの会員医師にはアルバイトや転職の希望で登録した医師が多く、その分アルバイトをしている医師の比率やアルバイト・副業の金額がやや高めに出ている可能性も考えられるため、全体では200~300万円程度と仮定すると、アルバイト・副業込みで1,600万円前後が実際の医師の平均的な年収と考えられます。

なお、医師年収アンケートでは、アルバイト・副業込みの年収帯別の分布は以下のようになっています。


医師の年収(アルバイト・副業込み)

医師の手取り年収の目安

医師の手取り年収については加入保険や扶養控除などの状況によって変わってきますが、医師の平均的な年収である1,600万円の場合の手取り年収の目安としては1,077万円となります。

下表では、医師の年収分布の多くを占める1,000万円~2,000万円の年収別で、手取り年収がどのようになるかを一覧にしています。年収に変動があった際の手取りの参考としてご確認ください。

年収 手取り年収 手取り率
1,000万円

727万円

73%

1,100万円

791万円

72%

1,200万円

856万円

71%

1,300万円

917万円

71%

1,400万円

972万円

69%

1,500万円

1,024万円

68%

1,600万円

1,077万円

67%

1,700万円

1,133万円

67%

1,800万円

1,190万円

66%

1,900万円

1,247万円

66%

2,000万円

1,303万円

65%

性別・年代別での医師の年収

令和5年賃金構造基本統計調査を中心に医師の性別・年代別の平均年収について見ていきます。こちらは常勤先のみの年収になるため、実際はこれに加えて平均200~300万円程度のアルバイト・副業収入があることにご留意ください。

性別での医師の年収

男女合計の医師の平均年収は1,338万円となっていますが、男性医師では1,449万円、女性医師では1,039万円と400万円ほどの開きがある状況となっています。

なお、医師のアンケート調査では、男女それぞれの年収分布(アルバイト・副業込み)は以下のようになっていました。


男性医師の年収(アルバイト・副業込み)


女性医師の年収(アルバイト・副業込み)

年代別での医師の年収

年代別の医師の平均年収は、20代で689万円、30代で1,062万円、40代で1,552万円、50代で1,865万円、60代で1,840万円、70歳以上で1,545万円となっています。5歳区切りの詳細は下表のようになっています。

年代 年収
20代前半

509万円

20代後半

698万円

30代前半

872万円

30代後半

1,307万円

40代前半

1,367万円

40代後半

1,715万円

50代前半

1,774万円

50代後半

1,978万円

60代前半

1,863万円

60代後半

1,792万円

70歳以上

1,545万円

参照:令和6年賃金構造基本統計調査

性別×年代別での医師の年収

性別と年代を掛け合わせた医師の平均年収については下表のようになっています。

年代 男性医師の年収 女性医師の年収
20代前半

509万円

509万円

20代後半

718万円

665万円

30代前半

931万円

747万円

30代後半

1226万円

1522万円

40代前半

1502万円

1000万円

40代後半

1934万円

1291万円

50代前半

1872万円

1452万円

50代後半

2013万円

1569万円

60代前半

1933万円

1541万円

60代後半

1866万円

761万円

70歳以上

1560万円

1455万円

参照:令和6年賃金構造基本統計調査

勤務先別での医師の年収

勤務先によって医師の年収はどのように変わるのでしょうか?それぞれ別の調査にはなりますが、規模別、開設者別、勤務先種別でそれぞれ見ていきます。

勤務先の規模別

賃金構造基本統計調査では、企業規模で1,000人以上、100~999人、10~99人それぞれでの年収データがあり、令和5年調査の結果は下表のようになっています。

企業規模 年収 平均年齢
1,000人以上

1,168万円

39歳
100~999人

1,660万円

52歳
10~99人

1,544万円

54歳
参照:令和6年賃金構造基本統計調査

1,000人以上が最も年収が低く、100~999人が最も高くなっています。全体では平均年齢に開きがあるため40代前半に限定して確認してみても、1,000人以上で1,440万円、100~999人で1,654万円、10~99人で1,679万円という状況です。

開設者別

医療経済実態調査では、国立、公立、公的(赤十字や済生会など)、社会保険関係法人、医療法人、その他、個人の開設者別の区分で医師の年収が比較できます。一般病院での医師(病院長は別)の年収を令和5年度調査で見ると、下表のようになっています。

開設者 医師の年収
国立

1,410万円

公立

1,456万円

公的

1,452万円

社会保険関係法人

1,282万円

医療法人

1,498万円

その他

1,463万円

個人

1,703万円

開設者全体

1,461万円

参照:第24回医療経済実態調査

全体的に1,400万円台が多く差は小さくなっています。病院数が最も多いのは医療法人のいわゆる民間病院ですが、他の公立や国立、公的病院と比べると年収はやや高い傾向にあるようです。

なお、個人については1,703万円と高く、社会保険関係法人に関しては1,282万円と低くなっていますが、該当の開設者による病院は少なく、調査された施設数もそれぞれ4件、6件と非常に少ないため、あくまで参考程度に見ておくのが良いのかもしれません。

勤務先種別

医師のアンケートでは主たる勤務先別での医師の年収についても調査しています。2024年調査でのアルバイト・副業を除いた年収は以下のようになっています。

主たる勤務先 医師の年収の中央値
病院(大学病院以外) 1,500万円
大学病院 800万円未満
クリニック(勤務医) 1,300万円
クリニック(開業医) 1,500万円

大学病院が800万円未満と最も低くなっています(階級値による調査で下限が「800万円未満」となっているためこのような表記となっています)。

一方、クリニックの開業医で1,500万円は低いようにも感じられますが、年収のバラつきが大きく3,000万円以上の割合も12.1%と高くなっています。ミニマム開業や子育てとの両立を目指した開業など、開業の形態が多様化していることも一つの要因なのかもしれません。

都道府県別での医師年収ランキング

医師の年収は地域によってどのぐらい差があるのでしょうか?医師転職ドットコムに掲載されている常勤求人から給与下限と給与上限の平均を都道府県別に比較し、ランキング形式にしました。給与下限が高い順の並びとなっています。

No. 都道府県 給与下限 給与上限
1 北海道

1,456万円

1,990万円

2 山梨県

1,453万円

1,859万円

3 和歌山県

1,428万円

1,816万円

4 高知県

1,403万円

1,808万円

5 群馬県

1,396万円

1,978万円

6 青森県

1,376万円

1,983万円

7 兵庫県

1,374万円

1,818万円

8 愛媛県

1,371万円

1,857万円

9 愛知県

1,370万円

1,922万円

10 大分県

1,370万円

1,866万円

11 熊本県

1,365万円

1,985万円

12 静岡県

1,361万円

1,925万円

13 宮崎県

1,356万円

1,927万円

14 三重県

1,354万円

1,754万円

15 山形県

1,354万円

1,962万円

16 山口県

1,351万円

1,841万円

17 千葉県

1,348万円

1,865万円

18 茨城県

1,340万円

1,884万円

19 広島県

1,338万円

1,819万円

20 埼玉県

1,338万円

1,889万円

21 東京都

1,335万円

1,874万円

22 新潟県

1,334万円

1,913万円

23 神奈川県

1,329万円

1,790万円

24 徳島県

1,326万円

1,765万円

25 長崎県

1,325万円

1,824万円

26 大阪府

1,323万円

1,829万円

27 栃木県

1,316万円

1,791万円

28 石川県

1,309万円

1,965万円

29 香川県

1,307万円

1,756万円

30 鹿児島県

1,302万円

1,898万円

31 福島県

1,302万円

1,825万円

32 宮城県

1,298万円

1,776万円

33 岩手県

1,283万円

1,907万円

34 長野県

1,281万円

1,762万円

35 岐阜県

1,278万円

1,814万円

36 佐賀県

1,253万円

1,700万円

37 滋賀県

1,251万円

1,768万円

38 福井県

1,240万円

1,910万円

39 福岡県

1,229万円

1,781万円

40 奈良県

1,228万円

1,754万円

41 岡山県

1,223万円

1,736万円

42 京都府

1,220万円

1,668万円

43 富山県

1,214万円

1,572万円

44 鳥取県

1,201万円

1,609万円

45 秋田県

1,199万円

1,773万円

46 沖縄県

1,191万円

1,724万円

47 島根県

1,101万円

1,740万円

常勤医師の給与下限が最も高いのは北海道で1,456万円となっており、次いで2位が山梨県(1,453万円)、3位が和歌山県(1,428万円)でした。北海道は給与上限でも1位(1,990万円)となっています。

診療科別での医師年収ランキング

地域同様に診療科別の医師の年収について、医師転職ドットコムの求人から給与下限と給与上限を診療科別に比較したところ、下表のようなランキングになりました。

No. 募集科目 給与下限 給与上限
1 美容外科

1,860万円

3,433万円

2 不妊治療

1,738万円

2,545万円

3 美容皮膚科

1,632万円

2,487万円

4 AGA

1,525万円

1,885万円

5 産婦人科

1,472万円

2,327万円

6 在宅医療

1,469万円

2,014万円

7 形成外科

1,428万円

2,148万円

8 心療内科

1,417万円

1,829万円

9 耳鼻咽喉科

1,407万円

1,889万円

10 整形外科

1,406万円

1,909万円

11 人工透析科

1,405万円

1,928万円

12 皮膚科

1,368万円

1,895万円

13 精神科

1,365万円

1,876万円

14 眼科

1,363万円

1,862万円

15 婦人科

1,363万円

2,045万円

16 泌尿器科

1,346万円

2,023万円

17 外科

1,343万円

1,910万円

18 血管外科

1,339万円

1,868万円

19 内科

1,336万円

1,807万円

20 老年内科

1,320万円

1,680万円

21 総合診療科

1,318万円

1,867万円

22 消化器外科

1,318万円

1,866万円

23 脳神経外科

1,313万円

1,842万円

24 循環器内科

1,311万円

1,823万円

25 消化器内科

1,308万円

1,815万円

26 腎臓内科

1,288万円

1,831万円

27 乳腺外科

1,281万円

1,782万円

28 リハビリテーション科

1,275万円

1,749万円

29 呼吸器内科

1,270万円

1,835万円

30 内分泌・糖尿病・代謝内科

1,270万円

1,769万円

31 神経内科

1,263万円

1,764万円

32 小児科

1,251万円

1,857万円

33 緩和ケア

1,241万円

1,707万円

34 麻酔科

1,236万円

1,708万円

35 呼吸器外科

1,233万円

1,812万円

36 救命救急

1,232万円

1,812万円

37 小児外科

1,200万円

2,000万円

38 血液内科

1,196万円

1,736万円

39 リウマチ科

1,189万円

1,801万円

40 心臓血管外科

1,184万円

1,800万円

41 放射線科

1,176万円

1,632万円

42 放射線治療科

1,170万円

1,585万円

43 老健

1,160万円

1,330万円

44 病理科

1,150万円

1,676万円

45 集中治療科

1,142万円

1,731万円

46 腫瘍内科

1,134万円

1,824万円

47 健診・人間ドック

1,120万円

1,510万円

48 産業医

1,005万円

1,379万円

49 社医

1,000万円

1,350万円

50 検査科

800万円

1,150万円

最も給与下限が高いのが美容外科で1,860万円、次いで2位が不妊治療(1,738万円)、3位が美容皮膚科(1,632万円)となっています。

また参考として、医師のアンケート調査での診療科別での年収は下表のようになっています。こちらはアルバイト・副業を含む金額で、「美容」とあるものは「美容皮膚科」のことを指しています(美容外科については回答数が少なく記載なし)。


診療科別の年収(中央値)などの比較

転職後の医師の年収

医師は転職することで年収をアップすることができるのでしょうか?賃金構造基本統計調査では平均1,338万円という結果でしたが、転職した医師の年収データでは平均1,509万円、中央値1,500万円とやや高い傾向となっていました。

年収帯別での分布は以下のようになっています。




なお、医師の転職に関する調査では、前回の転職に関して9割以上の医師が「満足」と回答しています。年収の改善に加えて、転職時の希望として多い当直回数やオンコールの負担減など勤務環境に関する改善などもあって、総合的に満足度は高くなっているものと考えられます。

 

医師の年収は上記のように様々な要因で変わってきますが、こうした年収相場を押さえておくことで、現勤務先への働きかけや転職を通じてより納得のいく条件での勤務を実現しやすくなってきます。

 

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