医師が転職で失敗したエピソードとは?成功につながる3STEPも紹介-医師1,205人へのアンケート調査より

通常、医師が転職活動を始めてから新しい勤務先で働き始めるまでには、4~6か月の期間を要します。その中で、多くの転職先候補について、希望に合う求人条件や転職先の医療機関の雰囲気などの点を比較検討することになり、労力も必要です。

「せっかく転職したのに、思い描いていた仕事ができない」という状況は誰もが避けたいことでしょう。
医師が「転職に失敗した」と感じた具体的なエピソードや、転職での失敗を避けるために気を付けるべきポイントについて、メディウェルが会員医師1,205人に実施したアンケート調査の結果などをもとにお伝えします(回答者の属性)。

※本調査での「転職」には、研修による施設異動や医局人事による異動、開業は含みません。

 

医師が転職で失敗しないために押さえるべき3STEP-医師1,205人へのアンケート調査より

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「聞いていた給与と違う」「時間外勤務が多い」…医師が転職で失敗したエピソード

医師が転職で「失敗した」と感じたエピソードについて、アンケートで寄せられた声をご紹介します。

転職前に得ていた情報と実態のギャップ

    • 時間外勤務はほとんどないと聞いていたのに実際働いたら時間外の対応が意外と多かった (40代女性、小児科)
    • 月に数回新潟への出張があるとは聞いていたが、実際には北海道や広島へなどへの遠方出張が勤務日の半分あった (50代女性、美容外科)
    • 知り合いの紹介で転職したが、聞いていた給料と全く違っていた事が転職2ヶ月前にわかった (50代女性、麻酔科)
    • 勤務してみると院長が独裁的で勤務がいやになった (50代男性、一般内科)
    • 同僚が人間的にダメな人だった (40代男性、人工透析科)

特に多かったのが、勤務条件に関するギャップを感じたエピソードです。

給与や業務量、業務内容などについて、契約時に取り交わした内容と実態が異なっていたという医師の声が集まりました。

また、同僚となる勤務医の人柄や人間関係についても言及する意見がありました。

面接など転職先とのやり取りにおけるミス

    • 入院基本料を正確に答えられず、しかも回復期リハビリ病棟専従医の資格を持っていながら、専任医として勤務していることを説明したため、最初から落とすつもりだった相手の圧迫面接の餌食になった (50代男性、リハビリテーション)
    • 面接に行ったらこちらの希望科と先方の希望科が異なっていた (40代女性、内分泌・糖尿病・代謝内科)
    • クリニックの場所が良くわからず遅刻した (40代男性、皮膚科)
    • 面接のダブルブッキング(30代男性、脳神経外科)

面接や面談の際に話す内容は、あらかじめおおまかに決めておいた方が安心です。

医療機関が提示している求人条件と自分の希望条件やスキル等を比較して、どの部分が話題に上がるか事前に考えておきましょう。

また、希望条件のすり合わせや面接日程の調整など、事務的な部分でのミスも起こりがちです。自分で医療機関とやり取りする場合は、行き違いが発生しないよう注意が必要です。

その他

    • 専門領域なく転職したため、便利屋になってしまった (50代女性、放射線科)
    • 働き盛りだったのに第一線を退く選択肢を持ってしまった (50代男性、救命救急)
    • どの職場も医師不足なので、最初のうちは待遇等良くしてくれますが、その後は「釣った魚に餌をやらない」ことが多くて、すぐに大事にしてくれなくなります (40代男性、小児科)
    • 保険の切り替え (60代男性、小児科)

医師が転職活動で苦労したこととは?

失敗エピソードのほか、医師が転職活動の中でどんなことに苦労したかについても聞きました。

情報収集の方法が分からなかった

    • 初めての時はどうしたらよいかわからなかった。また紹介会社と連絡を取るのがすごく面倒に感じた (50代男性、消化器外科)
    • 前々回の転職は他地方からの転職となり、情報が少なく困難だった (50代男性、リハビリテーション)
    • どこに相談すればよいかわからなかった (60代男性、一般内科)
    • 病院の雰囲気がわからない (40代女性、神経内科)
    • 実際の給与がわからない (30代男性、泌尿器科)

希望条件に沿う求人探し

    • 条件に合う就職先を探すのが大変だった (30代女性、健診・人間ドック)
    • 希望をみたす病院が見つからない (40代男性、血液内科)
    • 求人が多いので、条件の違いなど、選ぶのに時間がかかる (50代男性、消化器内科)
    • なかなか希望通りの転職先がなく収入が減り生活に苦労した (60代男性、泌尿器科)
    • 転職先を探すのに1年近くかかった (50代男性、麻酔科)

勤務条件の交渉、確約

    • 時短勤務で相談していたが、いざ面接の時に終日勤務を提示され困った (40代女性、小児科)
    • 希望年収をなかなか伝えにくい (60代女性、一般内科)
    • 給与を直接自分で交渉すること (50代男性、消化器外科)
    • 複数病院を候補に挙げたとき、全て自分で見学の調整や比較をしなければならなかったこと (20代女性、リハビリテーション)
    • 直接交渉した時に、勤務条件を騙されたことがありました (40代男性、心療内科)
    • 契約書にサインする数日前に内容を大幅に変えられた。もちろん断った (60代男性、放射線科)

前勤務先や医局との関係性

    • 前勤務病院に転職を内密で進めること (60代男性、心臓血管外科)
    • 教授の御意向とのかねあい… (50代男性、整形外科)
    • 前職を上手にやめられなかった (60代男性、消化器内科)
    • 脅迫にも近い引き留めにあった (60代男性、整形外科)
    • 大学を辞めることが決まったあとに陰湿なイジメがあった (30代女性、病理診断科)
    • 病院公募で申し込んだのにもかかわらず、当該地域の大学医局が出しゃばってきたこと。それまで常勤医師を派遣しようとしていなかったのに、応援を止めることをにおわせて病院に圧力をかけた。1年間、恭順の意を示すために医局指定の病院に勤務しました (40代男性、麻酔科)

実務と就職活動の両立

    • 複数社と並行して予定がある事 (40代男性、消化器外科)
    • 平日は仕事を抜けづらく、見学の日数が限られた (30代男性、一般内科)
    • 前職で勤務中の転職だったので、転職にかける時間は、土日と夜しか時間が取りづらかった (70歳以上男性、一般内科)

 

そもそも転職活動の進め方についてよく知らず大変だったという意見が多く聞かれました。

また、求人を探して医療機関とやり取りし、条件交渉をする一連の流れや、退局・退職時のトラブルに苦労したという医師もいました。
転職活動や退職に向けた根回しを通常業務と同時並行するつらさも言及されていました。

医師が転職活動をする中でこういった失敗や苦労に直面してしまう要因は、どんなところにあるのでしょうか?

医師が転職に失敗してしまう3つの理由

医師が転職活動をうまく進められない原因となりやすいポイントについて、アンケート結果などをもとに解説します。

自己分析が不十分

    • 自分がどうしたいか明瞭でないと、後悔することがある (70歳以上男性、脳神経外科)
    • 譲れることと譲れないことを明確にする。業者や病院の方は妥協を求めてくるが、仕方ないと思って譲れないところを譲ると後で転職を後悔する (50代男性、麻酔科)
    • 退職後に自分のやりたい事をきちんと考えて自分の言葉で説明出来るようにすることが大事だと思った。ただつらいだけでは転職理由が弱い (40代男性、消化器外科)

転職活動を始めるにあたって、「今の職場のどんなところに不満を持っているのか」「転職先で必ず改善したい条件は何か」を明確にすることが大切です。

転職理由や希望条件があいまいなままだと、希望に沿って転職先候補を絞り込んだり、交渉で有利な条件を引き出したりすることが難しくなります。

そして、自分が何に不満を抱えているのか明らかにしていくためには、現在の生活環境や将来像を踏まえた「理想のキャリア」を設定する必要も出てきます。

自己分析は転職活動の軸となる部分です。多忙な中、自己分析や希望条件のブラッシュアップに使える時間がなかなか取れない医師も多いと思いますが、転職活動のビジョンが明確になるまで自身と向き合うことをおすすめします。

転職先についての情報収集不足

    • 関連施設往診や遅番早番を後で頼まれた。又、往診と急変用電話持ちなど、後から言われた (50代男性、消化器内科)
    • 転職早々に赴任先の財務状況の悪化顕著という事実が判明して、早々に再転職先を探す事になった (50代男性、一般内科)
    • 実際に仕事をしないと、周りの医師や検査技師さんの技術レベルは分かりません。他者のミスで責任を負わされたりしました。非常勤でしばらく勤務して、確認すべきでした (50代女性、一般内科)

転職活動では、転職先についての多面的な情報収集が不可欠です。

求人の条件について詳しく確認し、書面など形に残しておかないと、転職前後で認識が食い違った場合に言った言わないのもめごとに発展しかねません。

また、転職後に長く務めるためには、転職先の経営状況や勤務医の人間関係なども大切な要素です。

焦った転職活動

    • 希望した病院に決まらなかった時に、担当者から勧められた病院に拙速に決めて、勤務して直ぐにとんでもない病院と気づき半年で退職した事があります (60代男性、リハビリテーション)
    • 期間が短く、早く内定が欲しかったために条件の交渉を十分にできなかった (30代男性、神経内科)
    • 転職先を決めずに辞職した (50代男性、麻酔科)

転職活動中は求人検索や面接などで忙しくなります。働きながら転職活動をする場合は休日を使いながら転職活動を進めていくことも多いです。

希望に合う転職先がなかなか見つからないまま、予定より転職活動に時間がかかってしまうと、「早く決めてしまいたい」という焦りが生まれがちです。

その結果、本当は譲りたくなかった条件で譲歩してしまったり、辞職と転職先確保のタイミングがずれてしまったりして、思い描いていた転職活動とは違った結果になってしまうこともあります。

医師が転職で失敗しないようにするためには、どのような転職活動の進め方が効果的なのでしょうか?

医師が転職で失敗しないための3STEP

医師が転職活動を成功させるために役立つ3つのステップは、「スケジュール確保」「情報収集」「転職エージェントの活用」です。それぞれ詳しく解説します。

1.余裕を持って転職スケジュールを確保する

希望に沿った転職をかなえるには、可能であればおよそ半年の転職活動期間を確保したいところです。
メディウェルで転職をかなえた会員医師の転職スケジュールを参考に、その理由を見ていきます。


転職会社を活用した場合の理想的な転職スケジュール

自己分析、希望条件の洗い出しと優先順位付け(約2週間)

医師の転職活動は、自己分析と希望条件の洗い出しから始まります。

転職を通じて自分がどんなキャリアを歩んでいきたいのか明確になったら、希望条件の優先順位を考え、どうしても譲れない条件と、ある程度譲歩できる条件に区別しておきます。
転職活動の軸となる部分で、できれば入職するまで内容が変わらないことが好ましいです。2週間程度、しっかり時間をかけて自分と向き合うことをお勧めしています。

求人検索、転職先の見学や面接、条件交渉、労働条件書の作成(約2カ月)

条件が固まったら、それを元に求人を探していきます。
複数の求人を比較したほうが、より希望に沿った求人を見つけやすくなります。面接や条件交渉、見学などを実務の合間に複数こなすことになり、労力と時間を必要とします。

退局、退職の意思表示と交渉(約4カ月)

転職活動と合わせて慎重に進めなくてはならないのが、退局や退職の交渉です。

医師不足が続く今般、退職の意思を伝えると多くの場合は引き止めを受けます。現在の職場を円満に去ることができるかどうかは、転職後の働きやすさに関わってくるケースもあり、とても重要です。

2.病院見学などで職場の実態を見極める

転職先を決めるために欠かせない工程の一つに、情報収集があります。
情報を集める手段はいくつかありますが、おすすめなのは病院見学やトライアル勤務をして職場の雰囲気を知ることです。

医療機関の現状の運営体制や人間関係からくる問題など、求人情報からは見えづらい部分でも、実際に現場に立つと見えてくることがあります。

また、自分の肌感覚で情報を得られることも大きいです。
情報収集する中で自身の希望条件と合わない部分が出てきた時に、その部分を譲歩できるかどうか検討する必要があります。

人づてに情報を得るケースよりも自身の感覚に基づいて価値観に合った判断をすることができ、入職後のギャップを抑えることにつながります。

では、実際に現場をチェックする時にはどんなポイントに注目すべきでしょうか。一例を以下に挙げます。

    • 外来や病棟の運営体制
    • 患者層や症例の種類
    • 実務で使っている設備
    • 同僚間の人間関係
    • 業務に関する独自ルールの有無
    • 医療機関の経営状況

求人の条件や給与面などと並んで、職場の実態や雰囲気は長く働くために欠かせない判断材料です。ぜひチェックすることをお勧めします。

3.紹介会社を活用する

転職経験のある医師の中で、紹介会社を利用したことがある医師は73.8%と多数派でした。


過去に紹介会社を利用して転職した経験

医師紹介サービスを提供するメディウェルによる会員向けアンケート調査の結果であることを踏まえても、医師の間で転職時に紹介会社を活用することが一般的となっている状況がうかがえます。

紹介会社を活用するメリットは次の3点です。

    • 希望条件の洗い出しから面接、退局・退職交渉まで必要に応じて支援してくれる
    • 求人検索、医療機関との日程調整や条件交渉を代行してくれる
    • 入職後のアフターフォローも受けられる

紹介会社は求人情報や医療機関の情報を日々更新しているため、個人では入手が難しい情報も提供できることがあります。

また、紹介会社を通すことで、匿名で情報収集などの活動ができ、転職活動をしていることを関係先に悟られずに済むこともメリットのひとつです。

円満退職のために心がけたい4つのこと

多くの場合、退局・退職の意思を職場に伝えてから受理されるまでには長い時間を要します。メディウェルでは、円満退職のためにできれば約4カ月間の退職交渉期間を見込むことをお勧めしています。

現在の職場と退職交渉をするにあたって注意すべきことは、以下の4つです。

転職先の条件を検討し、決意が固まってから退職の意思を伝える

転職するかどうか決めかねている状態で退職の意思を伝えてしまうと、現在の職場から引き留めを受けた場合に迷いが生じてしまいます。

まずは転職活動を進めて、どんな条件での転職がかなえられそうか調べましょう。転職後の条件と現在の職場の条件、理想のキャリアを実現するために必要な条件を比較検討し、自分の中で退職の意思が固まってから報告するという流れが望ましいです。

また、現職を離れたいという気持ちが強く、転職先が定まらないうちに退職の意思を伝えてしまうケースがありますが、転職先を急いで探さなくてはならず求人の吟味がしづらくなってしまいます。

できればある程度転職活動が進み、次の勤務先のめどがついた段階で退職交渉を始められると理想的です。

退職の意思を伝える場は、自分から設定する

人づてに上層部へ退職の意思を伝えてもらうことは難しく、どのくらいの期間が必要になるかも予測しづらいです。人事権を持つ上長と自ら約束を取り付け、直接話す時間を取ってもらいましょう。

できるだけプラスの退職理由を伝える

医師と医療機関の間で遺恨を残さず円満に退職するため、退職理由を伝える時は、マイナス面よりもプラス面に焦点を当てましょう。

例えば、「現勤務先では症例数や設備に不満を感じている」というケースであれば、「よりスキルアップできる場で自分を磨き、理想のキャリアを目指したい」など、自分のキャリアを見据えた前向きな理由に変換して伝えるほうが現勤務先も納得しやすいです。

また、退職理由が一点だけだと「数年以内に設備投資する」など説得される可能性もあります。複数の転職理由を考えておくとより交渉しやすくなります。

現勤務先の事情も考慮し、余裕をもって伝える

予定外の医師の新規採用はコストも時間もかかります。退職希望日が近くなってから退職の意思を伝えると、現勤務先に迷惑が掛かってしまいます。

早めに退職の意思を伝えることができれば、医療機関側もそのぶん欠員補充の採用活動に時間を使うことができます。

退職まで日がない場合、新しく医師を採用するよりも今いる医師を辞めさせない方向に労力を使ったほうが良いと判断される可能性も出てきてしまいます。

まとめ

入念な準備さえできれば、医師が納得いく転職をかなえることは難しくありません。過去の転職活動について、9割超の医師が「満足」しているというデータもあります。

ただ、通常業務と並行して着実にステップを進めていくことは、人によっては大変だと感じる場合もあるでしょう。

「転職が頭に浮かんでいるけれど、失敗は避けたい」と葛藤を抱えている時は、一度転職経験のある知人や紹介会社に相談してみるといいかもしれません。

 

【参考】回答者の属性

調査概要


転職アンケート調査の概要

 

年齢


アンケート調査回答者の年齢別人数

 

性別


アンケート調査回答者の男女別人数

 

診療科


アンケート調査回答者の診療科別人数

 

地域


アンケート調査回答者の地域別人数

 

主たる勤務先


アンケート調査回答者の勤務先別人数

 
【転職に関する過去の調査】
「面接で聞いていた話と違う」「辞めようとしたら嫌がらせ」…医師の転職活動での具体的な失敗エピソード(自由回答)
「退職させてくれない」「口約束で受けたら本契約は異なっていた」…医師の転職活動、特に苦労したポイントは?(自由回答)

 

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