医師の転職にとっても「時期」は重要
医師が転職する際、押さえるべきポイントの一つに、「時期」――何月に転職活動を開始するか?――があります。医師であっても希望に合致する求人が常に募集しているとは限りません。例えば、院長や部長などのポスト付きで好条件の求人や、産業医などの人気求人は、募集が充足しやすい傾向にあります。また、同じ求人であっても、タイミングによっては条件交渉のしやすさが変わることがあります。その意味でも医師の転職におけるタイミングは重要です。
そこで、他の医師がいつ(どのタイミングで)転職しているかについて、以下に調査を行ないました。転職活動を始める際の一つの参考としてご活用ください。

医師が転職をする時期とは?
医師の転職時期について、メディウェルを利用して転職した医師の調査結果が下図になります。転職活動開始、転職先決定、勤務開始の3つの時期を調査対象としています。
①転職活動の開始時期の傾向
医師の転職活動開始時期としては、1月、6月~8月、10月が多い傾向にあります。4月を年度の始まりとすると、6月から8月が最初に多くなるタイミングになっており、早めに転職活動を始める医師は夏のうちに始めているといえます。また、4月に向けて前年の暮れ頃から病院・医局で次期の体制や人事を決定していくため、その手前の10月に転職活動を始める医師も多くなっています。
逆に少ない時期としては、4月(ゴールデンウィーク前)、9月(シルバーウィーク前)、12月(年末年始前)といずれも連休前の時期で、医師の転職活動の開始が少なくなる傾向が見られます。
②転職先を決定する時期の傾向
求人の検討や面接・条件交渉などを終え、医師が転職先を最終的に決定する時期としては、9月~11月と2~4月が多くなっています。9月~11月に転職先を決定することが多いのは、現在の勤務先や医局の人事が固まる前に退職を申し出られるようにしておくという背景もあります。
2~4月で転職先を決定する場合、年明けから転職活動を始めて、比較的短期間のうちに転職先を探している場合が多くなります。先に退職だけ決まっていて転職先は決まっていないという場合もあります。また4月頃になると、翌年から勤務する職場を前もって探して決定しておくという医師も増えてきます。
③転職先の職場で勤務開始する時期の傾向
退職の手続きが完了し、医師が転職先の職場で勤務を開始する時期としては、4月のタイミングが最も多く、全体の約45%が4月という結果です。4月が多い要因としては、やはり病院にとって期の変わり目であるということが大きく、転職前の勤務先、転職後の勤務先ともに外来・病棟などの新体制を整えやすい時期でもあるということが挙げられます。
4月以外で医師が転職先で勤務を開始するタイミングとしては、1月の年始の時期や、10月の下半期が始まる時期が比較的多い傾向にあります。また、4月のタイミングが間に合わない場合などに勤務開始が後ろにずれ込む場合もあるためか、5~7月もやや多い傾向にあることが見て取れます。
これから転職活動を始める場合のタイミングとスケジュール設定
以上の傾向を踏まえて、これから転職活動を始める場合、どのようなタイミングでどれぐらいのスケジュール感をもって始めれば良いのでしょうか。一つの考え方として、実際に転職したい時期から逆算してスケジュール設定を行なうという方法があります。医師の転職活動期間の記事でも紹介しましたが、一般的な医師の転職活動の流れは下表のようになっています。
この表の通り、最終的に転職先で勤務を開始するまでに一般的に120~200日かかるということをあらかじめ見越した上で、転職時期・退職の申し出を行なう時期から逆算してスケジュールを組むことが一つの目安となります。
ただし、求人を探し始める時期は、早ければ早いほど希望の求人が見つかる確率は高くなる(後になると募集終了になってしまう場合もある)ため、転職を考え始めた時点で求人も探し始めた方が良いといえます。特に求人の募集状況は市況感によって左右されるため、医師の転職活動が活発になる時期を見越して早めに求人を探し始めておくと良いでしょう。
また医師の転職活動のスケジュールは、地域や診療科により変化するところも大きいため、特にはじめて転職活動を始める医師の方は、医師専門のコンサルタントに相談することをおすすめします。