都会に住んでいる医師の方が通勤時間が長い?医師1,792名のアンケート結果

地域によって通勤時間や通勤手段の傾向は異なると考えられますが、医師の場合はどのようになっているのでしょうか?医師の通勤事情について、1,792名の医師へのアンケート結果を見ていきます。

 

都会に住んでいる医師の方が通勤時間が長い?医師1,792名のアンケート結果


 

都市部に住んで郊外や地方の職場へ通勤する場合も―医師の居住地と勤務先の関係

医師の居住地の地域について「都市部」「郊外」「地方」の3つの選択肢で質問したところ、結果は下図のようになりました。


医師の居住地の地域

都市部に住んでいる医師が60%と最も多く、次いで郊外が22%、地方が18%という結果です。

一方、医師の職場(主たる勤務先)の地域は、下図の結果となっています[1]


医師の職場の地域

都市部が51%と居住地の場合に比べてやや少なくなり、郊外が28%、地方が21%となっています。

居住地と医師の職場の地域についてまとめた結果が下表となります。


医師の居住地と職場の地域関係

都市部→都市部、郊外→郊外、地方→地方の通勤がやはり多い状況となっていますが、都市部に住んでいる医師が郊外や、場合によっては地方の勤務先まで通勤しているケースも一定数あることがわかります。

一般的な職業では郊外をベッドタウンとして都市部に通勤するというケースが多い中、医師に関しては郊外から都市部に通勤するよりも都市部から郊外に通勤するケースの方が多いというのは特徴的といえます。

これには、地方や郊外でも医師の場合は年収が低くならない(むしろ高くなる)といった事情も影響していると考えられます。

医師の通勤時間は30分~1時間が最多

医師の主たる勤務先までの通勤時間について調査したところ、結果は下図のようになっていました。


医師の通勤時間

「30分以上1時間未満」が36%と最も多くなっており、次いで「10分以上30分未満」(33%)が多くなっています。

また、医師に通勤時間として許容できる時間についても質問したところ、下図のような結果になりました。


医師の許容できる通勤時間

30分以上1時間未満が55%を占めており、「1時間を超えるかどうか」が許容できる通勤時間の目安と考えている医師が多いといえます。

医師の地域別での通勤時間の違い

こうした医師の通勤時間の傾向は地域別でどのように異なるのでしょうか?居住地の「都市部」「郊外」「地方」別で見ると以下のようになっていました。


居住地域別での医師の通勤時間

都市部では「30分以上1時間未満」の割合が顕著に高い状況ですが、郊外、地方となると「10分未満」「10分以上30分未満」の割合が高く、全体的に都市部で通勤時間が長い傾向が見られます。

また、通勤時間を関東や近畿などの地域区分で見ると下表のようになりました。


地域区分別での医師の通勤時間

やはり東京や大阪などの大都市圏を含む関東・近畿で通勤時間がやや長く、北海道・東北、中部、中国・四国では通勤時間が比較的短くなっています。

交通の便がよいと考えられる都市部ですが、医師の通勤時間ではむしろ地方や郊外よりも長い傾向にあるようです。

医師の通勤手段の地域差

続いて、医師の通勤手段について見ていきます。回答した医師全体での結果は下表のようになっています(複数回答)。


医師の通勤手段

最も多いのが「車」で、49.1%の医師が通勤に車を利用していました。続いて多いのが「電車」で42.0%となっています。

これを医師の居住地別で見ると、以下のようになりました。


居住地別での医師の通勤手段

都市部では「車」の割合は下がり、「電車」の利用が最も多くなっています。逆に郊外では6割弱、地方では約7割の医師が通勤に「車」を利用している状況となっています。

また、地域区分で見ると下表のような状況です。


地域区分別での医師の通勤手段

やはり東京・大阪の大都市圏を含む関東・近畿では「電車」が多く利用されており、「車」の利用はその他の地域で多くなっています。

こうした通勤手段の地域差を踏まえると、「電車での1時間通勤はできても車での1時間通勤は厳しい」といった事情が地域別の通勤時間の差にも影響しているのかもしれません。

医師のアルバイト勤務の通勤時間は主たる勤務先より長くなる傾向

多くの医師は主たる勤務先とは別にアルバイト勤務を行っていますが、その際の通勤時間はどれぐらいなのでしょうか?

「アルバイト勤務をしている」と回答した医師1,236名の結果を、先ほどの主たる勤務先の通勤時間と比較すると下表のようになりました。


医師のアルバイトと主たる勤務先での通勤時間の違い

アルバイトの場合、通勤時間30分未満は主たる勤務先と比べて少なく、30分以上が多くなっています。主たる勤務先よりもアルバイトで通勤時間が長くなる傾向といえます。

続いて、アルバイトでの許容できる通勤時間についても同様に主たる勤務先と比較すると、下表のようになっていました。


医師のアルバイトと主たる勤務先での許容できる通勤時間の違い

許容できる通勤時間でもアルバイト勤務では主たる勤務先より長くなる傾向となっています。

アルバイトでは勤務する頻度が少なくなるため、多少の遠出でも主たる勤務先と比べて負担感は少ないのかもしれません。

 

【参考】回答者の属性

調査概要

調査内容 医師の勤務地選びに関するアンケート調査
調査対象者 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 2021年10月18日~2021年10月29日
有効回答数 1,792件
調査公開日 2021年11月12日

 

年齢


回答者の年齢

 

性別


回答者の性別

 

診療科


回答者の診療科

 

地域区分


回答者の地域

 

 
<注>
[1] 主たる勤務先が「休職中」の医師(1,792名中40名)については、以前の主たる勤務先についての回答となっている。以下も同様。