医師はどのように情報収集している?医師1,824名のアンケート結果

医療は多くの人が関心を持つテーマでもあり、雑誌や書籍、テレビ、インターネットなど様々な媒体で医療に関する情報が日々大量に取り上げられています。そのため、信頼性の低い情報や明らかに事実と異なる情報が出回ってしまうことも少なくありません。

医療情報で一般の人に特に参考にされやすいのが医師からの情報ですが、医師自身はどのように情報収集をしているのでしょうか?医師1,824名にアンケート調査を行いました(回答者の概要)。

 

医師はどのように情報収集している?医師1,824名のアンケート結果


 

医師の情報収集の方法で最も多いのは「医学誌」

医師が専門領域に関してどのように情報収集をしているのかについて調査したところ、結果は下表のようになりました。


医師の情報収集の方法

「医学誌」という回答が66.0%と最も多く、次いで「学会」が61.5%、「医師向け情報サイト」が59.4%と多い結果です。

年代別での医師の情報収集方法の違い

20代・30代

医師の情報収集方法を年代別で見ると、20代・30代の若手医師では「書籍」を情報収集の方法とする割合が60.4%と高くなっており、専門医用のテキストなど一定の教材を用いた学習をしている場合が多いと考えられます。


【20代・30代】医師の情報収集の方法

40代・50代

一方、40代・50代の医師では「学会」や「医師向け情報サイト」を通じた情報収集が比較的多い状況となっています。


【40代・50代】医師の情報収集の方法

60代以上

また、60代以上の医師では「医師向け情報サイト」の割合が69.9%と最も高く、「学会」は50.7%と低くなっています。「医師向け情報サイト」は年代が高い医師でより情報収集に用いられる傾向にあるといえます。


【60代以上】医師の情報収集の方法

m3・日経メディカルなど各医師向け情報サイトの利用状況

医師向け情報サイトとしてはm3、日経メディカル、ケアネット、MedPeerなどがありますが、医師は普段どのサイトを利用していることが多いのでしょうか?各サイトの利用状況について調査しました。

m3

「普段から利用している」が67%と医師全体の2/3を占めており、「ときどき利用する」が21%、「あまり利用していない」が9%、「利用も登録もしていない」が3%という状況となっています。


m3の利用状況

日経メディカル

「普段から利用している」は41%となっており、「ときどき利用する」が28%、「あまり利用していない」が20%、「利用も登録もしていない」が11%となっています。


日経メディカルの利用状況

ケアネット

「普段から利用している」が42%、「ときどき利用する」が21%、「あまり利用していない」が19%、「利用も登録もしていない」が18%という状況です。


ケアネットの利用状況

MedPeer

「普段から利用している」が38%、「ときどき利用する」が19%、「あまり利用していない」が20%、「利用も登録もしていない」が23%となっています。


MedPeerの利用状況

4サイトを比較すると、医師にとってm3が特に普段から利用されている割合が高い状況となっています。

また、上記以外に利用しているサイトとしては、「Medical Tribune」が多く挙がりました。

医師向け情報収集サイトの利用目的やサービスへの期待

医師向け情報サイトの普段の利用目的やサービスで期待していることについて医師に質問したところ、自由回答で以下のようなものがありました(一部紹介)。

    • 最新の医療情報の収集

    • 医学知識のアップデート (30代男性、産婦人科)
    • 最新情報の入手 (40代男性、循環器内科)
    • 早い情報提供、質の高い情報提供 (50代男性、リハビリテーション)
    • 最新の論文やエビデンスが手軽に入手できること。 (50代男性、呼吸器外科)
    • 新薬の情報 (30代女性、麻酔科)
    • 自分の専門分野以外の情報収集

    • 特に専門外分野の情報獲得。 (50代男性、消化器内科)
    • 専門・専門外の医療情報を得るため (40代男性、小児科)
    • 自分の専門領域以外の知識のup-to-date (60代男性、一般内科)
    • 専門以外の情報 (50代女性、婦人科)
    • 専門外の情報をバランスよく把握したい (60代男性、救命救急)
    • 検索機能

    • 検索機能が充実しているとよい (30代女性、小児科)
    • 出典がはっきりした最新の情報を、キーワードで検索できたら非常に良い (30代男性、眼科)
    • 情報の検索しやすさ (30代男性、放射線科)
    • 情報をストックして検索したらすぐに閲覧できるようにして欲しい。 (50代男性、一般内科)
    • Reviewを検索して、そこから重要なペーパーを引用しています (60代男性、循環器内科)
    • 求人情報

    • バイト、特に産業医案件を探す (30代男性、病理診断科)
    • 転職斡旋、講演案内、新製品情報提供など (40代男性、神経内科)
    • 医学ニュース、スポット求人 (30代男性、産婦人科)
    • アルバイト検索 (30代女性、耳鼻咽喉科)
    • 求人のチェック (40代男性、形成外科)
    • ポイント

    • ポイントが効率よくたまる (20代女性、耳鼻咽喉科)
    • ポイントの蓄積 (60代男性、脳神経外科)
    • ポイントサービス (40代男性、整形外科)
    • ポイントを貯める、講演会 (30代女性、産婦人科)
    • ポイント収集 (20代男性、一般内科)
    • その他

    • 書籍閲覧サービス (40代男性、形成外科)
    • 情報収集の場としてエキスパートに意見をうかがうことができるとより良いです。 (50代男性、呼吸器内科)
    • ケアネットTVのような役に立つ教育素材 (30代男性、老年内科)
    • 他の人の意見を知れる、バイト探し (20代女性、形成外科)
    • 記事を後で読み返せるように、お気に入りなど保存しやすい仕組みがあると嬉しいです。 (40代男性、眼科)

医師のSNSの利用状況

医師のSNSの利用状況は下図のようになっています。


医師のSNS利用状況

57%の医師がSNSを「利用している」という状況です。

年代別では下表のようになっており、20代・30代の若手医師でSNS利用率が高い傾向にあります。


【年代別】医師のSNS利用状況

医師が利用しているSNS

SNSを利用している医師を対象に、どのSNSを利用しているかを尋ねたとところ、結果は下表のようになっていました。


医師が利用するSNS

LINEが85.8%と最も多く、次いでFacebookが64.8%、Youtubeが62.0%と多くなっています。Twitterに関しては55.1%、Instagramは44.7%という状況でした。

一方、SNS利用率の高い20代・30代の若手医師で見ると男女別で傾向が分かれており、男性医師ではTwitter(71.2%)、女性医師ではInstagram(72.0%)の利用率が高くなっています。


【20代・30代男性】医師が利用するSNS


【20代・30代女性】医師が利用するSNS

SNSの利用目的やサービスへの期待

SNSを利用する医師を対象に、SNSの普段の利用目的やサービスに期待していることについて尋ねたところ、以下のような自由回答が寄せられました(一部紹介)。

    • 家族や知人との連絡、近況報告

    • 家族や友人との円滑なコミュニケーション (50代女性、精神科)
    • 知り合いの近況 (50代男性、泌尿器科)
    • 家族や友達との連絡 (60代男性、消化器外科)
    • 個人連絡や情報収集など (50代女性、健診・人間ドック)
    • 知り合いの近況、学会などからの情報の読み忘れの確認 (50代女性、婦人科)
    • 情報収集

    • 医療関係の情報収集の目的で利用している (40代男性、一般内科)
    • リアルタイムの情報調達 (50代男性、麻酔科)
    • 海外の臨床結果や一般の方の捉え方など、多岐にわたって情報が集められる (30代女性、乳腺外科)
    • ニュースなどの情報収集、動画コンテンツによる学習 (30代男性、産婦人科)
    • 手術や診療のコツなどをtweetしている人がいて参考にしています。 (40代男性、眼科)
    • 情報発信やSNSを介した交流

    • Youtubeなどでの手術動画の提供 (40代男性、整形外科)
    • 情報発信や情報の入手が手軽にできること。 (50代男性、呼吸器外科)
    • 利用目的:情報発信、情報収集、期待:医師としての身分認証制度 (50代男性、精神科)
    • 匿名でのコミュニケーション (30代女性、産婦人科)
    • 病院間の情報交換 (50代男性、精神科)
    • プライベートでの利用

    • 遊びと本業以外の情報収集 (30代男性、循環器内科)
    • プライベートの連絡 (40代男性、小児科)
    • プライベートな趣味などで利用 (50代男性、一般内科)
    • SNSはプライベート目的のみ使用 (30代女性、美容)
    • プライベートの情報収集です。主に投資関係が多いです。 (20代男性、一般内科)
    • その他

    • 病院の宣伝 (40代男性、一般外科)
    • 自由な意見、グループチャットによる手術添削、専門医試験グループでの勉強 (30代男性、眼科)
    • 周囲の動向を知るため (40代女性、消化器内科)
    • とりあえず登録している(最近は殆ど利用していない)。連絡用 (30代男性、神経内科)
    • セキュリティや個人情報などのリスクを考えてなるべく必要時以外は使わない (50代男性、循環器内科)

医師の情報収集に関する自由回答

医師の情報収集に関する意見や感想について自由回答で募ったところ、以下のような回答がありました(一部紹介)。

    • コロナ禍での情報収集に関する変化

    • コロナ禍で講演会などがすべてオンラインになったため、インターネットからの情報収集に依存せざるえない状況になっている。 (40代男性、一般内科)
    • コロナ時代は益々it利用が加速すると思います (50代男性、精神科)
    • コロナ渦で情報が入りにくくなったため、書籍に頼ることが増えた。 (40代男性、消化器内科)
    • コロナ禍で学会に現地参加する機会が減り他施設の医師と情報交換する機会が減った (30代女性、形成外科)
    • 学会や研究会のようなface to faceと違って、コロナ禍でネット配信が多くなり、興味ある話題でもあまり見ない (50代男性、消化器外科)
    • インターネット利用の拡大

    • 分からないことがあったらネットですぐに調べられて便利。外来中にもすぐに調べられる。 (40代男性、循環器内科)
    • 今は書籍よりネットだと思います。手軽に利用できることが重要。 (50代男性、腎臓内科)
    • ネットでの情報収集が主体となってきているような印象です。 (50代女性、整形外科)
    • 学会参加が困難になった分、ネットに頼っている (50代男性、消化器外科)
    • インターネットで手軽に情報が入手できるようになり、自分の若い頃と比べたらたいぶ便利になりました。 (50代男性、呼吸器外科)
    • MRからの情報収集について

    • 今後も是非ネットを充実して欲しいです、またもっと簡便にMRさんとアクセスできるといいです(時間の予約とかがあると不便です) (40代男性、精神科)
    • mrからの情報が有用 直接話した方がいろいろまとめて聞けるので (40代男性、一般内科)
    • MR活動の制限は、日々の情報収集に支障を来しており、早急に改善して頂きたいです。 (40代男性、循環器内科)
    • 医療情報サイトは手軽なので、今後も利用したい。MRさんとの面接は、時間がとりづらいので減らしたい。 (50代男性、精神科)
    • 半年間MR氏と直接やりとりをしていません (50代男性、精神科)
    • 医師向け情報サイトについて

    • 医師限定時は、実名記載が望ましいと考える。ただしあくまでも個人なので組織を代表する必要はないが。 (60代男性、精神科)
    • 医師専門のサイトで、内容の濃い、質の髙い情報が集まったサイトが欲しい (50代男性、リハビリテーション)
    • 医師以外の会員の閲覧があったり、医師同士の話の内容が外部に流出したりすることもあるので注意が必要だと思っている (50代女性、リウマチ科)
    • 医療系サイトの情報の内容が似ているので、独自の切り口の医療系サイトがあるといいと思う。 (50代女性、健診・人間ドック)
    • medpeerの言いたいことを聞いたり発言したりできるコーナーがあってそこは本当に正直で読んでいて楽しいですね、。 (50代男性、精神科)
    • おすすめの情報収集について

    • 最新の話題は学会がやはり有用なのかと思う。 (40代男性、耳鼻咽喉科)
    • やはりSNSの情報収集、拡散が圧倒的です。 (70歳以上男性、一般内科)
    • m3は大変役にたっています (70歳以上男性、一般内科)
    • インターネットの一般的な検索がやはり、最善最速です。特に、英語で検索すれば、莫大な情報を瞬時に得ることができます。 (50代男性、麻酔科)
    • インターネットサイトとSNSである程度は情報収集ができるようになった (50代男性、一般内科)
    • 情報収集時の注意点

    • 取得した医療に関わる情報は必ず文献による確認をとる (60代男性、一般内科)
    • インターネットの普及で便利になったが、より一層リテラシーが必要と感じている (40代男性、一般内科)
    • 学会等以外のサイトは信用できるかどうか常にチェックが必要。 (60代男性、一般内科)
    • 誰が言ったか分からない情報は全て不可。データを引用するならば、referenceがあることが最低条件であり、最低のマナーである。怪しい情報をいかに排除するか、だ。 (50代男性、放射線科)
    • 医療従事者だけでかたまり情報が偏らないようにしたい (40代男性、整形外科)
    • 情報が分散しているのでまとめて見たい

    • サイトが分立していてややこしい (30代男性、精神科)
    • 様々な情報サイトがあるが、すべてを統合したサイトがあると便利なのですが、さすがに無理でしょう。 (50代男性、眼科)
    • まとまったサイトが欲しい (60代男性、一般外科)
    • 当科の情報は散発的かつ散在的で、効率よく見る方法を知りません。 (60代男性、病理診断科)
    • 情報源が多すぎる。信頼できる情報源が数か所あれば十分と思う。 (60代男性、一般内科)
    • その他

    • Twitterで書きすぎる医師がいて困る (40代男性、産婦人科)
    • 業者を通じた情報網は一括登録、一括解除のことが多く、自分の分野とは関係ない分野の講演会や情報が頻繁に入ってくるのは鬱陶しく感じる。ある程度細分化されたカテゴリーから取捨選択できるようにして欲しい。 (40代女性、形成外科)
    • どちらかというとリアル面談や講演会が良い。 (60代男性、一般内科)
    • 医師といえ正しいことを発信しているわけではない。 (30代男性、放射線科)
    • 今は大学病院にいるから新しい情報が自然と入るけど大学病院を離れたらどうやって知識をアップデートしていこうか悩んでいる。医局OBの開業医の先生方は常に先端におられ、どうやってアップデートされてるのか尊敬する。 (40代女性、内分泌・糖尿病・代謝内科)

 

【参考】回答者の属性

調査概要

調査内容 医師の情報収集に関するアンケート調査
調査対象者 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 2021年8月23日~2021年9月3日
有効回答数 1,824件
調査公開日 2021年10月5日

 

年齢


回答者の年齢

 

性別


回答者の性別

 

診療科


回答者の診療科

 

地域


回答者の地域