2020年2月に実施した医師への転居のアンケートでは、医局人事による転勤などで医師は一般の人よりも転居を経験する回数が多いということ、また転居を負担に感じている医師が9割を占めているという結果となっていました。
そこで本稿では、転居を負担に感じる医師のための転居・転勤時のチェックポイントをまとめました。
記事の末尾では転居の手続きチェックリスト(40項目)のPDFもダウンロードできるようになっていますので、是非最後までご覧ください。

目次
- 1. 転居の大まかな流れ
- 2. 医師が転居・転勤時にチェックすべき10ポイント
- 2-1. とにかく早めにスケジュールを立てて行動を
- 2-2. 部屋探しの際は下見もできるよう時間の確保を
- 2-3. 部屋の中だけでなく周辺環境や駐車場も含めてチェック
- 2-4. 引っ越し業者は特に早めの見積もり依頼と契約を
- 2-5. 荷造りの時間もしっかり確保
- 2-6. ごみの処分もひと仕事
- 2-7. 職場の荷物も忘れずに
- 2-8. ガスの閉栓・開栓の立ち会いなども含めたスケジュールを
- 2-9. 大きな家具・高額な家具は要注意
- 2-10. 手続きは期限内にしっかりと。遅れると罰金の可能性も
- 3. 【医師版】転居時の手続きチェックリスト40項目(PDF)
転居の大まかな流れ
最初に転居時の流れを大まかな流れを簡単にまとめると、以下の7ステップとなります。
- 引っ越し後の部屋探し~契約
- 現在の住居の解約(賃貸の場合)
- 引っ越し業者への見積もり依頼・契約
- 荷造り・不用品の処分
- 当日の掃除・搬出・搬入
- 挨拶周り・転居ハガキ
- 各種手続き(転居前・転居後それぞれ)
この流れは転居時のスケジュールを最初に立てる際の参考としてご活用ください。以下、特に医師の転居・転勤時に注意が必要なポイントについて見ていきます。
※「転居することは決まったけれど次の職場は決まっていない…」という方は、医師転職ドットコムの転職支援サービスも合わせてご活用ください。
医師が転居・転勤時にチェックすべき10ポイント
1.とにかく早めにスケジュールを立てて行動を
まだ若手なので引越しの為の休みが申し出られず土日の引越しで割高かつ予定が立てにくい (29歳以下女性、循環器内科)
住民票移動の手続きに時間がかかる。医師の所在の手続きも面倒。 (50代男性、整形外科)
異動に合わせて引越しするので、仕事の引き継ぎと、引越し関連作業が同時発生して大変だった (30代女性、乳腺外科)
医師の転勤・転居で多いのはやはり引っ越しの繁忙期にあたる3月~4月にかけてです。部屋や業者が見つからない、料金が割高になるなど、繁忙期ならではの問題も生じやすいため、早めにスケジュールを立てて行動しましょう。職場でも引き継ぎなどで忙しくなりやすいため、意識して時間を確保することが必要です。
2.部屋探しの際は下見もできるよう時間の確保を
条件の合う物件を探し、下見や確認をするのにかなりの時間を取られること。 (30代男性、麻酔科)
急な人事異動で住居を探す時間がほとんど取れず、あまり吟味できなかったことあり。 (50代男性、消化器外科)
焦って転居先を決めてひどい物件だった。 (30代男性、精神科)
忙しいと大して探す時間もなく決めてしまった結果、トラブルが発生してもう一度引っ越す羽目になった、ということもあります。しっかり下見の時間を確保して、日当たり・騒音・湿気なども含め実際の状況を確認するようにしましょう。また、キズや汚れなど気になる箇所があれば、証拠にもなりますので念のため写真を撮っておきましょう。
3.部屋の中だけでなく周辺環境や駐車場も含めてチェック
周りの状況など分からず治安の悪い場所に住んでしまい転居を余儀なくされた (40代女性、その他診療科)
引っ越ししたら当時は気づいていなかったが、子供が生まれたら、近所に郵便局もスーパーも公園も徒歩圏内に充実しており、かなりいい立地だったことに気づいた。 (30代女性、一般内科)
駐車場が機械式でワンボックスカーは駐車できない (50代男性、消化器外科)
部屋の中だけでなく周辺環境もチェックしましょう。犯罪発生マップやハザードマップなども活用して治安や災害のリスクも調べておきたいポイントです。駐車場は特に郊外から都市部に転居する場合には注意が必要です。
4.引っ越し業者は特に早めの見積もり依頼と契約を
引っ越し業者の予約が希望日に取れず、一時的にホテル暮らしを強いられたことがあったこと。 (50代男性、一般内科)
急いでいて適当に決めた引っ越し業者が最悪だった (50代女性、眼科)
3月の引っ越し代が驚くほどの値段で、そもそも受注したくないのだと感じたこと。 (30代女性、小児科)
3月~4月の繁忙期では引っ越し業者の予約が特に取りづらくなります。また、医局人事での転勤では引っ越し費用を個人で支払う場合も多く、繁忙期の高額な引っ越し代が大きな負担となりえます。特に早めの見積もり依頼と契約を行ない、少しでも引っ越し難民のリスクや引っ越しのコストを下げるようにしましょう。
5.荷造りの時間もしっかり確保
忙しい中で引越しの荷造りをするのが大変だった (30代女性、健診・人間ドック)
直前まで仕事が忙しく準備が進まず、当日に引っ越し業者の方の荷物運び出しに追われながら、大慌てで荷造りをした。 (30代女性、小児科)
本が多くて毎回大変だった。 (60代男性、耳鼻咽喉科)
医師としての勤務が忙しい中でなかなか進まないのが荷造りです。引っ越し前日~直前まで荷造りに追われるということもあります。医師の場合は重たい医学書を大量に持っている方も多いため、荷造りの時間をしっかり確保するようにしましょう。どうしても時間が取れない場合は、最近は荷造り代行サービスなどもありますので活用を検討してみましょう。
6.ごみの処分もひと仕事
転居に伴うゴミ処分が面倒、特に粗大ごみ系。 (40代男性、血液内科)
大型家庭ごみの処分に困った。 (40代男性、整形外科)
何せ時間がなく、ごみの処分に困った (50代男性、乳腺外科)
荷造りの際にはごみや不用品も出てくるため、その処分も必要になってきます。粗大ごみは市区町村に連絡して指定の日時・方法で廃棄するのが基本ですが、不用品回収業者や引っ越し業者の不用品引き取りサービスを利用することもできます。家電製品は家電リサイクル法により粗大ごみとしては出せないものもあるため、別途市区町村に確認しましょう。
7.職場の荷物も忘れずに
夜中の1時過ぎに自分でハンドルを握って病院から荷物を運び出したこともあります。 (40代男性、神経内科)
病院に置いてある医学書の運搬 (30代女性、婦人科)
医局の荷物が意外と多いこと。 (50代女性、麻酔科)
勤務先の医局にも医学書やその他の私物を置いていることは多いですが、転勤や転職などで引っ越しをする場合は当然それらを全て運び出す必要があります。転居することが決まった時点から、少しずつ職場の荷物は減らすようにしていきましょう。
8.ガスの閉栓・開栓の立ち会いなども含めたスケジュールを
ガスの開栓立ち合いの時間が取れなくて困った。 (40代男性、腎臓内科)
引っ越しの荷造りをする時間が確保できず大変だった。また、インフラを新しく引くための立ち会いも、時間の調節が大変だった。 (30代女性、泌尿器科)
ガスの開栓を忘れて引越し当日に水風呂に入る羽目になったことがある (30代男性、整形外科)
ガスの閉栓・開栓や電話・インターネットの開通など、引っ越しには荷物の搬入・搬出以外にも家での立ち会いを求められる手続きが発生します。すぐに次の職場での勤務が始まってしまって立ち会う時間がない、ということのないようにしっかりと時間調整をしましょう。
9.大きな家具・高額な家具は要注意
大手の運送会社でしたがいい加減で家具が壊れました。 (40代女性、泌尿器科)
引越し作業で家具を破壊され、補償してくれることになったが、平日多忙のため対応できずにそのまま補償を受けずに現在も壊れた家具を使っています。 (30代男性、精神科)
家具は傷が付いても気にならない安いものしか買わない。 (30代男性、放射線科)
引っ越しの際に家具にキズがついてしまうケースもあります。その場合は引っ越し業者が補償してくれることもありますが、将来的な転居の可能性が高い時はそもそも大型の高額な家具は買わないようにするというのも一案です。
10.手続きは期限内にしっかりと。遅れると罰金の可能性も
住民票などの役所手続きが平日しかやっておらずいけない (30代女性、腎臓内科)
平日の休日がなかなか取れないので、役所等の手続きをする時間がなかった。 (50代男性、婦人科)
転居に伴う手続きが最も面倒。 (50代男性、精神科)
転居に関連した住民票やその他の手続きは期限内にしっかりと行ないましょう。届け出が遅くなると、例えば住民票の住所変更では5万円以下の罰金(過料)が発生する場合もあります(参考:総務省HP)。
【医師版】転居時の手続きチェックリスト40項目(PDF)
転居の際は、賃貸や引っ越し業者への申し込み手続きのほかに、自治体(市役所・区役所など)への届け出や電気・ガス・水道などのインフラ、金融機関やクレジットカードなど、様々な手続きが必要になります。
そこで、抜け・漏れ・滞りなく手続きを済ませられるよう、医師向けに転居時の手続きチェックリストを作成しました。PDFでダウンロードできますので、転勤・転職などで引っ越しが必要になった場合のお供として是非ご活用ください。
>> 「【医師版】転居時の手続きチェックリスト40項目」PDFダウンロード
また、家庭の事情などで転居が必要になる場合では、「転居することは決まったけれど次の職場は決まっていない…」ということもあります。その際は、医師転職ドットコムの転職支援サービスの活用も合わせてご検討ください。